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今週の一枚(2017/01/30)



Essay 810:事務所移転・激闘佳境編

 

 写真は、新転居地の近くにあるGlebeの図書館。まあ、ここでネットやればいいか〜とか(本文参照)。

 というわけで、年末から続いている事務所移転騒動(^^)も佳境を迎えています。

 いやー大変だわ〜、しんどいわ〜、一筋縄では絶対いかないわ〜、でもその分勉強になるわ〜。

 こんなワタクシゴトを書いていてもいいのか?公衆に益するものがあるのか?というと、まあいつものように漫談として楽しんでいただくほかに、これから移住その他で来られる方のために、かなりディープな賃貸リアルを書きますので、多少は参考になるかもしれません。

既成概念破壊のリストラ

 さて、とっても勉強になっている今日このごろなのですが、なにが良いかというと、言葉の本当の意味での「リストラ」です。
 リストラ=死刑宣告的クビ告知ってイメージがあるけど、リストラクチャリングの本当の意味は「再構築」ですよね。re(再)+structure(構造)+ing(やってまーす)ですから。ストラクトの本義は「骨組」「構造」みたいなもんなんでしょう。それを「Re(再度)」するんだから「組み直し」です。組み立て式の模型がどうも宜しくないから、全部バラしてまた組み直すって感じでしょう。なお、ストラクト(構造)の頭にコンがついたら「コンストラクト」で建築って意味になりますよね。

 現在の住まいに移ってきたのが1998年の2月ですから、実に丸19年もいるわけで、これだけ長いことやってたら、どうしても既成概念が船底のカキ殻のようにビッシリ生えます。無意識的にそうなる。それを叩き壊すいいチャンスです。最初は、既成概念がどうしても抜けないから、インスペクションで何を見ても「うーん、全然ダメ」とか思ってるんですけど、段々「鍛えられて」くるという。

 インスペクションも山ほど行って来て、しまいには現場で会う不動産屋のスタッフの皆さんとも顔なじみになって(笑)、あれこれやってたわけです。そのなかで、「妥協できるものは妥協するけど、できるだけ現状をまるまるスライド移動」とかいうクソぬるい発想法ではダメじゃあ!ってのがわかってきました。単にゲストルームを落としただけでは全然足りないと。もう完全ゼロから、あるいはこの20年の既成概念ではなく、生まれてこの方の持ち続けてきた既成概念すら叩き壊すくらいのハードな修行になります。

 例えば、インターネットでやっているのにインターネットが無くてもいいか?とか、洗濯機がなくてもいけるか(自前のを持ってるけど置き場がないし、共同コインランドリーもない)?とか、キッチンがなくても代替策はあるか?とか、もうそのレベルまで。しまいには、事務所がなければあかんのか?と。

 いや、極論じゃなくて、査定すべきポイントが十数項目あるわけですけど、全てが満点なんてことはありえない。そうなると優先順位をつけていくわけですが、しかし、大体OK、これにしようかなと思ったときに、「げげっ!」っていう問題を見つけてしまうわけですね。まさかそんなところに、、、という。そうなると又優先順位の組み直しになるわけです。

本質までの削ぎ落とし

 もう去年から新しい場所での一括パックのやり方については、毎日のように考えてて、冗談抜きで数百回シュミレーションしてると思います。「あ、こうすればいいか」「あー、ここが問題になるな」とか1日最低でも3回は考えたり思いついたりするので、かれこれ半年くらい考えているから数でいえばそんなもんでしょ。だからどんな状況、どんな立地であっても、今この瞬間にやれと言われても出来る自信はあります。

 結局は、まだ来て右も左もわからない、メンタルも豆腐のように柔らかい皆さんに、いかにして苦痛が少なく、いかに最速に、いかに成長してもらうかです。それをいかに実行するかがコアであり、そのためには最適とされる時間・場所に、いかに僕自身が健康&頭脳明晰の状態で登場するか、に尽きます。事務所はそのための道具でしかない。だから事務所の見てくれが良いとか、居心地が良いとかいうのもそれが自己目的化したらアカンわけです。ただし、居心地の悪さのために僕の健康やメンタルの完璧調整が出来ないなら問題ですけど、でもあくまでその限度でです。

 それを推し進めれば、別に事務所なんか要らんわってシステムもアリです。カウンセリングだって、そのへんの風景のいい公園でもいいし、カフェでもいいのよね。実際これまでもそういうのは沢山やってるし。また、これは今も標準装備でやってるけど、交通機関のイロハをお教えするのは机上でやってても効率悪いので、一緒にバスや電車乗って教えてます。シェア探しの特訓講座も、Marrickvilleの舗道のベンチで教えたこともあるし、その方が臨場感があって頭に染み込みやすいというのもあります。


