賃貸不動産の探し方
99.10.26初出
2010年03月30日改訂


賃貸不動産の探し方− その1 −





 オーストラリア/シドニーの賃貸不動産の契約はふつう最短6ヶ月からです(場合によっては短期限定だけの契約もあるが、数は少ない)。滞在予定期間が6ヶ月より短い場合は、シェアを探したり、ホームステイしたり、あるいは長期滞在用のアパートメント(コンドミニアム系)、ホステルやバックパッカーズなどに滞在することになるでしょう。


シェアについて
 Share accommodation。複数で1つの物件を借りて、同居すること。フラット(日本でいうアパート)をシェアする場合は Flat share、一軒家をシェアする場合は House share 、同居人のことは Share mate という。
 自分が借りた物件に空き部屋を持っていて同居する人を探す場合と、誰かが契約した物件の一部屋を探す場合とがある。また、物件の一部屋を一人で借りる場合と、一部屋を他人とシェアする Room share(要するに相部屋)がある。新聞のクラスファイド欄や、張り紙などを通してシェアメイトを探すことが多い。

  詳しいことはシェア探し入門参照。


 以下、ここでは、自分で賃貸物件を契約する方法を紹介します。




 まず、賃貸不動産の探し方ですが、知人から借りたりするような場合を除けば、ほとんどが不動産業者の広告を見て探します。

 一番最初に僕と相棒の福島がオーストラリアにやってきたとき、「さあ、探すべ」ということで町を歩くわけですが、「不動産屋ってオーストラリアにもあるの?」「英語でなんていうの?」というところから疑問でありました。すると、上の大きな写真のように、「いかにも不動産屋」然とした店がそこかしこにあるので、「あれではなかろーか」と思って、ガラスに張り出されている物件広告をぼーっとみていたわけです。

 ちなみに、オーストラリアにも不動産屋はあります。日本よりも沢山あるんちゃうかというくらいあります。英語では Real Estate Agency といいます。リアル・エステイトというのが不動産を意味します。なお物件や建物そのものを指して、プロパティ(propety)といいます。

 不動産業者の業態は、売買仲介と賃貸仲介・管理ということで、日本とそれほど違いがなさそうです。したがって広告においても、賃貸部門と売買部門があります。日本に比べて売買の比重の方が遙かに高く、賃貸は投資用に買ってくれたお客様へのサービスでやってるようなところもあります。彼らが燃えるのは、クライアントに依頼されて、その持ち物件を売却すること。それも数億、十数億、ひいては数十億円で、オークションを仕切りつつ見事に売りさばくことでしょう。郵便ポストには定期的に不動産業者の名刺やチラシが投げ込まれ、「○番の物件は私が○ドルで売却しました」と顔写真とともに誇らしげに書かれていたりします。

 こちらの不動産は中古でも値が落ちないうえに、上手にメンテし、改築(リノベーション)をすれば値段はグンと上がります。
 90年代初頭のバブルが弾けた直後に一旦底を打ってから、現在までの十数年間、シドニーはほぼ一貫して不動産ブームであり、不動産価格の上昇は空恐ろしいくらいです。皆さんガンガン不動産買ってます。かなりバブル的な状況で、シドニーオリンピック終ったら暴落だ、世界経済危機でドカンだとか言われながらも、伸びています。

 そんな背景からすれば、不動産屋でも賃貸仲介オンリーというのは少ないように思われます。なぜなら、仲介手数料(正確には契約書作成料の半額負担)がたったの15ドルと法定されていますから。



 左写真は、不動産屋の店先の賃貸広告です。賃貸物件だから「Rental」と書いてあるかというとそうではなく、大体「TO LET」と書かれている場合が多いです。LETというのも馴染みが少ないですが、「貸すこと」です。RENTというのは「借りること」です。一方が貸せば一方は借りるわけで、賃「貸」物件といおうが賃「借」物件といおうがどっちゃでも良さそうなものですが、LETになってます。なお 「LEASE(リース)」なんて表示がされている場合もあります。

 ちなみに、ただの「RENT」といった場合「家賃」を意味します。もひとつおまけに、家主(賃貸人)はランドロード(land load)で、賃借人はテナント(tenant)です。

 というわけで、不動産屋の店先で、TO LETと書いてある広告を見ます。「FOR SALE(売物件)」に押されて片隅に掲示されてるケースが殆どですが。

 こうした広告には、各物件の説明がされています。大体最初に「NEWTOWN」とかエリアが表示されています。その横には家賃。殆ど全てといっていいと思いますが、家賃は週単位で表示されます。PER WEEK、略してPWとされることもあります。

