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今週の1枚(10.01.18)





ESSAY 446 : Sunshine Coast 旅行記 (その2) 〜ヒンターランド編
         Glass House Mountains, Montville, Ginger Factory 




 写真は、本文で述べるMontville。高原リゾートとしてお洒落なショップが立ち並ぶMontvilleも、その素顔は住民数1000人未満の小さな村です。小さいながらも美しいところで、写真は慎ましやかな教会ホール。




 前回に続いてサンシャインコースト旅行記です。後日の皆様の観光案内になれば。

 前回は準備編とCaloundra編でした。今回は、ヒンターランド(hinterland)と呼ばれるエリアをやります。ヒンターランドは「後背地」と訳されますが、これじゃ何のことか分かりにくいですよね。簡単に言えば海側ではなく山側ってことです。海外線からちょっと引っ込んだ(後背の)エリアのことです。

 サンシャインコーストというと、「コースト」と名が付いているだけに「とにかく海じゃ!」と海にしか目がいかなかったりします。が、意外にも海以外のエリアが良かったりするんですよ。逆にサンシャインコーストの海は、まあ海でして、確かにきれいだし楽しいけど、WA州のエスペランスのように別格的に凄いわけでもないのです。なんせオーストラリアの外周2万キロ全部海ですからねー、この程度の海だったら幾らでもあるでしょう。

 オーストラリアの海観光の場合、単に「海がある」というだけではなく、海+プラスアルファだと思います。メチャクチャ綺麗であるとか、珊瑚礁があるとか、サーフィンのメッカであるとか、観光施設が整ってるとか、あるいは観光っぽくなくて落ち着いているとか、イルカやペンギンが来るとか、家族で長期滞在に向いているとか。そういう意味でサンシャインコーストを見ると、そーんなに何かが突出しているわけでもないです。ややゆったりした高級感のある海岸リゾートって感じでしょうか。まあ、このあたりは次回にやるヌーサで書きます。

 サンシャインコーストのヒンターランドも沢山あるようですが、今回は、奇怪な山々が散在しているGlass House Mountains、軽井沢のようなお洒落な高原街であるMontville、そして意外と面白くて勉強になったGinger Factoryを紹介します。いずれも公共交通機関だけで訪れるのは難しく、レンタカーなりを用意した方が良いとは思います。

 それぞれの位置関係は隣の→地図をご覧下さい。

 なお、以上の三カ所は、たまたま僕が訪れたというだけで、全ての中のベスト3ではありません。誤解無きよう。サンシャインコーストの観光案内でも、ヒンターランドのオススメエリアとして挙げられているのは、Beerburrum、Beerwah、Bli Bli、Boreen Point、Buderim、Cooroy、Eumundi、Flaxton、Forest Glen、Gympie、Imbil、Kenilworth、Landsborough、Mary Cairncross Park、Mary Valley、 Maleny、Mapleton、Mooloolah、Nambour、Palmwoods、Pomona、Woombye、Yandina等々幾らでもあります。

 僕はその全てを検討したわけでもなんでもないです。今回紹介するのは、あくまで僕が”たまたま”行ったところです。もともとヌーサにだけ滞在するつもりだったのが、ひょんなことからカランドラにも泊ることになり、カランドラからヌーサまで移動ドライブするなら、ついでにその道中も見物していきましょう、程度の軽いノリです。単なる寄り道。しかし、意外なくらい豊作だったので一章割いて書いているわけです。それにこのあたりのエリアを細かく書いている日本語文献はそんなに無いと思いますし。

 ま、能書きはともかく、いきます。



Glass House Mountains/グラスハウス・マウンテン




 ここを観光地と言っていいのかどうかわかりませんが、要するに「変な山がボコボコある」だけのことで、周囲をドライブしてその”変さ”を「へえ〜」といって鑑賞するだけのことです。いわゆる”scenic drive”ってやつです。それだけっちゃそれだけ。

 「マウンテンズ」という名前ですが、イメージするような山岳地帯ではないです。基本的には平野。

 ただ、ところどころに地面が異様に隆起して小山をなしており、イメージとしては(ご存知かどうかしりませんが)、奈良盆地の大和三山みたいな感じです。耳成山、畝傍山、天香具山ですね。ただし、大和三山のように万葉集的な美しい稜線をもっているのではなく、かーなり奇怪な形をしてます。異形な感じは、アメリカの西部劇に出てくる、荒野の奇怪な岩山群に似てます。

