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今週の一枚(2014/03/31)



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Essay 664:消費税だけではない

   
 写真は、シドニー空港、国際線Depatureのロビー。光の感じがなんかカッコ良かったので。



 先日、たまたま日本の不動産情報などを見てたら、もう嘘のように安い!びっくりしました。

 一方オーストラリアの不動産はアホみたいに高い。まともな一軒屋を買おうとおもったら1億ではきかない。築30年の2LDKのマンションでも平気で7000万円とかします。Coogeeなんか好きなんですけど、マンションだったら7000万以上、一戸建てだったらまず一億以上、いいな〜と思うと2億円以上。やってられるか!状態です。

 持ち家率が高く、しかも相続税のないオーストラリアでは、昔二束三文で買った不動産が億の資産に化けているので、親の代から住んでる皆さんはウハウハでしょう。しかし新参者の移民にはツライ話であります。もう無理無理絶対無理!って感じで、ある程度の予算に収めようとしたら、ブルーマウンテンの麓とかさらにその向こうとか、あるいはブラックタウンより先の近所に牧場があるような新興住宅地ですかねえ。そうなるとこの仕事なんか絶対無理だし。まーね、「移民一世」というのは、アメリカやブラジルの日系の先達がそうであったように、額に汗して働いて働いてそんで終わりというのが世界共通のゲームのルールみたいなもので、人生2つ味わえるんだからそれ以上贅沢言うなってことで、そこは最初から割り切ってますけど。

 それからすると日本の不動産は「なにこれ?」というくらい安い。特に競売物件なんか嘘みたいに安い。競売物件難しいんだけど、そこは一応慣れてるし、こっちが慣れてなくても最近は裁判所も業者さんも突っ込んだ情報出してくれているし。真剣に探したら面白そうなものも結構あります。

 今はネット+Google Viewで大体のところはわかりますから、「ほお?」とか調べていると時間がたつのを忘れます。実家の近所とか調べていると、「あ、あのお好み焼き屋さんの家が売りに出ている」とかね。京都駅まで徒歩15分で、一戸建て(土地&二階建て居宅)で、買受可能額が276万円以上かあ。オーストラリアの印紙代くらいじゃん(印紙なんかないけど)。東寺の五重塔近所で外人さん相手のバッパーでもやるのもいいよね(今も既にあるが)。そうかと思うと、石垣島の農地が結構売りに出てたり。ほお、1000平米の農地(畑)が28万円かあ、何をどうすればいいのか見当もつかんけど。でもってGoogle Viewで見てると、うわあ海きれいそうとか、あのへん意外と牧場が多いんだとか、地理の勉強になったりします。

 いやあ、これだけ安いと日本でまた何かやるのもアリかなとか思っちゃっうんだけど、「いや、待て待て」と思い留めるブレーキもあります。なにかというと「ビンボーな国」です。

 明日(2014年04月01日)から、消費税が5%から8%になるわけですけど、実はそれだけではないのですね。

 今日本で一番ビンボーなのは国家そのものなので、僕ら国民は、タチの悪い遠い親類から「ちょっと都合してくれないかな」とせびられたり、クラスの不良にカツアゲされているいじめられっ子のような存在になってます。日本に戻ったら、また何だかんだでカツアゲされるのかあ、、、と。

 大体、今ですら先送りに次ぐ先送りで、ギュッと目をつぶって見ないふりをしていてこれだから、いよいよヤバくなってきたら、こんなもんじゃないだろ?って気もしますね。「お代官様、殺生でごぜえますだ!」って裾に取りすがって、「ええい、放せ、放さぬか!」って振り払われるという図。ヤマト朝廷の租・庸・調の大昔から連綿と続いてきた日本の庶民の風景です。万葉集でも詠もうか。憶良の貧窮問答歌とか、あったな。

 これがブレーキになってるわけですね。「また、いじめられるんだろうなあ」「やだなあ」って。

 ここのところ消費税ばかり語られている風潮があるけど、あれって陽動作戦じゃないの?って思うくらい、それ以外が凄いです。人によっては消費税なんかメじゃないくらいむしり取られる。何となく漠然と聞き知っていたけど、じゃあ正味どのくらいになるの?というと知らない。だったらこの際勉強しましょ!というのが今回のお題です。

お代官様の「殺生ですだ」リスト

一般市民の収入関連

復興税

 東北地震の復興のために皆さんカンパしましょう税の体系なんだけど、既にあれこれ施行されていますし、これからもなされます。

クリックすると記事全文がでます
 個人住民税が 2014年6月から向こう10年間は年1000円に(現行500円から値上げ)になります。
 しかし、それだけではない。

 所得税には2.1%加算されてます。既にそうなっているし、2037年までのあと23年間はそう。
 所得にかかるので、給与だけではなく退職金にも、株式配当金にも預貯金利息にもかかる。
 住民税の年500円増くらいだったらまだしも、所得に一律2.1%というのは結構ツライです。結局、金を稼ぐときは余分に2.1%取られ、お金を使うときは消費税でまた余分に3%上乗せされるという往復ビンタ的な。

 しかし復興のために遣ってくれているなら合理性もあるんだけど、そもそもちゃんと復興やってんの?という疑問が無いではない。右の表は、インフラ 水道復旧89% 漁港やや遅れ (日経2014/03/10)という記事にあった表なのですが(クリックするとキャプチャーした記事全文が読めます)、河川堤防が99%の復興率を誇る反面、災害公営住宅2%ってなにそれ?って気がします。被災者の家作らないで堤防ばっか作ってるわけですか。まあ、治山治水はインフラの要ですけど、それにしてもお得意のゼネコン&大型インフラばっかりやってるじゃん、でもってこれが公共投資のGDP押上げ(てか実態そのもの)でそれを指して「景気回復だ」って言ってるわけでしょ。ま、これは話が逸れるのでこのくらいで。でも、これが往復ビンタの内容かよ、これやるために2.1%取られているのかって思うと、ちょっとね。

