このコンテンツは、1990年代に中高生留学を調べていた時に作成したものです。以後、全く更新しておりませんので10年以上古いコンテンツです。今後も更新する予定はありません。

したがって、リアルタイムにこのとおりである保証はないし、それどころかまず「違う」と思ってください。

「古文書」的な意味しかないので、バッサリ全部削除しようとしましたが、敢えて残しておきます。
かなり詳しく調べましたので、現在においても尚も「参考」としての資料価値があるからです。
 いわゆるハウツーマニュアルとしては無価値ですが、ものの考え方、システムの成り立ち方という原理部分、あるいは日本人的に盲点になるような部分などは、そう変わるわけもないし、今でも十分通用します。ご自身であれこれ考えたり、調べたりする参考にはなると思います。




APLAC/STUDY IN AUSTRALIA 2-4

第2章 オーストラリア留学制度(4)

2−4.高校卒業後の進路


〜広がる未来と選択肢


短期間だけ海外での教育を体験してみたい方は別にして、高校卒業まで見越した留学を考えている場合には、卒業後の進路が気になるところでしょう。実際、オーストラリアの高校を卒業した後には、多種多様な、そしてどれも現実的な選択肢が用意されています。長い目で見た留学プランを行う際、欠かせない進路に関する情報を、次にまとめてみました。

@オーストラリアの大学へ進学

    オーストラリアの高校卒業後、オーストラリアの大学に入学することは簡単なことではありません。もちろん、高校時代から一生懸命勉強しなくてはなりませんし、卒業時に行われる全州統一試験(ニューサウスウェールズ州の場合はHSC)に備えた受験勉強も必要です。しかし、日本の理不尽なまでに難しくなった大学受験に比べれば、ストレスもずっと少なく、自分の得意科目を生かした自由な選択が比較的易しく実現できます。
    オーストラリアの大学も欧米と同様に、入るのは易しく、出るのは難しいシステムになっています。まず、入学試験というものはありません。高校卒業時に行われる全国統一試験(HSC)の結果と、11、12年生時の学業成績によって算出された最終得点(TER)が、各大学学部側の受け入れボーダーライン点を上回れば、晴れて目差す大学・学部に入学できるシステムになっています。HSCテストは、一定の選択条件のもとで自ら選択した科目のうち、上位10単位(Unit)の合計点数によって得点が表示されます。このHSC試験の内容はBoard of Studies等で入手できますが、日本の大学受験に比べるとエッセイ(論文)などの比率が高く、暗記によって点を稼ぐことは難しいようですので、試験前のガリ勉はあまり効果がなく、日頃の学習が成果に現れるという特徴があります。

    尚、オーストラリアの大学生活は日本の大学生活とは打って変わって、非常にハードです。特にダブルメジャー(2つ以上の専攻科目を取得すること)の学生は、寝る暇もないほどアサインメント(課題・論文)や勉強に追われます。また、アサインメントをひとつでも提出し忘れたりすると、それだけで単位を落とすことにもなりますので、非常にストレスのたまる生活だということですので、覚悟してください。逆にいえば、そこまでして学びたいものがある人だけが大学に進めばよいという教育価値観の現われでしょう。
    オーストラリアの大学卒業後、更に進学したければ、日本に帰国して日本の大学や大学院に編入学することもできます。また、研究したい課題によって、アメリカ、イギリス、カナダなど、世界各国の大学院に進学することも決して夢ではありません。

■コラム■
オーストラリアの大学への進学方法

    高校から留学している場合には、オーストラリア人学生と同様にHSCを受験して大学等に進学するのが普通ですが、他にも留学生としてオーストラリアの大学に進学する方法がいくつかあります。
        1.TOEFL、IELTS等英語試験で高得点をとる。
        2.IBディプロマ(International Baccalaureate Diploma)を取得する。
        3.UFS(University Foundation Studies)を履修する。
      ※各試験・コースの詳細情報は、こちら

AオーストラリアのTAFE(専門技術学校) へ進学

    オーストラリアのTAFE(Technical And Further Education)は職業的専門性を高めるために設置された高等教育機関です。マネージメント、コンピューター、経理、マーケティング等ビジネス関係から、自動車修理工、料理人、電気技術士、そして音楽、美術などの芸術に至るまで、多種多様な専門的知識と技術を身につけることができます。全日制のコースもあれば、週6時間などの夜間コースもあり、内容に応じてディプロマ(学位)やサーティフィケット(卒業証明)を取得できます。最近は大学よりも実用的な内容を学べ、また就職にも有利なのでTAFEの人気は急上昇しており、大学以上に入学基準が難しくなっている学校・学部もあります。

