2010年07月16日改訂
日本円TCについてちょっと補充


お金の移動方法について




最初に脅かしておきますが、お金の移動方法は難しいです。

@現金/ATC(トラベラーズチェック)/B現地ATMで、日本の口座(邦銀の日本円口座)から引出す/ CANZ銀行など、オーストラリア銀行の口座を日本で開設する/Dオーストラリア現地で口座を開設して日本から送金してもらう/Eクレジット利用、などが考えられますが、どれもこれも一長一短あります。

このページでは上の利害得失を執拗なまでに検討してますが、それだけにとっても長いです。全部読めたらエラいです。
そして、最終的な結論は、哀しいことに、正解なし!だったりします。

ただし、「こんなのはいかが?」というモデルプランはあるので、それを最初に書いておきます。
もしあなたの渡豪資金が100万円以下だったら、クレジットカード+海外キャッシュカード(現地ATM)の二枚が必須で、あとはオプション(趣味)でTCとか口座送金等を利用されたらいいでしょう。
もし、100万以上の資金があるなら、三番目のオプションを充実させる方向にするといいと思います。

 前口上は以上。じゃ、いきます!


各移動方法のメリット・デメリット

@現金

 一般的にいってキャッシュは為替レートが悪いです。もちろん交換する場所や時によって違ってきますし、昔ほどメチャクチャレートが悪くなってるわけでもありませんが、それでも現金の方が有利という局面は滅多にないと思います。たとえば、東京三菱銀行の為替レート表を見ても、最初にこのページを書いた2005年11月02日時点でのオーストラリアドルとのレートは、TCなど88円なのに比べて現金はなんと96円。おおよそ10%違います。改訂時の08年9月は85円/98円、最新改訂時の2010年2月で83円/91円でやはり10%程度の差がついています。10%違うということは、100万円交換すると10万円損するということです。あまりオススメはしません。

 どうしても現金交換をしたいのであれば、現地ではカジノの交換レートが比較的有利といわれています。それか後の述べるKVB。あと、一番いいのは、これから日本に帰る人(オーストラリアドルを日本円に換えたい人)と直接交換することですね。そうそう都合よく出会わないとは思いますが、在住日本人の掲示板などによく「オーストラリアドル売ります」広告が出ています。


 A〜Dについては、キャッシュほどのレート差はありません。しかし、手数料や利便性、安全性などで違いがあります。

ATC(オーストラリアドル建て)

 メリットとしては安全であること。
 もう一つのメリットとしては、円高時にTCに替えることで円高メリットを確定できることです。TCは作成時のレートで確定しますから、その後円安になっていたら「早く替えておいて良かった」ということです。ただし、目論見が外れて、逆にもっと円高に振れたら「あああ、替えるんじゃなかった」と損になります。
 TCは、大きなお金を一括で払うような場合(学校など)には、多量のキャッシュを持ち歩かなくて済みますから適しています。また、レート確定効果についていえば、これまでの動向から「今後これ以上の円高になることはない」と思える場合はGOでしょう。

 デメリットとしては、コストが嵩むこと、利便性に乏しいことです。
 すなわち、TCには作成手数料かかり、これが銀行によって異なりつつも大体5000円くらいかかってしまいます。また、現地でオーストラリアドルに換金する際にも(マチマチだが)手数料が最低でも7ドル程度かかってしまいます。なおアメックスの窓口で交換すれば手数料は無料、、、だったのですが、2009年7月から7ドル取られるようになったようです(先日窓口でガビーンとなりました)。と思いきや、シティのWestpac銀行の普通の窓口で交換したら無料だったという実例もあります。
 これは注釈が必要だと思うのですが、オーストラリア生活の心得としては、「全てが一律になってると思うな」です。末端窓口での実務はびっくりするくらいマチマチで、同じ銀行に同じ日に行っても窓口担当者が違うと言うことが違うとか、日によって違うとか、支店によって違うというのは良くあります。転職社会のこちらでは皆さん職務内容を正確に把握していない。だからWestpac銀行の中にあるアメックス窓口で交換したら手数料がかかるのに、一般窓口だったらかからないという不思議な逆転現象が生じたりもします。しかし、これがどのWestpac銀行でも通用したり、明日も通用する保証はない。やたら頻繁に規定が変わるし、また周知も不徹底。ゆえに実戦のコツとしては、always ask!です。まず聞いてみろ、です。交換手数料は"fee"とか"charge"、無料は"free"。TC現物を見せながら、"Do I have to pay any fee? or for free? free of charge? "とか言ってれば教えてくれます。で、無料というところでバシッと交換しちゃおう。

