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今週の一枚(2016/04/04)



Essay 768:人工知能をめぐる雑感

 〜感情知性の重要性〜IQからEQへ

 写真は、North Rydeにある"Northern Suburbs Memorial Gardens and Crematorium"から見たChatswoodの高層ビル群。長ったらしい名前ですが、要するに火葬場です。とっても美しく手入れされた広大なガーデンになっています(どこに火葬場そのものがあるかパット見にはわからない)。

 大体シドニーのガイドなどでは、このChatswoodの摩天楼部分だけを切り取って紹介されるのですが、実際にはこんな感じなんですよね。周囲を膨大な森林住宅街で覆われているという。

人工知能とリストラ

 今週は、先週までのマネタイズ論の流れで、とりとめもなく書きます。多分カチッとまとまった感じにはならないと思いますが、まあ、漫談みたいな感じでお読みくださいな。

 マネタイズ(お金)系についてなんでしつこく書いてるか?ですが、これまでの「お金を稼いで(仕事をして)生計を立てる」というパターンが将来的に変化していくだろうなーと漠然と思うからです。その理由を細かく並べていくとそれだけで一本終わっちゃうので端折りますが、まだ書いてないことを。

 最近話題の人工知能。囲碁のチャンピオンに勝ったとか、マイクロソフトが開発した人工知(Tay君)で世界公開のプロモをやってたら「ヒトラーは正しい」とかトンデモ発言をして慌てて主催者が幕引きをしたドタバタ劇とか直近でもニュースに流れてます。いよいよSF的なロボット支配のデストピアになるのか論が、興味本位で語られている今日このごろ。

 一般庶民にとって、そのあたりはただの世間話ですけど、自分の仕事が奪われるというレベルの話になると切実になってきます。これは前にも書きましたけど、「こんなん機械で代替できるだろ?」という仕事は山ほどあると思います。要はプログラミング(質問設定)のやり方一つで、じっくり時間かけたら大抵の仕事はなんとかなるんじゃないかな。

かなりの部分は代替可能

 昔やってた弁護士職でも、一定部分は機械(人工知能その他)でさばけると思います。それがどのくらいかは事件の種類(これは数十パターンある)から一概にいえませんが、機械処理に馴染む分野は確かにあります。

 例えば、最初の事情聴取で事件処理のアウトラインを描いていくのですが、この大部分は数十ある前提事項をルーティンのように潰すだけです。例えば離婚だったら、結婚何年目で子供がいるか、家のローンはあるか、収入はいくらか、双方家族関係はどうなってるか、破綻の理由はなにか、それは立証できそうか、、、なんてのをインプットすれば、ある程度こうすべきって方向性は出てくる。自己破産でも、一番厄介なのは債務の詳細と債権者リスト作りでこれに時間を食うのですが、これも言ってみれば地味で機械的な作業です。相続でも相続人と相続財産リスト作り。

 今は、この面倒臭い作業をシコシコと人間がやっています。そのあたりの基礎ルーチンは、経験知識はそんなに豊富ではないけど単価が安くて時間をかけられる人(つまりはイソ弁や経験豊富な事務員さん)がやったり、場合によっては全件任されたりします。パターンが決まってるからですね。いわゆる過払い請求なんか95%は機械処理で出来るんじゃないかな。

 これが証人尋問の打ち合わせやら、現場の検証、各証拠の評価や矛盾点、大きな戦略と小さな戦術の立案、準備書面や最終弁論などの書き物になってくると、パターン処理に馴染みにくいから人がやらないと難しいでしょう。でも、離婚、交通事故、相続、個人破産程度の領域だったら、ある程度のパターンは読めますから経験が乏しいイソ弁でも出来る。イソ弁が出来るってことは、丁寧にプログラミングしていってやれば、ある程度は機械で代替可能なんじゃないかなー。入力作業がひたすら面倒臭いけど、バイト君にやってもらったらどうかな。しかし、政治、財界、暴力団のややこしい絡みになってくると難易度が上がるから大ボスがやらないとダメでしょう。

 こうして見ていくと、他の仕事だって似たようなものじゃないかな?旅行の計画でも、経営コンサルタントでも、税理士でも、また一般の商業デザインでもなんでも。どんな仕事だって、最初はズブの素人が現場をこなして経験と知識を増やして一人前になるのですから、その学習過程はある程度論理的に記述できるわけです。だからこそ「教育」ってことが出来るわけだし、だからこそ「キャリア(職業経験)」というものが重宝されるわけでしょ。人間に学習可能なら、機械にも学習可能でしょう。これまでは機械の性能が低かったり、プログラミングや入力が面倒臭いから活用されてないだけで、そこがクリアされたら(多分クリアされるでしょう)、もう人間いらんもんねって話になるかしらんです。

 翻訳も、今はまるでダメだけど(言語系は変化が複雑でしんどい)、やがて上手になっていったら、今はバイトに出している「下訳」というのを機械でやらせればいい。医療だって、検査データーの読み取りと処方くらいだったら半分から8割くらいの患者は機械だけで済むでしょう。でも、医者が本当に意味あるのは、「大丈夫ですよ、ただの風邪ですから、温かくしてゆっくり休んでいてくださいね」という人間的な安心感だと思います。慈父的な輝きをまとった温顔と声です。この先生のオーラと顔でそう言われるとすごいほっとするという。これは機械ではできない。でも、あんまりそのあたりを重視してない医療現場もあるやに聞きますし、逆に人間的説得力が全然ないお医者さんもいるかしらん。この人に何を言われても信用しにくいという(笑)。そういう場合は機械でいいじゃんってことです。あとでも述べますEQ値が低い人がやるくらいだったら、機械にやらせたほうがむしろ良い。

