よくある質問と回答
97年3月20日初出
99年10月、03年9月、06年2月、08年9月、10年4月06日、8月28日、12月14日、2011年01月04日、06月22日、07月08日、2012年05月18日追加


オーストラリア移住の方法
Part1 VISA



よくある質問:
Q:オーストラリアで生活(移住)したいという思いはあるのですが、何をどこから手を付けていいのかよく分かりません。




 「生活」「移住」と言っても色々なパターンがありますが、ここではオーストラリア現地で生計を立てて住むということを中心にして話を進めたいと思います。

 もし、生計を考えないのならば(現地で働かなくても良いだけの資産があるなら)、観光ビザでやってきて、更新の度に日本に帰国したり海外旅行したりすれば足ります。また、ハードルは高いですが投資家退職者ビザもあります。

投資家退職者ビザ(Investor Retirement Visa (Subclass 405))

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 観光ビザや投資家退職者ビザの場合、大事なのは日本で資金を貯めることだけで、それさえクリアすれば(それが大変なのだが)ビザ取得自体は難しくはないでしょう。また、オーストラリアに来てから必要となるのは、いかに生活をエンジョイするかであり、それは生活体験マニュアル( 別窓)などのコンテンツをご覧下さい。



 以下、法的にも現実的にも最もネックになるであろう 現地で適法に働く という点に焦点を絞って書いていきます。

 さて、移住プロセスが完了するには、

(1)いかにして日本から離れるか(→意思決定、退職、親族関係、年金その他の公的処理)
(2)いかにしてオーストラリアに適法に滞在するか(VISAの問題)
(3)いかにしてオーストラリアで生計を立てるか(就職の問題)

 という、大きな3本柱があります。

 (1)については、各自それぞれにダンドリをたてて戴くとして、一般に問題なのは(2)と(3)でしょう。順次書きます。
 もっとも、個人的には一番大変だったのは(1)でした。特に仕事関係で、数十件もの継続案件を抱えながら徐々に整理し、引き継ぎうる状態にもっていくのに、やっぱり1〜2年くらい掛かりました(最初は絶対無理!と思ったくらい)。


第一の関門 : VISA(ビザ)


 ビザというのは入国許可証のことで、その国に入る入場券みたいなものです。
 まず、ビザの大原則を知ってください。

   原則としてその国に利益をもたらす人にしかビザは与えられない

 ということです。

 利益の度合が明確で直接的なほど簡単にくれます。観光ビザのように「お客さん」の場合は、現地に金を落としていくだけの福の神のような存在ですので、「いらっしゃいませ」と非常に簡単にくれるわけです(ETASという形で簡略化されてます)。同じように、留学などの学生ビザについても、授業料というお金を落としてくれるわけですから比較的簡単ですね。なお、オーストラリアの場合、海外からの留学生というのがドル箱になっており、盛んに広報活動を展開しています。

 逆に「来ないで欲しい」と言われているのは、その国に不利益をもたらす人達です。
 どこの国でも同じですが、端的には地元民の職や公的秩序を乱す不法移民であり、不法就労者。西ヨーロッパ諸国なんか年がら年中この問題で紛糾してますが、ドドドと低賃金の外国人労働者がやってくるので現地の人間は職に就けないから問題だというわけです。さらに、時折センセーショナルに書き立てられるのが、「福祉狙いの偽装家族」のようなパターンで、一人に永住権を与えてしまえば、その人間を頼って親類縁者(と称する者)が大挙して押しかけ、彼らにも永住権は与えられますし(ファミリー・リユニオンなど)、永住権保持者には失業保険その他の公的扶助が与えられますので(これが結構手厚い)、「福祉金をタカりに来てる」「入管過ぎたら失業保険事務所に直行」などという表現で言われてたりします(多分にオーバーだし、下品な報道なのだが)。しかも、オーストラリアの場合、デ・ファクト(籍は入れてないけど事実上の婚姻関係)というカテゴリーがあったりするから、永住権/市民権保持者が配偶者として名前だけ貸すビジネスやらその手続を請け負う業者やらがいます。