 弁護士やってたときも、事案によっては事務所を使ったり使わなかったりです。全部事務所の応接室や会議室で済ませる場合もあれば、一回も事務所では会わない場合もあります。どんな場合か?といえば、「全部現場」って場合です。特に現場に意味がある場合。交通事故とか、建築紛争とか、不動産の境界とか。これらは現場に意味があるからまず現場に行って見分しますし、そこで依頼者の方とお話します。能登半島の山林の事件もやったことありますけど、まずは現場で見て、そこに泊まってじっくり事情聴取と打ち合わせをして、あとは全部電話でやってました。逆に手形の事件とかは、これは依頼者の会社に行ってもあんまり意味ないから自分のところの事務所でやります。それと、刑事事件は本人が勾留されてたりするから拘置所に接見にいくのは当然だし、少年事件や家族さんとの打ち合わせも生活環境を見る必要があるから出向いて現場で打ち合わせをする場合が多いです。総じていえば、足労を惜しまず、現場でやったほうが依頼者さんの満足度は高いようだし、また事案も立体的・生理的にわかります。刑事さんの「現場にお百度踏む」というのは経験的にも頷けます。デスクの上でやって良いのは、抽象的で哲学的な命題をじっくり考えるような場合ですね。だから書面起案とか、ディープな人生相談とかです。

 ちょっと横道ズレて悪いんだけど、日本で弁護士やって、こっちでエージェントみたいなことをやってって、えらい職業変わってるように思うだろうけど、自分のなかではあんまり変わってません。やってることは同じだし、意気込みも、技術水準も同じ。なんてのかな、生きていくのって大変じゃん?たかが家探しごときでこんだけ大変なんだし(笑)。だから皆頑張ってる。真剣に頑張ってる人、でも上手くいかないで焦げてる人とか見たら、なんとか力になれないか?って思うでしょ。又自分にそれを解決しうる知識と技量を持ち合わせていたら、ヘルプしたくなったりするでしょ。普通そうじゃない?そのへんの素朴な感覚で動いているだけで、それが原点でそれがゴールで、そんだけ。それを世間は弁護士と呼んだり、エージェント呼んだりだけど、それって固定観念だよなーって思うけど、まあそこは呼ぶ人の自由で、僕の関知するところではない。お好きになさいませ。suit yourself.

 よく相談なので「どうなりたいの?」「なにをしたいの?」って話になるけど、前者(ああなりたい)というのは自分の中ではもう無いです。若くて自信のない頃は、社会的に認知されてほっとしたいという願望があったけど、認知されてみたらみたで、それがどうした?だしね。そんなさ、世間の方だって細かく査察して、的確に判断して認知してるわけでもなくて、雰囲気に流されて、ろく考えもせず、テキトーにぼややんって思ってるだけじゃん。それがよく分かったし、そんな雲みたいなものに認知されたって別にうれしくないし、ましてやそんな雲みたいなものに「自信が〜」とか考えること自体が滑稽だよなと。だから今は「なにをやりたいか」だけです。以上、余談終わり。


 閑話休題、現場相談の話です。
 だいたい僕がお世話する皆さんは、オーストラリアに徒手空拳でやってきた「ストリートの戦士(志望)」なわけで、ぜーんぶストリートの上で教えてあげた方が学習効率高いとも言えます。なんせストリートは「教材」の宝庫ですから、「ほら、この電柱みてごらん、こういうところにもシェア広告が貼ってあったりするんだよねー」「おし、じゃ、電話してみようか〜?」とかさ。

 その意味でいえば、無店舗販売というか、「満月の夜、この巨木の下、月が中天にさしかかる頃にAPLACが始まる」でもいいし、誰かが魔法陣書いたり、護摩祈祷して盛り上がったら僕が呼ばれて登場するでもいいし(How?)。本質はソフトウェアなのであって、その質を高めることだけがクライアントにとって重要。だから僕にとっても重要。そしてソフトウェアというのは本来カタチがないものなのに、そこでカタチに囚われてどうする?とも思う。

