「生活」「移住」と言っても色々なパターンがありますが、ここでは
オーストラリア現地で生計を立てて住むということを中心にして話を進めたいと思います。
もし、生計を考えないのならば(現地で働かなくても良いだけの資産があるなら)、観光ビザでやってきて、更新の度に日本に帰国したり海外旅行したりすれば足ります。また、ハードルは高いですが投資家退職者ビザもあります。
投資家退職者ビザ(Investor Retirement Visa (Subclass 405))
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@55歳以上、Aオーストラリアの州のスポンサーシップ、B配偶者以外の扶養家族の同行はダメ、C資産証明=75万ドル(6000万円
※ドル80円換算、以下同じ)以上、D年収証明=年金など年収6万5000ドル(520万円)以上、Eさらにスポンサーになる州債への75万ドル以上の投資、F健康条件、無犯罪証明その他、というハードルです。
以前は単に退職者ビザ(リタイアメントビザ)だったのですが、今では「投資家」でもなければならないとハードルが厳しくなっています。4年毎に更新されますが、更新の際には資産証明(多少は軽減される)が必要です。
詳しくは移民局の該当ページを(
別窓)。
観光ビザや投資家退職者ビザの場合、大事なのは日本で資金を貯めることだけで、それさえクリアすれば(それが大変なのだが)ビザ取得自体は難しくはないでしょう。また、オーストラリアに来てから必要となるのは、いかに生活をエンジョイするかであり、それは
生活体験マニュアル(
別窓)などのコンテンツをご覧下さい。
以下、法的にも現実的にも最もネックになるであろう
現地で適法に働く という点に焦点を絞って書いていきます。
さて、移住プロセスが完了するには、
(1)いかにして日本から離れるか(→意思決定、退職、親族関係、年金その他の公的処理)
(2)いかにしてオーストラリアに適法に滞在するか(VISAの問題)
(3)いかにしてオーストラリアで生計を立てるか(就職の問題)
という、大きな3本柱があります。
(1)については、各自それぞれにダンドリをたてて戴くとして、一般に問題なのは(2)と(3)でしょう。順次書きます。
もっとも、個人的には一番大変だったのは(1)でした。特に仕事関係で、数十件もの継続案件を抱えながら徐々に整理し、引き継ぎうる状態にもっていくのに、やっぱり1〜2年くらい掛かりました(最初は絶対無理!と思ったくらい)。
第一の関門 : VISA(ビザ)
ビザというのは入国許可証のことで、その国に入る入場券みたいなものです。
まず、ビザの大原則を知ってください。
原則としてその国に利益をもたらす人にしかビザは与えられない
ということです。
利益の度合が明確で直接的なほど簡単にくれます。観光ビザのように「お客さん」の場合は、現地に金を落としていくだけの福の神のような存在ですので、「いらっしゃいませ」と非常に簡単にくれるわけです(ETASという形で簡略化されてます)。同じように、留学などの学生ビザについても、授業料というお金を落としてくれるわけですから比較的簡単ですね。なお、オーストラリアの場合、海外からの留学生というのがドル箱になっており、盛んに広報活動を展開しています。
逆に「来ないで欲しい」と言われているのは、その国に不利益をもたらす人達です。
どこの国でも同じですが、端的には地元民の職や公的秩序を乱す不法移民であり、不法就労者。西ヨーロッパ諸国なんか年がら年中この問題で紛糾してますが、ドドドと低賃金の外国人労働者がやってくるので現地の人間は職に就けないから問題だというわけです。さらに、時折センセーショナルに書き立てられるのが、「福祉狙いの偽装家族」のようなパターンで、一人に永住権を与えてしまえば、その人間を頼って親類縁者(と称する者)が大挙して押しかけ、彼らにも永住権は与えられますし(ファミリー・リユニオンなど)、永住権保持者には失業保険その他の公的扶助が与えられますので(これが結構手厚い)、「福祉金をタカりに来てる」「入管過ぎたら失業保険事務所に直行」などという表現で言われてたりします(多分にオーバーだし、下品な報道なのだが)。しかも、オーストラリアの場合、デ・ファクト(籍は入れてないけど事実上の婚姻関係)というカテゴリーがあったりするから、永住権/市民権保持者が配偶者として名前だけ貸すビジネスやらその手続を請け負う業者やらがいます。
上記は極端な例ですが、オーストラリア当局から見れば、「オーストラリアで働きたい」という人は潜在的に上記の危険があるわけです。つまり、現地の職を奪うという問題と公的扶助のタダ乗り問題。だから「ダメ」というのが基本的な姿勢です。で、本来ダメなんだけど、一定の範囲で「限定解除」しましょうとなっているわけで、ビザの交付条件というのは限定解除条件でもあるわけです。
限定解除項目(各種ビザのカテゴリー)は、上にあげたリスクがないことをどう証明するかによって決まってくるのでしょう。
ビザの原理原則を知ること
原理原則論は、即戦力やリアルタイムの情報ではないのでまどろっこしい思いを持たれるかもしれません。しかし、原理原則を理解している方が結局は役に立ちます。数学でも、出来ないヤツ(僕ですけど)に限って公式をベタ覚えしようとするけど、本当に出来るヤツはその場で原理から公式を導き出せます。「なんでそうなるか?」を知ってる人間は間違えない。
ビザでも同じ事です。リアルタイムのポイント計算がどうのというのは、数あるサイトで幾らでもできますが、そこで仮に結論が出たとしても、ビザの規定なんかしょっちゅう変わってるから、明日もその計算でいける保証なんか何処にもないです。とりわけ永住権は思い立ってから現実にゲットするまで、早い人でも数ヶ月、平均すれば数年がかりのプロジェクトになります。したがって今日現在しか通用しない情報を断片的に得ることは、一見実戦的に見えつつ、ぜーんぜん実戦的ではないです。原理を知っていれば、応用も自由自在にきくし、また予想もかなり的確に立てられます。こっちの方がずっと実戦的です。
ということで、「なぜこういう条件だと永住権をくれるのか?」「なぜこうも規定がコロコロ変わるのか?」という原理部分に力点を置いて書きます。
そして次章以降では、
「永住権や移住など、あなたが幸福になるための数ある手段の一つに過ぎない」という大局的視点を書きます。永住権ゲット=成功なんてほど人生はシンプルな○×ゲームではない。事実、苦労して永住権を取ったはいいけど、しばらくして日本に帰る人もまた沢山います。でもって帰国したら失敗かというと、又そういうものでもないです。永住権という「はじめに手段ありき」という発想からスタートすると、容易に「手段の目的化」という失敗パターンにハマりがちです。「五目並べだと思いこんでいたら、実は囲碁だった」というゲームの本質の誤解は避けるように。これは「永住権を取りましょうゲーム」ではないです。「あなたが幸福になりましょうゲーム」です。
