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3.「やる気」低落の法則
早期に「やる気」を→「経験」にエクスチェンジしておくこと



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3.「やる気」低落の法則

空港を降り立った瞬間がピーク

 寒い冬の夜、家に帰ってきます。帰ったばかりの時点ではまだ動き廻れます。風呂も沸かせますし、ベランダの洗濯物を取り込んだりも出来ます。ところが部屋着に着替えてコタツに入ってTVを見てしまったら、もう動けません。トイレに行くことすら億劫です。尿意を我慢しつつ「次のCMで行こう」とか思ったりもします。そうじゃないですか?人間というのは、一回快適な状況に入ったら、なかなかそこから抜け出せなくなります。僕もそうです。

 ワーホリ生活も同じことだと思います。
 というか、ワーホリだけがこの例外であるという理由もないです。

 オーストラリアの空港に降り立った瞬間、あなたの「なんでもやったるで!」というやる気度はピークに達しています。しかし、段々生活が整ってくるにしたがって「やる気度」が下がってきます。

 ホームステイで意思疎通に四苦八苦し、学校のクラスで右往左往し、英語だけでのコミュニケーションのあまりの難しさ、あまりのもどかしさにメゲそうになります。そして、外国人の友達はあまり出来ないくせに、日本人の友達だけはどんどん増えてきます。日本人ワーホリさん御用達のような情報センターなどの「オアシス」の存在も徐々に知っていくでしょう。ああ、なんて日本語はありがたいんでしょう、なんて楽なんでしょう。生き返った心地すらします。心地よい日本語環境、それはまるで寒い冬の夜のコタツのようです。一回それに浸ってしまったら、なかなか英語の吹雪の渦巻く外には出て行きたくなくなります。

 空港に降りた瞬間、あなたの「やる気度」はいきなりピークに達し、あとはゆるやかな下降曲線を描きます。それはこれまで散々経験してきた減衰カーブでもあります。日記をつけるとか、ラジオ講座を始めるとか、通信教育をやるとか、ダイエットをやるとか、、最初はいいんですよね。でも段々やる気が先細りになって、しまいには無くなってしまうという。「いや、俺はそんなことないぞ。いつだって初志貫徹、メゲたことなど一度もないぞ」というあなたは、これ以上この雑文を読まなくてもいいです。あなたは大丈夫ですから、次のステップに向かってください。ここでは、僕と同じく、意志の弱い愛すべき人々に向けて書いています。

 空港到着のあと、下降曲線を描くのは他にもあります。お金です。どんどん無くなっていきます。反対に、到着時点ではゼロだったのに、徐々に上昇していくものが二つあります。一つは「英語力」です。もう一つは「経験値」です。しかし、悲しいかな、やる気とお金の下降カーブの急激さ比べて、英語力と経験の上昇カーブはイライラするくらいなだらかだったりします。

 かくして、当初の意気込みとは裏腹に、数ヶ月もするとすっかり「まったりした生活」に浸ってしまったりします。昼過ぎくらいにむくっと起きてきて、ボサボサ頭を掻きながら歯を磨き、テキトーにバイトやって、テキトーにパブでビリヤードやって、それで終わりという。そんなこんなで半年が過ぎ、再び覚醒し、「げげ、もう半年かよ、何もやってないじゃん」と焦ったりしますが、乏しいやる気を再びかき集めて火をつけても、それまでのまったり慣性パワーでゆっくりと押しつぶされたりします。そんなこんなでアッという間に1年が終了し、日本に帰ることになります。


最初の数日で決まる

 じゃあどうしたらいいのか?

 思うに、一番最初の数週間、極端な話、最初の数日がキモだと思います。大袈裟に言えば、ここで結構1年の運命が決まってしまうんじゃないかと。まだやる気エネルギーが満ちているうちに、「やる気」を「経験」に”換金”していってください。

 人間、一回経験したことは強いです。やってしまえば「なんだ、こんなもんか」と思えますし、自信もつきます。最初はやる気がありますから、色んなことが出来ます。アドレナリンが出まくってるから、恥かしいことでも、無鉄砲なことでも結構出来てしまいます。やったもん勝ちで、一回経験してしまえば、自分のテリトリーは広がり、自由度は高まります。そうなれば自信はついてくるし、面白くなってくるし、「これが出来るなら、もしかしたらアレもできるかも」と欲も出てきます。