 →右に、Google Mapをそのまま持ってきましたが、 赤いシルシのあるあたりが展望台で、その周囲をモコモコと、まるでオデキのような隆起があるのが分かると思います。これが「奇怪な山々」です(もっと大きく地図を見たいときはココをクリックしてください。

 Googleといえば、事前にStreet Viewでどのくらい奇怪なのか見てみようとしましたが、あまりに田舎なのか展望台のあたりのデーターは撮ってないようです。


 Glass Houseという名前の由来は、ここの発見者であるジェームス・クックによる命名だそうです。ジェームス・クックという人は、イギリスのコロンブス、マゼランのような人で、世界一周航海を行い、ハワイ、タヒチ、NZ、そしてオーストラリアを発見しています。もっともオーストラリアは100年以上前にオランダ人が発見していますが、そのときは北部のジャングルだけ見て、使い物にならないと放置されており、本格的に発見、測量、領有を宣言したのはジェームス・クックです。そのオーストラリア発見時(1770年)に早々とグラスハウスMtsも発見されています。まあ海岸線沿いに航行すればイヤでも目立ちますから。

 なぜ、「Glass House」というか?ですが、これはクックが「グラスハウスにそっくり」と思ったからなのですが、辞書でグラスハウスを引いても、「ガラス工場,ガラス店; 温室、軍刑務所」など色々な意味があります。さらに調べてみると、クックの故郷であるヨークシャーにある大きなガラス工場に似てたそうです。どの山のどこがどう似ていたのか僕には分からんのですが、まあ、彼にはそう見えたのでしょうねー。そんな個人的な思い出で命名しないで欲しいって気もちょっとしますが。最初「グラスハウス」と聞いて、一瞬、”grass house(緑の山)”かと勘違いしてしましたもんね。あれのどこがガラスなんだと。

 では、なぜこんな変テコリンな山々があるかというと、Wikipedia(英語版)の解説では、”It consists of a flat plain punctuated by volcanic plugs, the cores of extinct volcanoes that formed 27 million to 26 million years ago. The mountains would once have had pyroclastic exteriors, but these have eroded away.”と難しい地学専門英語を散りばめて説明されていますが、要するに大昔(2600万年前)の火山活動の痕跡で、地中からマグマが押し上げられた状態で固定、冷却、侵食されたもののようです。”volcanic plugs”というのは、岩頸(がんけい)、岩栓(がんせん)、突岩(とつがん)と言われ、日本語に訳してもまだよく分からないのですが、マグマの通り道で、周辺の土壌が浸食されて旧マグマだけが残ったと。位置的にマグマ噴出の首根っこにあたるという意味で「岩頸」といい、まるでマグマの噴射に栓をしているようだという意味では「岩栓」であり、地下マグマによって突き上げられているという意味で「突岩」というのでしょう。パイロクラスティック(pyroclastic )という、新しいカイロプラクティックみたいな名前は、火山砕屑岩(かざんさいせつがん)で、噴出されたマグマが堆積されてできた岩石のことです。これらがエクステリア(=インテリアの逆=周辺外部)に散らばっていたのだけど、浸食されて無くなってしまったと。

 要するにサンシャインコーストのヒンターランドは、その昔は結構火山活動が活発であり、地形や土壌はその影響を今尚受けているということですね。そしてそのことは後で述べるジンジャー工場の伏線にもなります。なお、このテの地形は火山大国の日本にも当然のようにあり、伊豆諸島あたりには海中からニュッと奇岩が生えています(藺灘波(いなんば)島、孀婦(そうふ)岩、須美寿(すみす)島)、あるいは日本三彦山に数えられ、ロッククライミングと修験道で有名な姫路市の雪彦山なんかもそうです。


 小難しい話はこのくらいにして、グラスハウスMtsですが、サンシャインコーストをドライブされるならオススメです。なぜならブリスベン方面から北上する場合には通り道(旧道だけど)なので、大して余計な時間がかかりません。それに、実際に現場で見るときの異様感は写真以上のものがあり、ハンドルを握っていて、ふと視界が開けてその姿をチラとでも見えると、「なんじゃ、ありゃ!?」って見に行きたくなります。