★技術独立永住権(Skilled Independent Visa) とポイントテスト
永住権の種類は、事業関連、雇用主指名、スポンサー付技術独立、州スポンサー付、地方都市、配偶者、親族呼び寄せ、、などなど、様々な種類があり、また時とともに目まぐるしく変わります。
しかし、数ある永住権の中でも、雇用者や自治体などスポンサーがなく、呼び寄せてもらう親族もおらず、お土産にもっていく事業などもなく、純粋に独立独歩、裸一貫で勝ち取る王道の永住権がこの技術独立永住権(Skilled Independent Visa)です。
「若くて、英語もできて、職にも困らないだけの技能を身に付けている者」であることが証明されれば、オーストラリアにそれほど迷惑はかけないだろうし、起業して現地の人間を採用してくれるかもしれないから、まあ良いでしょうということで与えられるカテゴリーです。5年毎に更新手続きするだけで、あとは「勝手にやんなはれ」でうるさく干渉されず、誰の顔色を窺わなく済みますので、取れるものなら取りたいビザです。
しかし、それだけに取るのは難しい。
@年令点、A英語点、B職業点の3つの観点から点数をはじきだし、総合○点以上なら合格というポイントテスト方式になってますが、総合ボーダーラインや各種の配点が猫の目のように変わるわ、この世に無数にある職業をいかにランク付けするかの職業点配点がブラックボックスになっているわで、「これなら大丈夫」という判定は専門の業者さんでもないと中々予想がつかないです。一応目安となる職業リストもありますけど。
ただ大筋の傾向として言えるのは、(1)学歴に制限はないものの実際には高卒より上の資格がないとダメ、(2)実際に職務経験がないとダメ、(3)18歳から49歳までの年齢にあり、(4)職業点の採点は、役職名ではなく具体的に何をやってきたかという実戦スキルが重視される、(5)唯一短時間の努力で向上できるのが英語点でIELTSテストで6.0以上はマスト(出来れば7点が欲しい)、などです。ただこれも色々細かな「ボーナスポイント」やらの修正があります(後述)。
永住権のボーダーラインは、ほぼ一貫して難しくなっています。95年取得の僕らのときは100点で、今から思うと牧歌的な時代でした。もっと昔は現地で観光ビザに切り替えようとしたら、係官が間違えて永住権を印刷してしまい「いいから、貰っておきなよ」という超牧歌的な”伝説”も聞いたことがあります。そんな「おとぎ話」は遠い昔のことになり、100点のボーダーがドンと115点に上がり(途中一回110点まで下がったが、また115点になり)、そして2006年3月以降なんと120点まであがりました。115点にしたときも「難しすぎて非現実的」と批判されて下げたくらいなのですが、オーストラリアは移民先として世界的に人気が高いので、ボーダーを上げてもそれでもやっていけるということでしょう。BRICsの躍進など世界の人々の教育水準や就職機会が増えるにつれ、ハードルを上げても上げても、それでも優秀な人々は掃いて捨てるほどいるということです。まさにメガ・コンペティション(大競争)の時代です。
そして、2010年11月に
2011年7月施行の新しいポイントテストが発表され、さらに
スキルセレクト制度導入により2012年7月から新ポイントテスト(改)も発表されました。内容は後述しますが、職業点のカウント方法が大幅に変わったので、ボーダーもガラリと変わって65点になるようです。また、年齢点が若干ゆるくなったこと、英語点がさらに厳しくなったことが挙げられます。上に即して言えば、(1)学歴については基本的には同様、(2)職務経験の重要性が以前よりも高くなり、(3)18歳から49歳までの年齢にあり、(4)職業点の採点は、役職名ではなく具体的に何をやってきたかという実戦スキルが重視される、(5)英語点でIELTSテストで6.0以上は最低限のマスト条件になり、色々細かな「ボーナスポイント」やらの修正があるのは同様です。
僕もこれまで、十数人、あるいは何十人という永住権取得者 or 希望者の方とお話ししてきましたが、やっぱりそれなりに皆さん苦労されています。若くて+十分スキルがあって(しかもオーストラリアで評価されて)+英語力バッチリという”三冠王”も、いないことはないですけど、少ないです。なんせスキルを身に付けるまでに若くなくなってしまうし、スキルを身につけている間は忙しくて英語を勉強しているヒマがなかったりします。かといって、留学して英語をやってるうちに、スキル点が無くなってしまうとか(例えば過去○年中○年その職業に従事していること、などという条件もあったりしますから)、あちらを立てればこちらが立たずというのが基本的な状況だと思います。
2011年7月から施行されている新方式について
2010年11月に永住権審査の新方式が発表になりました。施行は11年7月からです。今回の改訂はかなり抜本的なものです。基本コンセプト(オーストラリアにとって有為な人材を求める)は変わらないのですが、その採点方式がガラリと変わりました。
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1 July 2011 - Points Test for Certain Skilled Migration Visas(PDFファイルです)(
別窓)に概要が記されています。なお、独立技術移住に関する最新の動向は、
What's New? Recent Changes in General Skilled Migration(
別窓)でチェックできます。
比較表
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改正前(旧法) |
改正後(2011年07月以降) |
| 年齢点
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18〜29歳 30点
30〜34歳 25点
35〜39歳 20点
40〜44歳 15点
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18〜24歳 25点
24〜32歳 30点
33〜39歳 25点
40〜44歳 15点
45〜49歳 0点
※若ければ良いというものではなく、また機械的5歳刻みでもなくなった。24−32歳という広いレンジに最高点を配し、〜39歳と〜24歳とを同列に配するなど、実際の職業経験、ベテランを優遇するようになった。結果的に30代の人にも十分なチャンスが廻ってきたことになる。
|
| 職業・学歴点 |
職歴
職種とキャリアによってA〜Cのカテゴリがあり、60点、50点、40点と配点されている。
A:学士以上の学位 or 専門的研修を必要とする資格を保持している事が要求される職業。