 ならばその他のファシリティ(設備)は些末なことと言えなくもない。
 キッチン云々は結構実例があって、「これをキッチンと呼ぶのか?」という、流しがあって、あとは電子レンジの上のところに二枚の電熱プレートがあるだけとか。あるいはプレートも無しとか。最初は「論外!」だったけど、よーく考えるとアリなんですよ。なぜって?キッチンに関する限り必要な本質は「水」「熱」です。水は流しがあればよい。これは大体ある。熱は、分岐点になるのはそれがガスか電気か?だけです。で、ガスレンジは安全性の問題もあるのか、こっちには少ない。今の家はガスだから(それで決めた部分もあるが)いいけど、電熱系はトロいし、弱いし、ぺたっとくっつけてないとダメだから、WOK(中華鍋)作業が出来ない。そこで格段の差がある。でもそこはもうしょうがない。パラっとしたチャーハンは諦めろ、買えと(笑)。でね、そこが電気だったら、それが自前で買ってきたプレートだろうが(数十ドルで売ってる)、一見ゴージャスっぽいキッチンユニットであろうがなんだろうが、同じことなのよ。あとは見てくれと収納の差で、でも収納なんか要するに工夫次第でしょ。

 洗濯機もねー、今必要なのは皆の部屋のシーツ洗いとかがメインなのですね。自分のだけなら大したことないし、近所にコインランドリーやらクリーニング屋のバッグ・ウォシュを利用したらいい。電気代(けっこうかかる)や洗剤代、水道代(レートは大家持ちだが、Usageはテナント式も多い)、さらにスペースを考えたら、この際無くしてしまった方がスッキリする部分もある。どうせ置くなら乾燥機の方が重宝するとか(水回り条件に拘束されないから何処にでも置ける)。確かに考えどころではあるのですね。

 あ、ここまで突き詰めて考えるのは、基本、仕事場だからです。純然たる住まいを捜すだけならまだ簡単だろうし、その意味では皆さんの参考にならないかもしれません。建築現場の飯場みたいなものでいいんですからね。でも、泊まり込みの作業も多いし、PCに向かってあれこれ精神的な生産物もつくるわけですので、それなりのアメニティも大事だという。ちょっと変わってるんですけど、でもでも、考え方のコアにある部分はなんかの足しにはなるかと思います(よね?)。

二転三転

 かくして二転三転、四転、五転してます。
 いいなーって思っても、なにか致命的な問題が出てきたり。例えば、ほとんどこれかなと思ってたところは、テラスハウスの二階全部といういいところだったんだけど、問題は階段。テラスハウスの階段って異様に狭かったり、曲がりくねってたりするので、ウチの大きな冷蔵庫を搬入するのは無理じゃないか?という。さすがに冷蔵庫だけは外せないし。またゼロから買い直しなんてのも馬鹿馬鹿しいし。

 多少遠いけど、まあいいかってところは、異様なまでな競争率で(30人以上見にきてて、殆どがアプライした感じ)、落選。ほかにゲットするつもりで問い合わせたところは梨の礫だわ、しばらくしたら取られちゃってるわ。いくら自分が気に入っても、そこから先がまた難関だったりするのですね。だから瞬発的にバシッと取ってしまわないとダメ(それでもダメなときはダメ)なんだけど、でも逃したやつはダメでちょっとホッとしてる部分もあって、やっぱ難アリ妥協物件ではあったのです。てか、その頃には「修行」が足りなくてコンセプトの詰めが進んでなかった。

 今のところ、最終的に3軒候補があって、横一線で甲乙つけがたしって感じです。それぞれに一長一短あって、全然雰囲気も機能も違うので、Aになったらこんな感じで組み立てる、Bになったらこういう具合に、、という頭の体操になってます。

 で、ここからが参考になるかと思うのですが、ほとんどAというところに決まりかけました。もうアプリケーションも出して、通って、不動産屋でデポジット(手付)も払いました。1週間後に本契約ですってなりました。一週間もあるのかよ?とか思ってたのだけど、良かったです。その間いろいろ調べていて、すごい事実が発見されました。

おそるべきインターネット事情

 なにかというと「インターネットができないかも」という危急存亡の問題です。
 最初はねー、Glebeなんてトレンディで(死語か)、シティの隣のサバーブで、大学のお膝元の学生街なんだから、インターネット環境はバッチリだろうなーって軽く考えていたわけですよ。こんな山奥のLane Coveでさえ、20世紀からケーブルブロードバンドをやっていたわけですからね。ところがどっこい、インターネットがダメダメだったのですわ。

 なんでじゃー、いまはnbnも進んでいるし、なんでこんなところが、、と思って、、、あ、nbnというのは、ナショナル・ブロードバンド・ネットワークという、国策的にオーストラリア全土にブロードバンド網インフラを敷設しようという営みです。今頃やってんだよ、オーストラリアは。なんせ国がデカイですからね。人口密度も100分の1ということは、べった単純計算すれば、一人あたりのインフラの投資コスパが100倍悪いってことです。日本みたいに狭いところにひしめきあっていれば、インフラ投資も楽ですけど、オーストラリアみたいにすっかすかだと、場所によってはケーブル100キロ引いてご利益があるのは二人だけって凄いところもある。だから進まないのも無理はない。でも、それでも最先端的なエリアから先にやるでしょうって思ってたら、とんでもない。むしろ一番後回しなんじゃないかって思われるくらい。まあ、もともとnbnって過疎地救済という意味合いが強いから、それで正しいっちゃ正しいのかもしれないけど。