    オーストラリアのTAFEには日本にはない専攻科目もありますし、同じ科目でもより実用面を重視した教育をしているので、いずれ日本で就職するにしてもこれからの時代、職業的専門性を身につけておいた方が有利かもしれません。また、高校の選択科目の中には、TAFEの授業に参加し、TAFEの単位を取得できる科目(JSSTAFE Course)も用意されています。こうした科目を通じて、中・高校留学中に将来是非ともやってみたい分野を見つけることができるかもしれません。そんな時は大学進学だけでなく、TAFEも選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか?

B日本の大学へ進学

    オーストラリア中・高校を卒業してから日本へ帰国して即日本の大学に入学することは極めて困難と言わざるをえません。ひとつには日本の高校における単位認定・高校卒業資格認定の問題、そして困難な大学入試の問題があります。

    日本の中学時代にオーストラリアに留学し、そのまま現地の高校を普通に卒業した場合には、日本の中・高校単位取得はまず不可能でしょう。日本の高校に籍だけでも置いておくことができて、その学校の校長がオーストラリア留学中の成績・成果を認めて単位認定してくれた場合に限って、日本における高校卒業資格が得られることになります。さもなければ、まずは高校卒業資格試験(いわゆる大検)を受験し、それに合格してはじめて大学受験資格が得られるという2段階のステップを踏まねばならず、これは全くもって無駄の多い話だと思います。

    が、最近では増えてきた海外留学生や帰国子女のために門戸を開く大学も増えており、「帰国子女・留学生枠」を設けて特別な入学選抜を行っている大学や、IBディプロマ(International Baccalaureate Diploma)と呼ばれる世界共通の単位を取得すれば、大検を受けなくても普通受験を許可する大学もありますので、そういった特別枠を利用して日本の大学に入学する方法は残されています。

【参考】帰国子女受入枠を設けている大学についてのお問い合わせは、
    (財)海外子女教育振興財団
    〒105 東京都港区虎ノ門1−21−17 虎ノ門ビル6F
    TEL:03-3580-2521

C欧米の大学へ進学

    オーストラリアの中・高校を卒業した後、欧米をはじめとする海外の大学に入学する方法はいくつかあります。多くの大学はTOEFL、IELTS等の英語試験の結果を入学許可基準としています。大学の学部ごとに受入基準点は異なりますが、通常TOEFLで550点〜600点くらい、IELTSで6.0〜7.0点を取得する必要があります。オーストラリアで高校卒業までに十分な英語力さえつけてTOEFL、IELTSで高得点を取得すれば、世界じゅうほとんどの大学に入学できることになります。(高校時代の成績やエッセイ等も審査対象になりますが)

    また、IBディプロマ(International Baccalaureate Diploma)という高度なレベルの高校卒業資格を認定する単位制度があり、オーストラリアでも一部の高校ではこのディプロマ取得のためのコースを用意しています。内容はかなり専門性が高く、難しいと言われていますが、IBディプロマは世界共通の単位制度なので、これさえ取得しておけば世界90カ国、約660校の大学に高校卒業資格を認められ、入学試験の受験資格を与えられます。IBディプロマは2年間コースなので、履修する場合には遅くとも10年生までには決意し、11年生からはいよいよ単位取得に入らねばなりません。履修科目は英語、英語以外の語学、科学、人文、数学といったいわゆる主要科目(TOK)ばかりでなく、地域におけるボランティア活動への参加(CAS)や、4000字の論文も義務付けられています。最後に試験があり、45点満点で評定されます。

    尚、言うまでもないことですが、英米の大学は日本のように遊んでいても卒業できることはまずありませんので、相当な努力と決意が必要です。
    海外の大学を卒業した後で、日本の大学院への入学を希望する場合には、海外の高校から日本の大学に入学するよりは受け入れられやすいでしょう。

D就職

    オーストラリアの中・高校卒業後、すぐに就職する場合には、ビザの問題がありますので、基本的には日本に帰国して職探しすることになるでしょう。その際に、本人の納得のいく、あるいは本人にとって有利な職に就けるかどうかは、これからの日本社会がどう移り変わっていくかによりますので、何ともいえません。が、少なくとも海外留学で学んだ国際感覚や英語力は日本においても強い武器となることは間違いありません。また、海外の労働事情、ビザ事情にもよりますが、海外就職のチャンスに繋がる道も大きく開けてくるでしょう。


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