よくある質問と回答
オーストラリアに移住したいのですが(Part 4)
(承前)
Q:オーストラリアで生活(移住)したいのですが、何をどうすればいいのか全く分かりません。
(97年3月22日)
(99年4月微訂)
●よくある基本パターンと組み合わせ●
★永住権優先でいくか/ステップアップ方式でいくか
いきなり独立永住権がバシッと取れてしまうならば問題は少ないです。最初にビザ問題をクリアしてしまえば、そのあとの組み立ては大幅に楽になってくるでしょう。取れるものなら取りたいところですが、年令的限界(事実上35才か)、ボーダーラインの難易の推移(現在110点)、前提スキルの熟成(英語力、学歴、実務経験)の慎重に判断して−−−−というか自分で考えるのも限界あるでしょうから専門の業者さんにお金払ってコンサルティングして貰うなりして熟慮する。で、勝算アリとなれば打って出てみる。しかし、勝算が薄いの場合、こんなところで玉砕してても始まらないので、簡単なところから徐々にステップアップしていく戦術になるでしょう。
具体的には、労働ビザのスポンサードしてくれる雇用主を探すことがメインでしょう。めでたくスポンサーになってくれる雇用主に出会えたら、とりあえず2年の労働ビザが下ります。延長が通ればさらに2年。管理職なら4年+4年というわけで、時間が稼げる。もし、2年なり4年なりの期間住んで見て、案外と住むには面白くないわ、面白いけどもう飽きたわ、飽きてはないけどもっと面白いこと見つけたわ、ということなれば、話はそこで終わりですね。めでたく一件落着でしょう。数年で飽きるかどうかは住んでみなきゃ分からない話で、結果的に2年で飽きるものに苦労して永住権取る必要なんか全然ないですもん。
それでも尚長期的に住んでみたいということになると、やはり労働ビザが切れる前に、永住権にステップアップしなければなりません。方法としては、その労働期間の実務キャリアをもとに独立永住権を獲得するか、あるいは特定の雇用主にとって無くてはならない人材として見込まれることによって雇用者指名永住権を取得するか、です。
これが基本的なパターンと言われますが、ここから逆算できることは、後々の永住権ステップアップまで頭に入れて最初の雇用関係を結ぶ、あるいは、同業ないし類似業他社に転職できるような汎用性の高い分野をターゲットにするなど。その雇用主が、まず絶対に雇用者指名なんかしてくれそうもなかったら、そこに長居してても時間の無駄ということもありえるでしょう。労働ビザといっても、他にスポンサードしてくれる雇用主がいれば、途中で転職すること(スポンサーの交換)は可能ですし、そうそう珍しいことでもないですので、次なるステップアップを念頭におきつつキャリアを磨いたりコネ作りに励むということになろうかと思います。
★「はじめの一歩」をどうするか
しかしですね、若干話は前後しますが、この最初の一歩たる「労働ビザの雇用主探し」ですけど、これがそう簡単に見つかるものでもないです。雇用者も慈善事業でスポンサーになってるわけではない。それに日本に居ながらにして、現地の企業から「是非君に来て欲しい」なんて言われるチャンスなんか、待っててもそう来るものではないでしょう。そこで、さらに遡って、雇用主探しのためにオーストラリアに滞在するということになるでしょう。例えば、ワーキングホリデーなり、語学学校や大学その他の学生ビザを取るとか。その滞在期間でなんとか目鼻をつけるというわけですね。大学などで高度なキャリアを身につけ、そこを武器にスポンサーになってくれる所に就職するというテもあるでしょう(なかなか難しいけど)。
なお高級キャリアをみっちり積もうとするならば、むしろ一旦迂回してイギリス、アメリカのケンブリッジやハーバードクラスで修行して泊をつけた方が、オーストラリアでモノをいうかもしれません(領域によって違うでしょうけど)。そういう発想もありうると思います。
いずれにせよ、最終目的のために、自分のキャリアを考え、オーストラリアの就職事情あるいはビザ事情を考え、どういった方針が最も成功確率が高いかを考えておく必要があるでしょう。そのためには、現地の人材斡旋業者(シドニーでの仕事の探し方/人材紹介会社リスト参照)などに、予めコンサルティングを受けるという手段も有用でしょう。将来的に全く展開する見込みのない領域で頑張っているというのもツライものがあります。
●利益衡量●
では、以上の点を踏まえて、総合的に、あーでもないこーでもないと利害得失を考えてみましょう。
大学行くのもいいですが、勉強はハードですし、学費も年間100万前後と馬鹿高いうえに、時間が経つほど「(独立移住ビザの要件としての)直近の実務経験期間」は相対的に少なくなるというデメリットがあります。語学学校にしても、半年で40万前後でしょうか、安くはないです。反面、現地を知りつつ長期的戦略を考える時間、コネつくりの機会(居ればすぐに出来るものではないが)、なによりも必須な英語力を養う機会など、日本にいては中々得られない貴重な機会でもあります。僕もこのルートから入りましたが、現地も知らんで「暮そう」という決断は出来ないなと思ったからですね。で、行ってみたら、メチャクチャ面白かったからマジになって考え始めたという。
逆に、スポンサーになってくれる雇用主が見つかった場合は、いきなり収入付きで暮らすことが出来るのでそれはそれでラッキーなのですが、今度はその領域に縛られてしまい、自由に絵が描きにくくなるという面はあるでしょう。例えば、最初に現地のガイドとしてバイト採用され正社員に格上げになった場合、滞在期間の日常の風景も、積まれていくスキルも人脈も観光業界ということになります。それが好きな人はいいですけど、本当はアーティスティックなことをやりたいという人にとっては、道がねじれちゃってますから、どこかで又軌道修正しなければならないという宿題を背負うことになります。
★ダメだった場合/「成功」とは何か?
