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今週の一枚(2015/05/11)



Essay 722:WWOOFと2ndワーホリをめぐる現状まとめと寸考

〜違法ファーム手配師のトバッチリ
 場所はKogaraha(コグラ)。
 どってことないサバーブのフラット街ですが、このあたり前の佇まいがほっとしますね。
 

議論の発端〜ABC放送”Four Corners"の調査報道


 先々週の金曜日(2015年5月1日)の移民省のコメントで、WWOOF労働日数が(正確にはボランティアワークがということで、WWOOFという文字は出てこないのだが)セカンドワーホリのカウントしないようにするだろうと述べたのをきっかけに、先週からそれが一部関係者に話題になっています。

 話を聞いて「ほお?」と思って色々ネット見てきたのですが、一般オーストラリア的にはWWOOFがどうのとかいうのは枝葉末節に過ぎず、問題の正面をとらえたものではないです。利害関係者としてはそこばっか興味があるかもしれないけど、なんか物事の捉え方として偏りすぎだし、違うんじゃねーの?と思ったので書いておきます。

 一般には5月4日放送のABCの「Four Corners」(NHKのニュース特番みたいな)で放映された45分の調査報道が発端になってます。

 まずこれを見ないと話がわからないから、興味のある方は見るべし。

「Slaving Away」 ABC放送 Four Corners
(2015年05月04日08:30PM放映)By Caro Meldrum-Hanna and Ali Russell

http://www.abc.net.au/4corners/stories/2015/05/04/4227055.htm



 これ面白いです。45分退屈せずに見れます。
 なんとかサイトに全放送を引っ張ってこようと思ったけど、ダメでした。上のリンクを辿って、本チャンのサイトで見て下さい。あるいは、MOVIE900ってサイトにも全部上がってました。

 しかし、よくぞここまで撮ったな〜ってくらい、ジャーナリズムってこういうもんだろってくらい、もう「穏便に」も「なあなあ」もクソもない、完全喧嘩腰のメディアの本来のありかたがわかって面白いです。これをよく国営放送でやるよなって、日本の腰抜けメディアも爪の垢煎じて飲めよってくらい面白いです。

リアル過ぎる潜入調査

 ラウンド行った人なら似たような光景みたことあるだろうって感じで、隠しカメラで朝起きるところから、夜明け前のミニバンでのピックアップシーンやら、労働の実態やら、

 セクハラ受けたことをインタビュー受けて悔し涙を滴らせる女の子やら、

 金払えって詰め寄るブリティッシュのWHMの女の子達にシドロモドロなファームのおっさんが最後に「ヨーロピアンはもう雇うな」とか言ってるところやら(19:34 "Don't bring any more Europian people here OK?")

 それを問題視している地元の議員の活動やら、

 同じく問題視して活動しているオーストラリアの労組の人(GEORGE ROBERTSON, NATIONAL UNION OF WORKERS)が、スーパーの生鮮売り場に隠しカメラを入れて、「ほら、この玉ねぎはどこそこファームのもので、あそこは時給◯◯ドルで正規に払ってない」「この◯はどこでいくらで」と一つづつ全部説明してるシーンやら


 
↑ちなみに玉ねぎは時給17ドル、コーンは時給15ドルって言ってます。(Workers make $15 an hour and pay $125 a week to live on the farm in a demountable.=最後のdemoutable”デマウンタブルは、”取り外し可能な”という意味で、プレハブ小屋や急造バラック小屋みたいなところに住まわされて週125ドル払わされている)

特定・実名・モザイク無し

 さらに、「こいつが悪い!」と個々人の顔写真や動画を堂々と晒して、実名も(あるいは通称)も晒しています。
 例えば、沢山ありすぎるので(ほとんどボカシなしなので)ランダムに---------

 ・17:17あたりには、Queenslandのサツマイモファームの Akers Farm、スーパーバイザーの通称"Tim Tam"のTim Blackleyが、仕事中に罵倒しまくっていたとか、

 ・30:50秒あたりから”CNC Labour Hire, run by this man, Peter Yim, pictured here”とか、
 ・31:55あたりから、台湾の旅行会社からオーストラリア現地で職を世話すると言われ、それだけのために1500ドルも払わされ(were lured to Australia by a travel agent in Taiwan called Glory Group who, according to these employment documents, charged them almost $1,500 just to get a job.)
 ・しかし、まあ、このPeterとかいうおっさんも、33:01をみるとヤクザっぽいわな。
 ・33:55 写真に写ってるDinesh Dhunganaというヒゲのお兄ちゃんがセクハラやったとか、強く断ると逆ギレして職場でイジメたり、で、それを会社に苦情申し立てするとクビになったりという顛末とか、
 ・で、そのファーム会社の名前が、大手の”D'VineRipe”であるとか
 ・3週間後もまだそのセクハラ野郎が平然と働いているのを工場内の隠しカメラでとり、Peterのアジト(広告とは全く違う住所)を突き止め、インタビューするもばっくれ倒しているところとか、