 ちなみに増税ではなく減税節税つながりで、株式市場をサポートするために今年1月から始まった少額投資非課税制度「NISA」が話題ですけど、罠が2つあるのはネットでも知られているとおりです。一つは、損益通算が出来ない(損しても全体から引けない)とか、既存の株を移動できないとか、5年期限とか細かな制約があること。もう一つは、これがデカいのだが、配当金を郵便局や銀行の口座で受け取ると適用外になって20%税金を取られてしまう。また5年たっても塩漬け状態の場合、損切りせずに一般口座に移動するとこれも20%税金がかかる。勝てばいいけど、負けたら悲惨な制度とも言えます。

 でもって、企業は免除になる(復興特別法人税を廃止)。個人住民税はあと10年、所得税はあと23年続くというのに。よく「大企業や金持ちばかり優遇して」って文句言われるユエンですな。てか、国→企業→国民というサイクルモデルがもう古い。いくら企業を優遇しても内部留保でためこんだり、海外投資しちゃうから国民に廻らんぞ。国→国民→企業という具合に、ひとりひとりの国民をまず潤わせて、内需を活発にして結果的に全体が潤うという方式にすればいんだけど、そうはしたくないんだろうなあ。これも話が逸れました。


給与所得控除の圧縮


 これは2013年から既にそうなってますが、サラリーマンの給与所得控除が減っています。ここは分かりにくいんだけど、実質的には増税です。

 給料まるまる所得になるのではなく、そこから経費なんぞを差し引いた残りが「所得」になります。自営業者だったら、売上−経費(製造原価とか経営費とか)=利潤でわかりやすいんだけど、サラリーマンにも経費はある。例えば通勤定期とか、通勤用の車の維持費やガス代、服、付き合いの飲み会とかです。どこまでが経費でどこまでが私用なのか微妙なのですが、そんなの一人ひとりやってたら大変なので一律処理というのが給与所得控除。これだけは経費として給料から差し引いていいですよって額です。これが大きければ大きいほど、逆に課税されるべき所得は減るので、納める税金も減る。

 改正の骨子は、上限キャップがなされたことです。1500万円以上の人の上限が245万円までと限定されてしまった。1500万円以上じゃ関係ないやと思うかもしれないけど、将来的にだんだんボーダーが下がってきます。予定によると、2016年から1200万円以上&230万円に圧縮、2017年から1000万円にして220万円に圧縮。そのうち800万とか600万とか下がっていきそうな気もしますな。

 でも別にそんな反発食らいそうなことをしなくても、控除額の算定式を変えてしまえば簡単に増税にできます。例えば、年収400万円の人の控除は、年収×20%+54万円ですから、80万+54万で134万円。それを400万から引くから課税所得は266万。それに所得税率20+住民税10%の30%の約80万円。月あたり6万円税金です(他にも配偶者控除とかいろいろあるからもっと下がるはずだけど)。ここでこの控除算定式を20%から10%に下げると、控除が40万減り、課税所得は40万増えて306万、これの3割だから91.8万で、あっという間に年間10万ほど支出が増えるという寸法です。

 まあ、まだここまではやってないけど、やろうと思えば消費税なんて大々的なことをやらなくても、しれっと増税はできちゃうという話でした。だから消費税のように超わかりやすい話題って陽動作戦じゃないの?(そうじゃないだろうけど)とすら思うくらいです。分かりやすいことだけ追いかけてるとツボ踏みまっせ、と。

 なお、そんな年収1000万円なんか俺らにはカンケーないやって思う若い人とかいるかもしれないけど、そんなことないよん。なぜならこのクラスの人が頑張って働いて金遣ってくれているから社会が廻ってるって要素が大きい。このくらいの中間層が渋りだしたら、飲食店にせよ車にせよ教育産業にせよ不動産にせよ日本全国あらゆる業界で打撃を受け、それはダイレクトに倒産、リストラ、賃下げ、残業増大など労働環境の悪化につながる。そうなるとブラックとか言ってられなくなって、その中で漆黒ブラックは嫌だけど、墨絵ブラックくらいだったら御の字だよねみたいな話になりかねない。中間層は国の宝で、ここが充実しはじめたら新興国も離陸するし、ここが痩せてきたら国全体が没落する。第一このクラスが没落しはじめたら、数百万人と言われているニートやひきこもりの経済基盤を誰が提供するのか。だからカンケーないというのは料簡違いだと思うぞ。

特定支出控除

 さて、あっち(国)がその気なら、こっちも賢くならないとダメで、例えば、増税だという非難をさけるためか、飴と鞭のアメも一応出してます。それが特定支出控除ってやつで、<税金それホント!?>特定支出控除の巻(東京新聞)にわかりやすい解説があります。年収400万の上のケースだと、仕事のために自腹を切っている支出が年間67万円を超えた場合、その超えた部分を控除として申請することが出来ます。要するに所得を減らして課税額を減らせるという。