 利便性も問題です。TCが使える局面が著しく限られていることで、学校の授業料の支払いその他旅行関係くらいにしか使えません。生活局面ではほとんど無力です。それは日本での生活を全部TCでやろうと考えてみたらお分かりになると思います。それと同じ事です。

 なお、これまでVISA、トーマスクック、Citi Bankなど複数のTCがあったのですが、2010年現在、日本で販売されているTCはアメックス発行のものだけのようです。アメックス発行のTCを各銀行を通じて買うということですね。Citi Bankはこれまで口座を持っていれば無料でTCを作成できたのですが、09年より額面の1%(口座を持ってなければ2%)の手数料をとるようになりました。
 アメックスの窓口はここで検索できることになってますが、ただしこの情報は古いことが多く、その都度電話で聞いてみるべし(パンフレットに日本語の問い合せ窓口番号があるはず)。アメックスの交換窓口でシドニーでメジャーなところでいえば、CityならばGeroge St沿いのWynyardあるいはChinatownあたりのWestpac銀行の店内に間借りをしています。Westpac銀行とは仲良くしてるようですので、シティ内Westpac銀行に聞いてみたらいいでしょう。Bondi JunctionやChatswoodのWestpac銀行にも店内にアメックスのコーナーがあります。

 使用時にはサインをしなければなりませんが、あまり少額(50ドルとか)で作ってしまうと、授業料の支払いなど大金の場合、腱鞘炎状態になりますので注意(^_^)。

日本円建てTC

 日本円建てTCが一番得であるかのような風聞もあるのですが、なんでそう思うのか僕には良く分からないです。どう考えても、経済性でも利便性でも劣ると思うのですが。つまり、損なうえに面倒臭いだけだと。

 まず経済性(お得度)です。
 試しに、日本でオーストラリアドル建てTCを作るよりも得かどうかを調べてみました。
 日本で豪ドル建てのTCを作る場合、(三菱東京UFJの外国為替相場) でみると、この更新時(10年3月17日)に84.32円でした。これは一般為替レートのTTS(電信送金レート)と同じです。ところが現地オーストラリアのANZ銀行のレートを見ると、86.18円になってました。

 日本では84円出せば1豪ドルが買えるのに、現地では86円払わないと1ドル買えないのですから、日本で買った方が(日本で豪ドルTCを作った方が)得だということです。これは、一時点の、それもたった二機関の比較に過ぎませんから、それで全てを論ずるのは危険です。でも、少なくとも、日本円TCの方が常に得だというわけではないですよね。どっちかというと損だと。

 次に利便性。「便利か?」ということですが、超がつくくらい不便だと思います。
 日本円TCなんかほんと使えませんもん。あなたが日系の土産物屋さんとか観光客御用達の日本レストランとか日本人しか利用しないツアーなど、モロに観光客!ってライフスタイルをするんだったら使える余地はあります。しかし、留学とかワーホリとか、現地人として暮す局面においては、まず使えないと思った方がいいです。日系資本の語学学校の授業料の支払いにすら使えません。それは日本でオーストラリアドル建てのTCを日常のコンビニで使えるか?と思ったらわかりやすいでしょう。

 したがって、使えないから換金しなければなりません。しかし「換金しなきゃいけない」という時点でTCの意味(安全性)は損なわれています。オーストラリアドル建てTCならどこの銀行でも替えてくれますが、日本円TCともなると、サバーブの普通の支店になったら「取り扱っていない」と言われてしまう可能性もあります。しかし、シティの観光客用の交換所はレートがとても悪い。そのため交換レートの良いところを探すことになります。しかし、いちいち探すのが面倒になってきて、だったら最初に全額を空港や都心の銀行で換えてしまおうと思ったりするのですが、そうすると今度は多額の現金を持ち歩くことになり、なんのために安全なTCにしたのか分からなくなってしまいます。そうまでして日本円を持ち込みたいのでしたら、下に解説しておいたKVBの円送金の方がお値打ちだと思います。

