シドニー雑記帳
"financially supported dating"=Enjo-Kosai
−現地の新聞の記事から
今回は趣向を変えて、シドニー現地で報道される日本関連の記事を見てみます。日本の現状がどの程度海外に伝わっているか?ということですね。他にこれといって情報もない当地では、これを読んだオーストラリア人は「そうか、日本はそうなっているのか」と思うでしょう。丁度我々がどこか他の外国の記事を読んでそれをそのまま思ってしまうように。あたってるか、間違ってるか、それはあなたの判断です。
なお、正確性を担保するため、興味のある方は、なるべく記事原文にもあたってください。シドニーモーニングヘラルドという新聞のサイトで過去の記事がUPされてます。この記事を見るにはここをクリックしてください。なんせ、日本語訳の正確性に今一つ自信が持てませんし、雰囲気で適当に訳した部分もありますので。
Saturday, December 14, 1996
Teenage Japanese fashion victims
「ファッションの犠牲者?!日本の十代」
(小見出し) Prostitution is rampant among Tokyo schoolgirls. Police blame
pursuit of designer accessories; others see deeper social
problems. RUSSELL SKELTON reports.
東京の女子生徒の間で、売春が蔓延しているという。警察は行き過ぎたブランド指向を非難するが、社会の深層に横たわる問題を指摘する者もいる。
リエとカヨ、二人の十代の女生徒は、陽も傾きかけた狭い路上で、カラオケにいくかどうか相談していた。
「"お目当てのモノ"が見つかると思う?」と互いに尋ねあい、しばし話し合ったあと、彼女らは少しばかり時間が遅すぎると判断したようだ−−つまり、多くのサラリーマンは他の少女達に連れていかれるか、または家族の元に帰る為に地下鉄に乗っているだろうということだ。
リエとカヨは、そのかわり近くでコーヒーとフランス風の軽食をとることしにした。ネオンがチカチカまたたく渋谷の一角で、彼女ら女子中学生は、年齢のわりには驚くほど幼く見えた。ミニスカートとグレイのポロのジャンパー。白いソックスは黒の靴までずり下がっていた。彼女らのイデタチは、学校の体育館での朝礼から今さっき出てきたかのようだ。
たったひとつのプレゼント−−16歳のリエは小さなプラダのバッグを持っている−小さなバックパックのように見えるが、それはキッドの本皮で出来ている。このイタリアのデザイナーのアクセサリーは、東京では800ドルで売られている。
ちまたに溢れている十代の少女の売春や、ドラッグや1足1000ドルまでに値が釣り上がっているレアタイプのナイキシューズを買う為に少年達がやっているオヤジガリ(英語に直訳すれば、hunting for daddy)などの風潮の背景には、ブランド品に対する奴隷のような追随という心理状態があるのだと、警察やソーシャルワーカー達は指摘する。リエは本紙の取材に対し、コーヒーカップの向こうで、「だって、ブランド物って本当にイイんですよ。だから欲しいんです。私のお気に入りはプラダで、すごいカッコイイの」。フェンデイがお気に入りだという今年15歳になるカヨは、西武デパートで見かけたフェンディを買う為にお金を貯めてるという。二人とも、同級生の女の子の殆どがこういう高価なブランド品を持っていると明るく笑いながら言う。
プラダやシャネルなどのファッションブランドに対するこの強迫観念は一体なんなのだろう?