 要するに「経験知識が豊富で親切なスタッフとじっくり相談する」ということをやれば、かなりのレベルで最適解の8割方はいくと思いますよ。人間がやるのはその結果のチェックです。こんな事例で、クライアントの意向はこうで、こういう解決を望んでいるから、この方向で処理を進めていいか?というポイントで判断を下せばいい。優秀な部下を持ってるようなものですね。そこでチェックするのは、プロならではの技能でしょう。「依頼者はこうしたいと思ってる」って部分で、「あ、これはカッコつけてそう言ってるけど、本音は別だな」とか、「こういう状況」という自主申告の部分でも「このあたりが嘘くさいな」とか、そういう部分にアタリをつけて、実際に会ってみて確かめるという。それが2割部分です。

ユーザー・インターフェイス

 ポイントになるのはコスパの問題であり、UI(ユーザーインターフェース)でしょう。
 UIは、画面に「なんでお困りですか?」とか出てきて、家庭関係、事故、お金、近隣、相続、仕事、、、とか選ばせて、あとは絞っていく。その画面の設定、プログラミングでしょう。これって、でも、1年くらいじっくり時間かけて作っていけばかなりのレベルのものが出来るはずです。離婚や交通事故くらいだったら、作れと言われたら僕でも作れる。1年も要らないんじゃないかな。ラフにつくるなら1週間でできるし、あとはプロトタイプ(試験品)を動かして不具合をチェックしていくの数ヶ月ってところでしょうか。

 商業デザインやWEBデザインなんか創造的な仕事も出来るのか?といえば、出来るんじゃないですか。なぜなら実際においてはそれほど「創造的」ではないからです。フォントやロゴなども、過去のあらゆる類例をデーターとしてぶち込んでおいて、業種、職種、商品の種類、見た目の感じを入力させて、「こんなんどうですか?」で次々に表示させていけばいい。微調整で「もっと明るい感じ」「インパクトを強くして」「上品な感じに」とか選ばせて微調整させていく。最終的な細かいタッチはプロがやらないとダメかしらんけど、ラフなコンセプトを詰めていくだけだったら機械でOKでしょう。でもって、機械だけで全部済むならデザイン料は3000円、プロがからんでくると3万円でもっといい仕上がりになりますってなったら、3000円でもいいかって客も多いと思います。もっといえば、そういうマシンをどっかのショッピングセンターの階段横にでも置いておいて、1分100円のコインを入れて作業させて結果をデーターでくれるというプリクラみたいなシステムにしてしまうこともできる。そうなったらデザイナーさんも結構失業するかもしれない。てか、昔からネットの著作権フリーだとか、無料名刺作成とか幾らでもありますよね。

 実際、Shapswayという3Dプリンターのサイトでは、細かなデザインや3Dの仕様については大胆にも全部顧客に振っちゃっています。普通が社員が営業であれこれ相談して、いろいろ試作品を作って、、、というところを、全部客にやらせてしまっています。そこがスゴイところですね。だからロットも1個から受け付けられるという。

 仕事の完成度をあげるのは、やっぱ客とのインタラクティブな部分、「もっと◯◯な感じ」という問答を洗練させていく点にあると思います。その種のプラグラミングや、インターフェイス質問ライター、デザイナーという職種がこれから伸びていくかもしれません。実際、Shapswayでも、あまりにも「自分でCADで設計して発注しろ」と突き放し過ぎているので、一般素人顧客と3D仕様との間のユーザーインターフェイスを埋めるという新たなビジネスチャンスが出てくるわけで、そこをAPLACの卒業生の渡辺さんがやっていて、実際に成果もだしています。今のデザイナーさんの仕事も、多分この辺りの「人間的なタッチ」部分に特化し、それを機械に翻訳してあげる部分がポイントなんじゃないかなー。インターフェイスですね。

 現在のプロが、徐々に機械に奪われる職域を逆に奪回するのは、そのあたりにヒントがあるのかもしれません。要は、顧客とのインターフェイスが人力か機械かに変わるだけの話、医療の診察前に問診票を書かせるのと原理は同じことですから、その点を充実させていく。例えば、自分で(簡単に)プログラミングできるソフトがそのうち出来て、それを使って自分の事務所用のものを作成し、それを事務所の入り口に置いておいて(あるいは事前にオンラインでの申し込みの際に入力させて)、「初めての方ですか?YES/NO」「今日はどのようなご用件ですか?」でやっていけばいい。それは事務所によって千差万別だろうから、それを個人で組んでしまえば下働きの人たちを雇う必要はないです。IT業界もそのあたりの個人受注に応じてプログラムするような職種が伸びるかもしれない。つまり単に機械言語でプラグラミングをするだけではなく、専門業界における顧客の注文のフローチャートを作っていくことですね。