 しかし、そこまでして日本円にこだわる必要があるのか?円キャッシュや日本円TCのメリットはたった一つ。「遣い残したときに得」という点です。旅行資金として10万円用意して、全部豪ドルに替えてしまっていいのか?もし6万円しか遣わなかったら、残りの4万円分はまた日本円に戻し、二重に為替損を被ることになる。だったら遣い残してもいいように最初から日本円にしよう、と。このメリットはあります。しかし、留学・ワーホリで「遣い残したとき」なんかあるのか?大体が足りないから現地で稼ぐってパターンでしょう。もしあなたが数百万円以上も持ってくる気でいるなら、全額豪ドルTCにするかどうかは悩むかもしれません。止めた方がいいです。というか、あとでゆっくり口座間送金すればいいです。

 結局ところ日本円建てTCはキャッシュよりはマシかなという程度のところでしょう。
 これをオススメする局面というのは、まさに短期&日系べったりの海外旅行のような場合でしょう。何の問題意識もなく日本円現金を握りしめていくよりは得ですから。でも、ここで述べているのは、半年とか1年の留学、ワーホリの場合です。何度もいいますが、局面が全然違います。一週間程度の物見遊山の旅行組とは、そのシビアさにおいて格段の違いがあると思います。

B日本円口座からのATM引出(海外キャッシュカード)

 その昔は、Citi Bankのウリだったのですが、現在では多くの邦銀でも出来るようになっています。現地のATM、殆ど全てで利用できます。なにもシティバンクだったらシティバンクの支店に行かねばならないわけではないです(手数料がかからないから得だけど、シティの支店はものすごく少ない)。多くの場合PLUSとかCIRRUS経由で下ろすのですが、ほぼ例外なくこちらのATMで受け付けています。シドニーでしたら、ATMはびっくりするくらい至るところにあり(スーパーやパブの中にすらあったりする)、ATMの場所などイチイチ覚える必要はないです。また24時間利用できます。

 メリットは作成コストがかからず、また面倒な手続きがいらないこと。いつでもどこでも利用できる利便性。遣い残した分はそのまま円で残存してますから、再び円に戻す二重差損が発生しないことなどです。為替レートは、ATM利用時のレートになります。

 注意点としては、お手持ちのカードが海外で利用できるか、あるいは自分の口座が海外で下ろせる設定にしているかどうか、そのあたりの手続きは各銀行によって違いますので、十分に確認しておく事です。

 デメリットとしてはATM使用料が200円ほど取られること、及びATM使用の場合の為替レートが3%前後割高になることです。また、多くの場合1日の使用限度額(1000ドル程度)があるので多額の支払いには不向きであることです(何日も連続して引き出さねばならず、その都度大金抱えて緊張します)。

 使用料+レートやや悪は痛いのですが、最初の数千円単位の手数料(AのTC、Cの開設費、D送金手数料)のことを考えたら、何回下ろすかによって損益分岐点は決まってくるでしょう。非常に頻繁に下ろす人には割損になるけど、せいぜい十回未満だったらお得では?なぜなら、オーストラリアで銀行口座でATMを使っても、他店ATMだったら同じくらい料金を取られるし、口座の種類によってはカウンターでも手数料を取られたりします。さらに口座管理料まで月5ドルほど取られますから、ランニングコストは同じようにかかるからです。

 なお、現地ATMの使い方の解説は、生活体験マニュアル/お金について(1)外貨交換に書いてあります。

CANZ銀行などオーストラリア銀行口座を日本で開設

 これは便利なようで不便だと思います。まず、日本で開設しても、現地の支店(シティの真ん中)までいってカードを受取らないと実際には引出せない場合が多く、また銀行が混んでたりすると結構待たされたりすることもあります。初動一週間は多忙ですので、時間の浪費だという気がします。また、日本で開設する場合、5000円くらいの口座開設費用が取られるでしょうし、オーストラリア銀行に日本から振り込むときにまた送金手数料(換金手数料)などがチャージされたりします。

 ちなみに、オーストラリア銀行口座をオーストラリアで開設する場合、手数料はかかりません。

Dオーストラリアで銀行口座を開設+日本から送金(or TCを預金)

 こちらで銀行口座を開設したあと、日本にいる家族などに頼んで送金してもらう手もあります。この場合もやはり送金手数料はかかるのですが(通例4000-5500円くらい)、JCBで送金手数料525円という送金サービスがあります。詳しくは留学生向け海外送金サービスに書かれています。確かに手数料は安いのですが、カード発行に3−4週間かかり、手数料とは別に交換レートが1.6%程加算されるようです。微妙なところですね(^_^)。なお、日本から緊急で追加送金して貰うんだったら、上のBの日本口座に入金(日本円)してもらうのが一番早いし、送る方も簡単でしょう。