ポップティーンという雑誌の編集長、マサヒト・ウエハラは、いまの十代の女の子は、40代になる彼女らの母親に非常に強く影響されていること、そしてレッテルだけで全てを決めてしまう現在の日本の文化の傾向がその背景にあると指摘する。
「もう一つ、ファクターがあると思います」。ウエハラの説明は続く。「彼女らは、モデルと彼女らが身につけているブランドとを強く同一視してしまうんです。Claudia Schifferがシャネルを代表すると、彼女達はシャネルの全てを欲しがります。プラダの場合は、 Naomi Campbell、黒人のスーパーモデルですね。ナオミは、女の子達が憧れる全てでもあるんですよ、背が高く、黒く、そして美しい」。
池袋近くの小さな広場で、トモカとイクミ(二人とも16歳の都立高生)は、中年男性が頻繁に出入りする"Pink Pimo sex club"(←訳者注:なんじゃこれは)から数メートルのところに座っていた。彼女たちは、打てば響くように、ブランド品がいかに重要かを話し、多くのクラスメート達が売春行為に関与していると言う。トモカは「何が悪いのか良く分かんない。こんなの単なる職業の一つじゃない、まあ収入はちょっと良すぎるけど」。
警察やソーシャルワーカー達は、お金の為に売春行為に走るというこの現在の困った風潮が、すでに全国に蔓延しつつあるように感じている。ある社会評論家は、現代の親があまりにも忙しく、ちゃんと子供と接する暇がないのが原因だと主張し、他の者は、歯止めのきかない物欲中心社会を招いた80年代後半のバブル経済を非難する。さらに、ある者は、日本の伝統的社会構造の崩壊を説く。
性に関する日本の規制は、世界的に見ても最もゆるやかなものの一つで、この状況をいかんともすることができない。13歳とSEXをしても違法ではないし(訳者注:意外かもしれないが正しい。刑法176条後段の反対解釈より13歳以上であれば単なるSEXだけなら違法ではない。ただし青少年保護条例の淫行規定がある(でも東京都はなかったと思うが))、売春防止法によってもこれら年少者を取り締まることはできない。この問題は、セックス産業が、理論的には違法であっても、ほとんど社会のどの各層まで浸透し許容されている状況にも連なっていく。
キオスクや24時間営業のコンビニでは、ポルノが公衆の面前で売られている。それらの多くは、十代の少女達の挑発的な裸体や、ときには部分的に制服をまとっていたりする。コーヒーを飲みながら、リエとカヨは、東京都内の学校の半数近くのクラスメイトが売春に関係していて、普通はブランド品を購入するが、ときにはディズニーランドに行ったり、渋谷をブラブラしていたりするという。
500ドル(これはバッグの価格でもある)稼ぐ少女もいるが、通常はそれよりも低いという。「マクドナルドでバイトするようなもんかな。なにも特別なことじゃないよ。一緒にカラオケにいったり、レギュラーのボーイフレンドができればよくプレゼントも貰えるし」とリエは言う。「単にお友達になってるだけでお金貰ってるコもいるし」とカヨが付け加えた。
彼女たちと「クライアント」との接点は、いわゆる"telephone clubs"−渋谷の街にもあちこちにある−である。オフィスワーカー−通例彼らは「サラリーマン」と呼ばれるが−、彼らはクラブの電話を受けるのに10ドル払っている。女の子達は、ときには遊びのため、ときにはデートのアレンジをするために電話をかける。単なるお喋りに終わるときもある。彼女らによると、男達は、ちゃんと何と言うべきか知っているという。「ときどき、いきなり切り出す人もいるよ−− ”キミってSoft Girlだね。会いたいんだけど−−−シャネルやプラダのバッグをプレゼントするよ”ってね」とリエは言う(訳者注:”Soft Girl”の"Soft”は非常に多義的でこの場合どういう意味で使ってるのかわからない。いい意味もあるのだけど、おそらくは文脈から言って「援助交際を希望してるコ」という意味だと思いますが)。
近時発表された調査結果によると、容易ならざる数の少女達−ある学校では10%の女子生徒が売春に関与しているという。警察によると、昨年一年で、18歳以下の少女で売春関係で検挙された数は5000名を越えるという。この数字は94年の2倍近い数字だ。他の調査結果によると、東京都内の一つの学校に最低一人は年上の男性とデートとセックスをしているという。
東京都が三ヶ月かけて、1300人の生徒を対象におこなった調査によると、女子生徒の3人に1人はテレクラを経験したことがあり、14%が21回以上電話をかけたと回答している。多くの少女は、自宅にバレないように、携帯電話で連絡を取り合っているという。
警察や保健当局には気になっていることがある。ほとんどの少女達は、正式な性教育を受けていないと言い、またエイズは外人とするときだけ感染するものだと思っている。ある少女は、学校では全く性教育を受けなかったと答えた。彼女は、明らかに性病の感染について聞いたことがなかったのである。
さらに警察当局が頭を悩ましているのは、少女達が徐々にフルタイムの売春にのめりこみ、そこで麻薬に手を出し、脅迫を受けたり搾取されるようになっていくことだ。先月、警察は、東京繁華街のあるデートクラブを摘発した。そこには60名の十代の少女がいた。親に連絡されたあと、少女達は罰せられることなく帰宅を許された。
