エッセイ398/APLAC 世界史から現代社会へ（62）　インド（4）　インド経済の現在

今週の１枚（09.02.09)

　　ESSAY ３９８　：　世界史から現代社会へ（62）　インド（4）　インド経済の現在

　写真は、Epping駅裏から臨む夕焼け空。Epping駅とかいってもシャドーになって殆ど分からないですけど、夕焼け雲が綺麗だったので。シドニーは先週35度以上（へたすれば40度台）の暑い日々でしたが、今週からまた20度台前半のクールの日々になりそうです。空を見ると既に秋空。

　インド特集の４回目です。序章から数えたら５回目。

　前回から独立以降の現代インドの流れを見ていますが、前回見たように、第１期：独立（1947）～1960年代で船出した新生インドは、第２期：1970～80年代になると袋小路に至ります。そして、ブレイクスルーによって大バケする第３期に入ります。

第３期　　1990年代～現在

　すこし前回の復習になりますが、80年代から90年代に進むにつれインドが徐々に行き詰まっていったのは何故か？まず、政治面においては与党国民会議派の求心力の低下と草の根野党の隆盛によって、政局は大衆迎合的というか、ポピュリズム、民族主義的な危険な方向に漂流していきます。これは現在から将来に禍根を残しており、未解決のままです。

　経済面では、米ソに頼らぬ自立経済を達成するため社会主義的な自給自足経済を目指したのが裏目に出ます。鎖国のような保護貿易によってヌクヌクと肥え太ったインド産業界は、どんどん国際競争力を失い、インド経済を崖っぷちに追い込みます。また、会議派の長期政権×社会主義の膨大な官僚機構×保護貿易によるヌルい財界＝構造腐敗の蔓延という方程式も成り立ちます。

　こういった悪循環は、早くも70年代から理解はされており、政府与党も重々承知しており、80年代初頭からラジブ・ガンジー首相が経済の部分自由化に着手、規制緩和、関税引き下げ等の政策を断行します。これによって、一時的にインド経済は浮上し、80年代だけ見ていれば年平均８％という大成功レベルといっていいくらいの実績を叩き出しています。しかし、改革が強まれば守旧派の反発が強まるのは必然です。規制緩和で賄賂が失われることを恐れた官僚達、ぬるいビジネスをやっていきたい財界、彼らのパシリと化した政治家達が必死にラジブ下ろしを画策し、1989年選挙では野党大連合が政権を奪回するところまでいきます。しかし、烏合の衆によって支えられている新政権のシン首相、チャンドラー首相は強力な指導力を発揮することが出来ず、インド経済は急速に失速します。

　泣きっ面に蜂というべきか、インド経済のパートナーだったソ連が80年代末に崩壊し、湾岸戦争による原油高騰という逆風によって、1991年前半の段階では既にインドの外貨準備が底を尽き（わずか2週間分の決済資金しかない）、デフォルト（債務不履行）＝国家の破産まで秒読み段階まで追い詰められます。IMF（国際通貨基金）からお金を借りるにしても、経済改革についての厳しい注文が付けられます。

ラオ首相の新経済政策

ナラシマ・ラオ（ナラシンハ・ラーオ）

ラジブ・ガンジー

「新経済政策（NEP)」

インドのマンパワー

IT産業

インドの課題

インフラというアキレス腱

インドの製造業

農業

新中間層の増大

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