 ・37:23以降〜Covino Farmsという大手企業、Gippsland, Victoriaに農場を持ってて、過去7年間に当局から労働条件の改善の勧告を30回も受けているけど反省ナシのガン無視で、このいかにも人相悪そうな(マンガみたい)なオヤジ3人組(38:10)がこの企業のトップで(こういう文脈で写されると誰でも悪人に見えてしまうのが可哀想でもあるが)、んでも、2013年にボケVIC州政府はこのファームに1.5億円もの補助金を支給してるとか、
 ・で、そこの手配会社が”Chompran Enterprises”で、オーストラリア労組はここは毎年2億円もピンハネしてると糾弾しており、現場では”Sam”という名前でしか知られていない、いかにもな人相な(人は容貌で判断してはいけないというが、しかし、、)お兄ちゃんで(39:15)、最初はすごく良い人に見えるんだけど、職場で怪我して数針縫ったばかりの女の子を(お金を払うといって)自宅に連れて行き、そこで押し倒して、でも抗われて未遂に終わったけど、その際傷口がまた開いて、、、で、当然警察や会社の報告したのが5ヶ月前で、しかし、今もCavino Farmはこの手配会社も、またサムを使い続けている。ABCがカメラインタビューを申し込んでも、Cavino Farmに拒否られている。

 ・このセクハラ話はまたたくまに広がり、現状を憂うバンダバーグの農場主のPeterさんは、他にもそういうレポートはあがってきてますという(41:02)。”That is another report we have heard on numerous occasions. It is in return for signing off on their second year visa application, for those legitimate visa workers, that they have a choice: They either continue working for nothing or they pay a significant lump sum - a cash lump sum - or provide sexual favours. ”
 ただそれだけではなく、”We've heard that some of these syndicates are actually bringing in people to service the workers, um, so prostitution, basically. Um, it... That's a very big concern for us”と。国中をこの種のシンジケートが動きまわって、労働者を相手にした売春業にまで手を染めているのではないかとか。
 ・で、このCavino Farmの野菜が最後にどこにいくかというと、たとえばKFCであると(43:10)。


 実際ここに出てきた違法手配師を受け入れていたファームは、”Cavino Farms and D'VineRipe have now informed us they have terminated their agreements with their labour hire contractors. A spokesman for Akers Farm says the company rejects the allegations that its workers were abused, while KC Fresh has denied it is using illegal workers.”ということで、CavinoとD'Vineはこの手の労働手配会社との契約を打ち切ったと通知してきて、KC Freshはイリーガルな労働者は雇ってないと言っている、

 もう、モザイクも殆どかかっておらず、声の変調もない、ほんと「ぶっ潰してやる!」って感じの報道番組です。これを国営放送がやるというのがいいですね。


 ただし、これを何とかしようというオーストラリア人たちも沢山いて、
 15:22あたりからは、バンダバーグのサトウキビ農場の二代目で、連邦議員でもあるKEITH PITT議員が出てきて、かなりこの問題に詳しく(てか自分も農場主なだけに切実)、かなり大きな組織のようなのでピンポイントに操ってる人間を直打ちしないとダメで、そのためには麻薬捜査のような秘密捜査員を組織していかねばと語っている。

 他にもSwan Hillの副市長やら、労組の人やら。


 ↑別の1分ビデオが同じFourCornerのページにあって、SA Potatoesの社長さんで、ここは手配会社を一切使わずにダイレクトに労働者を雇い、法定賃金をしっかり払い、税務処理などの労務管理もやっている。違法手配師から勧誘を受けて、彼らのサービスを使えば20%でも40%でも労務管理費をコストカッティング出来ると言われた。でもそういうことはしたくない。とか言ってたら、最近、より安い値段でオファーする他のポテト製造者に2つの大きなスーパーチェーンの取引を取られてしまった、、という典型的な正直者が馬鹿をみるパターン。

 20:47あたりからは、ミルドュラの葡萄ファームのオーナーのTonyさんが出てきます。低賃金労働者だと疑いながらも手配会社と契約してるんじゃないかと突っ込まれて、かなり苦しげ。でも、この人、実名も顔も晒して、正直に答えてくれている。これが現場の農場主のリアルなんだろうなと。作物はなってるんだ、今日収穫しないとダメなんだ、それを誰にも頼らずそんな人手をいきなり集めることなんか出来るわけがないんだと、苦しげ。

