APLAC/STUDY IN AUSTRALIA 2-1
第2章 オーストラリア留学制度

2−1.なぜ「オーストラリア」か?

〜中・高校生留学に適した環境を備えた国


●治安がよい

●恵まれた自然環境と温暖な気候
●教育を受ける側に権利がある
●個性を伸ばすゆとりの教育
●英語圏である

■参考■
オーストラリアの国家プロジェクトとしての外国語学習の基本原理8箇条

下記はオーストラリア国家が、外国語学習の考え方をまとめたもので、この基本原則が日本語をはじめとする外国語教育、そして留学生に対する英語教育の骨格となっています。よって、「読み書きや文法は知っていても日常会話も満足にできない」状況を作っている日本の英語教育とは対照的に、コミュニカティヴ・アプローチ(ゲームやアクティビティを多用し、実際のコミュニケーションの中で言語を使っていく直接法的な指導方法)を活用した教育方法をとっており、英語を学習する留学生も効率的に英語力向上できるような配慮がなされています。

◆ ◆ ◆

    もっとも効果的に言語を学ぶ時はどんな時だろうか?
    1.学習者側のニーズや関心が尊重され、学習者が個人として扱われるとき
    2.多種のアクティビティーの中で目標となっていることばをコミュニカティブに使って表現する機会が与えられるとき
    3.学習者のニーズや関心に関係のある、わかりやすいコミュニカティブな資料や実習を見る機会が与えられるとき
    4.言語取得の過程をより確実なものにしていくために、学習者が様々な文型、聞いて話す技術、もっとスムーズにコミュニケーションをとるのに必要とされる表現方法、さらに効果的な学習方法を意識しているとき
    5.学習目標としていることばの中に浸透している社会人文学的な資料や実物を見たり、文化を直接体験するとき
    6.学習者が言語の果たす役割と性質を認識し、その国の文化を理解するとき
    7.学習者の言語の発達段階を適切に示唆するフィードバックが与えられるとき
    8.学習者が自ら意欲的に学習する機会を与えられるとき

●ラッキーカントリー故の経済的・社会的安定
●国際感覚が自然と身につく「マルチカルチャル(複合文化)社会」

●共和制への移行

●日本語教育が盛ん

●時差がない


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《オーストラリア留学の問題点》

    上記のように恵まれた教育環境にあるオーストラリアは近年急激に留学先として脚光を浴び、アジア諸国をはじめとする世界各地から多くの学生が留学するようになりました。こうした留学ブームの流れの中で、新たな問題点が浮上してきました。オーストラリア留学を志す方は、多くの長所とともに欠点も知っておくべきと思います。

▼十分とはいえない留学生受入体制
    フルフィーペイシステムによる留学生受入が広まりつつはあるものの、受け入れる学校側の体制については、まだまだ過渡期と言えます。年々増加するアジアの留学生の受入経験を通して、学校側も今必死に学んでいる最中です。英語を習得するのに予想以上の時間がかかるアジアからの留学生(特に日本人、韓国人は習得が遅いと言われている)にどう対処すればよいのか、ホームシックやカルチャーショックで精神的にさいなまれている留学生をどうカウンセリングすればよいのか、ホームステイでのトラブルをどう処理したらよいのか・・・こういった数々の問題にオーストラリアの先生方は直面し、格闘しています。
    以前から留学生受入に力を注いでいる学校では、経験から得た受入ノウハウを既に確立しており、問題発生の予防方法を考慮しながら、留学生にとって最もよい独自の教育方法を打ち出しているところもあります。が、一方では留学生を受け入れることがどんなに大変なことかを理解せずに、気軽に受け入れるだけ受け入れている経験不足の学校もありますので、学校選びの際には注意してください。
▼滞在先不足
    中・高校生だけでなく英語学校、大学、大学院、TAFE(専門技術学校)など様々なオーストラリアの教育機関への留学生が年々うなぎ上りに増えています。オーストラリアは都会を除けば極端に人口密度が低い国ですので、どうしても留学先はシドニー等都会近郊に集中してしまいます。その結果、留学生を受け入れる学校はあっても、長期滞在用の部屋不足が近年深刻な問題になっています。
    留学生用の滞在先は通常、ホームステイ、寮となりますが、寮を付設した学校はそれほど多くはない上に、寮があっても部屋が空いていないケースもあります。ホームステイに関しても、
      @都会の住宅事情は日本ほどではないにせよ需要が追いつかない傾向にあるため、スペアルームのある家はもともと多くないこと
      A英語学校の学生用のホームステイが一般化したため、ホームステイをビジネスとして捉える家庭が増えていること
    ・・・等の理由で、供給量が不足し、滞在費は高くなる傾向にあります。

