よくある質問と回答
オーストラリアに移住したいのですが(Part 3)
(承前)
Q:オーストラリアで生活(移住)したいのですが、何をどうすればいいのか全く分かりません。
(97年3月22日)
ご大層なタイトルをつけてしまってちょっと困ってますが、「ビザを取りつつ生計もクリアする」ということを具体的にどう実現していけばいいか、そのダンドリの話です。と言っても、これは各人が置かれている情況によってマチマチですので、「これだあ!」という確定版があるわけではありません。各自頭をひねって下さい。ここでは、考えるにあたって何らかのヒントが掴めればということで進ませていただきます。
●フォーマット設定/欲望のディレクトリ
頭を整理するためには、何が手段で何が目的かという、手段目的関係を明確にしておくといいです。例として、自分ケースを挙げます。
自分の場合の最終目的はいたって明瞭です。つまり「幸福になりたい」、これですね。次にどういう状態が自分にとって「幸福」なのかというと、例えば「気持ちイイ状態」「やりたくない事やらされる時間の最少化と、やりたいことが出来る時間の最大化」、言うたら「満足の極大(最深)化」ですね。まあ単に「幸福」の表現を変えてるだけという気もしますが、大体そんなところでしょうか。で、「オーストラリアに住む」というのはそのための一手段にしか過ぎません。オーストラリア居住よりも初期の目的に適合する方法を見つけたらとっととそっちに乗り換えます。
ところで、なんでオーストラリアに住むことが、満足の極大化に寄与するかというと、一つには極めてシンプルな理由で、知らん所に住むと珍しいものを見聞する確率が高く、エキサイティングな時間が相対的に増えるからというのがあります。もっとも、珍しいだけだったら別にオーストラリアでなくてもいいですわね。アフリカの未開の奥地にいけばもっと珍しいだろう。そうしないのは、オーストラリアは英語圏だから、とりあえず取っ付き易いという実際上の理由と、英語が出来るようになるというメリットがあるからです。
英語が出来るようになると何でいいのかというと、これも最も世界の公用語に近いから、これをマスターしておくと、地球上の面白い情報(TVなどの媒体情報の他に世界中の人と話ができる)にアクセスしやすくなりますね。インターネットでも、英語が日本語と同じくらいスラスラ読めたら、日本語サイトばっかりにへばりついてないで、面白いサイトを開拓していけますわね。洋楽でも歌詞の意味が分かった方が面白いし、愉快の友達に出会うにしても、母数を1億人(日本人)にするより50億人にしておいた方が、麻雀で言うところの「マチ」が広がるわけで、いいんじゃないかと。で、オーストラリアは移民国家で、自分が出掛けなくても世界中から人が集まってるから、「こりゃあ便利だ」と。その意味ではシドニーが一番便利で、シドニーの中でも民族ゴチャ混ぜ地域の都心西部の方が面白いだろうと。そんなことも理由の一つですね。さらにもっと先まで見通せば、英語/海外生活に慣れることによって、将来的にオーストラリア以外の国々に行ったり住んだりするという選択もグッと身近になります。オーストラリアが終着駅だとは全然思ってないし、どちらかといえば通過駅のように捉えています。
他にも理由は多々あります。雑記帳でもちらっと触れましたけど、日本やアメリカのベースにあるような競争主義パラダイムでは、いずれ頭打ちになるだろうから、それに変わるパラダイムを自分なりに模索して、とっととインストールしておいた方がいいだろうと。そのためにはあんまりガリガリの競争社会国家ではなく、ちょっとノンビリしてる国の方がええわなとか。ここらへんの理由は数えていけば数十あるでしょう。
誰だって分解していけば、いろいろな理由なり動機があるのだと思いますし、よ〜く考えたら、それぞれが手段=目的関係に立っていると思われるわけですね。「SEXしたい」→「女性にモテる必要がある」→「(だから)カッコいいファッションをしようor車を買おう」→「(そのために)バイトして金稼ごう」とか、一連の階層関係はあると思うわけです。目的の中にも下位のものもあれば上位のものもあり、最終目的を達成する為にの全体的にダンドリ整えることを「戦略」といい、より局所的な目的達成のための小さなダンドリを「戦術」というのがあると。これはもう各自それぞれ勝手にやればいいわけで、前述の例でも「SEXしたい」から始まって、いきなり「金貯めて風俗行こう」という人もいるかもしれないし、もっとショートして「強姦しよう」になる人もいるかもしれない。余談ですが「犯罪とは社会的ダンドリをショートカットする行為」という定義を聞いたことありますが、なるほどそうかもしれません。