 上記は極端な例ですが、オーストラリア当局から見れば、「オーストラリアで働きたい」という人は潜在的に上記の危険があるわけです。つまり、現地の職を奪うという問題と公的扶助のタダ乗り問題。だから「ダメ」というのが基本的な姿勢です。で、本来ダメなんだけど、一定の範囲で「限定解除」しましょうとなっているわけで、ビザの交付条件というのは限定解除条件でもあるわけです。

 限定解除項目(各種ビザのカテゴリー)は、上にあげたリスクがないことをどう証明するかによって決まってくるのでしょう。

 ビザの原理原則を知ること

 原理原則論は、即戦力やリアルタイムの情報ではないのでまどろっこしい思いを持たれるかもしれません。しかし、原理原則を理解している方が結局は役に立ちます。数学でも、出来ないヤツ(僕ですけど)に限って公式をベタ覚えしようとするけど、本当に出来るヤツはその場で原理から公式を導き出せます。「なんでそうなるか?」を知ってる人間は間違えない。

  ビザでも同じ事です。リアルタイムのポイント計算がどうのというのは、数あるサイトで幾らでもできますが、そこで仮に結論が出たとしても、ビザの規定なんかしょっちゅう変わってるから、明日もその計算でいける保証なんか何処にもないです。とりわけ永住権は思い立ってから現実にゲットするまで、早い人でも数ヶ月、平均すれば数年がかりのプロジェクトになります。したがって今日現在しか通用しない情報を断片的に得ることは、一見実戦的に見えつつ、ぜーんぜん実戦的ではないです。原理を知っていれば、応用も自由自在にきくし、また予想もかなり的確に立てられます。こっちの方がずっと実戦的です。



 ということで、「なぜこういう条件だと永住権をくれるのか?」「なぜこうも規定がコロコロ変わるのか?」という原理部分に力点を置いて書きます。

 そして次章以降では、「永住権や移住など、あなたが幸福になるための数ある手段の一つに過ぎない」という大局的視点を書きます。永住権ゲット=成功なんてほど人生はシンプルな○×ゲームではない。事実、苦労して永住権を取ったはいいけど、しばらくして日本に帰る人もまた沢山います。でもって帰国したら失敗かというと、又そういうものでもないです。永住権という「はじめに手段ありき」という発想からスタートすると、容易に「手段の目的化」という失敗パターンにハマりがちです。「五目並べだと思いこんでいたら、実は囲碁だった」というゲームの本質の誤解は避けるように。これは「永住権を取りましょうゲーム」ではないです。「あなたが幸福になりましょうゲーム」です。


★技術独立永住権(Skilled Independent Visa) とポイントテスト


 永住権の種類は、事業関連、雇用主指名、スポンサー付技術独立、州スポンサー付、地方都市、配偶者、親族呼び寄せ、、などなど、様々な種類があり、また時とともに目まぐるしく変わります。

 しかし、数ある永住権の中でも、雇用者や自治体などスポンサーがなく、呼び寄せてもらう親族もおらず、お土産にもっていく事業などもなく、純粋に独立独歩、裸一貫で勝ち取る王道の永住権がこの技術独立永住権(Skilled Independent Visa)です。

 「若くて、英語もできて、職にも困らないだけの技能を身に付けている者」であることが証明されれば、オーストラリアにそれほど迷惑はかけないだろうし、起業して現地の人間を採用してくれるかもしれないから、まあ良いでしょうということで与えられるカテゴリーです。5年毎に更新手続きするだけで、あとは「勝手にやんなはれ」でうるさく干渉されず、誰の顔色を窺わなく済みますので、取れるものなら取りたいビザです。

 しかし、それだけに取るのは難しい。@年令点、A英語点、B職業点の3つの観点から点数をはじきだし、総合○点以上なら合格というポイントテスト方式になってますが、総合ボーダーラインや各種の配点が猫の目のように変わるわ、この世に無数にある職業をいかにランク付けするかの職業点配点がブラックボックスになっているわで、「これなら大丈夫」という判定は専門の業者さんでもないと中々予想がつかないです。一応目安となる職業リストもありますけど。