    また、ホームステイの場合には、人間関係にまつわるトラブルが尽きないのも不足の一因で、特に中・高校生の場合、預かった家庭がかなりの責任と精神的負担を強いられることになるため、「いい受入家庭」を探すことは非常に難しくなっています。

    そこで、親子ともども留学し、賃貸アパート生活をする人、友達同士で部屋を借りて共同生活する人などもいます。(オーストラリアでは18才以上であれば不動産の賃借契約が可能です。)2〜4ベッドルームの広めの部屋を借りて共同生活すれば、生活コストはホームステイよりも安上がりなので、高校生でもしっかりしている学生ならば、18才以上の学生に代表契約させて自分たちで生活している例も珍しくないのです。

▼費用が高い
    オーストラリアは生活費は比較的安くあがるのですが、学校に支払う授業料となると、一般に他国に比べて高い傾向があります。これはフル・フィー・ペイ・システムをとっているためです。(詳細は第2章 2−3を参照のこと
    通常は私立校でも学生一人に対して州政府から援助金が出るのですが、留学生の場合、一般の学生が支払う授業料に更に追加して政府からの援助金分を足したものが「フルフィー(全額)」となります。しかし、学校によっては援助金分のみならず、留学生には更に高い授業料を請求していることもあります。もっとも留学生には特別のケアが必要なので、特別料金の請求も不当なわけではありません。しかし、金額のわりに留学生のケアが不十分な学校もありますので、質と費用とを鑑みて学校を選択すればよいでしょう。
▼玉石混交の留学斡旋業者
    この冊子の中でも「よい留学斡旋業者の選び方」について触れていますが、業者が提供するサービスの質には大きな差があるようです。非常に質の高い業者がいる一方で、オーストラリア留学産業を食い物にするかのような利益優先の業者もあります。自国では現地情報が入手しにくいことを逆手にとって、正しい情報を提供しないままに、その学生に全く合わない学校を勧めたり、現地でのコンサルティング等のケアをきちんと行わないなど、問題が頻発しています。留学生側が被害を被っているばかりでなく、そういう業者を通して留学生を受け入れた学校側からも多くのクレームが挙がっています。「もう業者は信用できない」といって留学生受入そのものを中止した学校、エージェントを通した留学手続きには一切応じないという学校、中には留学担当の先生自らが外国に飛んでリクルートし面接している学校もあるほどです。

    もちろん良心的な費用で質の高いサービスを提供している業者もありますが、無責任な業者にすべてを任せてしまう前に、各自が情報を集め、信頼に値する業者かどうかを判断する目を持ちたいものです。

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■検証■ 都会 VS 田舎

よく「留学先には田舎がいい」などといいますが、本当にそうでしょうか?確かに田舎には留学生を誘惑するものは少ないかもしれませんし、治安も都会に比べればよいかもしれません。しかし、こと治安のよいオーストラリアに限って考えてみると、都会のメリットを考えると、どちらが絶対いいとは一概に言えないように思います。そこで、都会と田舎のメリット、デメリットを検証してみました。留学目的や本人の性格によって、どちらが適しているかを選択してはいかがでしょうか?

メリットデメリット
都会・マルチカルチャリズムの恩恵に与れる(世界各国からの友達ができやすい)
・日本語情報が容易に入手できる
・近くに日本語を話すカウンセラー役を見つけやすい
・社会環境が異文化に対して寛容である
・公共交通機関を利用して、自力で移動できる
・田舎に比較すれば治安はよくない
・遊びなどの誘惑がある
・滞在費が高くつく(寮付設の学校は少なく、いいホストファミリーが見つかりにくい)
田舎・治安がよい
・遊びなどの誘惑が少ない
・自然環境を堪能できる・滞在費が比較的安価
・典型的イギリス系オーストラリア人のみとの付き合いとなる
・日本語情報が入手しにくい
・近所に日本語を話すカウンセラー役は見つけにくい
・場所によっては対日感情の強いところ、人種差別のあるところもある
・交通手段がないので、自力で移動できない

■コラム:オーストラリア豆知識


《第2章つづき》
2−2.オーストラリアの教育 〜個性を伸ばすゆとりの教育システム
2−3.留学生受入制度と受入実態 〜留学生受入に熱心なその背景
2−4.高校卒業後の進路 〜広がる未来と選択肢

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