 前回、展望台には茶店一つないと言いましたが、その周囲には多少のカフェや宿があります。例えば、ココなど。このHPに掲載されている写真は、さすがプロが撮っただけあって綺麗ですよ。

 山は全部で12ありますが、一番高くて555メートルですから絶対高度としては大したことがないのですが、切り立ったような断崖になってたりしてロッククライミングの場になってます。というかそのくらいの根性&技術がないと登れないという。ただし、周辺の散策はそこまでの根性は要りませんし、キャンプなども出来ます。山歩きが好きな方は、QLD州政府の自然公園の詳しいデーターと解説をご参考にしてください。

 また、こういう奇景のところというのはナチュラルに意味ありげに思えてしまうので、昔からアボリジニーの伝説があります(全部が家族らしい)。

 以下、写真を何枚か掲示しますが、どれもこれも本物の迫力には及ばないです。オーストラリアの写真って大体そうなんですけど、雄大すぎちゃって写真で撮るとショボくなっちゃうんですよね。ここも圧倒的な広大なパノラマ感があり、別に異形の山がなくなって十分に堪能できると思います。

 ↓まずは、展望台でのパノラマ写真。これでも360度中の130度分くらいしかないです。パノラマ接合がブレてる部分もありますが(^_^)、クリックして横3419pxで見てください。




 ↑写真上、左は、上のパノラマのさらに右方向。奇山はないけど景観です。
 写真中央、陽気なオージー父子がバシバシ写真撮ってました(僕も撮らされた)。
 写真右は周辺地図で、至るところがピクニックコースになってます。


 ↑ 運転していると前方にモモモ〜っと山が見えてきたりします。この写真で見てもその不気味さはわかりにくいのですが。
 写真右は、奇怪な山の麓にあるパイナップルファーム。見事になってました。いずれどこぞのワーホリさんがピッキング作業にいそしむのでしょうか。





Montville/モントビル




 Montvilleを含むこのあたり一帯を総称してThe Blackall Range というそうです。Baroon湖周囲の山合のちょっとお洒落なリゾート地ということで軽井沢みたいな感じでしょうね。町としては、Maleny、Conondale、Kenilworth、Mapleton、Flaxtonなどがあるようですが、今回は通りすがりにMontvilleを見ただけなので、他の町は分かりません。ブラックオールレンジの観光サイトはココです

 右に例によってGoogle地図を貼り付けましたが( 大きな地図で見たいときはココをクリック)、見て分かるように、グラスハウスMtsよりも、こちらの方が遙かに「山」です。グラスハウスから北上ドライブするのですが、ある地点を通過すると一気に上り坂が続き、ぐんぐん高度が上がっていき、絶景ビューになっていきます。




 モントビルは、もともとは林業や酪農の開拓部落だったのですが、亜熱帯気候に適した産品(柑橘類、パイナップル、アボガド、マカダミアン)に変わり、さらに大都市ブリスベンからそれほど離れていない高原地帯ということで1920年代からリゾートになっていたようです。そして自動車の普及と道路整備によりますます距離が短くなってから観光地としてさらに発展したと。モントビルという名前は、このあたりの大地主&実業家で町を発展させたヘンリー・スミスという人が、彼ら家族がその昔住んだ米国、コネティカット州のMontivilleをしのんで命名したそうです(その前はイギリスから移民してきたそうな)。えらいプライベートな理由でつけたりするのですが、オーストラリアは歴史が浅いから、地名の由来を調べると生々しい事実が細かくわかって面白いです。かくして観光地として有名になったMontvilleですが、未だに人口は853人(07年)に過ぎません。人口千人未満といえば、日本で言えば超過疎の村になるのですが、観光産業というのは凄いもので、住民が少なくても来訪者が多ければ十分に栄えるといういい例です。

 大都市近郊にあるというアクセスの利便性+高原地帯で避暑地になりうるということから、日本でも軽井沢や那須高原がそうですが、 シドニーでもサザンハイランドがあります。そして、そのエリアの中でも、なぜかそこだけ妙にお洒落なクラフトショップやカフェ、レストランが街道沿いに立ち並ぶ町があり、モントビルはそんな町なのでしょう。シドニー近郊サザンハイランドの場合には、おそらくBerrimaが相当するように思います。ただ、ベリマよりもモントビルの方が規模も洗練度も上のような気がします。