 

反響


 この放送がショッキングだったので、オーストラリア各層から反響が出てます。

 ただ、その反響は、もっぱらオーストラリア市民一般にとっては、あなたが毎日買っているコールズやウーリーズの野菜は、こんな悲惨な奴隷農場から出てきているのですよという啓蒙であり、スーパーやらKFCなど大手企業のあり方を問いかけるものです。と同時に、ひいては資本主義的なコストカッティングがこういう労働者の違法状態を招き、デフレスパイラルになるというグローバルな問題へとつながることでもあります。WWOOFがどうという話は、ひとっことも出てきません。

 このあたりについては、各メディアやブログの状況を参照。

 要点を簡潔にまとめてくれているニュース記事では、
Four Corners investigation reveals exploitation and slave like conditions on farms supplying Aussie supermarkets

Labour exploitation, slave-like conditions found on farms supplying biggest supermarkets
 などがあります。ビデオを見ずに内容を知りたいならこれらをどうぞ。

関連団体などの反応

Action promised to clamp down on working visas and labour hire companies following revelations of exploitation in horticulture and food processing
 これは、The National Farmers Federation(農協みたいな組織)の対応が書かれています。
 番組にもでていたキース議員によると、彼ら(違法手配師)は非常に捕まえにくく、後を追いかけて突き止めようにも、先遣隊を出して、これが追跡されているとわかるとSMSを送って本隊が出てこないようにさせたりもする。非常に移動性が高く、あるファームに午前中3時間だけ働いたら、午後には別のファームにいくということすらする。雨が降ったりしたら終日働けないけど、そこに彼らが暗躍する余地がある。だいたい3時間だけの労働のために200人分の給与明細を作るとか非常に面倒くさいのだけど、彼らに頼むとそこらへんはクリアされる(やってくれる=てか、そこでピンはねされるのだが)。この取り締まりは、ひとつの役所や省庁だけではダメで、省庁をまたがった全政府的な取り組みでやらないと無理だと。

 QLDの農業組織のGrowcomのMoggさんも、異なる役所が力を合わせないとダメだという意見に同意。サンシャイン・コーストでは、Fair Work Ombudsman(労基のようなもの)が過密アコモを取り締まる際に、消防署も協力したりしたと。

 その他、各州の農業団体のコメントが続きますが、総じて、あの番組で報道されているのはほんの一部に過ぎない、一部だから良いというわけではなく、これからも遵法意識は徹底させるが、しかし一事が万事にみたいな報道のされかたはおかしいとムカついているようですね。まあ、分かる気もしますけど、実際、ちゃんとやってる農場も沢山あるんだし。

Four Corners Exposes 'Slave Labour' And Sexual Assault Of Farm And Factory Workers
 つい一ヶ月前は、この種の政府調査をすることを与党は拒否ってるんだけど(ま、財界よりの政党だしね)、でもこの番組がキッカケになって、そうも言ってられなくなった状況。


一般オージーの反応

Calls for national response to ‘slave’ conditions of farm workers
 なんとかしろよ!という声が強まっているなかで、 ColesやKFCなどに圧力かけようぜという話になって、下の欄のTwitterで各スーパーが「厳粛に受け止めて〜」なんちゃらとコメントしている。

Coles, Woolworths, slavery and the global free market outsourcing racket
 これは個人ブログだけど、あれからFairfaxなど大手メディアの続報がないよね、そりゃColesとか彼らの大広告主だもんね、ファックだよね、でも、こういう「労働力のアウトソーシング」は至るところにあって、Scott Morrisonというベビーシッター派遣企業だって政府から246億円も補助金もらって、「輸入されたアジア労働者」からピンはねしてるじゃないの?って話。

whirlpoolネット 〜417 VISA Coles / Woolworths 4 corners
 この無料ネット掲示板はオーストラリア人の普通のお兄ちゃんの普通の声を聞くのに良いところで、この問題、というか街の中で働いているアジア労働者(ワーホリとか学生ビザとか)達を、彼らはどういう視線で見てるかがわかって面白いです。
”mostly migrant visa workers, you can expect even up to 8 in a room, its illegal, and the CBD apartments are full of this, bunk beds, 8 people in a 2br apartment...”とか、けっこうよう見てるわね。他にもこいつら(アジア労働者)がいるから俺らが仕事からあぶれるんだとか、そもそも一番悪いのはコールズじゃない、あいつらはこの国の農業そのものを搾取してるんだとか、もう労働ビザなんか廃止したらいいんだよとか、法学部や工学部の学生たちは無給の仕事を哀願しているんだぜ(キャリアをつけるためのインターンシップかと思われる)とか、、、、