 ただ大筋の傾向として言えるのは、(1)学歴に制限はないものの実際には高卒より上の資格がないとダメ、(2)実際に職務経験がないとダメ、(3)18歳から49歳までの年齢にあり、(4)職業点の採点は、役職名ではなく具体的に何をやってきたかという実戦スキルが重視される、(5)唯一短時間の努力で向上できるのが英語点でIELTSテストで6.0以上はマスト(出来れば7点が欲しい)、などです。ただこれも色々細かな「ボーナスポイント」やらの修正があります(後述)。

 永住権のボーダーラインは、ほぼ一貫して難しくなっています。95年取得の僕らのときは100点で、今から思うと牧歌的な時代でした。もっと昔は現地で観光ビザに切り替えようとしたら、係官が間違えて永住権を印刷してしまい「いいから、貰っておきなよ」という超牧歌的な”伝説”も聞いたことがあります。そんな「おとぎ話」は遠い昔のことになり、100点のボーダーがドンと115点に上がり(途中一回110点まで下がったが、また115点になり)、そして2006年3月以降なんと120点まであがりました。115点にしたときも「難しすぎて非現実的」と批判されて下げたくらいなのですが、オーストラリアは移民先として世界的に人気が高いので、ボーダーを上げてもそれでもやっていけるということでしょう。BRICsの躍進など世界の人々の教育水準や就職機会が増えるにつれ、ハードルを上げても上げても、それでも優秀な人々は掃いて捨てるほどいるということです。まさにメガ・コンペティション(大競争)の時代です。

 そして、2010年11月に2011年7月施行の新しいポイントテストが発表され、さらにスキルセレクト制度導入により2012年7月から新ポイントテスト(改)も発表されました。内容は後述しますが、職業点のカウント方法が大幅に変わったので、ボーダーもガラリと変わって65点になるようです。また、年齢点が若干ゆるくなったこと、英語点がさらに厳しくなったことが挙げられます。上に即して言えば、(1)学歴については基本的には同様、(2)職務経験の重要性が以前よりも高くなり、(3)18歳から49歳までの年齢にあり、(4)職業点の採点は、役職名ではなく具体的に何をやってきたかという実戦スキルが重視される、(5)英語点でIELTSテストで6.0以上は最低限のマスト条件になり、色々細かな「ボーナスポイント」やらの修正があるのは同様です。


 僕もこれまで、十数人、あるいは何十人という永住権取得者 or 希望者の方とお話ししてきましたが、やっぱりそれなりに皆さん苦労されています。若くて+十分スキルがあって(しかもオーストラリアで評価されて)+英語力バッチリという”三冠王”も、いないことはないですけど、少ないです。なんせスキルを身に付けるまでに若くなくなってしまうし、スキルを身につけている間は忙しくて英語を勉強しているヒマがなかったりします。かといって、留学して英語をやってるうちに、スキル点が無くなってしまうとか(例えば過去○年中○年その職業に従事していること、などという条件もあったりしますから)、あちらを立てればこちらが立たずというのが基本的な状況だと思います。

ちなみに僕らの永住権取得体験記(かなり昔の話ですけど)については、生活体験マニュアルのコラム( 別窓)に書いてあります。

2011年7月から施行されている新方式について

 2010年11月に永住権審査の新方式が発表になりました。施行は11年7月からです。今回の改訂はかなり抜本的なものです。基本コンセプト(オーストラリアにとって有為な人材を求める)は変わらないのですが、その採点方式がガラリと変わりました。

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2012年7月施行の新方式=SkillSelcet〜”招待状/予選システム”について

 2010年5月、政府の新予算案編成に際し(オーストラリアは7月が新年度になる)移民局は、さらに永住権審査のシステムを変更する旨発表しました。

 何が変わるのか?簡単に言えば、永住権申請→交付までのプロセスにおいて、新たに一つ手続が増えたということです。

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2012年7月施行の新方式とビザ・サブクラス統廃合と新ポイントテスト改

 2011年7月から新ポイントテストが導入され、さらに12年7月から新方式(スキルセレクト)が導入されます。1年のタイムラグでセレクト方式(招待状方式)が導入されるわけですが、これにともなって若干のマイナーチェンジ(というか永住ビザシステム改正の仕上げ)がなされました。

 Changes to Points Tested Skilled Migration Visas(PDFファイルです)に概要が記されています。

 といっても実質的にはそう大きく変らないのですが、見たところ2点あります。
 @、ビザカテゴリー(サブクラス)の統廃合
 A、セレクト方式施行下におけるポイントテストの内容

