1.  Home
  2. 「今週の一枚Essay」目次



今週の1枚(03.03.31)





   ESSAY/Perth 特集(その2)




       写真は、高速2号線(Mitchell Freeway)で朝のパースシティを縦断するところ



PART 2 初日〜パースシティ編

 前回に引き続きパース特集の第二回です。
 初日はパース空港でレンタカーを借りて、サンセットコーストのホテルで、先行してパース入りしているカミさんと合流しました。


海とシティと道路事情
 オーストラリアは国土が広大なわりには快適に居住できる地域が少なく、そのため多くの人々は海辺に張り付いて住んでいたりします。したがって、オーストラリアのメジャーな都市は大体海沿いにあります。シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレード、ダーウィン、そしてパースしかり。内陸にあるのはキャンベラくらいなものでしょう。which means(とゆーことは)、オーストラリアの各都市はいずれも水(海)に恵まれていることを意味します。都心からちょっといったらもう海。というか入り江に都市が築かれているということですね。

 シドニーはシドニーハーバーがあり、外洋に面してボンダイがあったり、マンリーがあったりします。都心から車で30分でのんびりサーフィンができるのですからいい環境です。しかし、パースはもっと恵まれていると思います。パースの都市は、外洋から大きく切れ込むスワンリバーに面しており、「ハーバー」ではなく「リバー」というだけあって水は静かです。湖みたいな感じですね。そして、都心から少しいけば、インド洋に面したサンセットコーストが広がっています。

 都心からの海岸(外洋に面したビーチ)まで距離は、いま地図で測ったら、約10キロ弱で、これは実はシドニーCBD=ボンダイビーチよりも遠いようです。ただし心理的な距離感は、パースの方が近いように感じました。その理由と思われるものは、@道が空いている、Aフリーウェイの便利がいい、B起伏が少ない等です。これらはまた述べますが、あと特筆すべきは、「ほぼ全部ビーチ」という点でしょう。



 上の写真の一枚目は、パースの海岸線。最終日に泊まったスカボローのホテルの部屋から、北方面を向かって撮影したものですが、ビーチが延々続いているのがお分かりかと思います。

 下の写真はボンダイから撮ったものですが、シドニーの場合、リアス式海外になっていて、海岸線がデコボコしてます。出っ張ってるところは断崖絶壁になっており、引っ込んでいるところに砂が堆積してビーチになってます。ですので、ボンダイビーチから南に歩いていくと、すぐに岩場になって視界が隠されタマラマビーチになり、また岩場になってブロンテビーチになり、また岩場がゴーっとあってクロバリービーチになり、また岩場があってクージービーチになり、また岩場が、、、、という具合にビーチが断続しています。ところが、パースの場合は、ほぼドーンと海岸線は一面ビーチになってますから、先の先までビーチになってたりします。


 この差は結構デカいです。パースの場合、都心から海方向にいけば必ずでっかくて広いビーチにぶち当たるのですが、シドニーの場合、どこからどう海に行けばいいのかよく分からん部分があります。「遠くに海は見えるんだけど、、」という。それは前述のようにシドニーは起伏が多く、坂ばっかりであることも要因だと思います。坂ばかりだから見通しが悪いんですね。また道がけっこう複雑に入り組んでますし。ブロンテビーチなんか行こうと思っても中々行けないです。その点パースの場合、都心からばーっと平坦な道をつっぱして行けばすぐにビーチに着きますから楽なんですよね。

 あと道が整備されているのもいいです。パースの都心から、北のソレントビーチまで行こうと思ったら、高速2号線を使ってばーっと北に突っ走って、適当なところで左に折れてまた真っ直ぐいけばもうビーチですから近い感じがします。ちなみにこの高速2号線=ミッチェルフリーウェイですが、中央分離帯のところに電車が走ってたりして、大阪は千里に向かう新御堂にイメージがよく似てます。

 写真左は、朝のラッシュ時刻のミッチェルフリーウェイです。このフリーウェイ、シティを縦断してそのまま真っ直ぐ南下していきますから、シティをまたがって移動するには非常に便利です。しかも高速は一切無料。シドニーは、ようやくオリンピックの時にイースタンディストリビュターが出来て、南北移動が楽になりましたけど、東西移動はこれからシティを横切るトンネルを掘り始めるという段階ですから、道は遠いです。

 道路事情ですが、シドニーで日々運転してる身からしたら天国みたいに楽ですね。全体に「スカスカ」って感じがします。細かく言うと車線の幅がシドニーよりも広いです。巻尺当てて計ったわけではないから正確なところは分かりませんが、印象としてはそうでした。これは運転しやすいですよ。なんつってもシドニーの車線幅は狭いですからね。これは膨大な交通量を捌くために無理やり車線を増やしていることに起因してるのではないかと睨んでますが。特にここ最近のウェスタンディストリビューターなんか、無理やり遊歩道をみたいなのを作ってるからその分車線にしわ寄せが来て、ほんと駐車場の一台分の幅くらいのところを走らされますから、外側走ってるとドアミラーが側壁にこすってるような感じすらします。これで、時速80キロで並走して、しかもカーブしたり、車線変更したりするわけですから、ほとんどブルーインパルスのサーカス飛行みたいですな。それから比べたら、パースは楽チンです。まあ、これはパースが楽というよりもシドニーが異常なんだと思いますが。