 こういう昔から栄えているところ、しかも大資本が金を投下して人工的に作った金まみれカルチャーではなく、ローカルで長年かけて育まれた味わいのあるカルチャータウンは、概して建物が古い。デポジット払ったA物件も、プレーンな状態で最初みたとき(たまたま先に隣室に空きが出てそこを見た)、なんだこりゃ?ってくらいヘンテコな物件でした。面白い作りなんだけど、もう廃屋じゃんってな感じで。しかし、同じ建物の同じような作りに住んでいるお姉さまの部屋を見る機会があって、それを見たら、インテリアが息を呑むくらい凄くて、アレがこんなになるのか!?とぶったまげました。素人離れしてるなと思ったら(長いこと話し込んでたのでわかったのだが)、この人アーティストで、数年前までヨーロッパに20年以上住んでて、またGlebeに帰ってきて(そういう人が多そうなサバーブなのよ)、絵を描くのだけど、カフェのデザインなんかもやってるというプロです。なるほどココはそういう建物なのか、おもしれーという感じで気に入ったのですが、しかし、それだけに古い建物のまま。ちょうど下北沢あたりの、古い民家を根城にしたカルチャー的なアジトみたいな感じです。

 それはいいんだけど、古いテイストがあるだけに、新しい設備がない。もう全然無い!まさかというくらい無い。このお姉さんにしてからが、インターネットなんかやらないという。今の時代に凄いなー、なんでそれでやっていけるの?と思うけど、あのくらいの人になると豊富な人脈と口コミだけで十分な情報は入ってくるんだろうな。洗濯機が置けないのもここで、正確にいえばくだんのお姉さんが「ここにおけるハズなんだけど」と説明してくれたのだが、自分では使ってないし(スペースの無駄だとばっさり)、どう考えてもどうして何故ここに?って場所だし(家のど真ん中)、そもそも排水をどうすればいいのかもわからない。

 まあ、そのくらいはいいんですけど、本題のインターネットです。nbnの話の途中でしたよね。で、国策ブロードバンドが来てるかというと全然来てない。来る気配もない。2020年までにはという一般的な予定があるんだけど、それすら怪しい。で、どこが来てるのか?というと、最近建てたばかりのマンション群ですわ。シドニーのnbnのマップを見てたら、それまで打ち捨てられたような閑散としたエリア(だからこそ大規模再開発ができる)からnbnが出来ている。環境がいいな、カルチャー的に面白そうだなってところは全滅といってもいい。つまりすでに栄えているところに後から新規にその種のインフラを整備するのって難しいんでしょうねー。




 上の地図を見たら一目瞭然ですが、簡単言えばブルーマウンテン(シドニーの先にある山岳地帯、首都圏でいえば丹沢とか山梨とか)に近づくほど充実しているってことです。もうパラマッタよりも近くは殆どダメ。なぜかStrathifiled〜Lidcomeが気を吐いていたり、Balmain〜Birchgroveが良かったりするけど、そもそもシティもダメ、おしゃれなパディントンも、人気のボンダイも、最先端のニュータウンも、どこもかしも枕を並べて討ち死にしてます。

 だからこれは、シドニーの新興住宅地はどこですか?MAPです。20−30代の新婚カップルが家を買うならこのあたりですよ〜という地図だと思ったらいいかも。そういえば知り合いの日本人女性がオーストラリア人と結婚していよいよ家を買いましたって話が数年前にあって、どこですか?というとScotdaleだとか。え?どこ、そこ?というブラックタウンのずっと先の新興住宅地です。80年代の首都圏の多摩ニュータウンみたいなものですね。関西で言えば、千里から能勢、泉北ニュータウンやら生駒やらって感じ。

 もっともnbnもあればいいってもんじゃなくて、これはこれで期待が大きすぎるせいか、全然つながらないぞー、遅いぞ―、ダメだぞーというクレームが多いのは新聞なんかで読みました。まあ、インフラ整備の初期はそうなっても不思議ではないんだけどね。