しかしながら、東京都立大学助教授のシンジ・ミヤダイは、これら十代の売春行為についてはメディアの過剰報道もあると言う。「彼女らは、身体を触わらせたり、オーラルセックスをすることはあるでしょうが、本当の売春というわけでもありません。エンジョコウサイ(financially supported dating)をやってる子達は、皆が考えているよりももっとしたたかですよ」と彼は言う。
「彼女らは、中年男性に制服がいかに挑発的か知ってます。だからわざわざ家に帰って制服に着替えてくる子もいるくらいです。ある少女達はもっとプラグマチックで、望みのバッグを買ったらパタッと止めたりもします」。彼は、日本人の性に対する考え方は、オーストラリアやアメリカのそれとはちょっと違うと言う。「1897年以前の日本は、いわばフリーセックスの社会だったとも言えますし、最近でも、取引先の接待で売春婦をあてがうようなことは、結構広く社会で許容されてもいます」。
他の研究者やコメンテーターは、これらは説明の一部に過ぎないとも言う、エイジ・オオツカ、作家でもあり著名な批評家でもある、は、メディアの報道が「ヒステリック」であることに同意しつつも、問題は軽視すべきものでもなく、深刻に広がっていると言う。彼は、少女達を買う男性に焦点を合わせないメディアの姿勢を批判するとともに、ブランド信仰がこれらの現象の背景にあるという通説を俗論として退ける。
彼は、エンジョコウサイ現象は、学校や家で続けられるプレッシャーの結果だと見ている。「いままでの一連の議論の最もくだらない側面は、少女達の気持ち、つまり不安感、問題、悲しみや孤独ということを全く無視していることです」。彼は、宿題や塾などで子供たちに課せられる度はずれたプレッシャー、そこは追いつけ追い越せの世界であり、イジメが蔓延している世界に注目する。「通例、子供たちが何か危険な遊びに向かうときには、そこには必ず深い理由があります。つまり彼らは、この悪い環境から逃避したいのです。エンジョコウサイは、少女達の助けを求める叫びとも言えないでしょうか」。
カルフォルニア留学経験もある、臨床心理学者のユウイチ・ハットリ医師は、この見解に同意する。「こういった子供たちは、適切に親と接する機会に恵まれていません。彼らは、仕事に忙しい父親の姿を滅多にみかけることもありません。それどころか、子供同士で遊ぶ時間すらまともに与えられていません。ただ勉強あるのみです。そういう状況では、なんとしても逃げ道を探さなければやっていけませんし、それがこういった形になって表れているのだと思います」。
中央大学の犯罪学者テツヤ・フジモトは、経済的成功や個人的立身出世への過度の傾斜が、オヤジ狩りの背景にあると考えている。「私には、二つ原因があるように思います。ある者にとっては、学校での重圧から逃れるための遊びであり、他の者にとってはドラッグやを手に入れるための金稼ぎです。これら全ての問題は、若者達が社会に対しておこなっている反抗と考えることもできるでしょう。都市の過密、学校での重圧、「いい大学」価値観の過大な強調、異なる人を許容しない狭量さ、これらの要因が多くの落ちこぼれを生む。サラリーマンからしぼりとったお金でスピードのようなドラッグを買う、彼らにとってはドラッグをやることが格好いいことでもあるんです。テレクラもデートクラブもエンジョコウサイも、深い悲しみの反映であり、ちゃんとまっとうに人間としてコミュニケートしたかったのにという哀れな試みでさえあると思います」。
彼女たちは売春に関与していることを認めることは殆どないが、これらのエンジョコウサイを単なる軽い遊びとして捉えたがる。この記事に関して取材した多くの少女達は、ブランド品への憧れは認めながらも、またお金の為にセックスすることが本当にそんなにモラル的に許されないものでもないと主張しながらも、でも必ずこう言う。「やってるのはクラスの同級生よ」、「あたしはやってないけど」。取材した少女達は、男性が出入りするデートクラブ、テレクラ、カラオケなどの周囲をタムロしている。
取材中、しばしば携帯電話の呼出し音が侵入してきて、慌ただしくデートの日時を約束していた。しかし、リエによると(彼女は取材中ひっきりなしに掛かってきた電話に答えたいた)、「お金のためにどこかの年上の男の人とセックスするのは、考えただけでも気持ちいいものじゃないわ。自分にそれができるとは思えない。もし男の人が誘ってきても、多分無視する」。
ならば一体彼女らはカラオケバーの近くで何をしているというのだろうか。「ただ、なんか面白いことないかなあと思って」という答えが返ってきた。
SMH、東京特派員 Russell Skelton氏の記事より
これに私見も加えようかと思いましたが、あまりにも面白すぎる(不謹慎な表現ですが)ので、恐ろしく長くなりそうで、別の機会にします。
1996年12月16日/田村
PS:これを書き終えたあと、ふと最近のNews Week誌を見ると、全く同じような記事が載ってました。流行ってるんですかね。しかし、見開きドーンと風俗関係のリアルな写真が掲載されてたりして、一瞬「SPA!」でも読んでるかように錯覚してしまいました。ちなみに、日本記事に関しては、TIME誌よりもNews Weekの方がしっくり読めるのですが、記者の名前をチェックしてると、News Week誌の方は大体日本人記者さんが原稿書いてるのが通例のようで、そのせいかもしれません。
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