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　　 ESSAY １４９／ シドニーの近況〜地方選挙・市長選

写真は、ウチの近所のLane Coveの投票所の風景

　まず一番最初に、シドニーではさる28日日曜日の早朝にサマータイム(daylight saving time)が終わりました。こちらに居る方でまだ知らない人は時計の針を１時間戻してください。現在時刻は、インターネットでもいろいろなサイトが示しています。たとえば、こことか。これで、シドニーと日本の時差は、2時間時差から、また平常の１時間時差になりました。日本よりも１時間こちらの方が進んでいます。日本の夜の9時は、こちらの10時です。


　さて、前回がイラクの「お勉強」でしたので、今回は軽くオーストラリアやシドニーの近況を、今日の地元の新聞をネタにいってみたいと思います。

　さる土曜日（3月27日）は、NSW州のLocal Election です。統一地方選挙ってやつですね。１４２の選挙区で４００万人の有権者が４８４０人の候補者から選ぶわけです。

　前提知識でいいますと、オーストラリアの地方自治は、日本のように「二重構造｣になっていません。二重構造というのは、中央政府に対する地方政府が、都道府県と市町村の二つの階層に分かれていることです。都道府県議会と市町村議会ですね。日本に住んでると当たり前に思いますが、別に世界的には全然当たり前でもありません。

　オーストラリアの統治機構の階層は、まずフェデラル／Federalと呼ばれる連邦政府があります。その下に各州＆特別区があります。僕の住んでいるシドニーのあるのは、NSW(ニュー・サウス・ウェルス）州です。オーストラリア的には普通の大きさの州ですが、これだけでも日本の面積の二倍はあります。WA(ウェスタンオーストラリア）州ともなると日本の１０倍以上あるんじゃないでしょうか。そして、この広大な州政府の下に、Local　Council（地方自治体）があります。

　州政府とローカル政府があるので、これも一種の二重構造ですが、その権限が強さから考えると、州政府は日本の中央政府にむしろ近いかもしれません。「州が変われば国が違う」と言われたりしますが、州によって刑法も違うし、交通法規も違うし、だから運転免許も他州の免許だったら外国の免許と似たような扱いになります。

　そしてこの強大な権限をもつ州政府の下にいきなり町役場クラスのローカル政府があるわけです。この感覚が最初日本人には馴染みにくいと思いますし、僕もよくわからなかったです。シドニーは大きな都市ですので、広大な「シドニー県／市」というのが存在するように思うのですが、そんなものないです。行政区画で「シドニー」と名がつくのは、タテ２キロ、ヨコ５００メートルくらいのCityないしCBDと呼ばれるほんの僅かな都心の一角だけです。それ以外は、”通称シドニー”の一部ではありますが、住所にシドニーという名は出てきません。つまり都道府県レベルの存在がないので、州の下にはすぐに町になってしまうのですね。ですので、僕の住所も、NSW州のLane　Cove（町）ですし、NSW州のBondi　Junction町という、「いきなり」な感じになるわけです。日本でいえば、日本国の下にいきなり○○市とか○○町／村がくるような感じです。

　ですので、ホームステイ先の住所を見て、どこにもシドニーと書いてないからえらく遠いんじゃないかと懸念される人もいますが、そう心配したものではないです。どうしても住所から、正確な地理関係を知りたかったら、whereis.com.au というサイトで地図検索が出来ます。なかなか秀逸なサイトです。直感的にパッと知りたいのだったら、post code（郵便番号）を見てください。シドニー(City)が２０００番で、遠くになるほど数が増える傾向にあります。２０××番という二桁台の郵便番号だったら、そんなに遠くはないと思います。なお、”通称シドニー（シドニー周辺地域）”のことを、Greater Sydney　といいます。ロードマップのタイトルなどにはそう書いてあります。




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　前置きが長くなりました。そのカウンシル選挙が今日行われることになってます。オーストラリアは義務投票ですから、もし投票にいかないと５５ドルの罰金が科せられます。

　今回の選挙の話題は、シティを中心としてSydney Council と、その南側、空港あたりまで含めたエリアであるSouth　Sydney　Coucilが、市町村統廃合のように合併になったことに基づきます。これは州政府の権限ですが、なんでそんなことをしたのかというと、現在の州政府の実権を握っている労働党が、自党の候補者を当選させ易くするために、選挙区を自分に有利に引きなおしたから、といわれています。こういう行為を、英語でゲ（ジェ）リマンダー（gerrymander）といいます。あまりにも露骨、やりすぎ、ミエミエという批判も強いのですが、僕もそう思います。