 言葉もわからん、コネもない、土地鑑もない、システムもわからない、のないない尽くしのハードな環境で、唯一あなたの武器になるのは経験と自信です。しかし経験を積むには膨大な勇気が必要であり、勇気はやる気によって湧いてきます。つまり、

 やる気/勇気 → 行動 → 経験 → 自信 → 欲 → やる気

 というリサイクル・好循環パターンを作り上げることが出来るかどうか、これで結構決まってしまうんじゃないかと思うわけです。

 この「やる気/勇気」は、最初の数日間で急激に消耗します。
 そして、「もっと楽な方法」を発見した瞬間に消滅します。

 なぜなら、「やる気/勇気」=「覚悟=ストレスを受ける心の準備」だからです。
 かなり強いテンションを自分の心に与えるものですから、人間のメンタルのメカニズムからいっても、もともとが長続きするような性質のものではないです。アドレナリンを出してテンパってる状態になるのですが、そんなにいつまでも出続けているものではないです。

 必死に頑張ってる途中で、安逸なパターンを覚えてしまったりすると、その瞬間にほっとして、アドレナリンがしゅーっと下がって、そこから抜け出せなくなる。英語が全然聞き取れず、「はあ?」という顔ばっかりされて泣きそうになっているところで、日本語の通じる人達と知り合っていくと、そっちの方が楽だから流されていく。

 人間、「やらねばならない」ことであればやりますが、「やってもいいし、やらなくてもいい」と選択肢が与えられたら楽な方を選ぶケースが非常に多い。

 ただし、やる気に関してはもう一つ重大な特性があります。それが上に書いた、
 なにかを達成して「やった!」と思うと、やる気は一気に復活し、むしろ倍増する


 つまり、やる気が燃え尽きてしまう制限時間のあいだに、いかに「やった!」をつかむかがポイントになります。一秒も早く「成功の雛形」「成功体験」を作り上げることです。

 その意味でいえば、よく先にシドニーにいるワーホリの友達を頼ってとか、最初はその友達の所に居候して、、とかいう人がいますが、Be careful です。その友達が「コタツパターン」にハマってたとしたら、まんまコタツパターンを伝授されてしまうことになります。

ケーススタディ

 以前お世話した方で、シドニー現地に到着してから3日目に、夜中のキングスクロスのクラブに女の子一人ででかけていって、奥のDJブースまでいって、直接「私にDJやらせてください!」と頼み込んだ人もいました。快く受け入れられたその人は、その後クラブでDJをやらせてもらいながら、芋蔓式にオージーの友達が増え、「日本人の友達が中々出来ないのが悩み」という贅沢な悩みを抱えつつ、充実した1年を過ごされました。

 片や、これは聞いた話で直接面識はありませんが、自力で空港からシティまでやってきて、また独力でチャイナタウンのバックパッカー宿を探したところまでは良かったのですが、そこで燃え尽きてしまって、なまじ便利なシティに住んでいるのが災いしてか、その後大した動きもなくなり、到着後3ヶ月経過しても、未だにバスも電車も乗った事がないという人もいました。そのため行動範囲は「歩いていける範囲」に限定され、一番遠くまでいったのは最初の空港だったという。あるいはバッパーまで行ったのはいいけど、そこでエネルギッシュなヨーロピアン達しかいない雰囲気に圧倒され、キッチンにも入れず、近所のスーパーすら行けず、二日間何も食べてないという人も居たそうです。

 この両者の違いというのは、やっぱり最初のうちに思い切った行動に出られるかどうかだと思うのですね。DJの彼女も、着いてすぐに行動を起こしたというところがポイントだと思うのです。これを、「とりあえず英語が出来るようになってから」とか言ってると、出来なくなると思います。段々現地に慣れて落ち着いてくると、アドレナリンもひいていきますし、新しいことをするのが怖くなります。そして、人間というのは、やらないための言い訳だったら無限に考えつけます。

 シティに住んでいれば、そりゃ日常生活の大抵のことは手近で間に合うからそんなにバスや電車を利用する必要もないです。だから、「別に今日敢えて乗らなくたって、、」とか思ってしまいがちなんですね。