 写真のように通りに沿って店が建ち並ぶというシンプルな構造なのですが、それでもお店の数はかなり多いです。また似たり寄ったりの土産物屋が林立するのではなく、それぞれに一風変わった店が多いので、ついつい長居してしまいます。

 今回オーストラリアの短いローカル旅行をしてつくづく感じたのですが、「土産物屋がない!」ということです。留守にするに当たってお向かいのお宅に郵便物の取り置きなどを頼んだので、何か買って帰ろうと思ったのですが、最後までその機会を得られませんでした。カランドラはローカル色バリバリだからさておくとしても、ヌーサにすら殆どその種の店はありませんでした。らしい店があって覗いても、そこは麦わら帽子やビーサンという海辺の必需品が主で、日本で見られるいわゆる「ヌーサせんべい」の類は絶無に等しい。これが、シドニー、ケアンズ、ゴールドコーストなど国際的な観光地になると掃いて捨てるくらい土産物屋があるのですが、ちょっとローカルになるとぱたっと無くなる。今から思えば、このモントビルで買っておくべきでした。ぶらぶらと冷やかして特に買わなかったのですが、買っておけば良かったと思いましたねえ。ちなみに、ココにMontvilleのショップの一部があります。

 それとオーストラリアのローカル旅行をする場合、気の利いたランチを食べる場所が存外少ない事です。大きな町にいけば勿論ありますし、郊外のファーストフードの店もあります。しかし、もうちょっと小洒落たカフェかなんかは無いのか?というと、普通の町だとローカルすぎて逆に全然なかったりします。あるのだろうけど、通りすがりでは見つけにくいのですね。

 その意味で、モントビルというのは、面白そうな店が沢山あり、しかも食べるところが結構あるので、この付近を通りすがりに冷やかして行くには最適だということです。もちろん、数日逗留してゆったり暮すのも良いのでしょう。山と湖があれば、呑気な休日にはなりそうです。


 ↑写真上は、「変わった店」の一つとして、アイリッシュ&スコティッシュSHOP。アイルランド、スコットランドのトラディショナルなグッズが山ほど積まれていました。あまりに特異なので買うべきモノは見出せなかったのですが、見てるだけで「ほお」と思います。
 写真上中央のガラス窓に貼られた「貸キルト」。あのスカートみたいなスコットランドの民族衣装ですね。
 各家紋(エンブレム)のついたスプーン群。エンブレムってこんなにあるんかとびっくりしましたけど、日本の家紋だってこういう形で並べたら相当あるんでしょうねえ。収集用のものでしょう。ココにHPがありました。詳しく見たい方はどうぞ。



 ↑写真上、左は、時計屋さんです。クラシカルな「おじいさんの時計(英語でも本当にGrandfather Clockと言う)」やら鳩時計やらが、これでもかというくらい並べられ、売られていました。鳩時計はCuckoo Clockといいます。ハトでなくカッコーなのね。確かに鳩はあんな鳴き方しないよな。あとで調べたらココにHPがあります。  写真中央は、水車とカエルの印象が強烈すぎて、何の店だったか忘れてしまった。
 写真右は、アンティークの店だったと思います。


 ↑写真上左の猫の置物は、結構ぐぐっと来ましたね。「どこに置くんだ?」とか思って買わなかったけど。
 写真中央の地球儀もぐぐっときましたね。特売やってたし(^_^)。買ってる人もいました。
 写真右、こういうクラフト系、アンティーク系の店が多かったです。店のたたずまいがいい感じなんですよ。


 ↑写真上左、町そのものも落ち着いて綺麗なものでした。丁度クリスマス前にいったので、次の水曜日の7時からキャロルをやるようですね。
 坂を登り切ったあたり、「もう店はないだろう」と思ったらまだあって、その奥が絶景眺望のカフェレストランでした。
 ただし、この店はいいのは見晴らしだけど、超アンフレンドリーだったうえ、あとでレシートをシコシコ精算してたら飲みもしないミネラルウォーターを勝手にチャージされてました。しかも一本5ドル70。単純なレジミスだと思うけど、ムカついた。歩き疲れて気づかなかった自分にも腹が立つっちゃ。