B:学士号レベルを要求される一般職。必ずしも専門訓練を必要とはされない
C:ディプロマ or アドバンス・ディプロマレベルの資格を要求される職業。
その上で、
Aにつき申請の過去4年間のうち3年以上の実務経験があると10点
Bについて4年中3年以上の実務経験があると5点のボーナス加点が与えられる。
オーストラリアで過去4年に6か月以上就業→5点というボーナス加点もある。
これに加えて、オーストラリアで特に求められている職種(MODL)には15点ボーナスという大きなバイパスがあったのだが、これは2010年早々に廃止されているのは上述のとおり。
オーストラリアでの学歴
オーストラリアで2年以上のフルタイムコースを修了し、Diplomaなど各種専門資格、学位などを取得→5点
オーストラリアで学士号レベルを取得(実質3年以上)→10点
オーストラリアで2年以上就学し博士号を取得→15点
|
ここが最大に変わったところで、まず、職歴を乱暴に3カテゴリーに分割するのではなく、オーストラリア国内外での実際の職業経験と学歴とをしっかり見ようとしています。すなわち、
海外での職歴
申請日から遡って過去10年以内にオーストラリア国外で申請職種での職歴がある場合、
3年以上ある場合→ 5点
5年以上→10点
8年以上→15点
8年以上→20点
オーストラリアでの職歴
申請日から遡って過去10年以内にオーストラリア国内で申請職種の職歴が、
1年以上ある場合→ 5点
3年以上→10点
5以上→15点
学歴点
オーストラリアの教育機関、または海外の教育機関で、
博士号を取得→20点
学士号(Bachelor)レベルを取得→15点
オーストラリアの教育機関(だけ)からDiploma以上、あるいは(Certificate III or IV)を取得→10点
その他、「海外でApprenticeship(徒弟修行)を修了していた場合→10点」というのもあります。
オーストラリアで 最低2年間の就学をすると(資格の有無にかかわらず) 5ポイントというボーナスもあります。
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| 英語点 |
IELTS5点で15ポイント、6点で20ポイント、7点だとボーナス加点が貰えた。
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IELTS6点はマストであり、6点取っても配点はゼロ!
6点取れないと申請すら出来ない。
7点で10点、8点で20点の加点ボーナスが貰える。
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| その他加点事由 |
英語以外の主要言語(日本語を含む)で学士号を取得しているか、その言語によって一定レベル以上のNAATIの資格を持っている→5点
配偶者も最低条件を満たしている→5点
オーストラリアの指定地域に2年以上居住→5点
などなど
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配偶者や指定地域などは原則そのままだが、日本人に関して一番大きな変化は、単に日本の大学を卒業(学士号)をしていただけで与えられた言語ポイント5点が無くなった点でしょう。NAATIレベルでないと加点されない。
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目立った改正点は、
@、年齢点が弾力的になり、若さよりも「働きざかり」を重視するようになった。
※最高レンジ18〜30歳が24〜32歳になり、33〜39歳は18〜24歳と同じ配点ということで、今までのように「30 or 34歳過ぎたらもうダメ」ではなく、ゆっくり時間をかけて攻略できるようになったのは朗報だと思います。また、制限44歳が49歳まで引き上げられています。
A、英語点の超重視
※IELTS6点がボトムラインで、それ以下だったら受けることも出来ないというのはメチャクチャ厳しいです。死に物狂いで英語やるべし、です。しかし、7点取ったら10点加点というのは、予想ボーダー65点を考えたらかなり美味しい(現行120点)。日本での職歴5年以上と配点が同じなのだからいかに英語点が重視されているかが分かる。
B、職業、学歴点が広範囲になった
これまでの松竹梅みたいな乱暴な3段階カテゴリーではなく、実際にどれだけ働いてきたかをきめ細かく見ようとしている。また、海外での職歴と、オーストラリア国内での職歴を平等に見ようとしている。年齢点が楽になったので、こちらでじっくり働いて永住権申請という目も出てきたことになる。
学歴についても、オーストラリア国内外を問わず実質重視になっている。またオーストラリアでじっくり学校に通ってもそれなりにご褒美加点が貰えるので、バランスは取れている。
総じて言えば、これまでのMODLのような「抜け道」「裏技」を無くし、ちゃんと頑張ってる人をちゃんと評価しようとしているように思われます。その「ちゃんと」の内実として、性急に年齢で落とさず期間にゆとりを与えていること、国内外を問わず見ようとしていることは「楽になった」面と言えますが、同時に「本気で使い物になる英語でなければお呼びでない」という厳しさもあります。また、「これさえやってれば大丈夫」という永住権パターンを潰し、総合力で勝負という感じですね。
現時点ではボーダーは65点になるだろうということですが、難しさそのものは変わらないような気がします。仮に当時の僕だったらどうなるか自分で採点してみたのですが、5点ほど足りないので、日本でもう2年弁護士を続けるか、こちらに来て通学期間を延長して石にかじりついてもIELTS7点を狙うか、ですね。多分後者を選んだと思う。住みもしないで永住するかなんか決められるわけがないし、2年やってる間に規制が変わったらアウトだし。それに過去7年中5年の職歴だったら2年の猶予があるし、年齢も39歳まではいけるし、攻略しやすい気もしますが、まあ、そこは人それぞれでしょう。
ちなみに職歴については改正前後を問わず
SOL(Skilled Occupation List=オーストラリアの専門職業リスト)(
別窓)に載っていることが前提になります。そして、地域スポンサーとの併用で各州によってこのリストの内容が微妙に違ったり、小刻みに改正されていることから、ボーダー近辺の人はこのあたり細かな戦略を立てることが必要でしょう。いずれにせよ、別欄でも書いたようにプロにご相談なさることが必要でしょう。
でもって、この改正すらどうなるか分かりません。猫の目のように変わる。そもそも現政権(ギラード政権)だってハングパーラメントで首の皮一枚残した綱渡り政権ですから、いつまた政権交代が起きて、ガラリと変わるかわかりません。もっとも、今回の改正はかなり「王道」を行っているので、仮に政権が変わっても、何か特殊な政策でも打ち出さない限りこのままじゃないかな?という気もしますが、それは単に僕個人が今ふと思ってるだけのこと。