COVINO featured on ABC 4 Corners, Slaving Away - AS SEEN ON TV
 これは笑ったのだが、TVを見た一市民がやり玉に上げられていたCavino Farmに電話してコンプレインしている電話内容を延々載せているもの。どこの市民活動家かと思ってみたら、この人、ただの高級腕時計の販売業者さんで、自分のところのビデオが超ファンキーというか、むしろアブナイくらいで。ああ、でも、こっちにはこういう人いるわ〜って。
 勉強になるのは、ネィティブ英語でのコンプレインはこう言うって感じで、ボキャとか盗めます。現地でマジに暮らすなら必要です。文句は言うんだけど決して激高せず、懇々と言う。「僕はあなたに怒っているんじゃないんだ、あなたの後ろにいる、エクスペンシブなカーに乗ってるビッグガイに言ってるんだ。本当は彼らがパブリックに出てきて答えるべきなんだ。彼が帰ってきて”何か変わったことは?”と聞いてたら、”皆、あなたのことをディスガスティングだって言ってよ”って伝えてやってほしいんだ。」とかね。
 普段は陽気なオージーでも、いざ闘うとなったら西欧仕込みだから戦闘スタミナは無尽蔵ってくらいで、こんなテンション高い、日本人だったら胃がキリキリするようなことを結構数時間ぶっとーしで言えたりします。以前、聞いた話ですが、知り合いのオージー数人を日本に招いて、東京の池袋で飲んでて最後に間違って暴力バーに入ってしまって、怖いお兄さんに取り囲まれても、彼らは納得出来ないと言い続け、延々夜明けまで言い続け、ヤクザの方が根負けしたという。

さらに気になる波及部分と詳細

 なお、事実の確認(推認)ですけど、この種の話は耳にタコみたいな部分もあるし、ワーホリさんの間では「クソファーム」ということで、「あるある」みたいなものでしょうが、ただし、ちょい気になる部分があります。

Victorian Government to begin inquiry into labour exploitation, slave-like conditions after reports of 417 visa abuse
 によると、"Federal Department of Employment knew of a jump in complaints from workers months before the revelations of abuse were exposed by Four Corners”(この番組が放映される数ヶ月前から、連邦労働省は苦情が急激に増えたことを認識している)。”the department revealed a 40 per cent spike in complaints back in February"(2月時期に40%のスパイク(グンと鋭角度で伸びている)が認められるらしいです。

 ということは、前々から似たようなことがあったけど、今年に入ってからかなりこの種の違法手配師の暗躍が目立つようになったという。だから、「あー知ってる知ってる」みたいな、去年までの感覚でいると足元すくわれるかもしれないよ、状況は変わっているかもしれないよってことです。


North Coast farmers react to exploitation of itinerant workers
 この前半部分は、QLDの農場主で、季節労働は全部417(ワーホリ)に頼っているけど、ちゃんと払っているし、政府が徹底してやることには賛成だと。

 ただし、ここがポイントなのだが、政府の提案(セカンドビザのためには正式のPaySlipが必要だとする改正案=事実上WWOOFを排斥することになる)について疑問視する農場主もいる。
 WWOOF農場を経営するGeoff Bugdenさんの場合、過去10年農産物でお金を稼いだことはないよ、だから人を雇うお金なんかない、WWOOFerとやっていくしかない。1日4-5時間の労働で家族と一緒に暮らしている。それなのに、政府の改正案のように週38時間働かないとダメとかしたら、そのときはWWOOFというシステム自体が大きなダメージを被る。我々WWOOFホストは、WWOOF協会から審査を受けているし、WWOOF協会もWwooferのために保険もかけている。我々はSNSなどのつながりも深いし、違法な扱いについては相互監視もできる、なんで我々がトバッチリを喰らわないといけないんだ?と。

 これが以下につながっていきます。

なぜWWOOFが?

移民局の3つの発表の経過

 既にワーホリ諸氏におかれては、WWOOFやってもセカンド取れないからどーのという話が広まってると思いますが、別にウーフ問題がこの問題の中心にあるわけではないです。くれぐれも誤解なきよう。

 むしろ、なんでここでウーフが出てくるのか、そっちの方が理解に苦しみます。

 そもそもの発端は、2015年5月01日に、寝耳に水みたいな形で、
Assistant Minister - Strengthening integrity in Working Holiday visa programme
の発表があったことです。セカンドワーホリビザには'Official Payslip"が必要だという。これがそもそもの発端ですね。