 まあ、これもハードル高いんですけど(会社からの必要です証明がいるとか)、それまでの経費認定範囲が広がったという点があります。一番でかいのは、これまで法定控除の134万(上記)分を積み上げて、さらにそれから超える部分だけを追加的に控除できたのだけど、今回からその半額(この場合では年間67万円)でよくなりました。ハードルが半分に下がった。さらにもとからある通勤、引っ越し、研究費、単身赴任旅費などに加えて書籍、衣服、交際費、資格取得費なんかが増えてます。このうち会社が出してくれないから自腹切ってる分をひっかき集めたらそこそこの額になると思いますよ。もっとも、別の論考によると、ほとんど誰も利用しておらず、「全サラリーマンが約5500万人いる中で、平成20年の利用者数はたったの6人だ。平成19年で7人、平成18年で9人、平成17年で13名、平成16年9名、平成15年10名だった」そうです。

 あー勿体無い。だって、2500円のビジネス書を買ったり、経済雑誌を買ったりしてたら月間1〜2万円くらい、つまり年間で20万くらいすぐいく。それに英会話のレッスンを受けていますとか、セミナー参加料がどうとか。プラスしてスーツやカバンなんか経費になるし、通勤や交際費などなど試しにやってみたら100万円くらいいく人も珍しくはないでしょう。

 でもって、今の累進税率は195万・330万・695万円・900万にボーダーが敷かれ、それぞれ10-20-23-33%と税率が変わる。給与所得控除を引いた額(給与所得)が330万ボーダー近辺の人の場合、330万の上下で10%か20%か2倍違います。頑張ってさらに経費を積み上げて320万円まで落とせたら、それだけで20%の税率が10%まで半減する!

 もっとも!税金というのは知的パズルで、そ〜んなに簡単に問屋がおろしてくれない。
 累進税率が20%から10%に下がったら、所得控除=同じ「控除」でもこれは経費(給与所得)控除ではなく、最終額からさらに引く「最後のオマケ」部分がまた違う。330より上だったらオマケは42.75万もくれるけど、下回ると税率は半分になるけどオマケも9.75万と激減する。よく出来てるんだわ。

 面倒臭いのは、所得控除の基準値が所得によって変動することであり、特定支出控除のボーダー(その半額)もこれに伴って変動することです。給与所得控除額の算定方法は、年収180万〜360万以下=給与年収×30%+18万円、360万〜660万以下=給与年収×20%+54万円、660万〜1,000万以下=給与年収×10%+120万」になってます。計算してみると、年収300万で108万(特定ボーダーは54万)、年収400万は上記の通り134万(67万)、500万で154(77)、800万で200(100)です。

 さらにややこしいのは、控除の変動区分が所得税の累進ランクと一致してないという点です。
 給与所得控除は180-360-660-1000という区分なのに対し、累進税率は上記のように195-330-695-900になっている。そしてそれぞれに所得控除額が違う。まあ、算定根拠が違うからってことだろうけど、混乱しますね。以下国税庁のページから引っ張ってきた表を掲示しておきます。出典は、所得税の税率 給与所得控除です。

給与所得控除体系
累進税体系

 そこで自分の給与額をもとに実際に算定してみるといいです。
 もうこの時点で気力が尽きた人がいるかもしれないけど、さあさ、お立ち会い、ここが頭の使いドコロだよ皆の衆ってな感じ。

 年収340万の場合はどうなるか?まず、給与所得控除額を出します。340万のカテゴリーは3掛けにプラ18万だから、340*0.3+18=120万円。そのままいけば、340万から120万を引いてもらって220万円(給与所得)。そして第二ステージの累進税率にいき、ここでは所得税率10%だから、税額は22万円。最後のおまけ控除が9.75万円だから、最終的に12.24万円になります。ま、月1万づつ天引き(住民税はまた別ね)。

 さて、ここで頑張って特定支出を計上したとします。340万円の人の特定支出ボーダーは上の出した120万円の半分だから60万円。60万円以上どれだけ支出できるかですね。仮に頑張ってもう10万追加で増やせた場合どうなるか。340万から120万にプラスしてもう10万円引いてもらえるから給与所得は220万から210万になります。こと税金に関していえばビンボーであるほど嬉しいね。210万に10%掛け21万、9.75万おまけしてもらって、最終的に11.25万になります。

 これって、えーと、方程式になるんじゃないか、えーと、数学超ニガテなんだよな、ああ、掛け0.1のマイナ9.75ってのは給与所得が330万以下だったら定数になるから、要するに10%税率だけ考えればいいわけか。だとしたら、頑張って特定支出の上積みを10万増やせばその10%キックバックがあるんだ。経費を1万余計に計上すると1000円税金が安くなると。なるほど、要するに経費積み上げて基準値を超えたら、超えた分は1割引きになりますよ、10%還元されますよってことか。消費税8%メじゃないじゃん。

 だったら給与所得が330-695万のレンジの人は20%なんだから、2割引きか!給与所得500だったら掛け0.2マイナ42.75だから57.25、これが490万になったら55.25、ああなるなる、2割引きだ。おいしいじゃん。まあ年収300万くらいで100万も経費ってのは無理っぽいかもしれないけど、ある程度もらってる人だったら真剣に取り組む価値ありでしょう。900万以上の人は33%引きですもんね。

 さらにそれが基準になって住民税10%が算定されるから、そこでも得する筈です(ま、他にも所得割だの均等割だの、その他の控除などいろいろあるけど)。賃上げのベア(ベースアップ)が取りざたされるのは、基本数が変わるとそのあとの数値も連動して変わる(ボーナス○ヶ月分や、退職金○ヶ月分の元の数字が変わる)から大きいんですけど、ここでは、ベダ(ベースダウン)です。ベースになる基本数値をさげると、あとあと他でも副典がありそう。