 あとは細々と特徴が書かれているわけですが、基本的には間取りです。1BRとか2BRとかありますのは、1ベッドルーム、2ベッドルームという意味です。2BRなら日本でいえば2LDKです。LDKは当然含まれてますが、LDKかDKかの区別は日本もそうですが、結構曖昧ですね。20畳のDKの方がL6畳+DK6畳よりもいいですし。一応、セパレート・リビングなんて表示されてるときもありますが、このへんになってくると現物見ないと話が進まないとおもいます。

 ただここで押さえておくべきは、日本と違って「店頭に表示されてる物件が手持ちの全てであること」ということです。日本の場合は、店頭表示は飾りというか客引きというか、聞いたら「ああ、もう流れてしまいました」とか言われるのが常ですが、こちらはそうではないということです。基本的に手持は全部店先に表示されてます。勿論入ったばかりでまだ紙に書いてない場合もありますし、とっておきの物件なんてのももしかしたらあるかもしれませんが、原則はそうだと思います。

 これも最初の頃、「カウンターのなかにいい物件を隠してる筈だ」と思って、下手な英語で必死に「もっとあるでしょう?」みたいに聞いて恥かいたもんです。「あなたが何を言ってるのか意味が分からない。だから物件というのは表に貼るものなんだから、それが意図的に貼ってなくてまだ手もとにある?え?何を言ってるんだ、こいつ?」みたいに言われちゃって。




 

 さて、表の広告で良さそうなのがあったら、次は店に入ってその物件のアドレスを聞きます。アドレスまで貼り紙に載せてる場合もありますが、大抵は載せてませんから。どうやって聞くかですが、店の人も馴れてますので、アドレスをくれといいつつ、窓を指差し、「ニュータウンの、350ドルの、2ベッドルームの、、」とか列挙していけば、「ああ、あれね」といって、名刺の裏にサラサラと住所を書いて渡してくれます。最近では、賃貸物件だけをリストにしたものがカウンターにおいてあるケースが多いので、まずそれを探せばいいでしょう。

 こちらの住所は簡単なうえに正確ですので、アドレスさえ分かれば100発100中どの物件かわかります。アドレスの構造は、「番地+通りの名前、エリア」になってます。番地は全て建物番号であって日本のように「地番」ではありません。また、必ず通りの端から順に1、2、3と、通りを隔てて順番に打ってあります。だから道の片方が奇数だったらもう片側は偶数番号になります(片側が海とかいう場合は例外です)。

 というわけで全ての道の名前が載ってる地図があると便利です。多くはストリート・ディレクトリという厚い本なのですが、ペラ一の紙で通りの名前がすべて記載されているスグレモノの地図があります(写真左)。

 エリア的にも、Cityを中心に半径10キロプラスアルファという適当な範囲が載ってますし、このエリアで家探しをするならこれをおススメします(10ドル)。その昔はGregory社のSuberban Sydney(MAP216)がイチオシで、似たような地図がライバル社のUBDからも売り出されていましたが(赤い表紙のもの)、コンパクトさという点ではこちらの方がやや分があるように思います。どこにもで必ず売っているというものではないので(Cityだけの地図はよくあるのですが)、見つけたら買っておくことをおススメします。

 ※2014年以降どちらも入手しにくくなり、その代わり、UBD・Gregoryが合体した「Sydney City Street & Suburbs MAP262」が手頃かと思われます。

 しかし、もっと遠いエリアの人、動く範囲が広い人、車乗る人は、ちゃんと大きなストリート・ディレクトリ買いましょう。通りの索引がないとしんどいですから。

 まあ、今はGoogle Mapやら、スマホのアプリも山盛りありますから、昔ほど地図の重要性はなくなりましたけど、紙の地図でやってると土地勘はつきます。紙上の絶対的な距離感(何センチくらい離れているという物理的な感覚)で各サバーブの位置関係が飲み込めるので、長い目でみたら紙の地図が一番「便利」という気がします。短い目でみたらナビ系の方が便利なんですけど。


 地図については、ココを参照。


 では、アドレスを聞いて、現場に行くというところで、おそらく利用者が多いであろう、フラットの外観写真を何枚かお届けします。




 フラットとは、日本でいうところのアパート・マンションのことです。
 こちらでアパートメントというと、ちょい豪華目の長期滞在用の家具付の部屋で、日本でいうところの「コンドミニアム」です。こちらでマンションといいますと、こりゃもう「超豪邸」のことで、部屋が10〜20室とかあって、昔はここで舞踏会をやって、召使の部屋はここで、、とかそのレベルです。

 フラットの外観は、まあ、大体どこもレンガ外装の似たり寄ったりのものだと思います。誰もそんなに外観で選んでないようですし、あなたも多分外観なんか気にしないでしょう。
 低層〜中層建築が圧倒的で、10階以上の高層は少ないです。

 写真でいえば一番右のフラットが一番ありふれた形態ですね。真ん中のが、比較的新築で、ちょっとタウンハウスっぽくて、カッコつけてますね、はい。



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