 これって要するに優秀なマニュアルが作成できるかどうかです。優秀なマニュアルが作れたら、この種のユーザーインターフェイスのものは作れるでしょう。どんな仕事や作業にも「ここで迷う」「ここで困る」という「ツボ」があります。それを踏まえて組み上げていけば相当な事ができますよ。僕がやってるシェア探しの特訓なんかもそれですから。全然英語が出来ない、全く聞き取れないという前提で、「まず◯◯と言え」「こうなったらこう言え」とか、ツボをいくつか設定してそこを重点的にやれば誰でも出来るようになる。簡単なシェア探しのプラグラミングくらいだったら作れると思う。ただし、それだけだったら「仏作って魂入れず」になるので、一番大事な学びどころは人間がやらないとダメだけど。

 今、世間のビジネスオーナーがやってるのは、新人を雇って、イチから教えるためにマニュアルを作って、読ませて、でも覚えてないからまた口頭で教えて、それでも覚えないから叱って、やっと覚えた頃には辞められて、またゼロから教えてってことでしょ。だったら、リキ入れてプログラミングして、それを顧客にやってもらったら、3人雇っているのが1人で済むかもしれない。

コスパの問題

 マシンとソフトを導入するのに1000万もかかるんだったらビビるけど、月々3万円のリースでオンラインで自動アップデートならソロバンに乗ります。弁護士相談料1時間1〜2万円とかしますが、最初の1時間くらいは「聞き取り」に費やされるわけで、それを本人が入力してくれれば済む。その回答例をプロが見たら、1分で「ああ、こういう感じね」と頭に入ります。次にやることも見えてくる。あとはその指示と実務処理です。「住民票2通とってきてください」とか、それをコピーして・折って・ホチキスで止めて・二穴パンチして、正本・副本・謄写という各ハンコを押して仕分けして、これは裁判所に提出分、これは自分で保管分とかやる。これは事務員さんの仕事ですが、これは人がやった方が早い。でもそこはコスト安いね。「先生」の部分がコスト高いので、それを機械で省略できれば全体的にコストダウンするでしょう。かなりね。

 もっとも、そのホチキス作業だって、裁判所が省力化をはかってくれて(ここが公務員だから人員削減したがらないね)、いちいちコピーした紙やら原本を持っていくのではなくオンラインでPDF送信でOKだったら純然たる秘書作業だけで足りる。もっといえば裁判の口頭弁論なんかも減らせるし、証人尋問だってシナリオ通り進む主尋問だけならビデオで撮って送ってしまって、反対尋問と補充尋問だけ法廷でやれば足りるんじゃないか。それを言うなら、一般公務員の住民票を出す作業とか届け出の殆どはオンラインで済ませられる筈だし、内部での統計処理とか面倒臭いのはインドあたりにアウトソーシングしちゃえば税金も有効に使える(有効に使っちゃ美味しくないんだろうけどさ)。

機械化しやすいもの、しにくいもの

 僕がやってたのは市民事件といって一般市民のイザコザ多く、額は低いけど、難易度は一番高いです(=苦労する割には儲からない系(笑)。もーねー、人の数だけ事件のキャラとか陰影やら「ひねり」があって、そこが難しい。例えば、本件とは全〜然関係ないんだけど、実は依頼者が誰それと不倫関係にあって、なんかの拍子でバレてしまわないかが心配で、、、とか「人にはいろいろ事情がある」のですよ。交通事故の話をしてるだけだったのが、最近子どもと意思疎通がうまくいってないとかいうお悩み相談にシフトして、しまいにはそっちがメインになってみたりとか。そこでは生身の人間の信頼関係が大きくなり、そっちに時間が取られ、かつそういうことを丁寧にやることで顧客の信頼を得られるわけですね。前回まで力説していたいわゆる「非マネタイズ」部分です。でもそこは機械化できない。そんなことまで予想して事前にプログラミングなんか出来るわけないですから。境界紛争でも、あの庭の柿の木には思い出があって、、とか、そんなの誰が予想できるというのだ?

 そこへいくと、大企業の顧問なんか簡単ですもん(敢えてそう言いたい)。同じようなパターンが大量にあるし、資料もなにもかもきちんと揃ってるし、法務部の連中も優秀だから、はっきりいって弁護士なんかいらない事件も多い。ただ弁護士にアウトソーシングした方がコスト安いからしてるだけの話で、もっとコストが安く済ませられたら司法書士さんにいくし、あるいは自分らでもできるし、実際やってる。貸金請求の焦げ付きで、支払命令を簡裁に申立てる位だったら企業が本人訴訟でやってるでしょ。大企業系でプロが絡まないとダメなのは、ユニークな新規プロジェクトにおける関連諸法令の調査とか、中央官僚とパイプがあってそれとなく探りをいれるとか、財界の大物連中に根回しをするとか、そのあたりの難しいパートで、これは熟練のプロや大先生でないとできないです。でも、比率でいえばそんなに多くない。

人を減らせる→リストラされる

 トータルで言えば、いわゆる知的労働の80%くらい(これは腰だめの数字ですけど)は、機械に代替できると思うし、僕らがやってる仕事というのも、煎じ詰めればその程度のものだと。だとしたら8割の人件費は削減できるし、それを機械購入・リース・メンテ費に置き換えるわけで、廉価で優秀な商品が出てくるにしたがって徐々に人減らしは進んでいくでしょう。単純計算でいえば知的労働(ホワイトカラー)の8割は失業するだろうなーということです。だってそうした方が儲かるんだもん。