こんなこと言うのは何なんですけど、最終的にオーストラリア移住計画は失敗に終わったとします。また日本に帰らなきゃならないという場合に、「それでも、まあ面白かったからいいか」と思えるかどうかもひとつのポイントでしょう。結果として失敗に終わったとしても、少なくとも「やりたいことをやった」わけであり、それを満喫できていれば「大成功」とも言えるわけです。
これは、僕自身の特殊な価値観かもしれませんが、目的−手段、過程−結果といっても、見方を変えたら時系列上の一点にすぎないわけで、過程において楽しめれば結果において楽しめなくてもOKという場合も結構あるのではないかと。過程時点である「97年3月22日という1日」と、結果時点である「98年5月10日という1日」を比べれば、「1日」という意味では同じではないか。未来の1日の方が現在の1日よりも無条件でエラいというものでもなかろう。要は、積分みたいなもので、全期間を通じて、「楽しいなあ」と思える時間と楽しさの深さを総合的に足し算掛け算してみてそれが最大になるかどうかではないかと思うのですね。
また結果を考えるにあたっても、「大成功した場合」という「仮定」と比較しても始まらないと思います。正しく比較すべきは、同じだけの期間「あのまま日本に残って、今の生活を続けていた場合」でしょう。3年なら3年、会社に留まり、仕事も深まり、収入も増え、キャリアも積んだという場合と、知らない土地で孤軍奮闘してきた3年間で、長い目でみてどっちが自分の人生において「ええ感じやね」と思えるかどうかですね。これはもう各自の価値観の問題ですから、あなたに任せます。
同じく、結果を考えてみた場合、再び日本に戻った場合、どれだけの「お土産」を持ってかえれるかという視点もあるでしょう。英語技術だけでなく物の見方/世界の見方も変わってるかもしれません。ひっくるめて「世界大学」に留学してたと考えることもできるかもしれません(学位も賞状もないですけど)。その経験をその後の展開に活かせるかどうかという視点もあるでしょう。
★先のことは分からない
何度か触れましたが、「人の気は変わる」ということです。あんまり詳しく戦略立てすぎても、将来になったらコロっと気が変わってるかもしれません。見えている風景も違っているでしょうから、その時点で自分がどう思うかなんて分かったものではありません。
「どうしたもんかな」でシドニーの町を悩んで歩いてたら、ひょんなことから現地のオージーと熱烈な恋に陥ってしまって、そのままゴールイン。あっさり永住権が取れちゃったなんてこともあるかもしれません。そして、その頃には永住権取得なんかどうでも良くなってるかもしれません。
そうかと思ったら、やっとオーストラリアの現地企業に就職出来たら、いきなり香港駐在を命じられたりすることもないとは言えないでしょう。
幾ら考えても未来予測には自ずと限界もあります。これまた自己例をひいて恐縮なのですが、僕の場合は、詰めて考えていっても、情報不足でどうしても読み切れない場合には、「それは○年後の俺が何とかしてくれるだろう」と未来の自分に振っちゃうことにしています。最初半年だけ語学留学に来ることを決めた時点でも、それから先のことは、ま〜ったくの白紙状態でした。だって、その頃はこんなサイトもないし、情報なんかゼロでしたから考えたくても考えようがないのですね。で、「考えても分からんものは考えるだけ無駄」「それは半年後の自分にお任せ」で、吹っ切ってました。
しかし、そうであっても、全体のフォーマット、手段目的の序列をしっかり把握しておくことは有意義だと思います。なぜなら、ここがハッキリしていたら、ちょっとばかり情況が変わっても、その場その場で「よし、じゃあこうしょう」と方針の変更/修正が比較的容易に出来るからです。永住ビザが取れないことが確定しても、「要はここに存在できたらいいわけだろ」「別にオーストラリアじゃなくても、インドネシアでも面白い人生が待ってそうだな」とか、フレキシブルに対応できるようになるでしょうし、対応できた方が楽しいですよね。
棒を飲んだような硬直的な計画一本だけでは、ちょっと事情が変わっただけでもう対応できなくなる恐れがあります。その意味も込めて、今回のFAQは「このビザはこう」とかいう各論情報以上に、総論的な「ものの考え方」に力点を置いて述べさせていただきました。例によって、またちょこちょこ補充改訂していきたいと思ってます。
では、ご健闘をお祈りします。
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