よくある質問と回答
オーストラリアに移住したいのですが(Part 2)
(97年3月20日)
(99年4月微訂)
(承前)
Q:オーストラリアで生活(移住)したいのですが、何をどうすればいいのか全く分かりません。
この点について概括的なことは、別項「シドニーで仕事を探す方法」をご覧ください。
.....で終わってしまったら愛想がなさ過ぎるので、もうちょい書きます。
●ビザ用のスキルと生計用のスキル
第一の関門:ビザでモノを言うのは自分のスキル、第二の関門:生計(就職)でモノを言うのも自分のスキルということで、この両者は密接に関連しているように見えます。が、ぜ〜んぜん関連してないとも言えます。
例えば、僕の場合は弁護士スキルで第一の関門はクリアしましたが、それでここでメシが食えるかというと全然。まず資格のコンバートが出来ないので、またぞろ3年ばかり法学部入らないとならないです。それでも、資格が認められたところで、あるいは卒業したところで、オーストラリアは弁護士過剰で職もろくにないわ、あったところで「言葉の魔術師」とこちらでも言われている弁護士業務はネイティブを圧倒するだけの英語力が必要だわ、実際に独立営業しようと思ったら(日本でもそうですが)出身学校その他地元の地縁血縁営業力がモノをいうだろう、、、などなど。よくこれで永住権くれたもんだね、お役所仕事やねと思うくらいで(^^)。まあ、こっちも最初からそのつもりはありませんでしたからいいですけど、ここで申し上げたいことは、日本でのスキルが現地で役に立つかどうかは分からんということです。
福島の場合もマーケティングのプロでしたけど、日本のマーケティングとオーストラリアのマーケティングは全然違うので物の役には立たないそうです。また福島のダンナさんのラースはニューエネルギーの博士号を持ってるし世界でも指折りの技術者なのですが、オーストラリアにはその種の会社がないので宝の持ち腐れ。ちょっと前まで一緒にシェアしていた方も液晶工学関係ですが、これまたその種の産業がないので結局事務職やってます。4人とも高度技術で永住権取ってるにも関わらず、だれもその技術では生計を立てられないわけですね。この種の話は珍しくもないです。
そうかと思うと、お医者さんなどの場合、世界共通のスキルがありますので、日本のスキルがまだしも現地で活かせると思いますが、その代わりオーストラリアも医師過剰なので、それでは職業点としては認めてもらえないという悲惨な状況があったりするそうです。ビザなんか、いかにその国の御都合主義で決められているかのいい例ですし、かたやビザは取れるが仕事がない、片や仕事はあるがビザが駄目という具合にアンバランスになっているということでもあります。
このように、現地での生計を考える場合、日本でのスキルを一旦チャラにして考えた方がいい場合も多々あるでしょう。かなり特殊な技術を除けば、そのままスンナリと日本でのスキルが英語社会で活かされるものでもないでしょう。とりあえず基礎程度の英語ができなければそもそも面接できませんし、お客さんから金も取れない。同じ分野でも一回全部専門用語を英語に直して覚えないとなりませんし、電圧が240ボルトとか技術環境も違いますし、消費者の嗜好もまたちがうでしょう。
ですので、日本で培われたスキルはスキルとしても、そのスキルをビザ用に活用するか、就職用に活用するかは、はっきり局面の違う問題だということは認識しておいた方がいいと思います。
●「日本人」というスキル
ミもフタもない言い方をしますならば、現地在住日本人を一個の労働力として見た場合、最も市場価値のあるのが「日本語能力」「日本人であること」ではないかと思います。つまりオーストラリアの企業が、日本市場を狙ったり、日本の顧客とコンタクトする場合の職域ですね。あるいは、日系企業の現地採用とか。結局それが一番大きいんじゃないでしょうか。ちなみに日本語教師ですが、これはもう供給過剰でよほど田舎にいくか、よほどラッキーでもないかぎり難しいと聞きます。ないことはないそうですが。
日本語学力だけでなく、日本と繋がりがあることが就職&ビジネス上の価値があるという場合は他にもいろいろあるでしょう。それはもう留学業界にせよ、観光業界、日本への輸出入業にせよ、早い話がこのAPLaCだって「日本市場」を相手にしてるわけで、日本が沈没しちゃったら皆さん一緒に共倒れになるわけです。
余談ですが、母国語能力や母国との繋がりが労働市場で売りになるというのは、すごいラッキーなことです。これはもう日本の経済力の恩恵ですね。余所の国から来たら、その国の母国語喋れても職なんかロクにありませんもん。そういえば、どこかのサイトだったかで、「日本はもう駄目だからオーストラリアに移住しよう」とか呼びかけてる所がありましたが、本国がダメになったら海外に行ってもダメです。日本が落ち目になればなるほど、海外における日本人労働者の需要は減りますし、現に減ってるんじゃないでしょうか。日本語教師職でも、日本のプレゼンス(存在感)が薄くなれば誰も日本語学ぼうとしませんでしょうし、実際今から学ぶならば中国語の方がいいと、僕だって思います。というわけで、そこはもう密接に関連していると思います。
●世界のオキテ