　摩天楼ひしめくシドニーシティの行政と、空港やボタニーあたりの工場群を含む庶民的なエリアであるサウスシドニーのそれとでは、エリアとしてのキャラクターが全然違うし、住民の意向も違うだろうし。州政府の強引な統合に、シドニー市長（Lord Mayor）であるルーシー・ターンベルという女性市長は、断固反対！と頑張っていたのですが、前市長であり今は州議員（State MP)に出世していたフランク・サルトルに「下っ端がグタグタ言うな」と一喝され、大喧嘩になってましたね。これが数ヶ月前の話です。で、権力で勝る州政府の強い意向で、両自治体は数週間前に合併されてしまいました。

　ところが、これだけ強引に合併したのは、労働党が推すMichael　Lee候補をシドニー市長として当選させるためだったのですが、あまりにもやり方が強引だとして有権者の反発を買って、逆に当選が危ぶまれています。ヤブをつついて蛇を出したってやつですね。それに代わって浮かび上がってきたのが、Clover Moore候補（無所属＝Independent)です。彼女は州議会議員でもあるのですが、シドニー市長として当選したとしても州議会議員を辞めるつもりはないと言っていて、仮に当選した場合、二足のワラジが履けるものかどうか議論になるものと思われます。

　右の写真は、選挙日当日のタウンホールあたりの風景ですが、右端のパステルグリーン色に縁取られた選挙ポスターの女性がムーア候補です。



　今回の選挙で一般的に言われているのは、これまでの二大政党である労働党（Labour　Party）と自由党（Liberal Party)ではない、無所属議員や、環境問題に特化したGreen　Party（通称グリーンズ）の勢いが非常に強いということです。Greeensは州政府でも連邦政府でも年々その存在感を増してます。

　これは分かるような気がします。僕も選挙権があれば（まだ日本人辞めてないのでこっちの選挙権はないです）、グリーンズに入れてるかもしれませんね。「環境問題」といってしまうと、産廃施設とかゴルフ場開発とかが頭に浮かびますが、もっと身近な例でいえば、自分の住んでる居住エリアでどれだけの土地開発や新築建物を許可するかという問題にあらわれてきます。僕から見てても今のシドニーは開発しすぎです。今、オーストラリアはめっちゃくちゃ景気いいし、バブリまくってますから、開発ラッシュ、新築ラッシュです。開発を認めれば、それだけでも大きな経済効果はありますから、経済界としてはイケイケドンドン（←日本的にはとても懐かしいフレーズですな）のノリになるのは分かります。

　しかし、調子にのってボコボコ開発し、どこもかしこも新築マンションやオフィスビルを建ていえれば、当然のことながら人は増え、人口密度は上がります。これがただでさえ麻痺状態といわれているシドニーの交通事情をさらに悪化させています。「もう、ええ加減にせんかい」という気分は、僕だけでなく、シドニー市民に結構共通しているメンタリティだと思います。でも大政党は、やっぱり大政党であるだけに、財界はじめ各界とも仲良くやってるわけで、どうしても開発許可の決定が甘い。そこで、頑固なグリーンズ、あるいは党の意向に縛られない無所属議員にストッパーになってもらいたい、ちょっと経済中心になりすぎてバランスが崩れてきているから修整したいというのが、有権者の傾向としてあるのかなという気がします。上の大きな写真にうつっている各候補者のポスターのうち、門の右脇あたりに、”Community Needs, Not Devepoler Greed"というスローガンが見えますね。「強欲な開発業者ではなく、地元住民のニーズを！」という意味です。





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　なお、こちらの選挙の投票方法はかなり複雑で面倒くさいです。実際に投票したことないので、投票用紙現物を見たことがないのですが、かなり大きな投票用紙の真中に水平線がひかれています。この線の上に投票する方法と、線の下に投票する方法とがあります。線の上は、候補者がグループをなしている場合で、各グループ別に投票します。線の下は各候補者別に投票します。投票者はどちらか好きな方法を選ぶことが出来ます。さらに大変なのは、連記投票になっているので、好きな候補者一名だけに投票すればいいのではなく、議員定数の数だけ（場合によってはその半数）一番から順位をつけて番号を割り振っていかねばなりません。ジョンさんを一番にして、ピーターを二番にして、スミスを三番にして、、という具合にやっていくのですね。しかも、好きなだけ順位をつけることができます。つまり、議席数が３席だとしても、１−３番以降、４番、５番と順位を振っていくことができます。この連記投票（順位をつける投票方式）と、グループor個別投票とが絡み合ってて、ぱっと説明を聞いただけではよく分からないです。僕も、書いてて今ひとつよく分かってません。実際に投票したら「ははあ、なるほど」とわかるのでしょうけど。