 身分証明としてパスポートとクレジットカードを持参されるといいと思います(各銀行各窓口によって言うことが(人により、時期により、支店により)バラバラなので、これでOKというスタンダードがわかりにくいのですが、大体パスポートとクレジットカードがあればOKというケースが多いです)。なお、学生割引(口座管理料無料)をやってる銀行が多いので、語学学校などに入学して学生証を貰ってから作成するとよろしいでしょう。

 オーストラリアでの銀行口座ですが、こちらで生計を立てるのでなければ(働いたり、ビジネスをしたり、小切手を貰う機会があるなど)でなければ、口座を開いても、預金などはしないで、もっぱら引出し専門になると思います。だとしたら、口座なんか開設してもあんまり意味がなかったりもします。前述のようにランニングコストもかかるし。

 ★なお、「着いたらすぐに銀行口座を開設しなきゃ!」と思いこんでる人が多いのですが、それってあんまり合理的な根拠はないです。そのあたりについては、「間違いだらけのワーホリ&留学/現地に着いたらすぐに銀行口座を開設すべきか?」をごらん下さい。

EFTPOS     

 こちらではデビットカードがやたら普及しています。EFTPOS(エフトポス)という名称で知られてますが、スーパーをはじめ、大きな店だったら大抵使えるでしょう。クレジットと違うのは、その場で口座から引き落とされること、さらにスーパーなどではキャッシュ・アウト/cash outというレジで現金を引き出すサービスがあることです。レジでカード清算をしてる途中で、"any cashout?"って聞かれます。キャッシュアウトは便利ですし、引き出し手数料も取られないからお得です。

 EFTPOSのやり方は、レジ(というのは日本語で本当はcasherという)の人にカードを渡すか、自分で備え付けの機械にカードの磁気面を滑らせて読み取らせます(この行為を英語でスワイプ(swipe)といい、"swipe your card"って言われることもあります)。次に口座を聞かれます("Cheque or Savings?")が、多くの人はセイビングス(普通口座)でしょうから、"Savings please"。自分で機械のSAVボタンを押せと言われるときもあります。で、レジの人が購入金額をマシンに入力する際に、"Any cashout?"と聞きます(聞き忘れる人もよくいる)。下ろさなかったら"No thanks"、あるいは掌を振ってNOのジェスチャーでも可。「暗証番号を入力してOKボタンを押してください(PIN and OK, please)」と言われるので、そのとおりにやると、あとはレシートを貰って一件落着。ついでに書いておくと、スーパーによっては「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれます。Colesの場合はFly Buy Card、Woolworthの場合はEveryday Cardです。「ふらいばい?」って聞かれるでしょう。聞かれるタイミングは人によってマチマチ。最後まで聞かない横着な人も多い(というかオージーは言われなくても最初から出している)。

 ただし、全ての店でEFTPOSが使えるわけではありません。スーパーなどの大規模店ならまず使えますが、カフェとかテイクアウェイとかではキャッシュオンリーの店も結構多いです。カードは使えてもクレジットのみって店もあります。使える場合、暗証番号を入力するためにカウンターの中に入っていくこともありますし、ワイヤレス機械になってる店もあります。

 キャッシュアウトで200ドルを引き出すくらいだったら普通ですけど、1000ドルもキャッシュアウトしている人は滅多にいませんし(僕は未だかつて見たことがない)、地元民的な目で見たら結構異様だと思います。治安的にも危なし。


Eクレジットカード

 メリットとしては、送金コストがかからず、かつキャッシュ(ATM引き出後も含む)と違って安全性が高いことが一つ。語学学校の授業料など大きな出費の場合には便利です。ただし、海外利用限度枠などを設けている場合がありますので、先に確認しておかれるといいです(また電話一本で引き上げられる場合も多い)。VISAなど国際的なカードだったらほぼOKですが、JCBなど国内系は観光系を除き、それ以外の日常では使える場合が少ないです。

 もう一つのメリットは利便性です。こちらはクレジットの普及率が日本よりも高く、クレジットカードを持ってないと旅行の際の切符や宿、コンサートの予約などブッキング系が全滅する恐れもあります。また、銀行口座開設の際の身分証明書になるというメリットもあります。