回線がある・ないの意味

 OK、なるほどnbnはダメでいいわ。これまで数多ある新興プロバイダーを物色してたんだけど、それもnbnベースのものはダメだわ。こうなったら、Optus(オーストラリア二番手の電話会社)、Home Wireless Broadband PlansというワイヤレスWiFiにしようかとおもったら、これもダメ!テレストラにせよ、オプタスにせよ、どこにせよ、このプランでいけるかどうか住所を入れてチェックするページがあります。たとえばここ。それでチェックしてみたら、なんとダメ!だというご託宣が。え、なんで?ワイヤレスだろ、これ、なんでダメなんだーって思っても、ダメなものはダメ。なまじ商店街の中にある由緒正しくクソ古い物件だからかもしれません。中継ポイントからのアクセスが悪いのかもしれません。とにかくダメ。

 唯一の頼みはADSLという脱力するような結果に。なにが悲しくて2017年にもなってADSLで、、とか思うのだけど、背に腹は替えられません。それでいくかと。で、また会社を物色していく間に、だんだんそれどころではないもっと悲惨な事態が見えてきました。この家、電話回線きてるの?home lineとか、land lineとか呼ばれる、家の電話ですね、そんなのあったか?と。なんか見てない気がするし、そんなのあるもんだでいちいち確認なんかしてなかったけど、あの家のことだから、もしかして、、、、と思って、あれこれさらに調べました。

 調べるってインターネット会社や電話会社に電話して聞くだけなんだけど、ココは覚えておいて良いのは、この「電話して聞く」というのが日本人にとって最大の鬼門だったりするわけです。なんせ英語、しかも専門用語、ややこしく複雑な料金体験その他、、、、そのうえ、「なかなかつながらない」というヘビーな問題があります。これは昔から問題になってて、加入するときだけ満面の笑みで揉み手してるくせに、あれこれ質問したりコンプレインしたり契約を解除するようなときは電話でやらないといけないシステムになっている。ショップにいっても、そういう儲からないのはやってくれないという。だから電話するしかないのだけど、これがつながらないよね。もう30分待ち普通。ISP(インターネット会社)の評判を書き込むサイトが幾つかあって、ココとか、ココとか、でもってレビューを読むと大笑いで、もう罵詈雑言の嵐ね。俺は68分待ったぞとか、そんな話が山盛り。まあ文句言いたい人が、怒りモチベで書くから、そういうレビューになって当然なんだけど。ま、そのくらいつながらないのですよ。つながっても英語がわからんでガチャ切りとか。

 でも最近は、ネットのチャットがよく出てきました。これ便利ですよー。24時間OKだし、そんなに待たないし、なによりも「筆談」ですから、聞き取れないということがない。ポップアップ画面で出てきますから、何か聞きたいときはおすすめです。もう聞きまくってます(笑)。

 で、最初は新興プロバイダーとのメールのやりとりでわかったのですが、やっぱりこの部屋には家の電話線はないと。無い!アンビリーバブルな。最近だったら携帯オンリーでわかるけど、こんなの築200年くらい経ってそうで、それまでどうしてたんだ?って。でもって、線を引くとなると、テレストラ(NTTのような一番手)に頼んで299ドルかかって、しかも4-8週間かかると。そして開栓、アクティベートをするのに89ドルかかると。なんだそれは?ADSLごときにまた400ドル近くも払えってか、2ヶ月待てってか?

 さらに事態は深刻の度合いを深めます。本家テレストラとチャットしてたら、テレストラにある記録原簿を見てもらったところ、いまだかつて回線がひかれたことがないらしい。記録がないと。そうなると、外のテレストラのポイントから線を引っ張ってくるのみならず、分厚い壁に穴を開ける作業が必要かもしれず、それはテレストラの管轄外で、自分で工事する人を探して発注しないといけないと。そんなの幾らかかるのか、どんだけ時間がかかるのか。そこまでやって、ようやくADSLかよ?涙がチョチョ切れるような話に。

 話ややこしくて悪いのですが、「回線を引く」といっても、物理的に回線設備があって現在も使えていて、単に名義登録を変更(新設)するだけの場合(アクティベート)と、物理的に回線はあるけど今は使っておらず、いけるかどうかチェックしてもらって回線OK確認をしてって前段階1があり、さらにそもそも物理的に回線がないのでその工事からやらねばならないという前段階2があると。お値段は最初から順番に、アクティベート89ドル、回線299ドル、さらに物理的敷設(時価)ということなんでしょうねー。ちなみにnbnが開通しても、ベースになるのは電話線らしく、やっぱココがダメなら意味ないらしい。

 以下、参考までにテレストラとの会話のログを掲示しますね。


General Info

Chat start time ***** 4:31:54 PM EST
Chat end time ***** 5:15:10 PM EST
Duration (actual chatting time) 00:43:15
Operator Cathy(仮名)

