まず、一番簡単だが一番損な方法は、日本円現金をそのまま持ってきてオーストラリア国内(空港や市内銀行、観光地の両替所)で交換する方法です。確かに簡単なのですが、交換レートが良くない。なぜかというと、「その国の通貨を最も評価するのは本国」という原則があるそうです。だから日本円を一番高く交換できる(高値で売れる)のは日本国内ということなのでしょう。
さて、ここで「交換レート」という言葉が出てきましたが、話が外貨交換となると、どうしてもこの問題を避けて通るわけにはいきません。交換レートは、毎日のニュースで「今日の東京市場は1ドル108円36銭でした」「円安ドル高」などと言われているもので、すっかりお馴染みのものですが、一般にTVニュースなどに登場しているのは「アメリカドルと日本円との交換レート」であって、ここでは「オーストラリアドルと円との交換レート」が対象となりますが、基本的な仕組は同じです。
まず注意すべきは、本日の外国為替市場における交換レートが1A$=¥80だとしても、現実に我々個人がこのレートで交換できることはまずないということです。外貨を魚や野菜に例えると、TVで報道されているレートは魚河岸や生鮮市場でのセリ値や卸値のようなもので、我々個人客が実際に外貨交換をする銀行等の末端窓口での小売値は自ずと違います。
さらに、日本円をドルに交換するときと、ドルを日本円に交換するときとでは交換レートが違います。つまり売値と買値があるわけです。
またこの値(レート)は各金融機関が毎日値付けしているのですが、各銀行によってレートが違います。さらに交換方法(現金交換、小切手、電信送金など)によってもレートが違います。
細かい原理を書いていくと混乱するので、簡単に具体例を挙げますと、レートが1ドル85円と新聞に載っていたとしても、実際に銀行に行って換えると1ドル=87円など不利なレートで交換させられます。ただこれもA銀行とB銀行とではまたレートが違っています。
さらに、日本円をドルに交換するレートが85円、ドルを日本円に換えるときのレートが75円とします。今ここに100万円持っていて一旦ドルに交換し即座にまた円に換えたならば、もとの100万円はあっという間に87万5000円に減ってしまいます。差し引き12万5000円はどこにいくかというと、これが銀行の儲け。売値と買値が10円違うだけでこれだけの落差が生じるわけです。そして、観光地の両替所などを見てますとこの売値買値のギャップはさらに激しく、15円前後違っているときもあります。
というわけで、ニュースで「1ドル○円」となっていても、実際には私達が交換する際には様々な(より不利な)レートでやらざるを得ず、またそのやり方ひとつで結構な差が出てくるということです。そして、その中でも日本円現金を現地でドルに交換する方法は、数あるレートの中でも一般にかなり率が悪いです。
したがって賢い換金のコツは、(1)できるだけ有利な交換レートを選ぶこと。「有利」というのは、オーストラリアドルに交換するときには「円高」であるということで、A銀行が1ドル78円でB銀行が80円のレートだとしたら(銀行によってもレートが違います)、78円のA銀行で交換した方が得だということになります。(2)再び日本円に戻さないで済むようにする。大量に使い残してまた日本円に換金するとなると、そこでまた換金差損が発生するので馬鹿馬鹿しいということです。
読者の方からメールでお教え戴きましたが、日本円→USドル→オーストラリアドルと、敢えて二回チェンジする方法もあるそうです。そんなの二回利ざや取られて損じゃないか?と思いきや、日本円−豪ドルの交換比率は非常に悪いのに対して(売価と買価の差)、アメリカドルの場合はそれほど悪くはない。だから一旦米ドルを間にカマせた方がむしろ交換比率は良くなる場合があるということです。「なるほど」と思いましたが、時期によっても勿論違うでしょうから、実際に比べてみて検討してみてください。
最近ではすっかり有名になったと思いますが、シティバンクに日本円を預金しておくと(円普通預金口座)、海外のATMで現地通貨で引出すことができます。つまり、オーストラリアのATMでオーストラリアドルで引出せます。これは、今やシティバンクの専売特許だけでもないようで、都銀でもいくつか実現しているようです。お確かめください。なお、シティバンクは郵便貯金とも提携しているとのこと。
手間暇掛からず、レートもそれほど悪くないようなので(全部チェックしたわけではないけど)簡便な方法だと思います。こちらのATM機は24時間使用可能で、至る所に設置されてますので便利ですし、お金が足りなくなったら逐次日本にいる家族に頼んで補充して貰えるというメリットもあります。
ただしオーストラリアのATMは、引出し限度額が500ドルないし1000ドルにしていたりして、大きなお金を動かすには不向きでしょう。なおこの「限度額」は、二つ意味があって、一つにはオーストラリア銀行のカードの場合、盗難被害防止のため最初から1日の利用限度額を設定しているケースがあります。この場合はシティバンクは適用外だと思いますし、実際に何度かに分けて数千ドル下ろしたこともあります。もう一つは機械それ自体の限界です(そんなに大金を機械においていない等)。後者の方が実際的には問題で、例えば週末の遅くになってくると、現金の補充がないまま保存している紙幣が少なくなり、200ドルしか駄目とか、全部20ドル札になったりしますので注意が必要です。
もう一つの難点は、こちらのATM操作に慣れていないということです。とりあえず画面に指示が出ますが、この英語が分からなかったらアウトです。