 クレジットカードには付帯するサービスがあります。例えば、海外旅行保険が自動的にくっついてくることもありますし、マイレージとリンクしているカードであれば、学校費用など大きな出費をクレジットを利用することによって、帰国便や旅行の足しにすることも可能でしょう。そのあたりはよくお調べになって賢く利用されるといいでしょう。

 デメリットとしては、最大のものが残高管理がしにくいという点です。キャッシュだったら財布を見れば一発で分かるものが、クレジットだと決算・引き落としを過ぎてみないとよく分からない。特にレートが決算時の場合、その日がくるまで一体幾ら引き落とされるのか分からないという問題があります。

 第二のデメリットとしては、場合によってはサーチャージがかかることです。語学学校などでもかかる場合が多いです。

 メリットともデメリットとも言えるのは、為替レートで、こちらに来てから有利な時期を選べるけど、決済時がズレこむ場合には運を天に任せることになること。安全性の点では、キャッシュよりも安全でしょうが、盗難紛失後の迅速な処理、さらにスキミングされていないかの定期チェックなどは念頭に置いておくといいでしょう。

 そうそう裏ワザ的に、前述のキャッシュアウトを利用して、クレジットカードで現金を引き出すということも可能です。が、そのあたりはクレジットカードの契約次第。本人は引き出しているつもりでも、「貸し付け」られてたら、14%とかとんでもない金利がかかります。カード会社に問い合わせるなり、しっかり調べておく必要があります。


KVBの円送金

 KVBの円送金は、オーストラリアで活発に活動するようになったKVBという会社の扱っているサービスです。KVBは、香港ベースの外為銀行で、KVB 昆侖国際有限公司というのが正式名称のようです。ホームページはここにあります。

 よく宣伝されている円送金ですが、要は邦銀よりも円の評価を高くし、交換レートを1−2円ほど良くしている点にポイントがあると思います。この為替レート差だけを考えればお得と思われます。ただし、同じ外資のCitiバンクもいいセンをいっていて、最初にこれを書いている時点(2005年5月)でのレートを比べてみると、KVB87.74円、Citi87.65円で、Citiの方がむしろお得だったりします。ちなみに同じ外資である新生銀行を見てみたら、87.74円でした。KVBと全く同じですね。まあ、レートは時間によって違いますし、ある一点で比べたものが全てではないですが、レートの良さは何もKVBの専売特許ではないとは思います(というか邦銀がおしなべて高いのだけど)。ホームページで比べてみると、為替レートが載ってるページは、KVBはここCitiはここ新生銀行はここです。なお、前回更新時(2008年9月)に各レートを比べるとKVBでも89.48 vs Citi89.60 vs 新生89.71、2010年2月日改訂時では、KVB82.34、Citi82.45、新生82.11でした。で、もうこのくらいの僅差になってくると、それほどナーバスにならなくても良い気がしますね。

 それによく考えてみると、レートひとつでケリがつくほど話はシンプルではないのですね。KVBの場合(別にこの会社のせいではないのですが)構造的な問題が二つあります。一つは、円送金をするにしても、円送金に関わる送金手数料というのが発生することです。KVBは日本に支店がないようですので、あなたが実際に円送金をしようと思ったらどこかの邦銀にいって、オーストラリアのKVB銀行口座に円建て送金を依頼しなければなりません。そこで送金手数料がかかってしまう。そのときいくら掛かるかは、あなたのお近くの銀行の料金表次第であって、KVBの手の届かないレベルの話になります。もし、この円建て送金手数料がレート差を超えるくらい高かったら意味がないです。これはKVBも親切に「但し海外送金(円送金も含む)には、送金元の日本側の銀行で送金手数料、送金先のNZ、豪州もしくはカナダの銀行で支払銀行手数料(受取銀行手数料)が発生します。」と書いていてくれてます。

 第二に、KVBは地域密着型の銀行ではないので支店数が極端に限られ。オーストラリアではシドニーやメルボルンに一店舗づつしかありません。KVBに円送金をする場合、円送金をするか、円建てのTCを作って持っていくかの方法があるわけですが、いずれにせよKVBに行ってオーストラリア現金を受け取ってくることになります。シドニー支店はシティのタウンホールの交差点のCitiバンクのビルの18階にありますが、コマメにそこまで行くのも面倒でしょうし、土日は休みで、営業時間は5時までという制約があります。かといって一気に何千ドルもの現金を引き出せば、帰り道がドキドキです。だからしばらく預かって貰ってオーストラリア銀行の口座に送金してもらうか、速攻で預金するという方法になるでしょう。そうなるとオーストラリア銀行口座開設にまつわる問題が付随します(住所や管理料など)。