さて、長々書きましたけど、「オーストラリアに生活したい」という目的も、より大きな目的からしたら「手段」である筈です。逆にいえばオーストラリアで生活できなくても、初期の最終目的を達成する手段は無数にある筈です。数ある手段のなかから、現時点における「実現可能性」と将来の「発展可能性」という二つの観点から絞りをかけていって、一つの手段をチョイスするわけですね。余計なお世話ですが、そこは頭に叩き込んでおいた方がいいと思います。後述するように、イチかバチかで永住ビザを申請したところ見事に失敗してしまった場合、「これっきゃない」でやってるとその時点で人生終わってしまいます。そんな所で終わってる場合ではありません。却下通知を受け取っても、慌てず騒がず片頬だけ歪めて「ふむ、なるほど」とクールに呟き、次の瞬間には、すかさず二の矢、三の矢を放ちたいところです。
段々話は本題に入っていきますが、同じように、「オーストラリアに住む」という目的も、分解しちゃえば「オーストラリアでいい思いしたい」ということであり、あるいは「将来的に布石を打とう」ということでもあります。したがいまして、別に「住む」という行為にこだわらなくても「いい思い」は出来るかもしれないし、布石は打てるかもしれません。「住む」→「永住権」というのはメインルートであるかもしれないけど、それしかないと思い込むのは固定観念とも言えるでしょうし、最も避けねばならない「手段の目的化」の罠にハマることでもあります。
さらに敷衍して述べさせていただきます。
上記の「いい思い」の内容が、「美しく雄大な自然に囲まれてのんびりした時間を過ごす」というのであれば、そらそこに住めたらいいですけど、住まなくたって(永住権その他の居住ビザを取らなくたって)その目的を実現する方法はあるかもしれない。
例えばですね、オーストラリアのことを調べ上げて日本市場で今後ウケそうな物でまだ誰もやってない領域を発見したとします。仮に「エアーズロック周辺のアボリジニの文化」だとしましょう(あんまりウケそうもないけど)。それを日本に紹介するなり、日本からの観光客を連れてくるなりするために日本で自分の会社作ります。その事業の一環として、「取材」「出張」その他でオーストラリアに頻繁にやってくる、滞在期間も数ヶ月単位ということはありうることでしょう。もしそれが巧くビジネス的に廻っていくならば、事実上オーストラリアに入りびたってることは出来るのではないかということですね。で、実績なり現地での人脈を築いていき、それまでの成果を武器にして、より恒久的なビザ取得にチャレンジすることも出来るかもしれません(事業者移住とか別のカテゴリーで申請するなど)。
あるいは、オーストラリア各地の田舎に分散して留学している中高生、日本語教師のアシスタントプログラムで派遣されてる人々がいます。田舎の場合、「町中で日本人は自分だけ」のような環境にあったりします。当然心配する親御さんもいます。そこで、その心配したりヘルプを求める人々をクライアントにして、彼らを定期訪問して相談に乗ったり日本にレポートを送ったりするビジネスがあったとします(これ専業でやってる人はいないんじゃないかな。現在は留学斡旋業者がアフターケアとしてやってるようですけどキャパ的に手が届かないこともあるようにも思います)。もしこれがビジネスとして成立するなら、クライアントの費用で、この雄大な大陸を縦横無尽に駆け巡るという日々が現実のものになるかもしれない。
はたまた、オーストラリアの産業のなかで今後日本市場に進出することが見込まれる有望分野があったとします。そういえば3年ほど前だったか、大前研一氏がシドニーにやってきて、オーストラリアの建築業界はなぜ美味しい日本市場を目指さないのかと激を飛ばしたとかいう話を聞いたことがありますし、2年ほど前だったかな、現地のビジネス雑誌に日本に進出しているオーストラリアの建築会社が紹介されていました。今後の趨勢を考えてみて、これが有望と判断し、日本の建築市場とオーストラリアとをコネクトする領域にビジネスチャンスがあると判断したなら、日本における建築市場関係のコネを作りあげ、オーストラリアの企業に乗り込み、話を持ち掛け、その一連の過程のなかで自分はちゃっかりオーストラリアに住むように物事を運んでいくとかね。
これらの手段は今適当に思い付いたものですが、これらのケースで入国する場合、そのためのビザ取得が通常の雇用や永住ほど厳格であるとは思いがたいのですね。商談/出張用のビジネスビザ、ないし事実上観光ビザでもいいんじゃないかという気もします。もちろん、別途詳しくは検討する必要はありますが、言いたいのは「居住関係ビザ=生活」「生計=就職」という決まりきったパターンでなくても、事実上同じような結果を導く手段は、考えていけばそれなりにあるのではないかということです。
このように、一遍自分の頭を「フォーマット設定」をして、「欲望のディレクトリ」を整理しておけば、「○○のために○○をする」という手段−目的関係が明瞭になり、メリハリのきいた努力なり方策も生まれてくるのではないでしょうか。
さてこれまで述べたことは、早い話が「頭を柔らかくして考えよう」ということでした。あまりに雲をつかむような話ばかりしてても仕方ないので、より現実的に、広く用いられるパターンを考えてみましょう。
(Part 4:戦略と戦術(2)につづく)
★FAQのトップに戻る
★→APLaCのトップに戻る