 あー、でも、今の計算、鵜呑みにしちゃダメですよ。今テキトーにやっただけだから、合ってるかどうか保証の限りではない。またあれこれ個人の事情が入ってくるはずです(他にもなんたら控除とか沢山あるし)。

 ただ言わんとするところを大づかみにで理解してください。このあたりをちゃんとやってたら、地道に毎日アフィリエイトのメンテやってるよりも、はるかにコスパよく金をゲットできるかも、ってことです。積み上げ試算なんて、日頃から領収書とっておけば小一時間もあれば出来るだろ。1時間で税金3万浮いたら、時給3万じゃん。金儲けが上手な人って、こういうところを絶対見逃さないんでしょう。逆にヘタな人は、ダダ漏れに見逃すからザルで水汲んでるよなものだという。

 なお、これを有効活用するためには会社側の理解がないとダメ(必要です証明発行)なんだけど、こんなのバンバン発行してやればいいんですよね。給料は上げられないけど、従業員が自腹切ってる分をガンガン認めていって、「ウチではスタッフの知的強靭化をモットーにしてます!」とかなんとか言っちゃって、英会話はもとより歌舞伎やらAKBのチケットすら「文化素養を高める」「マーケティング・リサーチ」とか名目つけてさ、どこまで税務署が認めるかわからんけど、会社にしたって給料上げるよりはマシだろ。このあたり、自営業者の人ははしっこいから、なんぼでもアイディアが出る。常に何とかならんか、経費で落とせんかって考えているし。

 この「経費で落とす」ってのを国もどんどん認めればいいんですよね。「税金でもっていかれるくらいなら」って誰でも思うし、僕でも思う。オーストラリアでは期末(6末)になると、皆さん(僕も)、なんか買うものはないかって思うもんね。パソコンなんか絶好の買い替え時期だったりする。馬鹿遣いするんですよ。だからこの経費控除というのは、実質的に大きな景気刺激策になってると思います。もっとやりやすくして(ボーダー20万円くらいに下げて)、認定範囲を広げれば、「どうしようかな」と消費にためらっている皆の背中を押せるし、そうすれば商店街も潤うのだ。復興税で堤防やら防波堤やら作ってるよりも、より広く、より生産的ではないのか。


厚生年金保険料の値上げ

 現在の17.12%が2014年10月から17.474%になる。が、これで終わらず、2015年10月には17.828%、2016年10月には18.182%、2017年10月に18.3%になる。

 これ、細かすぎて分かりにくいけど、要するに17.12%(2014)→18.3%(2017)に上がるのだけど、階段のように等差的にあげるので、それを分割したら年0.354%づつ上がるということです。厚生年金は、雇用主と従業員が折半して払うので、会社も社員も等しく痛い。

 パーセントで言ってるとわかりにくいから、額面給与が月20万円の人は、17.12%で月額34240円、社員はその半分だから17120円、ちょうど料率と同じ数字になる(2分の1の10万円を母数とするから)。だから毎年0.354%あがるということは、毎月354円の増加になる。これだけだったら大したことなさそうだけど、年間(×12)にすると4248円の支出増(手取り給与減)になり、飲み代1回分くらい。それが向こう3年あがっていくので、今年は年間飲み会1回パーなら、来年は2回パー、次は3回パーになると思うとわかりやすい。月額手取40万円の中〜大学生の子供を抱えている家庭の場合、ざっと二倍。

 まあ、実際に恐いのは波及効果でしょう。全員が飲み会や外食に遣ってるわけではないけど、仮にそうだとすれば、居酒屋とかレストランなどはお客さん一人につき年間一回分減ることになる。額面20万円だったら手取り15−6万ってところだろうし、これで一人暮らししてたら、そう飲みにはいけないから月あたり1回の飲み会だとして年12回、それが1回減るということは、居酒屋さんの売上は年間で12分の1減ることになる。ま、そんなアホみたいな単純計算にはいかないだろうけど、仮にでも売上が約8%下がるというのは、経営的には結構厳しいですよ。お寿司屋さんなど生鮮品を多く扱うところはネタに賞味期限が早いから、ある程度のボリュームの客数がないとロスが多くなって利益率がドカンと下がる。損益分岐が高い。ま、別に全部外食系に使うわけではないけど、そのあたりの悪影響があるのは予想されます。これ、消費税ではないですよ。厚生年金保険料の値上げなんていう、話題にも中々ならないような部分でそうだと。

国民年金保険料の値上げ

 国民年金もまた算定が面倒臭いので、僕もよくわからんのですが、とりあえずこの4月から毎月の保険料が210円上がります。これは値上げというよりも、保険料水準×改定率(賃金と物価とかの指数)で出すので、それが毎年変動していることによります。が、Wikiの国民年金の表をみると、1991年のバブル期に月9000円ポッキリだったのが、2014年には15250円になっている。約40%値上げ。そんなに給料や物価が上がってるかというと上がってないわけで、ぶっちゃけ「値上げ」といっていいでしょう。とりあえずこれで月額210円、年額で2520円、軽い飲み(こればっかだけど)一回分ね。仕事帰りに屋台のオデン屋さんが減ると。

 次に、年金は「後から入るほうが損」というのを裏付けるように、明日以降に新規加入する人には保険料を平均で7%ほど値上げし、予定利回り(リターン率)を1.75%から1.5%に引き下げると。やらずぼったくりとはこのことかと。まあ、これから加入する(させられる)若い人で、今どき真剣に返ってくると思う人は少ないかもしれないけど、一律に上げるならともかく、これからの人だけってのはツライように思います。「子孫にツケを回す」とか「ネズミ講」と批判されているユエン。