総合判断 考えるべきポイントとミックス案


 さて、このように多種多様の方法があるわけですが、一言でいえば一長一短があり、正解なしです。ネットを見ると、いろんな人がいろんな意見をおっしゃってますが、全ての局面においてダントツに優れた「これだ!」って方法は無いでしょう。その人によって正解もまた違うでしょう。

 一般論的にいえば、小口の生活費だったら海外ATMが使い勝手がいいですし、大きな出費の場合はTCやクレジットなど向いています。ですので適度にミックスさせるといいように思います。例えば手持ちのお金をTCとATMに二つに分け、円高に振れている時期に、後日の円安に備えてTCを作成しておき、現地に来たあと、さらに円高になったらATMでおろし(その時のレートによるから)、円安に振れたらTCを換金するなどでもいいでしょう。さらに、不測の事態に備えて(紛失、カード磁気の損耗)、クレジットで補充するなど。海外ATMも便利なのですけど、上述のようにレートが3%悪いこともネックなので、継続的に現地で下ろすようなときは、オーストラリアの口座を開設してお金を移動、その後はオーストラリア銀行のキャッシュカードを使う、など。

 どの金融機関が良いのかになると、最近では多くの金融機関が参入してきて一概にいえなくなってきてます。昔はシティバンクの独壇場だったのですが、送金手数料も取るようになったし(それでもまだ平均よりは安いけど)、アメリカ発のサブプライム不況でリーマンやメレルリンチがコケている昨今、銀行そのものが大丈夫なんか?という根源的な疑問もあったりして、このあたりを考えていくと迷宮に迷い込みます。そうです。金融というのは、精密に考えれば考えるほどワケが分からなくなるものなのですね。

 「分からん!」でほっぽり投げていたら話が進みませんから、気を取り直して幾つか判断基準を設けて、もう一度整理してみましょう。

 交換レートの良さ : 送金(特にCiti、KVBなど外資系)、TCが良く、次に海外ATM(+3%)、ワーストは日本円現金(+10%)。

 コスト=手数料ですが、これはさらに手数料A(初期費用=日本での作成・交換コスト)と手数料B(現地での交換などランニングコスト)に分かれます。
 手数料A(作成コスト) : クレジットと海外ATMが一番安くて無料。TCや送金は5000円前後の作成・送金コストがかかります。現地オーストラリア口座は口座開設そのものは無料ですが、そこに日本から送金すると送金コストがかかります。
 手数料B(ランニングコスト) : 現地オーストラリア口座のキャッシュカードのEFTPOSのキャッシュアウトをするのが一番安いでしょう。海外ATMは200円程度の手数料とレート損があり、TCには交換手数料(7ドル以上)がかかり、日本円現金は交換手数料+レート悪。

 しかし考えるべきポイントはまだあります。
 為替レートの変動
 損得勘定でいえば、これが最大級に大きいです。
 2010年2月段階のオーストラリアドルレートは80-85円くらいですが、2008年秋の経済危機直後は50円台までの円高になってますし、その前には100円台前後の円安になってました。つまり直近数年間だけでも50円台〜100円台まで乱上下しています。そして80円がプラスマイナス8円ブレるだけで10%(100万円中10万円)ぶっ飛びますから、手数料の多寡なんか問題にならないくらいの大差になります。つまり今のレートで全額をTCや送金してしまったとして、将来円高になったら大損です。しかし、円高を期待して待ってて裏目に出たらこれも大損します。そして、将来為替がどうなるかは僕には全くわかりません。おそらく誰にも分からないでしょう。こういった巨大なブラックボックスを前にしては、チマチマ手数料を計算していること自体ムナしいというのが正直なところでもあります。

 ATM(あるいはクレジット)のもう一つのメリットは、換金時期を選べることです。ATMは下ろしたその日(あるいは翌日)のレートでやります(クレジットは大体一ヵ月後だがカード契約内容による)。TC併用策は、例えば手持ちのお金の半分をTCにし、こちらに来て相場がTC作成時のレートよりも(3%差損コミで)ATMを使い、上がってたらTCを交換して使うというリスク回避が出来ます。ただし、滞在中ずっと上がりっぱなしだったら、「ああ、全部TCにしておきゃよかった」という話にもなりますから、これも完全ではないです。