 ま、それはともかく、サンシャインコーストのドライブ旅行をお考えの方は、知っておいても損はない町だと思います。ヌーサからも、カランドラからも車で小一時間くらいしかかからないし。



Ginger Factory




 このジンジャー・ファクトリーは、個人的に十数年前から行ってみたかったのですね。オーストラリアに来たばかりで、オーストラリアのパンフをパラパラとめくっていてその存在を知り、且つショウガに目鼻をつけただけで「ジンジャーマン!」とかやってるキャラクター創造の無理矢理剛腕ぶりに感動したのですね。「ジンジャーマンかあ、、」と。

 今回のサンシャインコースト旅行で立案しているとき、「お、ジンジャーマンってサンシャインコーストだったのか!」と判明し、内心色めき立ったものです。他にも巨大なパイナップルの模型がドーンと店外にあるBig Pineappleも候補にあったのですが、ネットでのレビューを読んでいると、ジンジャーファクトリーの方が面白そうなのでジンジャーにしました。二つ行くのは時間的に無理があったし。

 右のGoogle地図でお分かりのように(大きな地図で見たいときはココをクリック)、ジンジャーファクトリーは、幹線道路が交差するYandinaという町にあります。だだっ広く閑散とした道の工場街でした。そりゃそうだよね、ジンジャー工場なんだから。もっとも工場街といっても、煙突が林立するネズミ色の雰囲気ではなく、開放的でゆったりした感じのものですが(こちらの工場街はそういうのが多い)。
 ジンジャーファクトリーのHPは、ココにあります。なかなか細かく解説してくれているので読み応えあります。

 ジンジャーファクトリーはもともとBuderimにあり、それがYandinaに移転してきたとのこと。もともとなんでここでショウガを栽培しているかというと、第一次大戦によって中国からのショウガの輸入が途絶えたので、自分達で作ろうという5軒の農家がジンジャー農協のようなものを作ったのがはじまりだそうです。

 ジンジャー栽培は、このサンシャインコースト・ヒンターランドに非常に合っていたそうです。もともと熱帯植物であるショウガは、気温と降水が必要な上に、火山灰性の土壌が良いと。ここでGlass House Mtsでの火山性地質という伏線が生きてくるわけですが、このあたりはジンジャーの栽培に最適だったらしい。オーストラリアでも商用にショウガ栽培やってるのはここだけだそうです。今ではworld finnest & famous というのは満更自画自賛ではないようで、世界17カ国(日本も含む)に輸出するまでの伸びています。ですので、あなたも何らかの形で、ここのジンジャーファクトリーの製品を口にされているでしょう(原材料としてだけど)。




 ↑写真上左、工場街といっても、かなり開放的な感じです。
 写真中央・右、ジンジャーファクトリーの入り口です。入場無料です。ただし、後に述べるツアーは有料。
 この写真の人型のジンジャークッキーを見て、「あ」と思ったのですが、このクッキー、オーストラリアの至るところにありますよね。よくカフェかなんかにガラスのショーケースに置かれているクッキーの中にあります。これまでは別段気にしなかったけど、あれってジンジャークッキーだったのか。そして帰った後、そう思ってみると、本当に至るところにあります。帰路、シドニー空港のカフェのレジ横にあるのを発見して、「おお、あるじゃん」と思ってしまった。



 ↑中にはいるとかなり綺麗に整理されていて、ショップの奥には簡単な食堂もあり、ショウガの草実物も売ってました。
 周囲にレールが敷かれてて、子供用の小さな汽車も走ってます。


 一日に何度か行われるジンジャー工場見学ツアーに参加しました。一人12ドル。参加者は僕とカミさんだけですが、ガイドさんと3人だけなので和気藹々&みっちり話が聞け、けっこう面白かったです。でもって、ツアー集合場所へ。そこでついにジンジャーマンとご対面です。いいなあ、この無理矢理キャラ。
 ガイドしてくれたのは、この工場に勤務する女性の方でしたが、手慣れた調子で、そして聞き取りやすい英語で喋ってくれました。
 工場に入る前に置いてあった鉢植えのジンジャー。クリックして写真を大きくすると、根っこにショウガがあるのがわかります。