年金支給額の減額

 これは既に去年(2013年)から引き下げられてますが、国民年金と厚生年金それぞれにつき、2013、14,15年の3年で1+1+0.5=2.5%引き下げられます。

 国民年金を満額で受給している人は、13年度と比較すると月額で475円引き下げられ6万4400円に、厚生年金では、夫婦2人の標準的な世帯の受給額は13年度と比較して1666円引き下げられ22万6925円となります。えーと、これはウチの両親にめちゃ関連するからマジに計算すると(といっても正確に満額とか知らんけど)、二人で国民年金が475*2で950円、それに1666円上乗せされるから、月あたり2616円、年額31392円か。インターネットのプロバイダ料金くらい?安い温泉旅行一回分くらい?

 もっともこの2.5%はお代官様の説明によると、本来は貰いすぎだった部分だと。この3年物価が下がってたので年金も下がるべきだったんだけど、それは忍びないとして温情で下げなかった、しかしお尻に火がついてきたのでそんなことも言ってられなくなったという話です。

 さらに、NNKの解説 くらし☆解説 「下がる年金 今後は?」によると、今から10年前の年金改正時に「マクロ経済スライド」という新方式が採用され、物価が上がった場合、これまでのように物価にぴたりと連動せず、物価の伸び率ほど上がらないという方式になってます。知らんかったけど、厚生官僚さんのグッジョブ(皮肉よ)ですね。さりげにこういうところにウィルスみたいなものを仕掛ける。将来的に物価が10%あがっても、年金は5%しかあがらないというカタチで、徐々に年金の補正をしようとするわけですね。このNHK解説によると30年後には額は変わらないものの物価比較で実質20%くらい年金が目減りするかも、と。あのNHKですらそう言ってるんだから、そうなんでしょう。

 ところで消費税とか税制改革の論議で、「税と社会保障の一体化」とか言ってなかったっけ?今も首相官邸のページに行くと言ってるよね。国民的な平易な理解でいえば、福祉や社会保障を充実するから原資として消費税を上げても我慢して下さいって話だったような。違うんですかね。

自動車関連

高速道路料金、割引制度が大幅縮小

 あまりにも細かすぎるので書ききれないのですが、NHK解説委員室「くらし☆解説 「また変わる高速道路割引 大幅縮小へ」が背景や構造などを割りと細かく書いているのでご参照を。

 簡単にいえば「一般の車は4月以降、割引の多くの部分がなくなって実質的にかなりの値上げになる」という点です。ETC利用の場合、時間帯で割引率が決まっているのですが、これがそれぞれ微妙に値上げ方向に動く。割引幅が小さくなったり、適用される日時が縮小されたり。NHKの解説によると、「休日に東北道の仙台宮城と福島飯坂の間を走った場合、現在950円→1350円」「仙台・青森間、現在3700円→5100円くらい」、大都市部では夜間割引の時間と割引率がセコくなる(夜10時〜朝6時→深夜0時〜朝4時、5割引→3割引)。

 一方、トラックなど業界に対しては最大3割引がゼロになるので業界の大反対をうけ、激変緩和措置で1年暫定で据え置くだけではなく、新たに500億円投入して3割引を5割引に増大(値下げ)するという、典型的な朝三暮四のその場しのぎ。そんなことしたら1年後に5割→ゼロになって、もっと激しい反発が起きるだろうに、そんな先まで考えている余裕はないってか。ちなみに「激変緩和措置」とやらは地方部の一般ドライバーにも適用されるようになったが、それも4月以降3ヶ月だけという。まあ、ないよりはマシなんだろうけど、なんだかなという。

地球温暖化対策税、ガソリン1リットルあたり0.25円増税

 消費税の3%に加えて、リッター25銭上乗せ。根拠が別とはいえ、単純につらい。今日本ってガソリン150円くらい?オーストラリアと同じくらいか。仮に満タン50リッターだとして、3%増えると225円の消費税増。加えて12.5円の炭素税で、しめて237.50円の支出増。

 ますますクルマは贅沢品になるような気がする。それ以上に、ガス代と高速道路は流通経費を上昇させるから、あらゆる業界の経費圧迫にはなるでしょう。結局この値上げ分をそのまま価格に転嫁できたら消費者は値上げ幅がキツくなってしんどいし、価格に転嫁できないと下請けイジメたり、従業員イジメたり、要するに弱いところにしわ寄せがいくから、これまたキツい。

軽自動車税の値上げ

 これはよく報道されていて有名だけど、軽自動車税が、現在の年7200円が、2015年(来年)4月以降の新車から10800円に値上げになります。

 もっとも普通自動車の自動車取得税は消費税8%に時期的にシンクロさせて5%から3%に引き下げ、来年の10%への引き上げ時には廃止するということで、消費税分を自動車取得税で吸収しようということみたいです。

 とはいいつつ、多少あがったところで軽自動車の税額は普通車よりもまだまだ安い。普通車の自動車取得税は、排気量1リッター以下で約3万、以後0.5リッターあたり5000円づつあがるので、軽が1万円になってもまだ安い。また、同じ軽でも貨物とか営業車の場合は値上げ幅が小さい。それに新車だけを対象にするから中古車売買は現行どおり。新車販売きつくなりそう。