2012年7月施行の新方式=SkillSelcet〜”招待状/予選システム”について
2010年5月、政府の新予算案編成に際し(オーストラリアは7月が新年度になる)移民局は、さらに永住権審査のシステムを変更する旨発表しました。
何が変わるのか?簡単に言えば、永住権申請→交付までのプロセスにおいて、新たに一つ手続が増えたということです。
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細かな方式や料金などについては未定の部分が多く、名称すら
Skilled Migrant Selection Register (SkillSelect)といったり、
Skilled Migration Selection Model (SMM)といったり、単に
The Modelなど、よく確定していないようなのですが。施行が来年(2012年)の7月、実際に稼働(第一回審査)するのは2013年1月からで、かなり先の話のように見えますが、永住権申請というのは年単位プロジェクトなので、先のように見えて結構「今日明日」レベルの問題でもあります。
2011年7月(既に)施行の改正は、永住権の合格ボーダーの変更だったのに対し、今度の変更は「審査のやり方」に関する手続規定の変更です。以下内容を書きますが、僕なりに一言で意訳すれば「招待状/予選システムの導入」でしょう。
移民局本家の告知ページ”Proposed Skilled Migrant Selection Register (SkillSelect)”、これに関する細かな解説とFAQ(PDFファイル)があったのですが削除されてしまい、そのかわり
Skill Selectのオフィシャルページも出来ました。
http://www.immi.gov.au/skills/skillselect/です。
あと英語ですが、一般のビザエージェントの解説HPとして、
ココ(
別窓)と
ココ(
別窓)を挙げておきます。
これまでは、まず永住権申請のための必要なポイントを稼ぎます。やれIELTSを受けて6点以上の証明書をゲットするとか、これまでの仕事の証明書を揃え、それを審査してもらうとか。で、必要なポイントまで揃ったら、全部添付して申請=「リーチをかける」わけです。ところが、新システムになると、リーチをかける前にもう一つステップが増え、オーストラリアにおいて自分が就業を希望する(自分の職歴キャリアに関連する)エリアを選定し、「ココでお願いします」と申し出ることになります。
この申し出のことを、
Expression of Interest (EOI) と命名されてます。「興味があることの表明」です。これはインターネットで申請します。そして各職業エリアで審査が行われ、「うん、この人はいいな」と目に止まった人に
、invitation(招待状)を発行します。もっともこれはコンピューターのプログラムでランキングをつけていくそうで、個々の移民局の職員が手作業でやるわけではないと書かれています。そして
首尾良く招待状をゲットした人だけが、次のステージ(永住権の本申請)に進めるというわけです。言わば本選に入る前に予選・予審があるようなものです。
なお、雇用者指名永住権や州政府スポンサー永住権申請者のデーターについては、オーストラリアの雇用主や州政府はアクセスして見ることができ、さらに「この人が欲しい」となれば直接コンタクトを取ることができるそうで、この人材市場というか、お見合いみたいな点も新システムのハイライトの一つらしいです。
それだけっちゃそれだけのことなのですが、これ、よく考えると結構キツいです。幾つかのポイントを挙げてみます。
@、不透明なブラックボックス性
このEOI(興味あります表明)にネットで応募すると、あとはその集団にプールされ、移民局の審査待ちになります。審査される有効期間は2年間なのですが、今どの辺をやっててあとどのくらい待たねばならないか全くわかりません。宅配便のようなトラッキングシステムは無い。また必ずしも先に応募した人が優先するものでもなく、ある程度数がまとまった段階で定期的に(3か月とか半年とか言われているが未定)、キャリアやオーストラリアでの就職可能性やモロモロを総合的に判断して、OK!という人から順に招待状を発送するのでしょう。また、各職業エリアにおいて枠があるようで、枠が満杯になったらその年度はそれで終わりになるそうです。で、選に漏れたらまた列の後に廻され、2年の間、じっと招待状が届くのを一日千秋の思いで待ち続けるという。
まあ、これまでの永住権審査だって似たようなもので、僕の場合も日本でぼけっと7か月待たされたし、3年間ほったらかしにされた人もよく聞きますから(また、催促すると落ちるという妙なジンクスがあってビビるのだ)、ブラックボックス性そのものは似たようなものだとも言えます。
しかし、以下の点で現状よりも大変になります。
A、EOIはビザの申請そのものではない点
ここが移民局のズルいところなんですけど、申請そのものではないので、(1)審査に対する不服申立ができない、(2)ブリッジングビザが降りない、(3)本申請ではないので状況が変わりうる、という致命的な問題があると思います。これを分説すると、
B、永住ビザが降りるまでの滞在費用がかかるようになった
これまでは本申請さえしてしまえば自動的にブリッジングビザが降り、最終結果が出るまでフリーでオーストラリアに居続けることが出来ました。だから、結果が出るまでしばらくほったらかしにされていても「まあ、いいや」みたいな対応も出来た。しかし、ブリッジングビザが降りないということで、現在のビザが切れたらオーストラリアから退去しなければならなくなります。あるいは別途の他のビザ(学生ビザとか)を申請しなければならない。この費用がまた嵩む。しかも、いつ招待状が来るかわからないという宙ぶらりん状態になるということです。
C、2年間も待ってる間に年齢が上がってしまってアウトになることはないのか?という疑問もあります。本申請の場合は「申請時○歳」で固定しましたけど、今度は本申請ではないので待ってる間もどんどん年齢が加算され、日に日に可能性が減っていくという。ここは移民局のFAQを読んでみたけどよく分かりませんでした。まあ第一回選抜が2013年ですから徐々に明らかになるでしょう。
総じて言えば、移民局にとってだけ都合の良いシステムだと思います。要するにもっと楽に仕事をしたいんでしょうね。移住先としてのオーストラリアの人気は年々高まっており、移民局もオーバーワークになっているようです。確かに選ぶ側としては、ベスト&ブライテストな人材を順次採用するには合理的なものでしょう。ある程度の時間のスパンの中で、オートマティックに篩(ふるい)にかけていけばいいのですから。また、法的不服審査の対象にならないというのも労力節減には大きいでしょう。しかし、その分、申請者には宙ぶらりんで不安な期間を押しつけているわけで、どうなんかな?という気もします。