 以下は僕の推測です。
 移民局はオーストラリアに来る外人(僕ら)にとっては閻魔大王みたいに絶対権力をもってますけど、オーストラリア市民から見れば、ただのか弱い一役所なわけで、いつもサンドバックのように叩かれているわけですね。無能な役所、何やっとんじゃボケえって感じで。で、今回も2月からわかってるのに、「何もやっていない!」「見て見ぬふり」と糾弾されているという。

 多分放映されることが事前にわかっていたのだろうと推察されるので(てか番宣やるし)、移民局としても「なんかしなきゃね」「したふりしなきゃね」ってな思惑があったのかもしれない。多分そうなんじゃないかな〜?そこで放映4日に先んじて1日の金曜日に、Payslipが必要だという改正案の発表をしたのではないか?と。邪推かな?いやあ、そうもあながち言えないのでは?と思う理由は後述。

 もっともこれは法律の改廃が必要ではないのかな?一省庁の通達とかで出来るわけないと思うのだけど、、、えーと、、、オーストラリアの法律データーベースで見て、よくは分からなかったんだけど、多分、Migration Regulations 1994 - Specification under subitem 1225(5) - Working Holiday Visa - Definitions of 'Specified Work' and 'Regional Australia' - June 2008 あたりではあるまいかと。てことは、一省庁の思惑では決定できず、キャンベラの国会に法案を提出し、賛成多数で可決するというプロセスを経ないとならないでしょう。だもんで、この発表でもいつ決定・実施とは言えず(言う権限もないけど)、"coming months"といってるだけです。

 思うに、これが単に規則の改訂(セカンド申請の際の添付書類の追加)だけという、すぐにも改正できる「お手軽な」対策であるので、「なんかやったふり」をするには好都合で、WWOOFはスケープゴート的に選ばれたというか、そこまで考えてなかったのではないか?とか。

 でもって4日にくだんのABCの4 Cornersの番組が放映されて、その翌日である5日にまた移民局は
Assistant Minister - Allegations of worker exploitation
という発表をしています。

 しかし、これらはいずれもキャッシュ上院議員のページであり、しかもこの人はアシスタント・ミニスターでナンバー2です。ナンバー1のダットン議員は先週からスリランカに行ってます。
 えーと、一応常識なので書いておくと、移民局がメインに話題になるのはビザの発給というよりも、Border Protectionで「国境警備隊」としての機能です。もう海から難民ボート(を装った違法入国)が常に船団組んでやってくるので、それをどうするか?問題です。国家的にはこの問題が100だとしたら、WHビザがどうしたとかいうのは5%の重さも持たず、さらにWWOOFがどうしたというのは0.5%くらいの重さしか持たないでしょう。まあ、ナンバー2が片付ける「雑務」くらいの扱いかな。しかし、この番組によってそうも言ってられなくなったのかな。

 と思ってるうちに、皆から「WWOOFはどうなるんだ?」と照会が殺到したからか(これは後述)、移民局の正式なNEWSページで
Volunteer work activities
というタイトルのもと、
"The Department of Immigration and Border Protection is currently in the process of making a change to the second Working Holiday (subclass 417) visa initiative, to exclude volunteer work activities, such as Willing Workers on Organic Farms (WWOOF), from its eligibility framework. However, this change will take some time to introduce, and is not yet in effect, so it does not impact upon current second Working Holiday visa applications.
 When the Department knows the exact date of implementation for the change, it will be announced publicly on our website. This public announcement will be made well ahead of the implementation date so that participants have suitable advance warning. While it is likely the change will commence towards the end of 2015, participants should regularly check this website for updates."
と書かれてます。

 つまりは「改正作業中」であり、いつ実施されるかは当の移民局もよく分からず、まあ年内に向けて実施されるでしょうから、このページをチェックしてねということだけです。
 以前には「7月新年度に」って話もチラと聞いたが、先に1日のコメントだして観測気球あげて、反応みて、でもってちょっと年内と半年延ばしたのかもしれないけど、そこはわからんです。英文だからニュアンスわからんけど、微妙にトーンダウンしているような気がする。腰が引けてきているというか。

Payslipが大した効果をもたない件

 なぜこれが「やったふりポーズ」などの邪推を呼ぶのかといえば、話は簡単。問題の本質に照らせば、明らかに枝葉末節な対応だし、そもそも対応になってるかどうかすら怪しいからです。だから実際にやるかどうかもわからんです。

 まず、セカンドには正式なPaySlip(給与明細)を必要とするという改正案はまだ理解可能です。ドンブリ勘定の給与支払で、要は「セカンドのためのサイン」があればいいんでしょ?みたいなやり方だと、実際にいくら払われているかチェックのしようがない。だから「ちゃんと払った」という証明書が要ることにしよう。