Chat Transcript

info: Thank you for choosing Telstra 24x7 Live Chat. A representative will be with you shortly. At the conclusion of your chat please take a few moments to give us some feedback on your experience today.
Your place in queue: 6 (順番待ち、あと6人です。朝の4時でこれなんだわ)
info: All agents are currently assisting others. Your estimated place in queue is 6. Thank you for your patience.
info: All agents are currently assisting others. Your estimated place in queue is 2. Thank you for your patience.
info: All agents are currently assisting others. Your estimated place in queue is 2. Thank you for your patience.
info: All agents are currently assisting others. Your estimated place in queue is 1. Thank you for your patience.
info: You are now chatting with Cathy(本当は違う名前だけど、プライバシーもあるだろうから仮名にします).
koichi: Hi good morning
koichi: I just wondering internet access on this address
Cathy(テレストラの人、仮名): Hi, Koichi. Thank you for waiting.
koichi: It;s OK
Cathy: Let me check on that for you. May I have your complete address so I can check it please.
koichi: The Adrees is
koichi: ****(住所、まだ決まってないので伏せておきます), Glebe NSW *****
koichi: I found that ADSL is avaible on that address, however, there might be no land line.
koichi: So my qesution is 1) Can you check whether land line at this unit? 2) If not, how many days and how much does is cost? 
Cathy: I can confirm that ADSL is available in the address. The telephone line is available although if there is no physical connection from our Connection point to your house for the telephone line, the connection will be installed by a technician and the cost for that is $299.
koichi: 299 dollers OK
koichi: Does it include activation fee?
Cathy: If there is a need for a trench to be dug, you have to do the trenching yourself.
koichi: Trench? what does it mean?
Cathy: No. The activation fee of $89 will still apply once the lines has been installed.
koichi: Oh costy,,,;-)
Cathy: True. It is really costy. The trenching is like digging a hole for the lines to go through. The trenching will only be done in your premise. Anything done from our connection point to the exchange will not be charge to you.

Cathy: Only the work that will be done from our connection point to your premise will be charge to you.
Cathy: You can check our trenching requirement on this link: Lead In Trenching
Cathy: It would have everything that you need to know about trenching and the turn around tine.
koichi: so trencing is included in 299?
Cathy: No. Trenching is different cost. You would have to hire a contractor to do it. They will charge you for it although that charge will not go to us.

koichi: OK so you can't tell at this moment
koichi: Do you have any record?
Cathy: No. The contractor that you will hire will be the one to advise you of the cost.
koichi: recently land line is in that address or not?
koichi: If previous resident used land line or have that one, there should be some record
koichi: Once some one got the line,
koichi: there should be the same condition
Cathy: That is correct. Although for your address, there is no previous line found.
Cathy: This means no one has installed a telephone line in your provided address.
koichi: Oh really!?
koichi: unbelievable,,,nowadays,,
Cathy: Yes. We don't have any record of a line being activated on your address. Nowadays there are people who don't want telephone lines anymore as they have their mobiles.
koichi: Alright other than ADSL, is there options?
Cathy: ADSL or ADSL2+ are your only option in the address for now.
koichi: Mobile wifi, how about?
Cathy: We currently have Home Wireless Broadband being offered on this link: Home Wireless Broadband

Cathy: Although if you intend to use more than 50GB/mo it would be best to get ADSL or ADSL2+ as home wireless broadband is limited to 50GB and cost more than ADSL or ADSL2+.
koichi: is this avaibale on this premise
koichi: Yes it cost much
Cathy: It is available in the address provided.
koichi: but spending 299 and or more 89 and trenching fees, waiting ,,how long
koichi: I think 4-8weeks isn't it?
koichi: and finally get ADSL.... doesn't make sense
Cathy: I agree with you, the wait is about 20 days for the lead in and another 5-7 days for the activation of the service.
Cathy: Unfortunately, Cable is not available in your address and when NBN gets installed, you would still need to have an active telephone line for it.

koichi: OK hopeless site lol
koichi: OK Now I understand the situation
koichi: Thank you very much
Cathy: No worries. Koichi.
Cathy: By providing all the needed information for your questions, I wish to know if you are going to answer that I have resolved your query today?
koichi: OK I'll do it
koichi: Yep I got it
Cathy: Thank you. I am happy that I was able to resolve your enquiry for today, I would really appreciate if it would also reflect on the feedback that you will leave me. Have a wonderful day, Koichi. Cheers.
Cathy: Thank you for using Telstra Live Chat. Please end the session by clicking on the "+" and then "End Conversation".
 とまあ、こんな感じです。
 テレストラの場合、終了後、希望するとログをメールで送ってくれます。上はそれをコピペしたもの。