　再び上の大きな写真、クリックしてさらに大きくするとわかりやすいですけど、写真左側座ってるおっちゃんの前のGreensの看板に、投票用紙の水平線と、グループ投票、さらに順位を指示しているのがわかると思います。また、右の門のあたりのポスターにも、グループAに入れろとか、Dに入れろとか書いてありますね。


　なお、選挙や投票についての説明は、英語だけではなく、各国の言語に翻訳されています。non english speakingというコーナーに、各国の説明文書がPDFファイルになってダウンロードできるようになってます。日本語のものもあります。興味のある方はどうぞ。

　投票の仕方も複雑ですが、開票＆計算の方法は輪をかけて複雑です。選挙管理委員会の刊行物ダウンロードのページ　に置かれているパンフレットによると、開票＆計算方法は以下のように説明されています。かなりややこしいのですが、英語＋頭の体操をかねて、興味のある人はチャレンジしてください。といっても、そーんなに難しくはないです。税金の確定申告における減価償却の計算の方が面倒くさいです(^^*)。



Counting the Votes Details of the method of counting votes are set out in Schedule 1 (optional preferential - 1 or 2 to be elected) and Schedule 2 (proportional representation - 3 or more to be elected) of the Local Government (Elections) Regulations. In order to be elected in an optional preferential count, a candidate requires an absolute majority of votes (50% +1). If a candidate has more than half the total formal first preference votes, the candidate is elected. If not, candidates with the least votes are excluded until one candidate has a majority of votes. In a proportional representation count, candidates generally need to obtain a quota of the total formal votes.The quota is determined by using a formula set out in the regulations. Those candidates who receive a number of first preference votes that is equal to or greater than the quota are elected. The quota figure remains the same for the whole count. Any votes a candidate receives above the quota are known as surplus votes and may be transferred to the remaining candidates according to the next available preference shown on them. A transfer value (generally with a value less than 1) is applied to the distributed votes. The ballot papers transferred are selected at random. If there are no more surplus votes to transfer (or subject to other conditions in the count), but not all councillors have been elected, the ballot papers of the candidate with the lowest number of votes are transferred according to the next available preference shown on them. A transfer value is not applied to votes transferred at this stage and the votes have a value of 1. The process continues until all councillors have been elected.


　この投票方式のキモは、選挙人の意向を最大限尊重して、いかに死票を減らすかという点にあるのでしょう。そのかわり完全に数え終わるのに時間がかかります。選挙の大勢は数え初めてすぐに分かるのですが、細部まで確定するのに１週間以上かかるといいます。今回の場合、４月8日頃に終わるそうです。これが選挙区の大きい連邦選挙、それも上院選挙になると、最終的に確定するまで１ヶ月以上かかるといいます。


　なお、この投票において２番目以降も順位をつけるというシステムによって、各候補者の選挙運動も多少日本と変わってきます。つまり、自分に一番（primary vote)を入れてもらうのは当然だとしても、「２番目（以降、preferential vote）を誰にして欲しいか」まで広報します。いわゆる"How to Vote"といわれる、「この順番に投票してください」と広報するパンフレットが配られるわけです。自分にとってのライバルや最も投票して欲しくない他の候補を最後にもってくるのは当然としても、「誰を２番目に推すか」という点があり、ここで政党間や候補者間で取引があったりするわけですね。「取引」といっても陰謀めかしたものではなく、もっと公明正大なものですけど、自分以外に当選して欲しい候補者、自分と最も政策の近い候補者を２番目にするとともに、その候補者と話し合ってその候補者のHow to Vote　に自分を二番目にしてもらって共存共栄を図ろうという。

　オーストラリアは二大政党制ですが、最近では、無所属、デモクラッツ、グリーンズなどの「第３極」が強くなってきて、しばしばキャスティングボードを握るようになってきています。個々の政党としては二大政党が圧倒的に強いのだけど、独自では過半数は取れない。そこでこれら第三勢力といかに政策面で協調していくかが問題になるわけです。