 さらに、初動費用(学校代や最初のステイ代とか)だけTCないしクレジットにして、あとはATMでコンスタントに下ろすという方法もあります。このメリットは、得もしないが損もしないということです。つまり毎週コンスタントに引き出していた場合、1年で52回下ろすわけで、その時々で円安円高があるわけですが、コンスタントにやるから結局為替レートは年間の平均値に限りなく近づくと言うことです。まあ、なかにはその人が下ろす日に限ってレートが悪いという特に運の悪い人もいるでしょうが、数学的には平均値になるでしょう。無難なパターンともいえます。ただし、そんなに多数回下ろすなら、送金の方がトータルでは得だという気もします。

 現地での利便性
 お金の移動を考える場合、誰しもどうしても日本からオーストラリアまで通貨を移動させることだけに集中し、その後のことはあまり考えない傾向があるでしょう。でも、実際に現地に来てしまえば日々の生活が始まるわけであり、その日常での利便性が大きなポイントになります。交換・利用場所や時間帯が限られてしまったら、日常活動の制約になります。こちらの生活が進めば友達も掃いて捨てるほど出来るでしょうし、バーベキューやらパーティー、勉強、バイト等々忙しくなってくる筈です。シティにこもって、日本人だけの狭いサークルで生きていくなら交換場所も近いでしょうけど、現地に溶け込めば溶け込むほど、活動範囲も広く、また多忙にもなります。シティに常に行くとは限らない。このあたりは考えどころですね。

 あと、新生銀行の場合、以前はそんな制限がなかったのですが、いつのまにか1日下ろせるのは10万円(約1000ドル)までという制限がかかるようになりました。学校の費用とか初動で沢山必要なときは毎日下ろし貯めないとならず、多少面倒ではあります。また、新生銀行の場合、新規開設の場合にはカードはその場で発行してくれるのですが、紛失などで再発行を頼むと意外と時間がかかるようです。新生に限らず、カードを新たに作るときは、紛失再発行の手続や所要期間も調べておくと良いと思います。

 インターネットバンキングと不測の事態
 ATMでやる場合、こちらから日本の口座を操作/指示しやすいかどうかという点もあるでしょう。その場合、インターネットバンキングがどれだけ使い勝手がいいかどうかですね。

 それともう一点、不測の事態への対応です。
 カードを落としたとか、暗証番号を3回間違えたとか、磁気不良になったとか、もっと悲惨なケースだとATMがカードを飲み込んでしまって出てこない、カードは出てきたがお金が出てこずレシートを見たら残高を引かれていたなんてこともあります。特に最後の2パターンは悪夢のような事態ですが、僕も何度も目撃してます。

 このような不測の事態への対応の良さというのもポイントになるでしょう。まあ、分かりにくい基準なのですが、そういうことに慣れている金融機関が良いのでしょう。例えば、サービスデスクが24時間対応であるとか、日本語対応なのかとか、どんな質問をしてもチャッチャと答えてくれるなど対応がしっかりしているか、再発行が簡易迅速に出来るかとか、そういったことです。なお、現地のサービスデスクなんかよりも日本に電話した方が早いです(こちらでは格安で国際電話できますので)。リスク管理の項と重複してきますが、この際、サービスデスクとの番号等もちゃんと控えておくこと。その際「0120」なんて番号ではダメです(海外からはかからない。
 
ちなみにATMにカードが飲み込まれてしまった場合の対応ですが、とっとと諦めて、速攻で日本に電話して再発行してもらった方がいいです。ATMが設置されている銀行に申し出ても、ATM部局と支店の行員さんとでは役職が違う場合が多く、ラチが開かないからです。お金が出て来ず差っぴかれていた場合ですが、これも即時日本に電話して、事態を説明し、調査してもらってください。大体(というか僕が経験した範囲では全部)OKになってます。ただし即やることが肝心です。何週間も経ってから申し出ても説得力に乏しいですし。



 もうこの時点でかなり疲れてきたと思います。
 頭がこんがらがってきたと思いますが、結局は、リスク分散のためにも適当にミックスさせておくと良いということです。
 一応、「例えばこんな感じ」ということでモデル案を考えてみるなら、下の@とAは必須で、Bはオプション(個人の趣味)って感じだと思います。

 @クレジットカード
 使う/使わないはともかく、一枚は持ってこられるといいです。なぜなら前述のように身分証明機能、ブッキング機能があるうえ、携帯電話のレンタルの際に必要だったりします。あると便利というより、ないと非常に不便な局面があります。