 しかし、これとて現場の強制的な奴隷支配状況下においては、絵に描いた餅になるでしょう。農場主と個々の労働者が直接労働契約を結び、手配師は純然たる手配のみだったら効果アリかもしれないけど、実際には手配師に給与分を渡し、それを下請けである各労働者に分配するという形式がよく使われるところ、手配師が適当に書類をデッチ上げることもできるわけです。で、現場の労働者には、テキトーに書類作っておいてやるから、これでセカンドはバッチリだよといって、本当にセカンドが取れたら(って取れるように捏造するんだから当然だけど)、それで誰も文句はでないでしょうに。

 もしここで、手配師のブラックリストを作って、その手配師作成のものだとセカンド書類になりえないとすれば、泣きっ面に蜂なのは(セカンド申請が却下される)当の労働者であり、手配師はその頃にはトンズラしてるでしょう。でもって、また違う会社名を名乗ってのうのうと同じことをするでしょう。さらに、農場主と手配師が結託して(今もそうだが、より強く)、手配師が農場主の名前でダイレクトに(真実とは異なる)書類作成をすれば外見上これが違法であることを示す証拠はないことになる。そういった腐った状況に個々の労働者が現場で文句を言っても、「じゃあ書類を出さない」と開き直られたらそれで終わり。

 つまり今のサインが給与明細に変わっただけであって、その作成過程の適法性がなにかで保障されない限り、何をやっても無意味だろうと。強いて言えば、誤摩化すのがヘタクソで無能な違法手配師がひっかかるだけであり、本当に悪賢い連中だったらこんな書類レベルでボロを出すとは考えられない。

 これは法律のイタチごっこで面白いテーマなんですけど、ヘタに規制法律を強化しても、常に現場の悪党はその上をいくから、悪党強化プログラムにしかならない。ずる賢い連中をよりずる賢くするだけの効果しか無い。かたや被害者である労働者は、従前のサイン以上に給与明細までゲットしないとセカンドを申請できなくなるわけで、よりハードルが高くなる。ということは、現場ではより違法手配師のいうことを聞かざるをえない弱い立場に追い込まれるという逆効果が懸念されるわけです。

 だからそんな弥縫策を講じたって意味ないわけで、もっと抜本的な方法によらないとダメだと、現場で頑張ってるオージー達から文句を言われるんじゃないかと。

WWOOFを排除するのは無意味どころか逆効果である点

 第二に、結果としてWWOOFなどのボランティア労働者をセカンドから閉めだしてしまうことになるけど、本来の趣旨に照らしては明らかにオーバーランであり、必要のない規制である。大体、ボランティアワークを隠れ蓑にした違法奴隷労働を撲滅って話だけどそんなケースは少ない。絶無かどうかは分からんけど、理論的に成り立ち得ない。なぜならボランティアのつもりで参加している人々には給料はないんだから搾取もありえない。実際このTV番組で放映されている違法労働は、全部有給だし、有給だからこそ、2回目欲しさのワーホリがシドニーあたりから、或いははるばる台湾あたりから釣られてくるわけでしょ。クソファームの話はいろいろ聞くけど、全部有給です。一方、クソWWOOFもあるにはあるが、それはオーナーと波長が合わないとか人格的にダメダメだというそういう個人的な問題が多い。

 また、違法手配師を必要とするのは総じて大ファームであり、扱う人数が多いからこそ労務管理コストが嵩み、ゆえに手配師を利用するメリットが大きい。また、違法手配師も取引額が大きいからこそ旨味がある。100人単位で動かせば、時給5ドルずつピンはねしても1時間で500ドル、1日で5000ドル儲かるという笑いが止まらないボロ儲けができる。これを一人か二人しか雇わない小規模零細のウーフ農家相手に違法手配師がビジネスやっても、ビジネスになりえない。まず給与がないからピンハネ出来ず無意味だし、仮になんか利得があったとしても、たった一人を車で延々十時間ドライブして連れて行ってもガソリン代にもならない。

 ゆえにWWOOFなどのボランティアワークをセカンドから排除したからといって、違法手配師は痛くも痒くもない。

 それどころか、セカンドを目指してWWOOFにいっていた連中が全部有給ジョブに殺到することになり、現在の職の奪い合いはさらに熾烈になるのは火を見るより明らかである。職のない労働者はますます弱い立場に立たされ、その上に違法手配師が今まで以上に君臨することになりそうであり、これも逆効果である。

 こんなのちょっと考えたら分かりそうなもので、これから世論も気にして、関係各所の意見も聞き、法案の詰めを行い、国会で審議されるにあたって、この原案どおり通るかどうか、そもそもそんな原案を移民省が維持するのかどうか、そのあたりも不透明です。しかし、法律も政治もしょせんは茶番よ、と醒めた視点にたてば、そういう愚劣な法案が通ることもままあるし、実際その種の話は過去にオーストラリアにも日本も山ほどある。

じゃあ、どうするのか?