　"How to Vote"は、自分の他に誰に当選して欲しいかを伝えるだけではなく、もっと露骨にいえば「誰を蹴落としたいか」をも伝えます。そこで、その政党や候補者の姿勢がよく見えるわけですね。だから、選挙前の記事は、どの候補は誰を二番目に推挙したかという政党や候補者の選挙戦略が新聞紙上でいろいろ解説され、チマタであれこれ語られるわけです。これもわかってくると面白いですよ。

　特にポーリンハンソンのワンネーション党という、反アジア・反アボリジニの右翼というよりは人種差別的な政党が、ポピュリズムに乗って人気を集めているときは、二大政党とも苦慮するわけです。理念からいけば、こういった好ましくない政党はHow to Voteで最後尾に蹴落として政治姿勢を明確に表明しておくべきなのでしょうけど、自分の支持者の中にもけっこうポピュリズムに流されている連中が多いとなると、あんまり足蹴にするような態度もとりにくい。一方では、ライバル政党も蹴落としたい。ポピュリズムに媚を売るかどうか、むむむと悩んでたりするわけです。




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　とかなんとか書いているうちに、28日日曜日になってしまいました。すでに注目のシドニー市長の結果が出ています。市長選挙も同時に行われ、こちらは一人選ぶだけだから開票も早いのでしょう。予想通り、無所属のムーア議員が、労働党のリー議員を破って当選してしまいました。

　新聞の速報記事の冒頭部分を抜書きしておきます。



A landslide of "people power" has installed independent MP Clover Moore as Sydney Lord Mayor and given her team control of the new super council. 　She immediately pledged to place the interests of the inner-city community who voted for her ahead of the developers. 　Her stunning victory wrecked the Labor Party's plan to put former federal arts minister Michael Lee in charge of the forcibly merged Sydney and South Sydney councils. "Voters have shown that they want the City Council to be run by and for the people of Sydney, and not by the Labor Party in Sussex Street," Mrs Moore said. As counting closed last night, Mrs Moore was taking 39 per cent of the primary vote followed by Mr Lee on 25 per cent, the Greens on 12 per cent and the Liberals on 10 per cent.


　上述の前提知識があれば、何を言っているのかすぐにお分かりになると思います。逆に言えば前提知識がないと、新聞や時事記事を読んでもよう分からんということですね。




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　えーと、その他のニュースですが、シドニー空港がこの先もっとbusyに、もっと混みあうようになるだろうという話題です｡連邦政府は、シドニー空港の今後の20年のプランを承認したのですが、その内容によれば、今後もっともっと、イギリスのヒースロー空港を越えてしまうビジーな空港になっていくと報道されてます。

　シドニー空港（正式には Kingsford Smith 空港）は滑走路を３本も持っているわりには、シティから目と鼻の先にあります。だから当然のことながら騒音公害が凄い。エアクラフト・ノイズ(aircraft noise)といいますが、いっときこれが非常に問題になったことがあります。"No Aircraft Noise"という草の根政党まで出来て、大きな政治問題になってました。また、シドニー空港はもう稼働率の限界にきてるから早急に第二空港建設を！と叫ばれてもいました。

　この第二空港問題ですが、最初はバジャリークリークという予定地があったのですが、これは地域住民の猛反対にあってます。さらに他の候補地を探して、アセスメントを繰り返していたのですが、バブルと人口上昇で都市スプロールが進むシドニーにおいては、第二空港予定地は距離が遠ざかる一方でした。ニューカッスルとかウーロンゴンとかいうプランまであって、非現実的に遠すぎるせいか段々話題にも上らなくなってきました。大体バジャリークリークですら、ブルーマウンテンのちょっと手前という距離ですから、かなり遠いです。ましてやニューカッスルなんか、200キロ近く離れてます。東京の新空港を静岡県に作るようなものです。だから「結局シドニー空港しかないよね、騒音はガマンするしかないか」という雰囲気になっていたような気がします。




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　今回の20年プランですが、ただでさえうるさい空港をさらに激しく活用するというのですから、ひと悶着ありそうなものですが、それが全然波風が立たない、この「波風の立たなさ」がこの記事の主旨になってます。「どうしちゃったんだ？」と。