 高度なマネジメントを要求される年収2000万円以上の職であろうとも、かなりの部分代替できると思いますよ。てか、それこそが人工知能の本領発揮ですからね。あらゆる可能性を考え最適解を出していくのは得意中の得意です。詰将棋を解くような部分が多いから。経験豊富なドンのようなトップが部下(平取締役)に「現状はどうなんだ?」「どうするつもりだ?」とか聞くわけですけど、その回答くらいだったら人工知能で出せると思う。なまじ規模がデカくなって、係数処理に馴染むものほどそうです。実際、投資顧問会社やファンドの数千億円レベルのポートフォリオの組み換えなんか、独特のアルゴリズムを使って人工知能がやってるわけでしょ。インプット係数の変化に応じて1秒の間に機関銃のように高速で売買注文を出し続ける。そんなの人間には到底できませんから。

 馴染まないのは、さっきも言ったように人的不可解な要素が多い少額案件。百円の釣り銭を間違えた/間違えてないで水掛け論になってレジで殴り合いになってとかいう案件で、そこでは金額ではなく、その人の生きていく上でのプライドとか、人生上の恨みつらみとかそこらへんが焦点になるのですね。非常に人間臭い部分。これは機械にはできない。「おっしゃ、もうトコトン話聞いたる」「もうね、わしゃ、悔しくて悔しくて、、、」「なるほどね〜」「わかってくれはりまっか?」というやりとりを延々と数時間やらねばなりません(笑)。それに比べれば数百億レベルの案件は、そういう人間臭い部分がカットされてきて純粋に経営判断になるから、データー的なものが意味を持ちます。百円釣り銭案件はデーター(係争額が百円とか)的処理はなじまない。

上の方がリストラしやすい

 だから上級管理職でも、平取なんかでも、どんどんクビにして人工知能にやらせたほうがいいかも。平取や局長部長級をクビにした方が組織はすっきりするしねー。人件費も浮くしねー。ムチャクチャ言ってるように聞こえるでしょうけど、そんな気もするよ。そりゃ勿論、あのあたりの上級管理職は、師団長や連隊長として部下の人心を掌握しているし、そこが大事なんだって意見もあるでしょう。人間的な存在感に意味があると。確かにそういう人もいるでしょう。でもそうでない人もいる。そして、そうでない人による被害が大きい。

 大体トップ近辺のマネジメントって人が多すぎるから問題なんじゃないですかね?例えば派閥です。あのへんの準トップくらいになると、次期社長の座をめぐってライバル派の足を引っ張ったり、報告すべき案件を握りつぶしたり、あれこれ陰険なことしよるよね。逆に優秀で実力もあるナンバー8くらいになってくると今度は「野心」とか持ちますよね。かといって、長年滅私奉公してるから、今更クビとも言えないし、会社の内情に詳しいから妙に恨みを持たれてライバル社に行かれたり、内部告発とかされたら困るし。つまりは非常に「人間臭い」。

 この人間臭い、生臭い部分が、トップ近辺のマネジメントの一番難しいところで、天皇のようなオーナー社長の周囲をイエスマンばっかで固めてしまえば、今度は高転びにころんで天守閣炎上になるし。古来からそのあたりで大体揉めてますよね。皇帝の宮廷では日常茶飯事のように陰謀や暗殺があり、大奥では陰険なイジメがあり。そういうプラス部分とマイナス部分をトータルで考えてみて、結局こいつら役に立ってるのか?生産性に寄与しているのか?というと、マイナスの方が多いんじゃないの?だから人多過ぎだと。これに対するもっとも有効な方法論は最初から人を減らすことですわ。人がいるから揉めるのであって、減らしてしまえば派閥もなくなる。

 そもそも株式会社=金儲けマシンという、純粋に経済的な(新自由主義的な)ドライな割り切りに傾くならば、トップ自体も要らないですよ。人間は確かに職人技的な優秀な判断や実務をこなすでしょけど、人間だからこそ下らないメンツや執着に囚われてアホなことをする。プラマイで言えばマイナスの方が大きい場合が多い。だとすれば、人工知能にやらせておいて、月イチで定期的に優秀なコンサルティング会社にチェックさせた方が株主の利潤としてはプラスではないか。複数のコンサルに相見積のように競合してチェックさせれば大体のところはわかるでしょ。数十億円の役員報酬を払うよりも何十分の一の経費で済むし、そんな高給に見合う働きをしてるとも思えんのだけど。

 これを暴論だと思う人は、会社が左前になったら銀行団が人員を派遣して経営を乗っ取ってしまう風景をどう解釈するのだ。要するに優秀だったら部外者でもいいのだ。買収でもそうだし、国による企業再生でも全然関係ない人たちを経営陣に迎え入れるわけでしょ。JALだって、日本郵政だってそうでしょ?一定の能力があったら誰でも出来るんだわ。取り換えがきく。むしろ自分らではシガラミ多過ぎで人心一新レベルの総取り替えが出来ないからこそ落ち目になるわけじゃないか。上ほど取り換えがきくし、上を取り替えた方が即効性で結果が変わるのだ。プロ野球やサッカーの監督と同じ。

 ということで、上級職でも安心はできないっしょ。てか、本来の意味でいえば上級職「こそ」安心できない。それが今の日本で安心できるのは、それだけ平和ボケしてトロいから、遅れているからにすぎない。旧態依然としたオーナー一族の封建的支配とか「殿様ごっこ」やってるからであり、今でこそ過去の遺産と老いた忠臣の頑張りでなんとかなってるけど(信玄亡き後の武田家みたいに)、遅かれ早かればたっと倒れるでしょう。そうやって上の人々が全体に減ってくると、政財界とのパイプが〜とかいっても、人がいなくなるんだから意味無いじゃんってことにもなる。だから、天下りという下らない税金喰い虫の風習も余地がなくなる。その方が良くはないか。