サブクラスの統廃合
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ポイントテストの微修正

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猫の目のように変わる規定
 永住権取得の条件は、時の政策判断でコロコロ変わります。これはもう本当に「いい加減にしろ」と言いたくなるくらい変わります。

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プロの助力の必要性
 永住権取得というのは、水上スキーをやりながら水上の標的を射撃するようなもので、自分も揺れてるし、マトも揺れているという、かなり流動性が激しいものです。それだけにリアルタイムの情報、それも徹底的に正確な情報を確保しておいて下さい。出来れば将来予測も欲しいです。原理原則という全体像を把握した次は精密なデテールです。大きな戦略(発想)、緻密な戦術(実行)。大きな戦略眼が必要なのは、ゴールまでの道筋で事情変更があっても柔軟機敏に対処できる「ふくらみ」のあるプランが立てられるからです。そして実行にあたっては、ミリ単位に精密な設計図が必要です。

 具体的には、専門のプロの方にしっかり査定してもらうべきでしょう。

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★雇用者指名永住権 


 Employer Nomination Scheme (Subclass 121/856)( 別窓)

 ワーキングビザのようでありながら永住権であるというわかりにくいカテゴリー。まず特定の雇用者に雇われるという意味ではワーキングビザに似てるのですが、雇用者が「この人でないとダメ!」「他に代替のきかない人材である」と主張立証するパターンです。ワーキングビザが「不法就労じゃないよ」という程度の消極的な立証であるのに対し、こちらは「代え難い有能な人物」という積極的な立証という点で違います。この積極的な立証が、インディペントの職業点立証の代わりになるようなものなのでしょう、「そこまで有能な人材だったら居ていいよ」ということで、永住権が与えられるのでしょう。

 永住権ですから、指名してくれた雇用主から首になっても退去する必要はありませんし、2年なんたらという期間制限もないです。そこまで見込んで指名してくれた雇用者がクビといえば、その時点で失効しちゃう方が道理が通ってるようにも見えるのですが、そうならないのは、それが有能性の一般立証だからでしょう。一人の雇用者をそこまで言わせるほどに有能ならば他の会社にも容易に就職できるだろうということ。実際、単に指名しただけでは足りず、雇用主は一定期間、公の場で求人広告を出す必要があり、「公に募集したけど、やっぱり、これが出来る人材はオーストラリアの労働市場にはいませんでした」という事実立証もしなきゃならないわけです。逆にいえば、雇用者としてはアレコレやらなならんことがあって、面倒臭いビザでもあります。


★その他の永住権の種類

 その他永住権の取り方としては、地方スポンサービザというのがあり、言わば独立移住の補欠入学みたいなものです。オーストラリアの中でも比較的地方で、人口を増やしたいエリアに2年以上住み、ちゃんと仕事もしていたら、永住権申請を認めるという、オーストラリアの過疎化対策として認められているビザです。これにもいろいろ制約はあり、オーストラリアの学校に通うか、一定の職業経験があるかどうか、年齢、そして当然ながら英語点、さらに各自治体にスポンサー申請をしなければなりません。

 ご自分で事業を経営されてる方は、事業者移住ビザもあります。ただしこれは一種の「企業誘致」のようなもので、個人資産数千万とか年商1億とかかなりハードルは高いです。

 以上は経済系の永住権(経済的利益をオーストラリアにもたらすという観点から認められる)ですが、それとは全く関係なく、人道系の永住権もあります。端的なのは、「家族がバラバラに暮すのは可哀想」ということから、家族の誰かがオーストラリアで永住権を取ったこと、あるいはオーストラリア永住権保持者と親族関係になること(国際結婚など)による家族移住というパターンですね。

 このように永住権の種類は山ほどあり、それらが細かく規定され、且つ年がら年中改正されているので、僕もよく分かりません。というか専門家でないともう分からないと思います。上記は一応の概略まで。


★永住権以外で、オーストラリアで働くビザ/ビジネスビザ

 これは日本企業の現地駐在の方など、よく見られるパターンですが、雇用者がスポンサーになることによって与えられるビザです。確実に特定の雇用主のもとで働くことが明らかにされていることから、少なくとも公的扶助のタダ乗りのリスクはありませんし、現地の労働市場を乱す恐れも少ないということでしょう。