　理由はいろいろあるのでしょうが、まず政府が苦肉の策のように決めた、「ノイズ・シェアリング」方式が意外と効を奏したということです。ノイズシェアリングとは、文字通り騒音を皆で分かち合いましょう、シェアしましょうということです。つまり、空港に離発着する航路を四方八方に分散させ、ある特定の地域（とくにインナーウェストと呼ばれる都心直近西部の一帯）だけに騒音が集中しないようにするという方式です。これによって、それまで静かだったエリアも航空機の騒音が降ってくるようになったのですが、それでも分散してますから耐え切れないほどの頻繁さではないと。

　もうひとつは、ここ１−２年空港の利用率が減ったことです。つまりはテロ、あるいはSARS。はたまたオーストラリアのアンセット航空の倒産。去年は確かに空港に行ってもガラガラでしたからねー。これによってここのところ空は静かになったわけです。もっとも、去年の後半から今年にかけて又混んできましたけど。ただ、政治的なイシューとしては、ちょっと間延びして、沈静化してしまったというところでしょう。

　ところで20ヵ年計画ですが、かなりガンガン活用するようですね。20年後の2024年には、年間空港利用者の数が6800万人なるという予測が出されています。「げ、嘘？」とのけぞりそうになるのは、成田空港のHPによると利用客数は月間240万ちょいくらいだから、いいとこ年間3000万人かそこらです。首都圏3000万人の空港で3000万人利用者だったらわかるけど（羽田があるから実際はもっと多いと思うけど）、シドニー人口400万かそこらで、6000万人以上というのは凄い数です。ケタ間違ってないか？という気がするくらいです。でもってこの数は現在の３倍増だそうです。そんな３倍も活用するわけ？そんな余地があるのでしょうか。まあ、予定は予定ですから、必ずしもそのとおりに動くものではないでしょうし、この種の予定というのは大体過大に計上されがちではあります。でも、、それにしてもねえ、、、。

　また年間離発着便数41万便になるとか言ってます。成田空港のページによると月間発着数が1万5000便前後です。年間20万足らず。それが41万便ともなると、しかも、夜間発着禁止の空港となると、猛烈な稼働率になるということですね。

　一応プランでも1時間あたりの最大発着数を80便に制限するそうですが、１時間に８０便というと、１分弱、45秒に１便という、山手線もビックリという頻繁さで飛行機が飛んだり降りたりすることになります。そんなこと飛行機に出来るのかなと思ったりもしますが、ボタニー湾あたりから空港を見てると、列を作って飛行機が下りてきますから、結構出来ちゃうんでしょうねえ。滑走路も３本あるし。

　最近で最も忙しかったのは２月27日だったそうですが、一日776便、最も混みあう時間が朝の8時から９時で、この１時間で67便離発着したそうです。この数値は国内便も含めての数でしょうが、国際便だけでもこの時間帯は40便くらい離発着してると思います。僕も仕事柄年間100回前後空港に皆さんのお迎えに行きますが、この時間帯に着く人はたしかに多いです。でもってメチャクチャ混みます。掲示板に到着便がずらっと表示されるのですが、あっという間にスクロールアウトしてしまいますもんね。




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　この20年プランですが、こんなもん本当に実現できるのかな？という疑問視するもっともな意見も紹介されてます。ただ、その反論もありまして、興味深かかったのは、飛行機そのものがどんどん進化してきているということですね。つまり「静かな飛行機」の開発です。あと巨大化。ボーイングを打ち負かしつつあるエアバス社のA３８０型は555席になるとかいいます。飛行機が巨大になれば、便数は少なくて済むし、航空機そのものの騒音も徐々に静かになっていくから、これから20年後を考えたら、シドニー空港が猛烈に稼動したとしても、騒音問題はそんなに心配しなくても良いという意見ですね。


　このあたりの専門的な話はよく分かりませんが、騒音がどうとかいうより、そもそもそんなに活発に繁盛するのでしょうかね？なにやら「獲らぬ狸｣的な感じもしないでもないですけど。もし、本当にそれだけ離発着が増えるというなら、海外からのお客さんもそれだけ増えるということで、観光や留学その他の「お客さん産業」はますます発展するということになるので、結構なことだとは思います。その分、いよいよ道路は混むでしょうねー。また、シドニー市長が変わったことで、しかも草の根的な変わり方をしたことで、「コミュニティタウンとしてのシティ」方向に進むかもしれません。そうなると、シティへの車の乗り入れ禁止エリアを設けたりとか。20年経過したらどうなっているのでしょう？まだ僕がシドニーにいるかどうかわかりませんけど、「昔は、シティまで車でいけたんだよ」「へー」とか言ってるかもしれませんね。





文責：田村