 まあ、それなりに配慮を見せているわけですが、軽自動車って地方居住者の足として利用されているのが多いと思う。調べてみたら(この記事)、「平成21年全国消費実態調査によると、ふたり以上の世帯で自動車普及率が一番低いのが東京都(60.7%)です。所有数量上位 は山形県、長野県、福井県、栃木県、新潟県で、1位の山形県の1世帯あたりの所有台数は2.1台にのぼっています(東京は0.69台)」となってます。大都市圏内は公共交通機関が発達してるから、個人でクルマを持つのはレジャー性が高いけど、ろくにバスもJRも走っていない日本の地方(これが国土の97%を占めるわけだが)では、一人一台くらいもってないと買い物もバイトも出来ないってパターンはよくあるでしょう。この点を捉えて弱者狙い撃ちとか批判する人もいます。

 

富裕層対象

所得税の最高税率の上昇

 年収4000万円以上の人について、現在の40%が、2015年から45%にあがります。これに住民税10%がついて55%。

 まあ、課税所得で4000万円って人は少ないとは思うのですが、それでも一説によると対象者は数万人いるといいます(論者によって1万4000人とか5万人とか)。また、これはサラリー限定ではなく全ての所得です。昔からもってる株式の売却益なんかも入ります。このレベルの年収を稼いでいる人で、単純にサラリーだけって人は少ないでしょう。いるとしたらバリバリの外資とかCOEクラスだろうけど、一見羽振り良さそうで、サラリーで稼ぐと丸っぽ所得補足されるから一番損でしょうねえ。

 実際、課税所得でこのレベルの人は、事業とか資産運用とかバリバリやってて、法人税で払うか、子会社作ってそっちにまわすとか、分離課税の譲渡所得税で払うとか、税法上のあれこれ「秘奥義」を尽くした上での4000万円以上でしょう。「まあ、このくらいは計上しておかないと。妙に脱税を勘ぐられたらかなわんし」で出しているって感じでしょうか。

 最高税率45%というのはオーストラリアの所得税と同じです。もっともオーストラリアは国税・住民税まとめてやるので、実際には日本のほうがやや高い。でも、オーストラリアで45%になるのは年収1800万円以上ですから、4000万円の日本よりは遥かに厳しいです。今はオーストラリアの方がずっと賃金が高いから、1800万くらいだったら日本の感覚でいえば年収1000万円くらいで、それでもう45%取られるわけですから、これはかなりキツイでしょう。

 一方、オーストラリアは年収182万(ドル100円換算)以下だったら無税です。
 日本は、年間1000円以上稼いだら194万円までは5%かかります。しかもこれに加えて住民税が一律10%かかるから、年収80万円のでも15%(12万円)取られる。これはキツイと思います。

 総じて言えば、オーストラリアの場合累進のメリハリがキツい。低所得者はほとんど何も払わなくても良いという厚遇をする反面、ちょっと人並みよりも稼げるようになったらドカンとかかってくる。日本の場合は、下には厳しい割には上の方に甘い。ただ、平均的に稼いでいる場合の担税感は、オーストラリアの方がキツイでしょうね。年収800万程度でも37%かかるから、日本で言えば年収4-500万でもそのくらいかかる感じ(日本は23%)。もっとも、いろいろな控除や手当がありますから、一概には比較できませんし、こちらは全員確定申告をするので(サラリーマンの多くは税理士に頼む)、そこらへんは余念なくベネフィットを受けるでしょう。逆に言えばボケっとしてると損。

 ところで上のオーストラリアの税率は「居住者」向けです。必ずしも国籍や永住権を持たなくても税法上の居住者として認定はされますが、そうでない場合の税率は高いです。税率ゼロなんてぬるいのは無くて、いきなり32.5%です。えらい差なので、このあたりもボケっとしてると損ですね。

 最高税率は、昭和49年の日本は住民税と合計してなんと93%。1億稼いだら9300万円税金でもっていかれるという状況だったのが、あんまりだということでその後88%、それでもキツイ。漫画家とかプロ選手とか生涯年収を固まって稼ぐタイプの人達には不利すぎるし、これじゃ一発大金持ち〜!の夢を砕くということで、少しづつさがっていったと思います。財務省のサイトの「日・米・英の所得税 (国税) の税率の推移」を見ると興味深いのですが、日米英いずれも、レーガン・中曽根・サッチャーの新自由主義の始まりのころに最高税率が下がってます。レーガンなんか一時最高28%まで下げてます。さすがにやりすぎだろってまた上がってますが。

 将来住むならここ!世界の所得税比べ(1)では、アジア環太平洋エリアの最低-最高税率の一覧表があって、面白いです。所得が低いときは低所得税率の安いところへ、お金をもってるときは最高税率の低いところに移り住む手もあります。もっとも、そんなに簡単にビザがゲットできるかどうか、それに非居住者の税率は違うだろうから、一概に鵜呑みにしたらあかんですけど、ものの考え方のトレーニングにはなるかなと。最高税率でいえば香港(17%)とシンガポール(21%)が馬鹿安なんですよね(もっとも記事自体が2006年だから今は違うとは思うが〜調べてみたらもっと安くなってた)。だから富裕層はそっちに逃げるといいますが、そんなに簡単に問屋がおろしてくれるかどうかってことです。

 まあ香港もシンガポールも面積的には小さなものですから(香港で札幌市くらい、シンガポールで東京23区くらい)、国家運営として単純比較するのは無茶だと思います。あれ自体が経済特区みたいなものだし、第一次、二次産業は殆ど期待できないから、金持ちを集めて利ざやを稼ぐようなビジネスモデル(国家運営モデル)になるのもわかります。モナコみたいなものですね。メンツ(国民や居住者)のタイプが全然違うし。