 こういうのを規制するなら現場最前線でとっつかまえる一方で、システマティックには上流から規制していった方が良い。つまりは、違法手配師と取引をしているコールズなどの「ジャイアント」達である。

 さらに、本当に(被害にあってる移民労働者の人権保障)対策として一番いいのは、これは番組にも出てきたけど、この問題に詳しいアデレード大学の講師から提唱されている案で、

 ワーホリビザの廃止と学生ビザの労働廃止
 新たにLow-Skill-Working ビザの新設

 です。

 てか、そもそも2回目制度自体意味あんのか?という話は前々からあるから、2回目そのものが廃止になる可能性もあります。それか、純粋に対策でいえば、ファーム労働なんか必要とせず、申請したら2回目取れるとかでもいいし(それを言ってる人はいないが)、あるいはゴーストのように実態が捕まえにくい(摘発するのはほぼ不可能とも言われている)違法手配師の捕まえたり、写真やGPS情報を送ってチクってくれた人にはご褒美に2回目をだすとか、勲功あらたかだったら3回目もあげるとか、要はあいつらを「賞金首」にしちゃえばいいじゃん、移民局にそれ専用のツイッターのアカウントをおいて、全国各地の労働者から顔写真とか、こんなことされたとか、刻一刻チクらせたらええやん?って思うんだけどな。でも、そこまで面白い対策は考えてないようね。頭固いよな、こいつらと。

 そもそも論でいえば、まず自国の農業のくせに自国民だけでは成り立ってないところが根本的にどうよ?という話があります。要するにオージー連中が農作業をやれば問題はないわけで、それをあいつらが3Kはいやだってやりたがらないから問題であって、お手軽な移民労働力に頼ってるという構造がアホであるという指摘=だから低スキル労働ビザを出せというのは、一理も二理もある。

 だいたい、なんでファーム労働をするとワーホリがもう一回取れるのか?というと、理論的根拠はゼロです。地方で季節労働者を欲している、永住権狙いかモラトリアムか滞在延長を求める”若いもん”が一杯いる、マッチングしてしまえばいいじゃんという、商社のようなビジネス的発想でしかないです。それはビザ本来の趣旨(若年層に多様な文化経験をさせ〜という)と何の関係もない、ご都合主義でしかない。

 しかし、もともと趣味的やら未来志向でやってるWWOOFも多い中、セカンド特権がなくなったら誰も来なくなって潰れるしか無いというと、ファーマーの悲痛な声もあります。そりゃそうだろ、真面目に有機栽培とかやっても中々儲からないもん。あれはそういうライフスタイルに意味があるというか、金儲けのためにやってるには無駄が多すぎる(その無駄こそが貴重だと)。

 こうなると、結局人権侵害してもコストカッティングやってる大ファームや、すばしこいゴキブリみたいな違法手配師が得して、真面目に有機栽培やってるところが人手不足倒産せざるをえないという、逆効果になると。

 ただ、WWOOFにしても、二回目だけを目指しているウーファーには来てほしくないという声も多くあり、それを喜ぶ向きもあり、難しいね〜って感じですね。

WWOOFとWWOOFerの声


 ちなみに、当のウーフはどういってるかというと、ここに

Keep Wwoofing as 2nd Year Visa Work - Australia
 FBのサイトが立ち上がってます。Kat Stokesさんという女性WWOOFer個人が立ち上げたもので(さすがヨーロピアンは行動が早い)、大反響ってほどではないけど、皆が反対したら流れが変わるかも?です。興味のある人はどぞ。拡散するなら、ここかな。

 で、ここにWWOOF Australiaのコメントが載ってました。

Wwoof Australia 5月6日 13:19
As far as we are aware at this point the changes are to be phased in over the "coming months" this means that anyone who is currently volunteering should be ok (for now). (数ヶ月以内にとか曖昧な言い方しかされてないよ)
The Department has not given us any specific information as to cut off dates(移民局からは直接何も聞いてないよ=*根回しもしてないわけね)
so any days that have already been done volunteering should be fine and if you are still WWOOFing, keep a record of the days you continue to do as they could still be able to be counted for another month or so.
Sorry we cannot be more specific,(これ以上詳しいことはこっちも分からんのよね、ごめんね)
but the Immigration Department Website still (6/5/15) mentions voluntary work under the How to Calculate Specified Work at http://www.immi.gov.au/Visas/Pages/417.aspx (でも移民局のサイトの2回目カウントには相変わらず昔と同じこと書いてるよね)
"...In calculating the period of time for which the applicant has undertaken specified work, the type of employment relationship the applicant may have with their employer, including full/part time employment, casual employment or voluntary employment, is not as important as whether the relevant industry considers the period of work completed to be equivalent to full time work for that industry."