 逆に安泰なのはマックジョブ系で、機械の方がコスパ的に高くつく分野ですね。生産性の低い分野です。コンビニ弁当の盛り付けとか、どこにパセリを置いて、ここにコロッケを置いて、、というのは、もちろん機械で出来ます。1000分の1ミリで集積回路を作ってるロボットからしたら、巨大なパセリくらいお手のものでしょう。でも、弁当製造ロボットの初期導入費用が1500万円とかするならバイト雇ったほうが安いですよ。手狭な厨房で置く場所もないしね。でも、ロボットが18万円くらいになってきたら、もうバイトくんはクビでしょう。

 ということで、このまんま進んでいったら、8割くらいは生産性の低い時給仕事になり、残り2割も時間の問題かなーという気もしなくもない。だから機械では代替出来ない方向に経営やサービスもシフトすべき、あるいはいかに機械を上手に使いこなすか系になるでしょう。


上の写真の地点から望遠レンズで覗くとこんな感じでChatswoodが見えます。



世の中が変わる(1) 勉強価値が下がって感情価値が上がる

勉強できても意味なくなる

 まあ、そこまでは分かるんだけど、さらに推線を伸ばして=機械の方が人間よりも頭いいです、使えますってことをになっていくとですね、この世界の秩序がひっくり返ります。大げさに聞こえるでしょけど(笑)、でも、満更そうでもないよ。

 なぜって、そうなると「アタマがいい」「勉強が出来る」ということの価値が減ってくるからです、しまいにはほとんど無価値に近いくらいになってきたらどうか?そうすると何のために勉強するの?大学行く意味あるの?って話になりませんか?今の日本(世界)の秩序って、アタマがいい(勉強が出来る)→高収入・幸福人生じゃないですか。戦国時代における「喧嘩が強い→いい人生」というフォーマットの現代版ですよね。

 えらいことのようで、なんのことはない、普通の自然の状態に戻るだけです。大体ですねー、お勉強ができるから→いい人生って、なんかおかしくないですか?なんであんなガリ勉野郎がエライわけ?人間的魅力ないんですケドって思ったことないですか?クラスでも人気ないしね。小学校低学年のナチュラルな人間世界では、かけっこが早いとか、絵が上手とか、ギャグが面白いとか、人柄がほがらかだとか、そういうことで自然と人を評価してたでしょうに。そこではベンキョが出来ることは、ワンノブゼムの価値ではあるけど、それ以上でもそれ以下でもない。知らんと思うが「オバQ」に出てきた「ハカセくん」くらいの立ち位置で、それなりにリスペクトはされるけど、でも突出はしてないという。それでいいじゃん。今がおかしいわけで、だから勉強の価値が自然低下するのは、ナチュラルライフという観点からしたら、僕は賛成ですけどね。その意味では、世の中ひっくり返ったほうがいいです(笑)。

知的能力とお勉強は違う

 もっとも、混同してほしくないのは、知的能力が高いことの価値は相変わらず残るという点です。戦国大名も、頭角を現してくる連中はほぼ例外なく頭良いでしょう。兵法とか戦略に明るくないと勝てないですから。頭悪かったら、簡単なオトリにひっかかって全滅とかしてるだろうから、サバイバルしていく過程で賢い奴だけが残ると思います。世界史でも日本史でも、細かく見てると、よくこの時点でこんな展開まで見通せるもんだなってのけぞるくらいに頭いいですもん。

 ただし、その頭の良さは「実力」という形で消化・昇華されていってしまって、いわゆる「お勉強」という形では表現されないということです。それは今の仕事だって同じことですよね。普通の商店を切り回すにしても、仕入れの段取りにせよ、シフトの組み換えにせよ、知的能力の良し悪しは如実に出るでしょう。でもそれは学歴とか点数とかいう形ではなく、現場で「使える」「切れる」という形で表現される。今はそういう人材を採用するために共通テストとして大学受験があり、それを基準にしてるから「お勉強」という形になってるだけの話です。

 でも、ペーパーテストで測れるのは知的能力のほんの一部でしかないです。そしてペーパーテストで測れるような能力というのは、多くは人口知能に代替できるんじゃないかな?

 なぜなら、実際の現場で直面するのは「正解なし」の混沌状況であり、そこでの問題解決能力です。これは人工知能に置き換えにくい。なぜなら正解ナシだからです。やってみないとわからないし、それでもやるか、やらないかの直感力(これも知性)とかが要るし、次に述べる高いEQ力がいる。でも受験のテストというのは、一義的に正解が明快でないと客観テストとして成立しにくい。ということは受験テストでは、論理的に正解を導き出せるだけの知識と論理作業ができるかどうかしか問えないわけで、それって基本的に人工知能に代替しやすいです。だからそこで高得点を取れるほどリストラ対象者になりやすいということでもある。