上記の「待ってる間に年齢オーバー」事例のほか、複数の職業エリアに「興味ありエントリー」が出来るのか、需要職業エリアが変更されたら自動的に近似エリアに移行プールしてくれるのか、ちょっと考えただけでも疑問な点も多いです。これから1年余の間、民間のビザ代行士さん達とも話し合って、煮詰めていくと思われます。
2012年7月施行の新方式とビザ・サブクラス統廃合と新ポイントテスト改
2011年7月から新ポイントテストが導入され、さらに12年7月から新方式(スキルセレクト)が導入されます。1年のタイムラグでセレクト方式(招待状方式)が導入されるわけですが、これにともなって若干のマイナーチェンジ(というか永住ビザシステム改正の仕上げ)がなされました。
Changes to Points Tested Skilled Migration Visas(PDFファイルです)に概要が記されています。
といっても実質的にはそう大きく変らないのですが、見たところ2点あります。
@、ビザカテゴリー(サブクラス)の統廃合
A、セレクト方式施行下におけるポイントテストの内容
サブクラスの統廃合
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まず@ですが、それまで分けていたオーストラリア国内/国外のサブクラスを統合します。
これだけでは「なんのこっちゃ?」でしょうから、表にしてみました。
サブクラス改正の比較表
|
2012年7月前 |
2012年07月以降 |
| skilled independent
|
オーストラリア国外からの申請
→サブクラス175
オーストラリア国内からの申請
→サブクラス885
|
オーストラリア国内外を問わず
サブクラス189
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| skilled nominated/sponsored |
国外申請→サブクラス176
国内申請→サブクラス886
|
オーストラリア国内外を問わず
サブクラス190
|
| skilled regional sponsored |
国外申請→サブクラス487
国内申請→サブクラス475
|
オーストラリア国内外を問わず
サブクラス489
|
★従来の国外申請分(175、176,475)は2012年7月1日以降締め切られ、国内申請分(885、886,487)は半年遅れの2013年1月1日(元旦)から締め切られます。
★サブクラス 485 (skilled graduate)、 476 (skilled recognised graduate)といポイントテスト不要のビザについては変更ありません。
なおこの485はオーストラリアに2年留学した後(どの学校でもいいわけではない)、18か月の就労可能ビザを貰えるというもので、「1年半あげるからその間に永住権が取れるように稼働経験を積みなさい」という”執行猶予””準備”ビザです。現地での激しい”就活”と就労経験を積めるかどうかに関わってきます。詳しくは
Skilled -- Graduate (Temporary) Visa (Subclass 485)参照。
476ビザは、オーストラリアの学校ではなくてもオーストラリアの雇用者から評価されている世界各国の大学の該当学部(今はエンジニア=工学部)を卒業した人に、同じように1年半の猶予期間が与えられるというものです。詳しくは
Skilled -- Recognised Graduate (Temporary) Visa (Subclass 476) 参照。
しかし、ここの
世界の認定された大学リストを見ると、日本は東北大学しかありません。中国なんか11大学もあるのに。これは単純に世界の大学ランキングではなく、オーストラリアの雇用主(財界)のこれまでの採用経験から出てきたものであり、いわば採用実績ランキングみたいなものだと思います。多分、日本からはたまたま東北大出身の人が採用され、しっかり働いてくれたからリストアップされているのでしょう。おそらくそうだと思います。そうなると、もの凄い格差が出てくるのですよ。海外企業にガンガン出ていって活躍している実績のある国ほど永住権も取りやすくなり、逆にそこがショボイ国だと永住権も取りにくいという二極分化というか淘汰というか、それがあるということです。これは丁度採用実績のある大学から就活するのと、実績の乏しい大学から就活する差みたいなもので、その世界版です。
いずれにせよこの「学生さん成り上がりビザ」(と勝手に仇名をつけた)は、これを取ったところで永住権が貰えるわけではなく、ただ準備期間として18か月貰えるだけです。それだけでも有り難いのですが、18か月以内にいずれにせよ本チャンの永住権申請(スキルセレクト参加表明)をしなければならないことに変りはなく、この時点でポイントテストフリーになるのはいわば当然。
ポイントテストの微修正
→続きを表示させる
上に紹介した2011年7月の新ポイントテストに上書きするように、2012年7月導入のスキルセレクトに対応してポイントテストが微妙に修正されました。といっても、マイナーチェンジです。Ver.2.01くらいの感じ。
比較の原資料は、 2011年7月改正分については
1 July 2011 - Points Test for Certain Skilled Migration Visas、2012年7月以降については
Skilled Migration Points Test Under SkillSelectです。
いずれもPDFファイルでダウンロード出来ます。どちらも一覧表がついているのですが、欄の順番が真逆 or バラバラになってたり、微妙に表現が違ったり、やってるうちに頭がウニになりました。どうして官僚というのは、どこの国でも分かりやすく仕事をせんのだと、やっててムカついてきました(^_^)。
最初は比較表をシコシコと作ってましたが、異様に対照しにくいので、間違いのないように、原文をそのままスキャン加工して画像として示しておきます。
クリックすると大きな画像を表示します。
「大山鳴動ネズミ一匹」で、苦労した割には、出てきた結論は、「ほとんど同じ」ということですね。
微妙に違うのは、前が「申請時」だったのが、今度はスキルセレクトに応募(EOI=Expression Of Interest)をして、めでたく招待状"Invitation"が来た時点=”at time of invitation”に変ったということです。
あと、多少のチェンジはありますが、より正確に説明したという位の表現の差異かな?という気がします。
猫の目のように変わる規定
永住権取得の条件は、時の政策判断でコロコロ変わります。これはもう本当に「いい加減にしろ」と言いたくなるくらい変わります。