 ちなみに、さらにあれこれ検討した結果、Mobile WiFiだったらいけるんだけど、その代わりコストがべらぼーに高い。1GBあたり10ドルとかいう凄い価格で、60ドルくらいで月間200GBの現状に比べて、ドえらい違いです。50GB使ったら500ドルかよー。さらにあれこれ調べていくと、オプタスのSIMオンリープランというのがあって、これだと50GBで70ドルという優しい価格でした。まあ、これでもいいけど。50GBでも今の4分の1だけど、でも実際そんなに使ってないしね。今度はゲストルームもないから、基本自分だけだし。それにA物件の場合、通り隔てて向かいが図書館だから、ネットフリーで出来るし、そこで仕事しててもいいんだよな、冷房きいてるし。ただ、SIMベースで動くかどうかもあるし、Unlock(SIMフリー)になってるかどうかもポイントで、さらに研究中です。なぜって、うまくすれば、これを日本に帰省したとき持って帰って、日本でDATA SIMだけ買って入れるという手もありますから。もっとも、そうなると電源の問題が出てきて、ステップアップ・トランスフォーマー(電圧をあげる変圧器)がないとダメとか?でもこの手のものは大体電圧コンバートできるようになってるしなあ、うーん、、とかまた調べだして、キリがないし、キリがない分、ふーん、そうなんだーという勉強にもなっていいです。

認知症的不動産屋

 良い物件があっても、Application Form(申込書)を出せばいいってもんじゃないのですね。それですっと通る場合もあるけど(幸いなことに僕の過去の3件は全部それだった)、そうはいかない場合も多い。しかも何故うまくいかないのか良くわからないというケースも多い。

 ともあれアプリケーションを出すといっても、これが大変。個人情報全部出せ的な、IDチェックがあります。パスポートのコピーやら免許証やらあれこれ。以前は手書きでシコシコ書いて、パスポート現物などと一緒に持っていって現場で〜って感じだったけど、最近では、オンラインでも出来る。不動産共通のサイトがあって、例えば、t-Appってサイトを経由してやれって場合もある。僕もやってみたのですが、まあ細かい細かい、根堀り葉掘り。でもってスキャンしたパスポートのPDFやらをアップロードする形式になっていて、せっせとスキャンしてあげておきました。これが良いのは、一回作っておけば、あとは何件でも使いまわしが出来ることです。楽よね。

 おおー、知らない間に進んでるなーと感心したのですが、感心したのはそこまでで、あとはオールド・ファッションのオーストラリアが厳然として存在していました。

 なにかというとですね、「仕事をしない」攻撃を食らうわけです。大体土曜日にオープン・インスペクションがあって、日曜日に書き込んで送って、月曜の朝に処理だから月曜は忙しいのはわかる。でも、待てど暮らせど返事がないから、もうダメなんかなーと思ってたら水曜日くらいに連絡があって、遅いよ、もう他に決めちゃったよとか。あと、週の中日に連絡取って、気に入ったら手付打ちたいんだけど、いつ行ったらいい?と問い合わせても無視され、連絡しても外出中、伝言頼んでもそのまま、そんなこんなで週末になったら又インスペクションをやっているという。なんじゃそら、お前、メール読んでるのか?って。まあ、先週はオーストラリアデー休日があったから浮かれ気分で仕事してないんだろうなー。今日、他の人からも似たような状況になってるという話を聞きました。せっかく時間かけてt-Appで申請しても、ファイルが開かないから見てないとかさ。

 ともあれ認知症のボケ老人と話をしてるみたいなもので、話が通ってると安心してはいけない。ゲタを穿くまでわからない。でもって、住み始めた住み始めたで、また故障しました、直してくださいって連絡してもナシの礫。でもレント(家賃)の値上げだけは、実に勤勉にやってくるという。これは多くの在豪日本人の方の共通トラウマになってることと思います。いやー、海外、大変だわー(笑)。でもね、まだオーストラリアなんか全然マシな部類で、何をやるにも賄賂を渡さないと何一つ物事が進まない国だってあるしね。

これでいいのだ

 しかしね、仕事なんかこんないい加減でいいのか?ってことです。
 ここから3つのことが考えられます。一つは、仕事なんかこのくらいヌルくやらないと豊かなプライベートタイムは得られないんじゃないかってことです。ビジネスつっても所詮は他人のゼニカネ勘定の話だしねー、人間性の根幹に関わるようなことでもないし、その程度でいいのよねーって発想です(その代わりボランティアは熱心にやる)。