IQからEQへ〜感情知性の重要性

 多分最後まで残るのは「人間臭い」部分であり、人間臭い部分にどれだけ対応力があるかがポイントになってくるでしょう。標語的にいえば、「IQからEQへ」みたいな感じ?IQは知能指数だけど、ココロの知能指数といわれるEQ=Emotional Intelligence Quotientですね。これも色々な人が色々なことを言ってるようですが、例えば「明察、気配り」「自己洞察」「気づき能力」「自己決定力」「モチベーション」「楽観性」「自制心」「愛他と配慮」「共感力」「人付き合い力」「協調性」などです。これって、ある程度アタマが良くないと出来ないことでもあるんだけど、問題は、頭の良さが人間的な部分に使われているかってことでしょうねー。頭はいいんだけどクソみたいな奴になったらダメだよという、まあ、当たり前の話なんだけど。

 ここは機械では代替しにくいでしょうね。機械に慰められるのと、生身の人間に慰められるのとどっちが感銘力あるかといえば、一般には生身の人間でしょうからね。まあ、ここも趣味の問題かしらんけど(笑)。ディスプレイで、VR(ヴァーチャル・リアリティ)で、あるいはずっと前にラブプラス熱海で紹介したAR(オーグメンテッド・リアリティ)あたりの技術を活用して、自分の横に、可愛いらしい美少女が、あるいは涼しげなイケメンさんが立っていて、「いや、キミはよくやってると思うよ」「大丈夫だよ」とか言ってもらった方が嬉しいって人は結構いるかも。これ、作ったら馬鹿売れすると思うんですケド。もうあるのかな?

 要は人と信頼関係を築くという部分が今まで以上に人間サマの独壇場になるだろうなーってことです。別に信頼関係を築かなくても差し支えないような場合は、どんどん機械に代替されていくでしょう。「新宿駅まで大人一枚」とか切符買うのは、別に駅員さんと人間的絆で結ばれる必要はないわけで、だから自動販売機でいいし、そもそもICカードで精算すればいいから切符自体いらないって話になる。

 この「人間力的な賢さ」「感情知性」みたいな部分は、今の仕事の現場ではちゃんと評価されてると思います。てか、ここがダメだったら現在の職場でも無能扱いされるでしょう。先ほどの「正解なし」の状況で判断すべきは、客観的な利害関係や段取りだけではなく、関係者の性格、立場、感情なども要素に入ってくるし、さらに巨視的にみて「ここは上げ潮調子だから下手にブレイクを入れるといい感じの波が乱れる」などファジーな要素も考慮に入れねばなりません。掲示板語ルシスでVineさんが「サラリーパーソン自習室」という有意義な連載を書いてくれていますが、宴会の段取り一つとっても数十ある人間的なファクターを考えて処理しないと、現場では「あいつは使えない」という半ば死刑宣告を受けるのが実際でしょう。

 もともと人間が完全に理性的で合理的だったら全部人工知能にやらせたらいいですよ。でも絶対そうならないのは、そもそも人間が非論理的で感情の動物だからです。ペットを殺すのは残虐だと感じるけど、牛などの家畜や魚は殺して食べているわけでそれが人間の感情であり、その感情に基づいて人間の倫理や正義感がある。人工知能が最高権力もって、最終目的が効率化・合理化だとしたら、諸悪の根源は人間であり、人間の感情でしょう。こいつが常に矛盾した指示をするから、異様に複雑なアルゴリズムになってしまい、しかも解決する目処も立たない。だったら感情麻痺剤を食物に投薬してロボット化するか、人類を皆殺しにしてしまうのが「最適解」になるでしょうよ。

 この非理性的な感情のなかから、何を残して何を矯正するべきか。それは古来からの哲学や宗教のテーマであり、人工知能も行き着くところは宗教や哲学になっていく筈ですし、実際のプログラミングでは哲学者などの協力も求められているようですしね。EQというのは、人間が本来もっている理不尽な感情を、それでも慈しみ、だからこそ尊いと思う器量の広さであり、感情と知性の融合だと思います。夫婦喧嘩でめちゃくちゃ暴言を吐いたり、今まで言ってることと180度矛盾したりしても、「こいつは気が狂っている」「頭が悪い」と判断せず、ああなるほどと思い、「ツライ思いをしてたんだね」と理解できるかどうか。それが感情知性でしょう。それは論理則があるようでない。非論理的だからこそ尊い。

 

 中は麗しいガーデンになってます。


1%の考えることは良くわからない

格差を拡大したら全体が崩壊する

 最後に余談のようにさらにフリーに書いてみます。
 上に述べた事柄からさらに延長線を引いていくと、あれ?という話になります。そういう世界になっていったら、8割くらいは(推し進めれば全員に近いくらいだけど)、クビないしは所得が低くなるよね。機械では割に合わない手作業とか、機械を動かすためのクソ詰まらない入力作業とか。そうなると多くの皆さんは年収100-200万平均になる。そうなったら商売なんかできるの?ですわ。だって客・消費者の可処分所得や数がベラボーに減るわけでしょう?どんな商売やっても買うやつがいなくなるじゃん?って。

 いや、だからそこでは0.1%の特権階級貴族が生じてって話になるかしらんけど、そんなコンマ何%の奴らが何をどう贅沢三昧しようが、全体の経済的なインパクトなんかほとんどないですよ。直属の出入りの庭師とかさ、雇われの料理長とかは多少仕事はあるかしらんけど、距離的に離れたところで理容室やってます、温泉宿やってますとかいう人たちにとって、彼らが客として来る可能性は限りなくゼロだから、意味無いでしょ。仮に100人いて富を均して100等分してたら、100人が消費者になって、100の消費をするから全体にお金が廻る、個々の商売も成り立つ、経済が動く、景気も良くなる。でも1人が全部の富を独り占めしてたとしてたら、その1人が100人分の消費をできるか?といえば、それは無理でしょう?金持ちになったからといって100人分メシを食うわけもない。どんなに贅沢三昧しようが人間一人の可動範囲なんか知れてます。それで従前の100の経済を回そうとしたら、一つ一つの単価が100倍という超高級品だけでやるしかない。ハンバーガー一個2万円とかさ、カローラが1億円するとか。でもそれも非現実的だよね。仮にそうなったところで、100倍リッチになっても価格が100倍になれば今と変わらないから意味ないんじゃない?