 それに、やらないでいると、どんどん耳年増になっていくというか、日本人特有の「世間は怖い」的なネガティブな噂話に毒されるようになっていきます。やれ、シェアを探しにいってレイプされた日本人ワーホリがいるとか、エクスチェンジを口実にナンパばっかりしているオージーがいるとか、そんな話ばっかり山ほど仕入れてきたりします。でもって、益々怖くなると。

 もちろんリスク管理は必要ですし、調子に乗って羽目をはずすような真似は慎んだ方がいいでしょう。しかし、それも程度の問題で、そうそうなにもかも怖がっているならば、最初から海外なんか来なければいいです。でも、本当は怖がってるんじゃないんでしょうね。やる勇気がなくなってしまったことへの言い訳として、「危ないから」とか言ってるだけだと思います。これが安易な決めつけではない証拠に、大体そういう人というのはシティのタコ部屋シェアで籠もってたりするケースが多いのですが、シティの犯罪発生率はどの犯罪類型をとっても他のエリアの数倍から数十倍あります。シドニーのシティは「オーストラリアで一番危ないところ」と言っても過言ではないです(統計数値をもとにした詳しい解析は治安/シティとサバーブ参照)。

 実際、20年以上現地で暮らしてて聞こえてくるのは、犯罪にかぎらず、日本人同士のトラブルが一番きつくて、一番傷が深いということです。日本人同士の窃盗も多いし、日本人シェアでの盗撮やらトラブル。これは別に日本人に限ったものではなく、「女の敵は女」といいますが、「中国人の敵は中国人」(とチャイニーズから聞いたことがある)のように、同じグループ内部の方がキツい。同じだから、悪い人からみれば、行動のクセやスキも見えるのだろうし、相手の値踏みもできるのでしょう。また、なまじ母国語同士だけに、コトバで人を傷つける(られる)度合いも深くなります。だいたいそうでなければ、日本国内で鬱が国民病みたいに広がるわけもないですよ。


 もともと安心してみていられるくらいの英語力のある人などごく一握りでしかないです。100人に一人くらいでしょう。また、1年ゆったり暮らせるくらいの資金力とともに来る人も少ないです。具体的に言えば、TOEICで900点以上あって、遊び資金が1000万円以上あったら、のんびりしててもいいです。もっともスタート地点でそれだけあったら、もっと高みに登れる可能性大ですので、「オーストラリアで起業する」くらいの気概は持って欲しいです。規模はともかく実際やった人もいるし。

 多くの場合はそれほど英語も出来ないし、それほど資金もないでしょう。だから、最初からこの程度の英語力とこの程度の資金力で海外に行こうなんてのがそもそも「暴挙」だったりするわけです。しかし、人生に暴挙は必要ですし、暴挙と呼ばれるくらいのことをやらないと前にも上にも進めないのも現実です。元来が暴挙的に渡豪してるわけですから、こちらに着いた後も、適度な暴挙は必要だと思いますし、それなくしてブレイクスルーは出来ないでしょう。あの、暴挙暴挙っていってますけど、「適度な暴挙」ですよ。無茶やればエラいってもんではないので、そこは誤解しないように。同じリスクを冒すにしても、生命身体へのリスクではなく、恥をかくリスクだったら冒しなはれってことです。

 OK、心構えは分かった、じゃあ具体的にどうしろというのだ?ということで、最初の一週間、あるいは2,3ヶ月で何を習得すべきかについて話します。とりあえず、こんなところでしょうか。

 @公共交通機関を乗りこなすこと(着いた直後から遅くとも数日以内)
 Aシェアを探すこと(直後から遅くとも1,2ヶ月以内)
 Bアルバイトやボランティアその他(3ヶ月以内)

 これと平行して、具体的なアクションではないですが、これらの行動を可能にするための自分の能力を向上させてやる必要があります。
 C朝から晩まで歩き回れるだけの基礎体力
 D知らない人にでも平気で話し掛けられるようになる精神力とチャーミングなオーラ
 E日本人的な「言っちゃ悪いんじゃないか」という妙な遠慮をせずに、思ってることを素直に言えるようになること
 F自分のこと、自分の意見、さらには日本のこと、日本のカルチャーについて、的確に英語で説明できるようになること
 G臨機応変に、かつ対等に誰とでも交渉できるようになること

 などです。まあ、C以降は言い出したらキリがないのですが、@−Bを普通にキチンとやっていれば自然と鍛えられていくとは思います。ただ自覚的に鍛えるともっと良いです。


 順次分説します。
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