相続税の増税

 これが一番キツイんじゃないかな。必ずしも富裕層だけではなく、一般的な世帯にも直撃しそうです。

 現在の最高税率50%が、来年(2015年)1月から55%にアップします。
 それだけではなく、もっとキツイのが基礎控除額が大幅に減額されることです。
 現行では「5000万円+1000万円×法定相続人数」→「3000万円+600万円×法定相続人数」に縮小されます。

 例えば、法定相続人(遺族)が、奥さんor旦那(配偶者)と子供二人だった場合、5000万円+1000万×3で8000万円控除されてました。だから、被相続人(亡くなった人)がマンションやら株やら持ってて、総額7000万円だった場合、相続税はゼロです。相続税の申告は不要です。

 ところが、来年からの控除額は3000万×600万×人数ですから3000+1800=4800万円になります。総額7000万だったら差し引き2200万円が相続対象になり、相続税の申告は必要になります。

 そして1000〜3000万円の相続税率は15%で控除額は50万になってます。
 法定相続分どおりに相続したとして、配偶者1/2、子供二人だったらそれぞれ4/1づつです。すると配偶者は2200万×1/2の1100万に15%をかけて165万円、ここから控除の50万をひいて115万円。子供は32.5万づつかかります。ただし、配偶者には特別に軽減措置があり1億6000万円までは免除されます。

 また未成年者には成年に達するまで月あたり10万(改正によって6万から増額)の未成年者控除が、障害者には85歳まで月あたり10万(改正によって6万から増額)、等級1.2級は月あたり20万(12万から増額)があります。

 ややこしいですね〜。ま、特に差し迫って必要でなければ詳細は知らなくてもいいです。必要ならばネットにあちこちに解説があります。ただ、ここでは基礎控除の範囲がかなり減ってしまったので、従来だったら相続税の問題なんか全然起きなかったケースでも、マジにかかるようになるということです。もう真剣に知的パズルのような相続対策をやらないとならない。現行の相続人が親子3人で控除8000万以上というのは、か〜なり優良な不動産を持ってるような場合に限られます。そうそう誰でも対象になったわけではない。しかし、ボーダーラインが下がって控除4800万になると、そこそこ不動産があったらひっかかってきますからね。

 これで世の税理士さんやFPさんなどは忙しくなってると思いますが、さらに「小規模宅地等の特例」というのが拡充したので建築会社も忙しくなっている筈です。飴と鞭のアメの部分です。これは自宅などを相続した場合、機械的にやってたら相続税が払えず、泣く泣く自宅を売り払わねばならなくなる(でもって買い叩かれる)悲劇を少なくするために、その相続不動産の価格の算定を8割引にしてあげましょうという規定です。ただし、これには制限があって敷地面積が240平米以内に関してです。しかし、来年からの改正にともなってこれを330平米(100坪)に拡大します。

 また、自宅の他に賃貸物件(家作)を持っており、且つ自宅が330平米に満たなかった場合、余った分を貸付物件に転用することもできます(200平米まで50%)。さらに個人事業をしていた場合の不動産(特定事業用宅地等)は400平米まで80%減額できるのですが、これまでは自宅用とどっちか一つを選ぶものが、それぞれ独立並行して減額を受けられるので、自宅&事業で最大730平米まで恩典があります。また二世帯住宅や老人ホームの場合についての要件緩和もあり、これら複雑な考慮の結果、今のうちに二世帯住宅を建てませんか、お得でっせというビジネスチャンスにもなっているようです。

贈与税

 相続税と軌を一にしますが、贈与税の最高税率50%が、2015年1月から55%にアップされます。しかし、どっちかといえば減税方向が多く、現行600万以上がおしなべて50%だったのに対して、40%から55%まで5%刻みで段階を作るので3000万円以下だったらむしろ減税。また、子や孫への贈与は税率が安くなりました。

 ここ数年、贈与税がホットだといいます。言うまでもなく相続対策です。相続税も一種の贈与税みたいなもので、棚ぼた式に財産ゲットという意味では、両者の本質的な区別なんか無いのかもしれないです。「生前贈与」という言葉がありますが、民法上はただの贈与契約でしかないでしょう。ただ、税法上で相続税の算定にあたって斟酌される、あるいは相続の一部を予め実行している(本人が生きているうちに遺産分けをしている)ものです。贈与と相続は激しく連動しますし、来るべき相続税をいかに減らすかという戦略的な見地から贈与が活用されているといってもいい。

 今、日本の資産の多くは高齢者に帰属してると言われますが、これが徐々に下の世代に降りてきます。この財産の移動時を狙って、ハゲタカのように国が税金を取ろうとします。まるで西部劇のアウトローが駅馬車を襲撃するようなものです。出来るだけ節税できるように、移動する側もあの手この手を考えます。

 贈与税は年間110万円まで無税ですから、毎年110万円づつ推定相続人(多分相続人になるであろう人)に贈与していけば、10年で1100万の駅馬車での無襲撃移動が出来ます。その分相続税が浮きます。