 もう一つは、こんないい加減な仕事ぶりでありながら、ここ20年以上、日本よりも経済成長しているってことです。逆にいえば、今の日本の「頑張る」感覚でやってても、それだけではリアルな成長には結びつかないかもしれないという視点。第三に、これはちょっと前に書きましたけど、こんな仕事ぶりでも、あいつら今の日本人よりもずっといい給料もらってるんだで?という点です。これはいいなーって話ではなく、永住権などで、日本人はシャイで引っ込み思案だから中々チャンスをゲットできないんだけど、一回ゲットしてしまえば、あとは周囲がこのレベルだからすぐに頭角を表すってことです。ライバル激弱。だからそれまでの辛抱であり、そこが勝負ポイントになるという。

 ちょい話がズレますが、それに関連して、


 この図、よく見ます。 いろいろなブログその他で紹介されて久しいです。Googleで画像検索かけるとこんなに出てきます

 が、この出典がわからない。「OECDデーターベースより、日本は毎月勤労統計より」って一応書いてあるんだけど、OECDのデーターベースって死ぬほど資料があるから、実際に探してみたけどよくわからなかったです。これだけ世間に流布していながら、誰も出典をあたらないの?というのが逆に不思議で。統計数値とかグラフとか、設定になる前提を1ミリずらしただけでガラリと雰囲気が変わったりするし、細かい前提条件をチェックしないと飲めないです。グラフや統計になってりゃ正しいって思うのは危ないっす。

 例えば、パートとか非正規ばっかり増えたら、総体としての賃金水準は下がりますよね。低い給料の人が増えるんだから全母数で割れば平均は下がる。だから経済下降の資料になりうる。でも、その分、雇用者数は増えるし、失業率も改善されるから、経済上昇の資料になる。同じ現象なんだけど、視点を替えたらガラリと変わる。だから全部並べてみないとわからんのですよね。それに、推移をいうなら、正社員だけの賃金変化、パートさんの変化って種別に比べないとわからない。でも各国が同じフォーマットで統計をとってる保証はない(てか普通違うでしょ)。それを無理やり比較するってのも乱暴な話ではあるのです。

 ただし、このグラフに関して言えば、細かな検証抜きにして、感覚的にはそんなもんかなーって気はします。他の国は知らないけど日豪でいえば、日本がジリ貧でオーストラリアが上昇という大きなところはそうでしょう。さらに率がこうかどうかは細かくはわかりませんが、オーストラリアの生活実感としてはそうかなーと。家賃相場でいえばもっと上がってます。今回94年に最初に住んだ物件もあったんだけど、当時220ドルで2BRだったのが、今は500-600ドルしますから2−3倍はしてます。賃金も同じくらい上がってるとは言えないけど(だから皆苦しいのだ)、概ね2倍くらいかなー。ワーホリさんのジャパレスバイトの時給も、10年前くらいだったら8ドル当たり前だったけど、今では普通に12-13ドル前後じゃないかな。だから10年で伸び率50%以上だから20年で倍というのも、あながち間違ってはいない。日本の方は住んでないのでリアルな感覚はわからないんだけど、20年前に比べて楽にはなってないと思います。


 さて、それはそうと、いい加減そろそろ決めちゃわないとね―。

 あ、実践的なアドバイスでいうと、こんないい加減な環境でどうなるかというと、「決まるときは決まる」です。それが一番生理感覚に近いかな。ほんとイケるときはスパン!っていけるし。だから必死に考え抜いて、戦略練って〜てのも大事だけど、まずその通りいかないから、良い意味でも悪い意味でも「なりゆき」ですね。

 それを一般化したら、およそオーストラリアで(実は日本でも同じことなんだが)、何事かをしようと思った場合、算数のドリルみたいにキチキチ積み重ねていけば確実になんとかなるってもんじゃないです。そういう行為も大事なんだけど、それは全体の一部に過ぎない。より大きくは、ポーカーや麻雀やってるようなもので、「来るときは来る」「あがるときはあがる」です。それがコツだと思います。

 計算づく・調査命でやる部分と(上でみたネット環境調査とか)、人事を尽くして天命を待つ的な、潮の満ち引きのような運気の流れみたいなものと上手くやっていく部分と、両方あります。そして、最終的なカンドコロでいえば、ポーカーや麻雀がそうであるように、そのこと自体を楽しむことだと。ポーカーが算数ドリルみたいだったら、全然面白くないわけですよ。ふうわりとした運気の流れ、それと取っ組み合ってじゃれあって遊ぶような感覚、さらにその過程で見えた風景の面白さ、そんなこんなをトータルで楽しむのが大事なんだと思います。




 オーストラリアの図書館はどこでもそうですが(日本でもそうだけど)、雰囲気いいですよねー。




 なぜか建物の横に家庭菜園みたいなものが。ひまわりが大きかった。



 文責:田村




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