 あれ?と思うのはそこです。そうなって経済とか成り立つの?今のシステムでは無理でしょう。
 いや、中世の昔はそうだったじゃないか、一握りの貴族が多くの農奴を支配してたじゃないかって言うかしらんけど、だからあれは貨幣経済じゃなかったでしょ?資本主義でもなければ、自由主義でもなかったじゃん。言ってみれば専制的共産主義みたいなもので、一人の貴族が「荘園」という形で広大な土地と領民を「所有」しており、領民に職業選択や移転の自由はなく、ただのマシンの歯車 or 家畜として、運命的に生まれた土地と身分(職)に人生を支配される。そういうのを「経済」と呼ぶかどうかは定義次第だろうけど、今のフォーマットとはまるで違う。

 つまり今のシステムというのは、そこまで格差が拡大してなくて、全員がそこそこ豊かで自由で、全員が経済に参加出来ることを前提にしているわけでしょう。そこを格差拡大していったら、そもそもの前提が成り立たなくなって全体が崩壊するではないかと。てか、現にそうなりかかっているではないか。

キミ達は何がしたいの?

 0.1%の奴って頭いいようで馬鹿だなと思うのは、果てしなき利潤追求をしていって、自分らばっか金を独り占めにしていって、豊かな中産階級を侵食していって下層に落としていったら、結局なにが残るのか?です。人工知能を駆使して、リストラして、生産性高めて、高品質で優秀な商品を作ったところで、誰が買うのか。買えるだけの資力は一般大衆には無いとしたら売れないわけで、そのビジネス自体が破綻します。世の中に食うや食わずの連中ばかりになり、彼らが買えるような安価な粗悪品ばかりになる。論理的には、安い粗悪品を大量に作って売って儲けるか、高級品をそこまで値段を下げて売るしかない。いずれにせよ商売の旨味はないですよ。1%の人はそれでは儲からない。焼き畑農業といっしょで、土壌を荒廃させてしまったら自分も飢えることになる。とある山頂が高い3000メートルの標高を誇るためには、2000メートルにも、1000メートルにも相応のボリュームで土砂岩石が堆積してないといけない。それをどんどん掘り崩していったら、結局自分らの標高も下がるだけじゃないか。

 ということで、こんなことしてたら、少なくとも内需には期待できない。だから外需だ世界市場だってことになるんでしょう。それで世界を制覇しようということになるけど、今度はより強力なライバルがいるから一朝一夕にはいかない。話を具体的にいえば、アメリカあたりを仕切ってる金持ち連中がやりすぎてアメリカの内需はえらいことになってる。統計では粉飾してるけど、内情はけっこう厳しいでしょう。だから世界を仕切るんだ、派手にドンパチ戦争やって需要をかきたてるんだっていうけど、経済的には膨大な自国内マーケットを持ってる中国、資源的にはシベリアをもってるロシアにかわされているし、インドもほかもでてきてる。なかなか上手くはいかない。

 大体最終的にどういう絵を描いているかがよくわからない。自国の、あるいは世界中の人々を食うや食わずに落として、生活=金のためには何でもやるように仕向けて支配したいのかしらんけど、そんな封建社会みたいなことして何になるのか?です。封建的な身分社会が成立するためには、それ相応の条件というのが必要でしょう。例えば産業といえば農業と伝統的な手工業しかなくて、通信や移動の自由も技術も全然なくて(馬が最速くらいの)って条件があれば、農奴を沢山抱えて畑耕させて、農産物を独り占めにすればそれで良かったし、人々は無知だったし、逃げようにも移動手段が限られていた。今はそのどの条件もダメです。情報はネットでダダ漏れだわ、移動の自由は普通にあるわ、生産物のバラエティは膨大なひろがりがあるわ、だからこそ中世封建制は近代的都市経済によって時代遅れにされたわけです。それをまた戻すの?戻せるの?戻してどうするの?