 上に書いたようなショウガ栽培の条件の説明の他、収穫や特徴について教えてくれました。作付け数ヶ月でまだベビージンジャーのうちにもう収穫してしまうそうです。この段階ではショウガに植物繊維が入らず非常に滑らかなジンジャーが得られると。この工場でのショウガ加工は、その殆どがお菓子用だそうです。僕ら日本人はショウガと聞くと、薬味やスパイスとしての使用法くらいしか思いつきませんが、世界的には甘味のお菓子、あるいはジンジャエール、ジンジャービールのような形で利用されるケースの方も多いようです。少なくとも刻んで料理に入れるのではなく、工場で加工するようなものは甘味や嗜好品が多いと。そのためには植物繊維が入ってないべビージンジャーが良いとのことです。後にショップでジンジャーピューレーを買ったのですが、これが確かに繊維ゼロですごい滑らかで口当たりが良いです。

 そのベビージンジャーを収穫し、選別していくのですが、この選別が結構凄くて、コンピューターやレーザーなどで繊維の有無をチェックするなどもしているそうです。選別したジンジャーは年間均一品質を保つように保存され、あるいはシロップに漬けられて菓子材料などにされるそうです。メモを取らずに聞き流していたので、かなり抜け落ちてますし、間違っているかも知れません。詳しくは本家のサイトの「ジンジャーについて学ぼうコーナー」をご覧下さい。

 ツアーの最後は試食会。いろいろなジンジャー製品を少しづつ試食させてくれるのですが、今まで食べたことないもの、その存在を知ってもおよそ食べようと思わなかったであろうものなどもあり、その意外な口当たりの良さにちょっと驚きました。ショウガがこれほど甘味に相性が良いとは。そのうち、ジンジャー・コーディアル(濃縮ジュースの素のように水で薄めて飲む、オージーの愛飲料)が好きになり、買って帰ったのでした。しかし、あとになってわかったのですが、近くのコールズでも幾らでも売ってたのでした。

 ジンジャー工場ツアーの他、ハニー(蜂蜜)工場ツアーもあり、そちらも興味があったのですが、時間がないのでそれは諦めました。

 というわけで、なかなか面白かったです。
 このジンジャーファクトリーは、今やれっきとしたサンシャインコーストの観光メッカになってますが、やり方が上手ですよね。要するに普通に操業している工場を見せ、ショップで製品を売ってるだけの話です。観光のための観光施設ではないだけに、却って本物の面白さがあるという。世界17カ国に輸出して商業的に成功していながら、さらに工場を観光アトラクションにしてしまうという。なんかのビジネスヒントになりそうですね。工場見学はどこでもやってますが、ここまで大々的に観光メッカには育てない。したらいいかもしれません。ソニーやトヨタの工場見学を観光名所にしたら受けると思うけどな。僕も、フェラーリやギブソンの工場は見てみたいし。て、もうやってるのかな。

 最後に、サンシャインコーストのヒンターランドといえば、Steve Irwin's Australia Zoo というのが、オージーの間では有名です。スティーブ・アーウィンって言っても、日本人には「誰、それ?」って感じでしょうが、オーストラリア人で知らない人は少ないでしょう。過日、エイの棘だったかで他界した、獰猛なクロコダイルなどと一緒に”遊んで”いた、あの危なっかしいことばっかりやってるオジサンです。クロコダイル・ハンター って言えばわかるかな。Wikipediaの日本語版にもかろうじて載っています(ココ)。

 この人がやっていた動物園が、Australian Zooで、Glass House Mtsの近くにあります。どうしようかなー、行こうかなーと思ったけど、優先順位をつけていくと時間がないので諦めました。しかし、駐車場を見ると、平日だというのにかなりの人手で、オーストラリアにおけるアーウィン人気がわかります。また、このあたりを南北に縦貫する道路(Glass House Mt Road)を、Steive Irwin Wayとも言い、それが通称などではなく、ちゃんと標識に書かれているあたり、彼がいかにオージーのレスペクトを集めていたかがわかります。



 ということで、次回(ヌーサ編)に続きます。





文責:田村




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