第3章:シドニーの基礎知識


    3.3.2.買物(その2)/買物時の英会話ほか

    ★買物時の英会話
      ★「なにかお探しですか?」「○○はありますか?」
      『きゃないへるぷゆ?』(Can I help You?)と店員さんからよく声をかけられます。「何かお探しですか?」という意味ですが、これを言われると無言で立ち去る日本人が多いそうです(気持は分かります)。現地のビジネス専門雑誌に、『店内で日本人のお客に話し掛けると何も言わず目も合わせずに店から出ていってしまうケースが大変多いので、なるべく話し掛けない方がいいでしょう』等とセールステクニック講座が掲載されているくらいですので既に有名な話なのでしょう("SMALL BUSINESS"、October、1995、P6〜)。

      多分、『きゃないへるぷゆ』と声をかけられたとき、なんて答えていいのか分からず困るのだと思いますが、『あ、いえ、結構です』というのは、“No、thanks、I'm just looking”などが決まり文句ですが、別に全部言う必要もなく、微笑んで見返して「ノー、サンキュー」で済みます。こんな簡単なことがなぜ言えずに黙って立ち去らざるを得ないのか冷静に考えると不思議な気もしますが、だからそれが「現場」というものでしょう。あと、「No」というのは失礼でも何でもないので、そこの気兼ねはスッパリ捨ててください(相手の親切に対する感謝の気持ちは、サンキューと言うことによって果たされているのだから)。No、thanksといえば、あっさりしたもので店員さんは又ニコリとして笑って去っていくでしょう。

      逆に頼みたいときは、「イエス、プリーズ“Yes、please”」で始まって、あとはお手持ちの「旅の英会話」本に書いてあるでしょう。例えば、「〜を探しているんですけど」は“I'm looking for〜”、「〜は置いてありますか」は“Do you have〜?”などです。

      さんざん見せてもらった挙げ句気に入らなかったら買う義理はありません(ここでも義理を感じてしまいがちですが)。断り方も、これも前述の「OK」で済みます。“OK、Thank you”で足ります(ただしハッキリと)。もう少し気のきいたことが言いたかったら、“OK、Let me have a think(time)”(レッミィハバァシンク/ちょっと考えさせてください)などがあります。迷っているので即決できないという意味で、婉曲な断り方でもあります。


      ★順番待ち
      銀行などで順番待ちをしている場合、複数の窓口があっても窓口毎に並ぶのではなく、一列に並んで待ち、空いた窓口に順々に行くという段取になっている場合が多いです。ちなみにこのシステムは公衆トイレも同じで、列を無視して割り込もうものなら、かなり厳しい非難の眼差しが飛びます(大声で注意されてる人もいる)。男性用トイレは大体空いているのであまり見かけませんが、女性用トイレが混んでいるのは万国共通のようです。

      銀行等の場合は、見れば列の仕切りがありますので分かります。ちなみに「列」は社会生活の基本単語なのですが、queue(キュー)と言います。意外と馴染のない単語ですが、これを知らないと現場でウロウロすることになります。なお、列を作ってるかどうかは別として、皆で順番を待ってるときに「次の方どうぞ」は“Next please(ネクスプリーズ)”、「次はどなたですか」は“Who's next?(フーズネクスト)”と呼ばれます。また、特に列がなく客が皆雑然と固まっていて、ある人は既に注文して出来るのを待っており、ある人は単に見てるだけで、順番以前に待ってる客がいるのかいないのか判然としないときがあります。この場合は“Is anyone waiting?(イズエニワンウエイティング?)”と店員さんが呼びますので、「イエスプリーズ」と名乗り出ればいいです。

      ★「あの大きなやつを下さい」/商品の指定
      ところでスーパーなどでは自分で商品を選んでレジに持っていけばいいのですが、肉屋さんやパン屋さんなどでは表に面したショーウィンドウに商品が陳列してあって自分では取れません。そこで店員さんに「○○下さい」と注文するわけで、これは日本の肉屋さんで「豚コマ200ね」と指示するのと同じことです。違うのはこれを英語で言わなければならないという点です。

      まず、「下さい」ですが、これは“Can I have(Could I have)〜”と言います(勿論もっと沢山他の言い方がありますが)。一般に、CanよりもCouldの方が丁寧だとされていますが、Pleaseをつける方がもっと大事です。