 一方世界制覇(笑)とかいっても、具体的に何をどう制覇するというのか。覇権とかいっても、何を得るのか?その昔は領土と奴隷でした。なんでいるか?といえば畑を耕させるという農産物。次に大航海時代になって帝国主義になっていく過程では、最初は単に土着の王国の金銀財宝であり(南米のコンキスタドレス)、香辛料であり、綿花であり、奴隷労働力であり、コーヒーやバナナのプランテーションであり、世界大戦になって以降は石油という資源でした。でも資源そのものも原油価格が下がりまくってるように、掘削技術や省エネ技術が発展するわ、太陽光発電だけで原発◯基分とかいわれるようになるわで、そんなに資源をゲットしても絶対的な話ではない。じゃあ、経済的に支配するんだってことになるけど、同じような焼き畑的やり方でやっていっても同じことの繰り返しだもんね。いずれは底をつく。意味ないじゃん。

 それに、こんな情報ダダ漏れの時代に、そんなアコギなやり方を続ければ、やがては暴動やら革命やら起きる。ブラジルではもうドンパチやってるし(これで本当に今年オリンピックやるのだろうかってくらい)、日本人は温順だからそんなことは起きないというのも大嘘で、江戸時代から地方暴動(一揆)は5千回だっけ?そのくらいの数で起きてるし、米騒動とかもある。あとは北朝鮮化ですよねー。とにかく周囲の国々に中指突き立てて敵に廻して、自分で狼を作って「狼が来るぞ」といって戦争のための戦争みたいなムードでやる。でも周囲に嫌われるからすぐに行き詰まって北朝鮮的に大量に餓死者が出るわ、政府のエリート官僚になってはじめてセブンスターが吸えるという。そんなスラム街の王様みたいになって何が楽しいんだ?と。ようわからんですね。馬鹿じゃないのか?と思うのだけど。

 やっぱ今のままの支配を続けたいなら、中産階級を豊かにしてあげないとならない。まともに暮らして〜朝眠たいけど起きて、つまんない仕事もそこそこやってってやってたら、まあ一生食うにも困らないし、プライドも満足されるって形にもっていかないとダメちゃう?だから彼ら支配階級にとっても望ましいのは所得の再配分だと思うし、それをすればいいのにまだ真逆な方向にいってて、変な人達だなあって。

皆で遊んで暮らしてればいいじゃん

 個人的な素朴な意見としてはですね、機械が発達してそれで人間が労働から開放されるというのは、古代の昔から皆が願ってたことで、数千年の歴史を積み重ねて、今ようやく実現しようとしているんだから、その果実をみんなで食べればいいじゃないかということです。つまり、どんどん機械を発達させていってですね、もう全員リストラくらいにまで進めてですね、そして全員が遊んで暮らせばいいじゃないかと。とりあえず生活物資は全部無料にする。仕事は基本、趣味でやると。何もかもが満たされてしまったら、もうお金とか要らないでしょ?全部無料で手に入るなら。それでもポーカーのチップみたいにお金が入らないと張り合いがないから、一応残しておくけど、ポーカーのチップ程度の話ですね。そんなになったら皆働かなくなって世の中崩壊するかもしれないけど、意外と崩壊しないと思うよ。やっぱ仕事って面白いもん。

 ま、そこまでいけば万々歳ですけど(笑)、当然そんな具合に一足飛びにいくわけもなく。だから段階的に少しづつってことでしょうかね。不毛な世界制覇をしたい人々が邪魔なんですけど。でも、まあ大勢をそっちにむけたらいいかと。段階的にやるとしたら最初に何が来るかといえば、欧州で論じられているベーシックインカムとかそこらへんですかね。フィンランドでは、今年から実験的に始めるようだし、オランダの一部ではもう始めてるし、スイスではこの6月に国民投票をするらしいです。スイスの場合、もし国民投票が通れば、労働してるかしてないかを問わず月30万円もらえるそうです。今、時代はそこまで来てるのですよね。

 まあ、そうなると「勤労の美徳が〜」とかいう人いるんだろうけど、だからそれでも勤労はするって、趣味として。「趣味」という表現が気に喰わないのなら、内発的動機とかボランティアとか言い換えてもいいけど。それに「勤労の美徳」って要するに金儲けのことなの?ゼニカネをゲットするという部分がそんなに重要ならば、勤労の「美徳」の美徳性は金銭的執着にあるってことになるけど、そうなの?そんな銭ゲバ的価値観なのかよ?

 違うでしょ。勤労の美徳と貨幣とは切り離せるよ。てか本来は全然別物じゃん。だって貨幣経済なんかほとんどなかった江戸期の農村での晴耕雨読的な生活イメージと、勤労の美徳のイメージがニアリーじゃん。額に汗して働くその「汗」が尊いんだと。要は汗かけばいいんでしょ?金が入るかどうかではないでしょ?世のため人のため誰かのために、なんかいいものを作ろうという営み、あるいは自己実現、そういうものをもって「趣味的」と呼んでるだけです。

 もし、それで誰一人何もやらず、皆が遊びほうけてしょーもない社会になるのだとしたら、しょせんはその程度の人間集団だったってことでしょ。でもそうはならないと思うけどね。だからそこは、あなたが他人をどう見るか?という「自分の鏡」であると思います。そこで「退廃する」とか思うならば、周囲の人間をそういう退廃的な連中だと思ってるってことでしょう。あのさ、根底のところで人間を信じてないでしょ?人間が好きじゃないでしょ?過去に何があったか知らないけどさ。確かに、そういう退廃的な奴もいるでしょうけどねー。でもそんなのは今だっているわけじゃん。また金でガンジガラメに縛って労働を強制することがその対策なのか?といわれたら、それも違うと思うね。てかさー、なんでそんなに他人の立ち居振る舞いが気になるの?そこが僕には不思議ですね。他人を気にするヒマがあったら、Mind your businessですよ。

 



自然の美しさにこだわっているので、造花や勝手な飾り付けをすることはダメよという注意書き


真正面の鉄塔と2つの建物あたりがウチですね。もうWalking場所に事欠かないという。




 文責:田村




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