We are strongly encouraging everyone to tell their story, the Department know why it is important to you to be able to volunteer for the visa extension and how it will impact you if you can only do paid work.(移民局に対して、皆の意見を伝えることを強くオススメします、以下の担当者に意見を書いて送ってくれ)
email : Senator the Hon Michaelia Cash Assistant Minister for Immigration and Border Protection Parliament House Canberra, ACT 2600
Email: assistantminister@immi.gov.au and CC Mr Douglas Baldwin, Assistant Director, Working Holiday Policy Section, Temporary Visa Policy Branch, Department of Immigration and Border Protection, PO Box 25, Belconnen, ACT 2616..
email: whm.policy.enquiries@immi.gov.au

We hope that if many many WWOOFers and Hosts that do this it may improve the chances of them dropping this change before it is fully implemented. We are also suggesting that everyonealso contacts local Radio and newspapers and that Hosts write to or visit their local Federal Member. Good luck and thank you for your support of the WWOOF Program. (声が大きかったらもしかしたら変わるかもしれないし=日本よりも民主的なプロセスを大事にするこの国ではしばしば生じること=、ローカルのラジオ局や新聞社やホスト、あるいはその地域の議員のところに書いたり訪問したりしてくれと)

 また、
Senator Cash. Volunteering is NOT exploitation.
 というサイトも立ち上がっており、こっちの方が後発だけど、それだけにややアクティブかな?
 どちらも徐々に支持者(てか"いいね"数)が増えてます。まあ、減るってことはないから増えて当たり前なんだけど。


 以上が現時点でのまとめでしょうか。

 あと補足して言っておけば、全ての労働手配会社(レイバーハイアーカンパニー)が悪徳だというわけではないです。それは人材派遣会社と同じことですから、純然たるビジネスたり得ますし、実際にも真面目にやってるところも多々あるでしょう。手配師=悪徳というのは幼稚園児レベルのレッテル貼りだと。
 同じくファーム=悪徳というのは、金持ち=悪党というくらい、中二病でしょう。実際、特に問題もないファームも多々ありますし、数から言えばそっちの方が遥かに多いでしょう。
 この種の問題を考えるときに難しいのは、「一事が万事」みたいに全て黒く塗りつぶすアホらしさなんだけど、そのリスク値をどの程度に査定するか、実際どうなのか、ここがなかなか難しいです。ここでは、デジタル的な白黒二元論が無意味だとだけ書いておきます。
 また、この報道が嘘八百だったという可能性もありますが、報道記者が個人名を上げ、全編にわたって素顔を晒して(黒縁メガネの女性)やっているわけで、それなりに腹括ってやってるのでしょう。てか、あの若さでこれだけの仕事やらせてもらえて、いいな〜って気もしますが。”取材班”名義ではなく個人名で出してるんだから、企画立案実行の全てを主体的にやってるのでしょう。

05月16日追加
 ふとみると、ペティション(請願)のページが立ち上がっていました。
 WWOOFが発起しているInclude volunteer work activities, such as Willing Workers on Organic Farms (WWOOF), in the eligibility framework for the second Working Holiday (subclass 417) visa.です。

 ご興味のある方はどうぞ。でもって自分も〜と思う人はサインをしたらいいです。こういう機会ってあんまりないし。あとオーストラリア国民じゃないし、オーストラリアにいないし、関係ないしって人でも請願は出来ます。投票とか立候補などの直接的な参政権は国民(シチズンシップ)がいるけど、意見言うのは誰でも自由。てか、この案件はワーホリに関係するんだけど、ワーホリって全員「外国人」だしね。また、関係ない人、オーストラリア以外からの人から意見があったほうがむしろプレッシャーにはなる。「狭い社会だけではく広く世間に注目されている」「国際的にも関心を呼んでいる」ってことになるわけですからね。

 ちなみに、僕も見つけてその場でサインしておきました。
 意見を書く欄があるけど、別に白紙でもいいと思います。"Love"だけ書いている人もいたし。

 僕の場合は「お、言わせてくれるの?」と、ここに述べたようなことをテキトーに書いておきましたけど。
 一応載せておきます。こんな感じ。

私見&雑感

 以下、若干の感想を述べます。以下は、単に「僕はこう思う」というだけのことで、その客観的な情報価値は限りなくゼロですので(笑)、スルーしてもらっていいです。ご興味のある方だけどうぞ。

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文責:田村



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