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例えば、これまでオーストラリアはバブル景気で調子がよく、人手不足、特に熟練労働者不足が叫ばれているので技術移住については門戸を広げていました。また、オーストラリアの輸出産業の柱になるのは大学などの教育産業です。前連邦政府の大学への補助金カット政策により、大学経営は留学生だのみになってきており、この大学経営を支援するために、2年以上ビジネス学校や大学に通った場合永住権が取れるという新卒者永住権ルートも作られました。
これは最終的には技術独立移住永住になるのですが、そのための難関条件である「実務経験」が、オーストラリアの学校に通うことで補助されるものです。例えば、2年間オーストラリアの学校(これも条件があるが)に通えば、18か月暫定的にオーストラリアに滞在して仕事をすることが出来(新卒者一時滞在ビザ)、この期間に必要とされる実務経験を積んで独立移住を申請する。またオーストラリアが必要としている職業リスト(MODL=Migration Occupations in Demand List)に載っていた場合、15点のボーナス点を獲得することが出来ました。
このMODLルートが、ここ数年間皆に愛用されていたオーストラリア永住への近道であり、「調理師や美容師の学校にいって永住権を取る」というルートでした。実際には、実務経験免除そのものよりも、MODLのボーナス点15点というのが非常にデカかったわけです。どだい120点というボーダーが超人的なので、かなり出来る人でも「あと5点足りない」で涙を飲んでたところ、一気に15点ボーナスというのは途方もないわけです。ただし、これも楽ではなく職業関連の学校に通学した後、査定機関TRA(Trade Recognition Australia)に技術査定を受けるのですが、そのためには「900時間の実務経験」が要求されたりします。しかし、MODL点を使えば学歴が無くとも、年齢が高くても、永住権ゲットの道が開かれていました。
前回の更新の時、「しかし、これも景気が変わったり、政権が変わったりしたらどうなるかわかりません。あくまで一過性の政策であるということを頭に入れておいてください」と書きましたが、やはり懸念したとおり、2010年2月、このMODL制度そのものが全廃になってしまいました。で、どうなるの?というと、新職業リスト(SOL)が5月頃に発表になり、職業数は大幅に削減されました。が、独立移住永住権申請の基礎構造そのものは変わってません。ただ、これまでのような大きな抜け道は無くなったということです。
この種のビザ規定の改廃は決して珍しいことではありません。
MODLの前にも、オーストラリアの大学に1年以上通ったらスキル点免除という特典を作っていたのですが、2003年からいきなり1年が2年に引き伸ばされてます。これは、他人事ながら「ひどいことするな」と思いましたね。二階に登って梯子を外されるようなものですからね。実際、そういう目にあった知人も何人も知ってます。さらに、会計士やIT関連が持てはやされたと思ったら、そうでもなくなったり。これも僕の知人ですが、日本で臨床医をやっていたけど、オーストラリア滞在時には医師過剰だということで、医者の職業点はなんとゼロ、もう端的に「来るな」ということです。仕方なしに大学で会計学をやってましたが、やはり途中で馬鹿馬鹿しくなって帰国してしまいました。ところが2010年になったら、医師が足りないということで、医師だったら優遇的に永住権が取れるようになってます。
ここまで180度手の平を返されると、ほんと馬鹿馬鹿しくなりますが、しかし、見方を変えればそれだけ時の政府が経済動向にビビッドに反応しているということでもあります。今回のMODL廃止についても、MODL制度そのものがオーストラリア社会で多大な批判を浴びてました。僕らがそうするように、世界中の人がオーストラリア通学や資格取得を「永住権のため」と割り切ってやっており、こういう制度を設けたけど優秀なシェフが増えたという現実もなく、永住権を取得した大半の者が別の仕事をしているのが実情だったりします(ネパール人がやり玉にあがってましたね)。さらに「実務経験900時間」をアコギな雇用者から逆手に取られ、無給ないしは時給200円とかの奴隷状態で働かされている実態などもオーストラリア現地の新聞でセンセーショナルに書かれたりしていました。
ただ、これによってオーストラリアの教育産業、とくにビジネス学校が儲かっていたのは事実でして、実際同じビジネス学校でも永住権につながるコースは倍くらい高かったですもんね。今回のMODLの改廃は時代の趨勢とはいえ、業界には打撃でしょう。特に、昨年あたりから、それまで急増していたインド人学生がオーストラリアで不快な目にあったということで、インド内部での政府やマスコミの反オーストラリア熱は高まっており、インド人学生の減少が懸念されてますから、学校業界はダブルパンチでしょう。ということは、語学学校でもビジネス学校と併設しているところは大丈夫かなと、対岸の火事だったのがこっちに燃え移ってきたりします。と書いてるうちに、この種のビジネス学校が現在かなりの勢いで倒産しました。
永住権獲得に燃えて通学していた人にとっては、またしてもハシゴを外されたわけで、「相変わらずヒドいわ」と思ったりもするのですが、でも、何度も言うように別にヒドくはないのですね。オーストラリア政府はあくまでオーストラリア人のための存在しているわけで、別に蛇頭でもなんでもないんだから、入国希望者のニーズに応じる義理はないです。その時々のオーストラリアの国情に合わせて政策決定していくだけのことであり、永住を希望する者がそれに合わせていかねばならないのは原則でしょう。そしてそれはいつの時代においてもそうだったのですから。
今後の動向ですが、新しい職業リスト=新SOL(Skilled Occupation List)が2010年5月に発表され、これまでの400種類以上の職業が180種余に大幅に削減されています。詳細は移民局のサイトで分かりますが、細かすぎて何がなんだかって感じでしょう。後で述べるように専門家の助力が必要だと思います。職業リストの改廃は毎年やられていますし、別に永住権を一切打ち切るわけでも何でもなく、むしろ近道が無くなった分、王道の独立移住が膨らむかもしれません。年々難しくなってるとはいえ、まだまだ頑張れば手の届く範囲にあるとは思います。
オーストラリアの人口は急増しており、その増加率はインドや中国すらをも越えると言われます。現在420万人のシドニー人口も、あと25年で600万人になると予想されています。ということは人口過剰になり、近い将来「もう要らん」という日がくるんじゃないかという気もしますし、アメリカのように純粋に抽選ということになるかもしれません。今から10年以上前を振り返れば、「あの頃は楽だったんだよね〜」とか言ってますけど、今から10年後には又現在を振り返って、同じ事を言ってるだろうという気がします。