 ただし、パースの道路が全ていいことばかりではなく、不満もあります。それは、ストリート表示が少なすぎるということです。これは是非改善して欲しいです。地図で道を記憶して、「えーと、○○ストリートを左折して、、」と走らせていても、通りにストリートの名前の書いてあるケースが少ない。全然無いってことはないのですが、シドニーの感覚で言えば、「もう、全然書いて無いじゃねーかよ!」ってキレそうになります。地元の人は道知ってるでしょうからそれでいいのでしょうが、「よそ者」はそれでは困るのですよ。

インド洋と夕陽

 パースシティの西側の海岸、サンセットコーストですが、インド洋に夕陽が沈み、波光キラめき、息を飲むほど美しいと言われています。ちょうどアレですね、「金曜ロードショー」のタイトルみたいな感じなのでしょう。オーストラリアの東海岸では海に朝日は見えるけど夕陽は見えませんからね。「海+夕陽」というだけでも値打ちあるのに、さらに美しいといわれるインド洋ですからね。さぞかし綺麗なのだろうと思いきや、実のところ僕はここを十分に堪能してはおりません。というのは、そもそもパースのシティにいたのが最初と最後のちょっとの間だけであり、そのいずれも天候に恵まれなかったからです。くそお。

 その代わり、先発してパース入りしたカミさんがその美しさを堪能したようです。「すっごい、キレイだったよー」って。右の写真のようだったそうです。見たかったなあ。


Sorrento Beach Resort
 さて、パースの初日の宿は、ソレントというところの、ソレント・ビーチ・リゾートでした。
 ホームページ(というか紹介しているサイトだけど)は、ここにあります。他にも紹介してるサイトは、ここにも、ここにもあります。

 前回述べたようにカンタスホリデーで航空券とパックで取った関係で、一泊(一室=二人で)114ドルでした。上の紹介サイトで見ると興味深いことに、値段がそれぞれ違います。ホテルの値段なんか、コーポレイトレイト、つまりは旅行代理店への卸値にどれだけ代理店が上乗せするかで決まりますからバラバラでも不思議ではないです。だったら、旅行代理店を通さず直にブッキングした方が安いか?というと、必ずしもそうではないのが面白いところです。

 どうでもいいことですけど、上記のサイトで共通してるのは、どれも写真がイマイチですね。プールを全面にフィーチャーしようとして妙にチャラく見えたり、安っぽく見えたりしますけど、実物はもっと落ち着いた静かな感じでした。ちょっと行った先にソレント・キー(小さな波止場)があり、そこだけ地方のショッピングセンターっぽいのがありますが、とりあえず周囲は住宅地というかなーんもないです。静かな海辺に静かに佇んでいる、まるで大学の研究室の共同居住区のような、学園都市的な感じのするニートな建物でありましいた。部屋の調度も広さも、まあアクセプタブル(十分に許容の範囲内)でした。なーんもないから、部屋から見る海も遮るものは電線だけ。上のゴージャスな夕陽の写真も、部屋の窓から撮ったそうです。そこを早朝や夕方は、付近の住民がせっせとジョギングをしたり、犬の散歩をしたりしているという。だから静かに逗留するにはいい感じでしょう。逆に、エキサィティングなビーチカルチャーを期待していくとコケます。

 下の写真は、早朝に撮影したホテルの前の風景。朝も早くから、近所の人々がせっせとジョギングやウォーキングをしてます。そしてそれだけ、という感じがお分かりいただければ。

 
Kings Park
 晩御飯の前に、シティ周辺をぶらっとドライブして Kings Park に行ってきました。「行ってきました」と言うほどじっくり留まったわけではなく、小雨のパラつく薄暮のなか、車でぐるっと一周しただけのことです。所用時間15分くらいね。

   

 パースの人に愛されているらしい大きな公園で、パースシティとスワンリバーが一望できます。といってもどこからでも一望できるわけではなく”一望できる場所がある”ということですね。それ以外は普通の公園。シドニー的にいうと、オペラハウスの裏手のボタニックガーデンから、ドメイン〜ミセスマッコーリーズチェアまでの景観部分と、あとセンテニアルパークのリザーブ的な部分(あまり手を加えず自然のままにしておく)を足して、サイズを半分にして、長く引き伸ばすとキングスパークになるという感じです。

 なんせ車で15分廻っただけだわ、雨は降ってるわですので何かを語り得るほど何を見てきたわけではないのですが、短い時間での印象は、観光客にとって意味があるのはごく限られたルックアウトポイントだけであること、その他の大部分のエリアは住民のためにあり、そして住民はこのパークを確かに愛し、よく使い込んでるんだろうな、ということです。