というわけで、「日本との関連」という特殊枠を外せば、あとはもう自分の技能が世界市場でどの程度評価されるかという話になります。うまいこと評価してくれるならばいいですが、あまりアテにせず、基本的にはゼロからスキルを培っていくくらいに思っていた方がいいのかなあとも思います。領域にもよりますが、それだけ言葉やシステムの違いは過小評価すべきではないということです。
でも、これはそんなに絶望的な話ではなく、どこの国から来た人も皆さん同じように頑張ってはるわけで、いわば当たり前の話です。母国で大学教授やってたって、違う国行ってその国の言葉ができなかったりニーズがなければスーパーでダンボール箱整理したりするもんです。それが世界のオキテだと思います。真に有能だったら、日銭を稼ぎ、語学を身につけ、人々に信頼され、新たなスキルを身につけたり、自分のスキルを認めさせるなりしてのし上がっていくでしょう。
現地で成功している実業家も、よくよく聞いてみると移民してきて頑張って地歩を築いたというケースはよく聞きます。特に移民が集中するシドニーではそうですが、通りに並ぶそこらへんのお店や事業など、移民の人が経営しているケースがかなりあるでしょう。というよりも、イギリス系でない50才以上の人は基本的に全部移民です。タクシーの車内で「ここで生まれたの?」「いつこっちに来たの?」という会話もありふれたものです。
自分が「外国人労働者」として見た場合、オーストラリア社会は、求職や差別などの障害は日本社会よりもずっと少ないと思いますし、誰が何をやっても(やってなくても)干渉されないし、鬱陶しい談合その他の非関税障壁も少ないし、労働流動性が高いので求人それ自体は年中あるし、転職や大学に入り直したりというフレキシビリティなど、いずれも日本に比べればかなり自由であると言えるでしょう。
また何か起業をするについても、「友達何人かとビジネス始めた」なんて話はありふれていますし、何か思い付いたらその日からでも電柱に張り紙したりポストに広告ビラ撒いたりすればいいです。それで巧くいくかどうかは才覚と運次第でしょうが、会社も2ドルで設立できるし(実際には手続代行料がかかるけど)。ちなみに貼り紙広告は沢山あります。シドニーに来られたら気をつけて見ておられたらいいですが、電柱、スーパーマーケットや、本屋、大学、コインランドリーなど至るところに「シュアメイト募集」「○○教えます」「車売ります」の類の個人広告が貼られています(貼るためのスペースがある)。地元のコミュニティ誌などにも満載されています(余談ですが、恋人募集コーナーは笑えます。よくまあこんなに自分を誉めれるなあと思うくらいで、英語の勉強方々いかがですか(^^))
ですので、ゼロから始めるといっても、別に不幸でも何でもなく、世界共通基準で頑張れば良いということですね。他の国の連中ができて日本人が出来ない筈はなかろうに。
自分を省みて思うのですが、日本人の場合、将来の生計に対する安定的な保証を求める意識が、時としてちょっと強過ぎるのかもしれません。あるいは日本という社会は、将来設計を立てやすい(ような気にさせてくれる)社会なのかもしれません。ですので、日本におられる皆さんとしては、こんな「頑張ればいいじゃん」的なお気楽なものを読んでも不安は拭い切れないでしょうが、一年もこちらに暮らしていたらかなり感覚も変わってくるのではないでしょうか。人それぞれでしょうが、僕らも随分と楽天的になったりしました。最初はもっとシンコクに考えたりしたもんです。
ところで、なんでこんなことシツコク言うのかというと、例えば「オーストラリア現地の知人のところに就職できそうだから移住する」という「計画」話を聞いたりしますけど、正味の話、その程度の生計の見通しでは、移住を決意するかどうかに際しては大した基準にならないと思うからです。なぜなら、その知人と喧嘩したり、知人のビジネスが潰れるなり事業計画が変更になっただけで、一瞬にしてこの移住計画は崩壊してしまうでしょ?そんなんでいいんか?と。
ですので、基本的には現地の労働市場でやってけることを基本に考えておいて、個別的な就職話の一つや二つ流れてもどんどん次の手を打っていけるようにしておいた方がいいと思われるからです。逆にいえば、現地での採用話の有無は、移住を決意するにあたってそんなに大きなものではないし、その話がないから駄目だなんて思う事もなかろうということです。目先の安定を求めすぎてあとで大きく転ばないように、ということです。
さて、こんな「心構え」的なことばかり書いててもラチが明きませんので、とっとと次にいきます。「ビザ」と「生計」の両面を見据えて、どのように戦略を立てていくかという話にうつっていきたいと思います。
PS:なお、現地での求人状況がどうなっているかですが、世の中便利になったもので、現地で新聞読まなくたってインターネットでほぼフォローできます。便利なところでは、オーストラリアの求人用ネット或いはクラシファイド・アド(求人の他、売ります買いますなど募集広告集)をあつめたリンクページがあります。検索付きのサイトもありますので、ご自分の職域あるいは”japanese”あたりで検索すると、求人状況や年収など大雑把な感触が掴めるでしょう。興味のある方はご覧ください(クリックしてください)
次(移住Part3)に進む
★FAQのトップに戻る
★→APLaCのトップに戻る