 A日本円口座の海外キャッシュカード(現地ATM)
 作成コストがゼロという点、着いたその日から使える利便性、さらに何かあったときの日本からの送金が非常に迅速&簡単であるという点でポイントが高いです。送金依頼をするときというのは、それなりの緊急時(財布をなくしたとか、メインのカードが磁気不良で使えなくなったとか)でしょうから、2−3日とか待ってられないでしょう。作成コストがゼロなんだから、使う/使わないに関わらず一枚持っておかれるとよろしいかと。
 なお、クレジットカードの引き落とし銀行口座と同じ口座のカードを作っておけば一元管理が出来て便利です(但しリスク分散の法則には反しますけど)。

 BTC等その他
 作成コストも手間もかかりますが、@Aのカード系はカードを入れている財布を落としたらお手上げというリスクがあります。また、現在が円高でそのメリットを確定したいと思うときもあるでしょう。その場合はTCや送金などの手法が使います。

 総じて言えば、トータル資金が百万円以下の場合は、現金交換で10%損するのは論外だとしても、上の@Aを押さえつつ、あとはそんなに神経質にならなくても良いと思います。日々の為替レートといっても元金が少ないから差異もしれてますし、そんなに何十回も引き出すほど原資があるわけでもないからです。予算の項でも言いましたが、最初の一週間にドーンと使ったら、あとはボチボチですもんね。それぞれ一長一短があり、考え出したら泥沼ですので適当なところで切り上げたらいいです。あなたが年金生活者だとか、1000万円以上持っていくならそれなりに気合を入れて考えるべきでしょうが、ワーホリとか留学レベルだったら、「もっと他にやることがあるでしょ」って気もします。津波のような為替変動の前では、砂のお城を作ってどっちが高いとかやってるだけって気もします。一波来ただけで全部洗い流されます。それは、もう、為替変動の波を食らって、数百万損した僕が保証しますです、はい(^_^)。

 しかし、長期留学であるとか永住などで数百万から数千万円の場合は、レートがちょっと違うだけでも大事ですので慎重に考えるべきでしょう。まあ、このくらいのお金を動かせる人は、僕ごときに言われるまでもなく十分にお考えだとは思いますが。ただ、100−200万円くらいの長期留学orややリッチなワーホリの場合、当面使わないお金はこちらの銀行の定期預金にいれちゃったりするのもテです。こちらは金利高いですからね。経済危機直後ドドドと金利が下がりましたが、また持ち直し、今なら最低でも4%くらいはつくでしょう(2010年現在)。100万円一年寝かせておけば、4万円利子がつきますので、ジェットスターだったら帰りの飛行機代くらい出ます。


学校へ現地での支払方法

 語学学校に現地で申し込む場合の支払い方法ですが、かなりゆるやかです。すなわち、@オーストラリアドル現金、Aオーストラリア建てトラベラーズチェックは大抵どこの学校でも受け付けていますし、Bクレジットカードでの支払いを受け付けてくれる学校も多いです。ただし、クレジットの場合は1-3%前後の手数料を徴収する学校もあります。

 また、意外と知られていないのですが、これらの手段をミックスすることも可能です。例えば全費用が5000ドルだった場合、うち3000ドルをクレジットカードで、1000ドルをTCで、さらに1000ドルを現金で支払うことも可能ですし、クレジットカードの限度額の関係でこのようなミックス方法を取る場合も実際には多いです。

 総じていえば、手数料がつかないのならばクレジット支払いが一番得かもしれません。なぜならTCも送金もクレジットもレートは似たようなものですが、TCには作成手数料が掛かり、送金にも送金手数料が掛かりますが、クレジットはこのような手数料はかからないからです。ただし、クレジットの場合、決済が一ヶ月後だったりしますので、そのときに円安に振れていれば損しますし、円高になってたら得をします。まあ、どちらの確率もトントンにあるのだとすれば、考えても仕方がないことだとも言えますが。



 ★関連リンク = 予算・費用について
 ★関連リンク = 語学学校の選択の基準(その2)予算で選ぶ 語学学校の経費の構造



オーストラリア留学・ワーホリ/一括パックトレーニングプログラム
★→シドニー語学学校研究渡豪準備編に戻る
★→シドニー語学学校研究トップに戻る
→ワーホリの部屋も見てみる(別窓)
→APLaCの総合トップを見てみる(別窓)