 問題は、(1)スポンサーになってくれる雇用主を探し出すこと、(2)スポンサーが下りたら終わり(クビになったら終わり)ということであり、さらに永住権ではないので、期間に制限があること(2年+延長2年、管理職は4年+4年でしたか)でしょう。

 最近は、このワーキングビザがおりにくくなってます。発給できる職種も限定され、且つ最低年棒制限なんてのもカマされてきてますので、昔のようにワーホリや学生ビザからビジネスビザを取ってそのまま居続けるということがやりにくくなってます。というか、オーストラリアのビジネスビザは永住権よりも難しくなっているとも言えます。

 一番簡単にビジネスビザを取る方法は、日本で就職してオーストラリアに赴任することです。日本も就職氷河期で大変かもしれませんが、ビザのない人間がオーストラリアに来て、厳しい制限をクリアしてまで現地企業に「是非、キミが欲しい」とまで言わせるのは至難の業でしょう。まあ、いい雇用主に出会えばそれも可能ですが、幾ら雇う気満々でいてくれても、その企業が要件を満たさなかったらダメです。もっとも日本で商社やメーカーに就職できたとして、それでめでたくオーストラリアに赴任させてくれるという保証は全くありません。

 いずれにせよ、相手(雇用主)あってこその話であり、その成否は多分に偶然とか運の要素が大きい。ポイントさえ積み上げていけば誰でも取れる永住権の方がまだしも楽だと言われるユエンです。


 その他「働けるビザ」としては、学生ビザの場合は週20時間までならば認められていますし、ワーキングホリデーの場合は同じ場所に6ヶ月までならば働けます(3か月から延長されました)。こうして他のビザの激戦状況をみると、学生ビザ、特にワーホリビザがいかに優遇された特権ビザであるかが分かります。年齢以外にこれといってなーんの審査も条件も要らないんだから。それでいて不法労働者扱いされず、堂々と働けるんですから、もう貴族みたいなものです。


 以上がビザの概要ですが、ビザといっても実は100種類以上あるらしく、本当はこんなものではないのでしょう。また個別的な解説や類型も刻々と変化していくでしょうから、あくまで目安としてお考え下さい。

 ただ、物の考え方としては、労働ビザのような一時滞在ビザと永住権のような永住ビザの二種類があるということ(ビザ申請の結果がでるまでの間、滞在許可されるブリッジビザという過渡的なものもありますが)を押さえておいて下さい。そしてテンポラリー(一時滞在)かパーマネント(永住)かの違いは、単に有効期限の差だけではなく、所得税の税率、メディケアなどの国民健康保険の加入資格、年金などの公的扶助の受給資格その他で結構大きな差があります。永住権保持者の場合、選挙を除いてほぼ国民と同じように扱われますが、テンポラリーの場合はなかなかに厳しいです。

 あと、ビザについて総じて言えることは、英語条件が年々厳しくなっていることです。これだけはハッキリ言えると思います。どのような永住権でも、IELTS(という英語試験)5点は必要ですし、普通は6点、さらに7点取るとボーナスが貰えるから7点は欲しいです。大学入学資格でも7点とか7.5点とかとんでもなく高いハードルの学部もあります。しかし、僕の知り合いも職業的にはバリバリ成功しながらも、IELTS5点がついに取れないまま日本に帰国した人もいます。5点ですらもそれほどまでに難しい。6点だったら普通の語学学校で最上級クラスまで行ってください。IELTS1点上げるのに語学学校に1年通学するというのが通り相場ですから、7点というのがいかに高いか。年齢、職業、英語の三本柱のうち、年齢はタイムマシンがない限り点数UPするわけないし、職業点は大きな人生の枠組みに関わるから小刻みな改善など出来ません。そうなると、今からでも努力でなんとかなるのは英語だけです。逆に言えばそれすらも取りこぼすようでは話になりません。