 実際には、国も奪うばかりではなく、上の世代から若い世代への所得移転を奨励しているようで、さまざまな「応援」をしています。例えば、子や孫への教育資金の一括贈与は1500万円まで非課税にするとか、あるいは相続時精算課税方式というのがあり、生前贈与をしても2500万円までは、あとで相続の際の相続税として一括精算をすれば、贈与税としては非課税にするという制度もあります。贈与税は110万までは無税ですが、そんなチマチマやってられないくらい大きな額の場合、生前贈与をその都度贈与税として払うと(暦年式)、贈与税の税率は相続税よりも高いですから損です。だから、この相続時精算なんたら制度、要するに「〜ツケにして後で精算」方式が注目されており、今度の改正でもさらに拡充されいます。贈与者の年齢を65歳から60歳に引き下げ、受贈者を孫を入れてます(孫は推定相続人にならないけど含めるようにした)。また住宅取得資金の贈与非課税もあり、条件は細々ありますが、子や孫の不動産取得に資金援助しやすくしています。

 このあたりの細かい話は、ネットでも書籍でも山積みされているでしょうから、このくらいにしておきます。


 もっとも、富裕層 VS 国の熾烈な戦い全体で言えば、上の相続税やらなんやらは初歩の初歩、ABCのAとかBレベルでしかないでしょう。リアルには、ABCのXとかZで戦っているのでしょう。例えば、富裕層がシンガポール、香港に脱出彼らの狙う租税回避をどう防ぐ(ダイヤモンド・オンライン)では色々解説されていて参考になります。海外離脱したら日本の税金から逃れられるとしても、単に海外に行けばいいだけなのか、いわゆる税法上の「非居住者」「生活の本拠」の定義はなにか?ユニマット事件や武富士事件という判例が既にでており、結果的に国側が負けてますが、しかし最高裁も「忌々しいけど仕方がない」的に悔しそうだったりして(「一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれども、やむを得ない」)。

 アメリカなどでは「出国税」と称される制度を持っているそうです。国を出るときに保有する資産を売却したものと「みなす」ことにより、キャピタルゲイン課税などを課す。税金払わないと国から出してくれないという。イギリスでは、5年以内に帰ってきたら、その間の海外での所得にも課税するとか。国によってマチマチで、出国しても居住者とみなし続けるとか、いっそのこと非居住者であっても課税しちゃえとか。日本の場合も、国外財産調書制度の創設(平成24年度改正)、受贈者の国籍を外国籍化する形での相続・贈与税回避スキームへの対応(平成25年度改正)などの対応がやられているそうです。

 それ以前に、金融機関の預金名義の「名寄せ」の強化、あるいは国民総背番号=マイナンバー制度の導入で監視の目を光らせているのは周知のとおり。

 

雑感

 以上、あげていけばキリがないのですが、「消費税だけではないよ」ということです。というよりも消費税など氷山の一角に過ぎないと。

 税金というのは不思議なもので、贈与税でも、なんで他人にモノ(金)をあげたら、呼ばれもしないのに国がしゃしゃり出てきて、場合によっては半分以上もピンハネするのか。なぜ、愛する人を失って泣き崩れる遺族のもとにいって、金をむしりとってくるのか。なぜそんなことが出来るのか?よく考えたら理由なんかないのですね。無くてもいいのです。税金とは所詮は強制カンパであり、カツアゲみたいなものですから。必死に働いて給料もらったら税金でピンはね、株で儲かったらカンパ、不動産持ってたら固定資産税でふんだくられ、車持ってたら、、、しまいには呼吸したら税金とか呼吸税もできたりして。中世ヨーロッパには初夜税というのがあったとかなかったとか。

 要は皆のシステムを守るために皆で出しあいましょうってことですが、本当に大事なのは「いくらぼったくられた」とかいうことではなく、本当に「皆を守るため」に使われているかってことだと思います。オーストラリアでは予算案が成立すると、新聞は一面どころか全面その特集をやります。予算案というのは、優先順位を最も分かりやすく表しますから、国防よりも教育を重視するとか、インフラ整備よりも医療ケアを優先させるとか、そのあたりが激しく議論の対象になります。総花的に「みんな大切〜」とか言ってたらお金が足りなくなりますから。でもって、やれウィナーは誰でルーザーは誰かとか、庶民感覚に落としこんで解説もします。バジェットなくして政治なしです。


 消費税導入を野田政権が決めた時の経緯は、要するに国債がヤバイから、国際的に信用を得て格下げされ暴落されるのを防ぐ、「財政改革、やってまっせ〜!」というポーズを見せるという意味が大きかったと僕は思ってます。
 でも、あれから数年、世界の情勢はまた変わってます。

スペイン、こんな感じ
台湾もこんな感じ

 アメリカの引き締めでアルゼンチンだの新興国からお金が抜かれてグラグラになってきてますし、中国も一部でデフォルトや取り付け騒ぎ、トルコもガタガタだし、スペインでは学生達がデモ起こして大騒ぎになってるし、台湾では中国本土に乗っ取られそうなので凄い騒ぎになってるし。ウクライナはあの通りだし、フランスがロシアと仲良くしようとしてるし。

 なんかこんだけ騒がしくなってきたら、ポーズつけなくても誰も見てないんじゃない?って気もしますね。それどころじゃないって。


 最後に、消費税駆け込み効果!がどれだけあったのか微妙だって話になってますが、面白いものをみつけました。

 右は価格COMの直近の値動きのグラフで、商品は三菱の掃除機なんですけど、面白いのは消費税駆け込み効果を狙って3月になるほど値段が上がっている点です。消費税前だから得だ!と思いきや、ベーシックに思いっきり大損こいているという。

 この商品だけが特別かと思って幾つか見てみましたけど(「価格推移グラフを見る」というところをクリックすると見られます)、ここまで極端ではないけど、似たり寄ったりで、特に最終になるほどに上がる傾向があります。今日が最後のチャンスと思っている方は、事前にチェックされることをオススメします。

 



 
文責:田村



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