        これも「キャン・アイ・ハブ」と単語を分離して3語で憶えるより、まとめて一つの単語として「きゃないはぶ」「くだいはぶ」と呪文のように丸覚えしてしまった方が簡単ですし、むしろ発音もナチュラルになります。頭の中の電光掲示板に文章を表示させてそれを朗読するような話し方をしていると大変ですし、そんなことをしなくても喋れます(というかこの電光掲示板が出なくなったとき喋れるようになる)。「これは呪文なのだ」と割り切って丸呑みしてしまう方が効果的ですし、言語の習得という意味では正統的ですら(母国語でも文字はあとから覚える)あります。憶えにくければ、沖縄にハブという蛇がいますが、”「キャ内ハブ」「句題ハブ」という大蛇がいて、買物に際してはこの名前を冒頭で言うシキタリになっているのだ”等の荒唐無稽の設定をすると一発で憶えられたりしますが、そこは各人の工夫。

      なお、この「きゃない/くだい」は、非常に便利且つ基本的な言葉で、「〜していいですか」「〜したいんですけど」と依頼をするときに重宝します(例:Can I have a look?/ 見ていいですか?)。逆に相手になにかをして欲しいときは、Can(could/would)you please〜?になります。

      商品の名を指示するとき、何と書いてあるのか、何と発音すれば良いのか分からない商品もあります。しかし、多くの場合、皆さん「あれ」と指差して注文しますし、店員さんも慣れたものでこまめに陳列ケースに行って商品を示して「これですか?」と聞きますので特に心配はいりません。そうでないと、現地の人でも『うしろの棚の上から2段目の右から3番目』などというややこしいことを喋らなければならないので面倒なのでしょう。ここで大事なのは「あれ」「これ」に相当する英語です。this one(これ)、that one(あれ)で、要するにoneをつければいいだけのことです。

        些細なことですがこれを知っておくと色々と応用がきいて重宝します。このONE(ワン)は「もの」という意味ですが、「もの」と訳してしまうと使用範囲が限定されます。より日常感覚に即していえば、日本語の「の」(「もの」の省略形)に近いです。例えば、「(商品の色が)青いのと赤いのがあります」「ビールの冷えたのがあります」などのような場合、red one、cold oneという具合です。ちなみに「どれ?」はwhich one?です。したがって「これ下さい」は『きゃないはぶ、でぃすわん、ぷりーず』になります(なおCan I haveは、もう買うのが分かっててあとは商品の指示だけならば、よく省略されます)。

      ★「いくつ?」/数量の指定
      数を指示するとき、英語では物によって、two pieces of〜、three cups of〜等の言い方をすると英語の教本には書いてあります。それは事実ですし正しい指摘です。しかし現場でいちいち的確に言うのは非常に難しく面倒臭いことも事実です。『現場口語においては易きに流れる法則』というのがあるように思うのですが、ネイティブでも面倒臭いものはやはり面倒臭いらしく、現場ではこれが案外といい加減に使われていることに気づきます。喫茶店で見てても、“two cups of coffee”と皆が正しく言ってるわけでもなく、“two coffee(s)”と省略して言ってたりします。日本でも、正確には「蝶が2頭」「タンス3さお」と言わねばならない筈ですが、これを日常で言ってる人はまれでしょうし、カレーライス「3皿」が単に「みっつ」になり、さらには「3個」と言ったりします。勿論これは正しくない言い方で、きちんと憶えるに越したことはありませんが、「えっと」で思い出せず絶句するくらいならば単に数だけ言った方がよほどマシです。

      量を指示するときは、「グラム」「キロ」で通じます。キロはkiloですが(日本と同じくキログラムと全部言うのは面倒臭いらしく、キロと省略する人が多い)、発音は「キロ」ではなく、「キィロゥ」と起伏がありますので、むしろ「黄色」と言った方が通じやすいかもしれません(「ワン黄色、プリーズ」など)。「これを100グラム下さい」というのは「(くだいはぶ)ワンハンドレッドグラム・オブ・ディスワン」でいいです。

      ある商品を「個数」で指示すべきか「重量」で言った方がよいかは、常識的に分かると思います。大抵の商品はキロ単位で表示されてますが、必ずしも重量で指定する必要はないです。魚一尾やステーキ一枚の重さなど見て分かるものでもないので、「スライス・オブ〜」など枚数・個数で指定した方が店の方も楽でしょう(一尾500グラムの魚を200グラムと言われても困る)。

      以上をまとめて、買物での生の会話例を「こんな感じ」で示してみると、


      Next please.(次のかたどうぞ)
      Yes, please. er...can I have this one.(あ、はい、(指差して)えーと、これください)。
      Which one? (どれですか?)
      That one. (それです)
      This one? ((商品を示して)これですか?)
      No, that big one. (ああ、それじゃなくて、その大きなやつです)
      This one? ((別な商品を指して)これ?)
      Yea, that one.(そうそう、それです)
      How many? (いくつですか?)
      Three, please. (3つ下さい)
      Anything else? (他には何か?)
      No, that's all.(いや、それだけでいいです)