 なんで「使い込んでる」と思ったかというと、使い勝手が良さそうな公園だったからです。「使い勝手が良い」というのは、キングスパークに限らず、パースシティ全般に通じるキーワードだと思いますが、この公園に関して言えば、まずシティに近いこと。気楽にアクセスできます。で、結構スカスカですので、車が停めやすいこと。さらに、リザーブの自然林があったり、確認はしなかったけどバーベキューエリアもあるだろうから、ピクニック、ハイキングにも使えることなどです。

 シドニーの場合、ボタニックガーデンやドメインは確かにシティのすぐ裏手でアクセスはいいのですが、近すぎてしまって車を停めるだけでも一苦労です。最近だったらまず停められないんじゃないかな。そして、バーベキューもするところがないし、のどかな自然林的な感じもないです。だから、観光客のための絵葉書的 Vantage Point (見晴らしのいいポイント)であるか、あとは市民のジョギングエリア(それかフリーコンサート、野外映画、花火の見物地点)であるしかないです。もっと牧歌的にバーベキューやったりしようと思ったら、そこそこ離れたセンテニアルパークまで行かないとならない。そこまで行けばのんびりできるのだけど、今度はアクセスが面倒臭いのと、デカ過ぎる部分もあるのですね。

 その点、パースのキングスパークは、一通りなんでも出来て、距離よし、サイズよしで、手頃なんですね。で、これだけ使い勝手が良さそうな公園を、シドニー人よりもより伝統的なオーストラリア人度が高そうなパース人が遊び倒さないわけはないだろうな、というわけです。まあ、たった15分間の印象に過ぎませんけどね。


Northbridge
 さて、初日の晩ゴハンは、パースのエスニックエリアといわれるノース・ブリッジに行ってみました。シドニーのノース・ブリッジは北部の高級住宅地で東京マートなんがあったりなんかするのですが、ところ変われば町も変わります。当たり前ですが。ちなみに英語の地名というのは限界があるのか、各都市間でサバーブ名が重複してたりしますよね。パースはそれほどシドニーと重複して無いようですけど、それでも、「ほー、パースにもモスマン(パーク)があるのか」と思ったりもします。あと、アッシュフィールド、クィーンズ・パーク、オズボーン・パーク、クージーなんかもありました。

 パースのノースブリッジはシティの北東に隣接しているエリアで、パース駅の陸橋をわたってすぐのところにありました。エスニックエリアというか、シドニー的な感覚でいえばわりと普通のところで、「ことさらにエスニックというほどのことも、、、」というのが正直なところでした。というよりも、シドニー全体がエスニックタウンなのかもしれません。

 関連して言いますと、パースはアジア人が少ないですね。シドニーの場合、アジア人や非ヨーロピアン、非アングロサクソン系の人の方が多いようなエリアも沢山ありますし、そもそもシティからして通りを歩いている半数とはいかないまでもかなりの割合がアジア系ですが、パースはすごい少ないように感じました。これはこの先旅行をして地方にいけばいくほどそうでして、B&Bに泊まったり、ガソリンスタンドで給油してたりしたら結構珍しがられたりしました。それに、パースって、チャイナタウンが無いでしょ?もしかしたら見落としたのかもしれないけど、ノースブリッジくらいだったらチャイナタウンとは呼ばないでしょうし。

 パースの都心部分はわりと閑散としていて綺麗なんだけど、清潔過ぎちゃってなんとなく居場所がない感じがするのですが、ノースブリッジは人間臭いゴチャゴチャ感があって良かったです。建物も古いし、町全体がナチュラルにボロくて、ピカピカの商業主義的規格統一感が薄く、僕は気に入りました。バックパッカー系の宿もそこそこあって、若い人が多かったです。でもって、パースに住む日本人ワーホリさんなどは、このあたりの宿に泊まって、それから真っ直ぐBeaufort St を下って、線路を越えてBarrack Stと名前の変わった通りの近くにある、情報センターや日本食レストランなどに出没するのではなかろうか。確かにノースブリッジでレストランを物色していたときは、やたら日本人のワーホリさんらしい人達と擦れ違いました。

 結局、あれこれレストランを物色して、フードコートでインドネシア料理を食べました。なかなかいい感じのフードコートで、どちらかというと日本でいっとき流行った屋台村みたいな雰囲気がありました。料理も旨かったです。



 やれやれ、着いて数時間くらいのことを書くのにこれだけ費やしてしまった。エスペランスくらいまでは書こうと思いましたが、今回はこのくらいにしておきます。まあ、行程が強行軍だっただけに、レビューはのんびりやることにします。

 なお、同行したカミさんの方も自分のホームページで旅行記を書いてます。同じモノを見てても別の人が書くとまた意見も感想も違うし、併せて読むと立体的に、ステレオになって面白いと思います。しかし、あっちの方が進行が早いんですよね。もうマーガレットリバーまで書き進んでやんの。






★→APLaCのトップに戻る
バックナンバーはここ