プロの助力の必要性
永住権取得というのは、水上スキーをやりながら水上の標的を射撃するようなもので、自分も揺れてるし、マトも揺れているという、かなり流動性が激しいものです。それだけにリアルタイムの情報、それも徹底的に正確な情報を確保しておいて下さい。出来れば将来予測も欲しいです。原理原則という全体像を把握した次は精密なデテールです。大きな戦略(発想)、緻密な戦術(実行)。大きな戦略眼が必要なのは、ゴールまでの道筋で事情変更があっても柔軟機敏に対処できる「ふくらみ」のあるプランが立てられるからです。そして実行にあたっては、ミリ単位に精密な設計図が必要です。
具体的には、専門のプロの方にしっかり査定してもらうべきでしょう。
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リアルタイムのビザ情報は、
オーストラリア大使館(
別窓)や
移民局のホームページ(
別窓)が総本店です。しかし前者は概括的すぎるのと、後者はあまりに膨大で、クリック&リンク迷宮に入り込み、結局なんのこちゃか結論がよう分からんことになりがちです。この種の情報というのは、パソコンと同じで、サードパーティの方が親切で分かりやすいです。だから、ビザ代行業者さんに聞いたほうが良いよと。実際、業者さんのホームページの方が親切で分かりやすいです。シドニーにも日本人がやっている業者さんがいくつかありますので、ご覧になったらいいと思います。老舗では
NBCA別窓、
スタッフサービス別窓あたりがあげられるでしょう。
ビザの専門業者さんは、どこでも無料相談などをやっいてますが、出来ればキチンと自分達のプロフィールなどの詳細なデーターをまとめて、料金を払って査定してもらうべきです。料金といってもそう大したことないでしょうから(査定だけだったら1−2万円くらいじゃないかな)、投資する価値はあると思いますよ。大体、永住権が取れそうかどうかの査定で何が難しいかというと、何百とある業種/職種の中から、自分の場合はスキル点何点なのかの判定であり、またその時々のオーストラリアで高度に求められている職種に該当するかの判断です。これは職業別電話帳のように細かく、見てて頭が痛くなりますし、素人が読んで理解して当てはめられるものではないです。また何度も述べているように、年がら年中変わります。移民局に登録している専門の業者さんの場合、移民局主宰のセミナーが年に何度かありますし、また「近い将来こう変わるよ」という事前告知もなされますから情報が早いです。また、経験豊富な実務家ならではのカンみたいなものもあるでしょう(この点はあんまりうるさく言われないけど、ここは厳しく審査されるという=税務署の審査と同じ)。
それに無料相談でやれるのは限界がありますし、どうしても概括的な話になります。一家で移られて、現地の学校にいったり、ビザのためのまた別の学校や大学にいったりしながら、最後の最後で、「あなたの場合は例外にひっかかるからダメよ」と言われてしまったら、それまでの費用と労力が無駄になります。おそらく数千万単位の損害になるかもしれません。僕の知人も一家四人でやってきて永住権を取るために頑張っておられた方がいましたが、これまでに2000万くらい遣ったと言ってました。最高に調べて、努力していてもなかなか取れない永住権です。また、案外ひょこっと取れてしまうのも永住権です。出来ることは全てやるというくらいの意気込みで考えておかれるといいでしょう。
これは弁護士としての僕の経験でもあるのですが、向こうもプロですから、プロというのは1円でも貰ったら「絶対に嘘は言えない」という凄いプレッシャーがかかるのですよ。分からんところは調べなければならないし。これが無料だったら「さあ、いろいろなケースがありますからねー」で誤魔化せるんですよ。そんな一般論的なアドバイスを幾ら聞いても意味ないです。やっぱり自分の具体的事情に合わせて、可能な限り正確な答が欲しいし、そのプレッシャーをかけるためにも、積極的に払った方がいいです。結局は得だと思います。
ということで、インターネットサーフィンをして、僕らのような素人がチョロチョロ書いてる情報を断片的に集めて、それだけで一生にかかわる決断をされるのだけはお止めになった方がいいと思います。ありったけの全知全能を尽くして完璧を期してください。そのなかでもグランドデザインは設計図そのものですから、いい加減な噂や希望的観測で作らないように。
また、余裕があれば、複数の業者さんに聞いてみたらいいです。ビザの見通しはそんなに数学的にビシッと出てくるものではなく、曖昧なグレー
領域があります。移民局の担当者がそこをどう判断するか?という「見通し」です。この見通しが楽天的な人と、悲観的な人がいて、それが回答に微妙に影響するのですね。ですので、客観的に把握するためにも、何件かに聞いてみるのは意味のあることだと思います。立体的にも理解できますし。
あと、多少なりとも払って一回そうやって見てもらったら、正規のクライアントになりますし、顧客名簿に載ります。だから、あとで追加でものを聞くときに便利ですよ。ちょっとした学生ビザのことでも「わからんから、聞いちゃえ」ってやりやすいんです。「いつもお世話になってます、田村ですけど」で話が通じるので楽ですし、向こうも粗略に扱えないでしょうし、またデーターもあるので正確に答えてくれるでしょう。
★雇用者指名永住権
Employer Nomination Scheme (Subclass 121/856)(
別窓)
ワーキングビザのようでありながら永住権であるというわかりにくいカテゴリー。まず特定の雇用者に雇われるという意味ではワーキングビザに似てるのですが、雇用者が「この人でないとダメ!」「他に代替のきかない人材である」と主張立証するパターンです。ワーキングビザが「不法就労じゃないよ」という程度の消極的な立証であるのに対し、こちらは「代え難い有能な人物」という積極的な立証という点で違います。この積極的な立証が、インディペントの職業点立証の代わりになるようなものなのでしょう、「そこまで有能な人材だったら居ていいよ」ということで、永住権が与えられるのでしょう。
永住権ですから、指名してくれた雇用主から首になっても退去する必要はありませんし、2年なんたらという期間制限もないです。そこまで見込んで指名してくれた雇用者がクビといえば、その時点で失効しちゃう方が道理が通ってるようにも見えるのですが、そうならないのは、それが有能性の一般立証だからでしょう。一人の雇用者をそこまで言わせるほどに有能ならば他の会社にも容易に就職できるだろうということ。実際、単に指名しただけでは足りず、雇用主は一定期間、公の場で求人広告を出す必要があり、「公に募集したけど、やっぱり、これが出来る人材はオーストラリアの労働市場にはいませんでした」という事実立証もしなきゃならないわけです。逆にいえば、雇用者としてはアレコレやらなならんことがあって、面倒臭いビザでもあります。