 上に述べたように2011年7月からの新方式によれば、IELTS6点取ってなければ土俵にも登れません。そして加点エリアに7点のほかに、ついに8点(!)というレンジまで用意されています。8点なんか正直いって僕には想像つかないレベルです。野球に例えれば、6点というのは高校野球の野球部でレギュラーになり、地区大会でベスト8になるくらいのレベル、7点というのは甲子園にいけるくらいのレベル、8点というのは(おそらく)甲子園でも優勝を狙えたりプロが視野に入るくらいのレベル、じゃないでしょうか。ハンパないです。


 ところで、やたら複雑な制度のせいでしょうか、移民局の現場でも実務処理をめぐって結構混乱してたりするそうですし、窓口レベルでいうことをあまり鵜呑みにしない方がいいでしょう。オーストラリアの処世術としては、「3回聞くまで(聞いても)安心するな」ですから。ですので、専門の業者さん、それも品質に信頼がおける日系の業者さんに聞く方が安全だと思います。

 では、引き続いて生計の立てかた、さらに以上の所与の前提のもとにいかなる戦略を取ればいいのか、考えてみたいと思います。

→次(第二の関門:生計)につづく


オーストラリア移住について INDEX
第一の関門:VISA
ビザの原理原則/技術独立移住永住権/頻繁に変わるビザ規定/専門業者さん/その他の永住権/永住権以外の労働できるビザ
第二の関門:生計
ビザ用のスキルと生計用のスキル/「日本人」というスキル/世界のオキテ/オーストラリア仕事探しサイト内リンク
戦略と戦術(その1)
フォーマット設定/欲望のディレクトリ〜永住権だけが全てではない、手段と目的を明瞭に意識すべし
戦略と戦術(その2)  よくある基本パターンと組み合わせ
永住権優先でいくか、ステップアップ方式でいくか/「はじめの一歩」をどうするか/利益衡量/ストレート永住権の場合の具体的戦略/ステップアップ方式の場合の具体的戦略〜意外と使えるワーホリビザ/ダメだった場合〜あなたにとっての「成功」とは何か?/先のことは分からない/

関連&参考

今週の一枚ESSAYより
 「”海外”という選択シリーズ」 過去回INDEX

ESSAY 452/(1) 〜これまで日本に暮していたベタな日本人がいきなり海外移住なんかしちゃっていいの?
ESSAY 453/(2) 〜日本離脱の理由、海外永住の理由
ESSAY 454/(3) 〜「日本人」をやめて、「あなた」に戻れ
ESSAY 455/(4) 〜参考文献/勇み足の早トチリ
ESSAY 456/(5) 〜「自然が豊か」ということの本当の意味 
ESSAY 457 / (6)〜赤の他人のあたたかさ
ESSAY 458/(7) 〜ナチュラルな「まっとー」さ〜他者への厚情と冒険心
ESSAY 459/(8) 〜淘汰圧としてのシステム
ESSAY 460/(9) 〜オーストラリアの方が「世界」を近く感じるのはなぜか(1)
ESSAY 461/(10) 〜オーストラリアの方が「世界」を近く感じるのはなぜか(2)
ESSAY 462/(11) 〜日本にいると世界が遮断されるように感じるのはなぜか 〜ぬくぬく”COSY"なガラパゴス
ESSAY 463/(12) 〜経済的理由、精神的理由、そして本能的理由

ESSAY 519/放射能→海外というトコロテン式思考について - Lesser of two evils principle



★そうだ、オーストラリアに行こう?!〜時代が変わった オーストラリア留学/ワーホリ/移住の新しい局面

 
上から目線から下から目線へ〜経済状況の逆転、オーストラリアの物価高騰、本当は日本だってそうなるはずだった、コンセプトの根本的な転換を、@、お金を使う場所→稼ぐ場所、A、スキル価値の上昇、B、まずは出塁 ベルトコンベア型→ビリアード型、C、感動率上昇、実例、傾向と対策



★2011年世界経済の動向とオーストラリアへの留学、ワーホリについて

〜世界経済危機とはなにか、第一次ドミノから第三次ドミノ、オーストラリアにおける影響(語学学校や留学、ワーホリや生活面、永住権やビザ)、どう対処すべきか(円高メリットの確保、渡豪すべきか否か)、日本の市場・雇用縮小と海外シフト


★ワーホリ実戦講座(1-1)日本人ワーホリをとりまく環境変化