簡単に説明しておくと、大抵、「カードを入れてください」にはじまって、「PINナンバーをいれてください」になります。PINナンバーとは暗証番号のことです(Perspnal Identlification Number)。次に「引出し」の指示をしますが、引出しはwithdrowです。さらに「どの口座から?」に対しては、普通預金(saving)を選び、あとは金額を選択入力します。それと「レシートは必要ですか?」と聞いてくるマシンもあります。
右のATMはかなり古いタイプのもので、上部に一行表示が出ます。このタイプは表示窓が可動式になってますので、動かして目の高さに調節してください。知らないと爪先立ちして苦労したりします。左端の青キーがwithdrowなどの指示を、その右の緑のキーが口座の種類を、白いキーが数字を、右端下の緑が「OK」つまりエンターキーです。
でも、今は画面タッチないし、画面に全部指示がでてくるタイプが多いです。
キャッシュカードではなく、クレジットカードでおろす方法もあります。
その他、最も交換レートが有利なのは、銀行での電信送金でしょう。但しその為にはオーストラリアの銀行に口座を開設しておく必要があります。前述のANZ銀行等の日本支店で口座を開設することが出来、キャッシュカード発行のサービスもあるそうです。ただし、この場合、シドニーだったらシティのド真ん中のマーティンプレイス支店までカードを取りに行かねばならないのが手間です。何度か付き合って取りにいったことありますが、かなり混んでて、30分〜1時間前後かかったりします。
また、口座を作らなくても銀行のカウンターで受け取れるように送金する手続もあるそうです。日本に居て何が出来るのかは、日本で調べるのが一番手っ取り早いでしょうし、こちらでは今一つ判然としません。研究して「これだ!」という方法がわかった方はまた教えてください。
クレジットカードの場合も決済時点で交換レートの問題はつきまといますが、現金交換に比べればレートは良いので、これはこれで有力な選択肢となります。ただし、いちいちクレジットカードを使うのもわずらわしいし、当然ながらそこらへんの八百屋の店先では扱ってませんので、現金は現金で多少持ちあわせが必要です。
なお、シティバンクの場合、口座に100万円以上預金しておくと海外の銀行口座への送金も無料になるなど、長期滞在者にとっては有利なサービスです(ただし事前に送金先口座を登録しておく必要がある)。しかし、かつて海外からもフリーダイヤルで口座管理が出来ることになっていて重宝していたのですが、最近全部有料になりました。インターネットでも口座管理できるのですが、これがまた4.0以上のブラウザが必要だったり、残高チェックとか自分名義の口座どうしの振り替えはできるが、他行への送金はできないなど、僕らとしてはサービス低下を指摘したいところです。
以上をまとめてみると、銀行口座まで開設するのでなければ、基本的には必要なお金についてはTCないしはATMでおろす。日本円TCにするかドルTCにするかは、上述の利害得失を考えて決める。どの程度必要かは後に関連個所で現地相場を述べますのでそれを合算すればある程度判明すると思います。概して日本より物価は安いので国内旅行滞在費分より若干少なめといったところでしょうか。それに加えて、ドルTCの場合は、現地で適宜クレジットカードを利用して手持現金を調整して最後にはTCを使い切るようにする。予備に現金を持っていくといったところでしょうか。
なお、さらに欲を言えば、最も円高の時点で最もレートのよい銀行で換金するのがベストでしょう。オーストラリアドルの市場レートは大体新聞の経済欄の隅の方に載ってます。一般的にいうとオーストラリアドルはUSドルと連動して動く傾向があるので、USドルが高いときはオーストラリアドルも高いと一応の目安にはなるでしょう。95年春に1USドル80円を割って超円高と騒がれた頃は、オーストラリアドルも60円を割りました。その後の円安傾向で、1USドル100〜110円になるとオーストラリアドルも大体70〜80円で推移しています。しかしながら、96年以降は、オーストラリアの高金利を狙って日本円が流れ込んできて(「サムライ・ボンド」と現地では呼んでるようです)オーストラリアドルは春先には86円前後まで上がり、多少の変動はありつつもここのところ高値基調できていますし、USドルに対しても強くなっています。今後日本の公定歩合/金利の上昇とオーストラリアの金利低下によってまた状況は変わると言われていますが、為替レートの将来予測など専門家がやっても外れるのですからなんとも言えないのですが。
交換レートについてしつこく述べましたが、総額が少なければそんなに目くじら立てるほどの差も出ませんし、金額が大きいと馬鹿にならない差になります。
レート差の計算は、「1円違うと幾ら」と考えていくとややこしくなります。なぜなら1ドル50円と51円の1円差と、80円と81円の1円差は違いますから(計算していくうちに頭がこんがらがってきそうですが)。そこで、「1円幾ら」ではなく、比率でやると比較的簡単です。例えば、1ドル80円と90円とでは、率が約11%違いますので(80÷90)、10万円につき約1万強の差になります。簡単に言えば「総予算が1割強安(高)くなる」ということです。さらにこの考えを進めていくと、今ここでレートが1ドル80円なら、「0.8円(80銭)違うと1%違う」ということにもなります。つまり総予算が100万円ならば、80銭(1%)の変動で1万円違ってくるということになります。逆に、80円を基準にして、総予算が1割高くなるのは8円円安の88円であり、1割安くなるのは72円ということになります。