      ★レジにて

      レジで会計しているときに、“(Do you want)a bag?”と聞かれることがよくあります。日本では何もいわなくてもビニール袋で包んでくれますが、こちらではそうではありません。入れてくれるのが当然だと思っていると、何を聞かれているのか見当がつかず立往生することになります(なりました)。また発音も「ドゥーユーワントアバッグ」などと丁寧に言ってくれない場合も多く、「じゅわなばっ?」あるいは単に「べぁっ(ぐ)?」で終わってしまうので尚更です。ちなみに、日本でいうところのスーパーのビニール袋のことをプラスチックバッグと言います(ビニール袋とは言わない)。

      また、同じリンゴでも特売品のところから持ってきたのか、別の棚からもってきたのかと聞かれるときもあります(where did you get it?など−これも「ぅえあでぃっじゅげりっ?」になったりする)。これもとってきた場所を指差せば足ります。こんなこと聞かれると夢にも思ってないと、一体何を聞いてるのかさっぱり見当がつかないことになります。

      なお、スーパーマーケットなどでは、万引防止のために、出口やレジで「ちょっとカバンを見せてください(Can I check your bag?など)」と言われることがありますので、中を開けて示せば、1秒ほどパッと目を通してOKになります。


    ★お金の勘定
      混乱しがちなのがお金の勘定です。レジを打って「○○ドル○○セントです」と言ってくれるのですが、これがまた早口で聞き取りにくいうえに、聞き取れたとしても英語で数字を言われてもピンときません。例えば「セブンティエイト・ダラーズ・ナインティファイブ」と言われても咄嗟に「78ドル95」という数字が浮かんでくるものでもないでしょう。ましてや慣れない外国の貨幣ですので、財布の中から取り出すのも一苦労です。

      この対策ですが、まず一つはレジの機械に表示される金額数字を注意しておくこと、買う前に個々の値段をチェックしておいて合計額の概算を出しておくこと、このあたりは基本です。また空港で両替したら各貨幣をじっくり覚え込むことです。5ドル札(薄紫)、10ドル(青)、20ドル(赤)、50ドル(黄色と緑)、100ドル(旧札は白ですが、新札が出来て緑色になりました)と、紙幣は色がやたら派手なので色で覚えた方がいいでしょう。コインは金色のものと銀色とに大きく分かれます。1ドル、2ドルが金色、50、20、10、5セント貨は銀色ですので、これも色で識別できます。僕の場合、小銭入れに二つポケットがあるので、金のドル貨と銀のセント貨を分けて入れてます。
      なお、5セント未満は切り上げ切り捨てられます(ラウンディングという。レシートを良く見ると書いてあります)。

      数字関係のヒアリングとスピーキングは、何か事前に英会話を勉強されるならば、やっておかれると良いでしょう。1年に1回使うかどうかという表現よりも、確実に1日に3回は登場する数字関係に慣れておいた方が実戦には効果的ですから。数字は買物に必ずついて廻るだけでなく、ホテルの部屋番号、電話番号、住所の番地、飛行機の出発時刻、搭乗ゲート、パスポート番号などなど、ありとあらゆる場面で登場します。また、ミスがそのまま結果に直結しがちです(出発時間を聞き間違えるなど)。英語で暗算が出来るくらいになれば大したものですが。

      買物における金額表現で気をつけるべきは、同じ金額でも複数の言い方があるということです。例えば25ドル50セントを「トゥエンティファイブダラーズ・フィフティ」というときもあれば、往々にしてダラーズを省略して「トゥエンティファイブ・フィフティ」と言います。さらに50は「ハーフ」で済ます場合も多く、3ドル50セントを「スリーダラーズ・ハーフ」と言う人もいます。また別の省略形では、145ドルは「ワンハンドレッド・アンド・フォーティファイブ」が正式ですが、簡単に「ワン・フォーティファイブ」で済ませる場合もあります。これだと1ドル45セントの場合と全く同じ言い方になるわけですが、桁が二桁違うので間違う恐れがないのでそう言われるのでしょう。また1000ドル単位の大きな額になってくると、1500ドルを「ワンサウザンド・アンド・ファイブハンドレッド」ではなしに、「サウザンド」というのが面倒なのか単に「フィフティーン・ハンドレッド」と言う人もいます。

      なお「ドル」のことを「バック(ス)(buck(s))」ともいい、米ドルのことを「グリーンバックス」とも言います(ニュースでも時々言うので一概にスラング(俗語)とも言えない)。なお5ドルのことを「ファイバー(fiver)」とも言いますが、これはスラングでしょう。


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