★その他の永住権の種類
その他永住権の取り方としては、地方スポンサービザというのがあり、言わば独立移住の補欠入学みたいなものです。オーストラリアの中でも比較的地方で、人口を増やしたいエリアに2年以上住み、ちゃんと仕事もしていたら、永住権申請を認めるという、オーストラリアの過疎化対策として認められているビザです。これにもいろいろ制約はあり、オーストラリアの学校に通うか、一定の職業経験があるかどうか、年齢、そして当然ながら英語点、さらに各自治体にスポンサー申請をしなければなりません。
ご自分で事業を経営されてる方は、事業者移住ビザもあります。ただしこれは一種の「企業誘致」のようなもので、個人資産数千万とか年商1億とかかなりハードルは高いです。
以上は経済系の永住権(経済的利益をオーストラリアにもたらすという観点から認められる)ですが、それとは全く関係なく、人道系の永住権もあります。端的なのは、「家族がバラバラに暮すのは可哀想」ということから、家族の誰かがオーストラリアで永住権を取ったこと、あるいはオーストラリア永住権保持者と親族関係になること(国際結婚など)による家族移住というパターンですね。
このように永住権の種類は山ほどあり、それらが細かく規定され、且つ年がら年中改正されているので、僕もよく分かりません。というか専門家でないともう分からないと思います。上記は一応の概略まで。
★永住権以外で、オーストラリアで働くビザ/ビジネスビザ
これは日本企業の現地駐在の方など、よく見られるパターンですが、雇用者がスポンサーになることによって与えられるビザです。確実に特定の雇用主のもとで働くことが明らかにされていることから、少なくとも公的扶助のタダ乗りのリスクはありませんし、現地の労働市場を乱す恐れも少ないということでしょう。
問題は、(1)スポンサーになってくれる雇用主を探し出すこと、(2)スポンサーが下りたら終わり(クビになったら終わり)ということであり、さらに永住権ではないので、期間に制限があること(2年+延長2年、管理職は4年+4年でしたか)でしょう。
最近は、このワーキングビザがおりにくくなってます。発給できる職種も限定され、且つ最低年棒制限なんてのもカマされてきてますので、昔のようにワーホリや学生ビザからビジネスビザを取ってそのまま居続けるということがやりにくくなってます。というか、オーストラリアのビジネスビザは永住権よりも難しくなっているとも言えます。
一番簡単にビジネスビザを取る方法は、日本で就職してオーストラリアに赴任することです。日本も就職氷河期で大変かもしれませんが、ビザのない人間がオーストラリアに来て、厳しい制限をクリアしてまで現地企業に「是非、キミが欲しい」とまで言わせるのは至難の業でしょう。まあ、いい雇用主に出会えばそれも可能ですが、幾ら雇う気満々でいてくれても、その企業が要件を満たさなかったらダメです。もっとも日本で商社やメーカーに就職できたとして、それでめでたくオーストラリアに赴任させてくれるという保証は全くありません。
いずれにせよ、相手(雇用主)あってこその話であり、その成否は多分に偶然とか運の要素が大きい。ポイントさえ積み上げていけば誰でも取れる永住権の方がまだしも楽だと言われるユエンです。
その他「働けるビザ」としては、学生ビザの場合は週20時間までならば認められていますし、ワーキングホリデーの場合は同じ場所に6ヶ月までならば働けます(3か月から延長されました)。こうして他のビザの激戦状況をみると、学生ビザ、特にワーホリビザがいかに優遇された特権ビザであるかが分かります。年齢以外にこれといってなーんの審査も条件も要らないんだから。それでいて不法労働者扱いされず、堂々と働けるんですから、もう貴族みたいなものです。
以上がビザの概要ですが、ビザといっても実は100種類以上あるらしく、本当はこんなものではないのでしょう。また個別的な解説や類型も刻々と変化していくでしょうから、あくまで目安としてお考え下さい。
ただ、物の考え方としては、労働ビザのような
一時滞在ビザと永住権のような
永住ビザの二種類があるということ(ビザ申請の結果がでるまでの間、滞在許可されるブリッジビザという過渡的なものもありますが)を押さえておいて下さい。そしてテンポラリー(一時滞在)かパーマネント(永住)かの違いは、単に有効期限の差だけではなく、所得税の税率、メディケアなどの国民健康保険の加入資格、年金などの公的扶助の受給資格その他で結構大きな差があります。永住権保持者の場合、選挙を除いてほぼ国民と同じように扱われますが、テンポラリーの場合はなかなかに厳しいです。
あと、ビザについて総じて言えることは、
英語条件が年々厳しくなっていることです。これだけはハッキリ言えると思います。どのような永住権でも、IELTS(という英語試験)5点は必要ですし、普通は6点、さらに7点取るとボーナスが貰えるから7点は欲しいです。大学入学資格でも7点とか7.5点とかとんでもなく高いハードルの学部もあります。しかし、僕の知り合いも職業的にはバリバリ成功しながらも、IELTS5点がついに取れないまま日本に帰国した人もいます。5点ですらもそれほどまでに難しい。6点だったら普通の語学学校で最上級クラスまで行ってください。IELTS1点上げるのに語学学校に1年通学するというのが通り相場ですから、7点というのがいかに高いか。年齢、職業、英語の三本柱のうち、年齢はタイムマシンがない限り点数UPするわけないし、職業点は大きな人生の枠組みに関わるから小刻みな改善など出来ません。そうなると、今からでも努力でなんとかなるのは英語だけです。逆に言えばそれすらも取りこぼすようでは話になりません。
上に述べたように2011年7月からの新方式によれば、IELTS6点取ってなければ土俵にも登れません。そして加点エリアに7点のほかに、ついに8点(!)というレンジまで用意されています。8点なんか正直いって僕には想像つかないレベルです。野球に例えれば、6点というのは高校野球の野球部でレギュラーになり、地区大会でベスト8になるくらいのレベル、7点というのは甲子園にいけるくらいのレベル、8点というのは(おそらく)甲子園でも優勝を狙えたりプロが視野に入るくらいのレベル、じゃないでしょうか。ハンパないです。
ところで、やたら複雑な制度のせいでしょうか、移民局の現場でも実務処理をめぐって結構混乱してたりするそうですし、窓口レベルでいうことをあまり鵜呑みにしない方がいいでしょう。オーストラリアの処世術としては、「3回聞くまで(聞いても)安心するな」ですから。ですので、専門の業者さん、それも品質に信頼がおける日系の業者さんに聞く方が安全だと思います。
では、引き続いて生計の立てかた、さらに以上の所与の前提のもとにいかなる戦略を取ればいいのか、考えてみたいと思います。
→次(第二の関門:生計)につづく