第4章:宿泊
96年10月24日初稿、2010年04月09日更新

第4章:宿泊
4.5.宿の選択と予約




 これまでオーストラリアの宿泊事情の説明をしてきましたが、現実問題「はて、どこから手をつけていいか?」と戸惑われるかもしれません。以下、実際のダンドリについて多少触れておきます。

 考えられるポイントとしては、どの宿を選んでいいのかわからないという選択の問題、そして予約などの手続の問題でしょう。


1.宿の選択→宿の現物を見て決める方法

 選択と予約手続の両者を満たす究極の解決方法は、予約をしないでホテル現物を見て決める方法です。

 つまり、オーストラリアに到着したあと、実際に幾つかの宿泊施設を見て歩き、気に入った宿があったら、部屋を見せて貰い、『この部屋がいい!』とその場で決める方法です。

 日本ではあまり馴染みのない方法ですが、西欧では別に珍しくもない方法ですし、オーストラリアでも「見せて(Can I have a look a room?)」頼めば気軽に見せてくれます。実際に数十軒ほど見て廻っていますが、「予約しないと駄目」と言われたのは不動産管理物件くらいでした。

 より詳しく言うと、「宿を探しているんだけど、ちょっと部屋を見せてくれますか?I'm looking for an accommodation.Can I see a room?」というと、大体「何人で泊られますか?How many people?」「ダブルですかシングルですか?Double or single?」など条件を聞いて、忙しいときは条件に該当する部屋の鍵を渡してくれて「勝手に見てきて」と言われますし、時間に余裕のあるときは親切に館内を案内してくれます。料金は向こうから説明してくれる場合が大半ですが、言ってくれないときは聞けばいいです。気にいったら、あとは部屋の空きがあるかどうか、いつから何泊するかを伝え確認します。即決できないときは、礼を言って出てくれば足ります。

 この方法が一番間違いが少ないですし、最もお薦めしたいのもこの方法です。聞く(読む)と見るとは大違いですし、また外観と中の居心地はまた違います。自分で本当にやるまでは「そんなことしていいのか?」と不安なものですが、思い切って一度やってしまえば、どうということもないです。服の試着のようなものです。

数泊くらいのことでしたら、そこまで入念に宿の選定をしなくても良いでしょう。例え最悪にハズレであったとしても、”息を止めてガマンする”ことでしのげます。しかし、数週間も滞在予定で、宿を一気に予約してしまって良いのか?というと、疑問が残ります。実際に行ってみたらイメージと全然違ったとか、宿舎そのものは良くても自分の部屋の窓からは壁しか見えなかったとか、異様に不便なところにあったりなど、納得しがたい状況が延々続くというのは辛いものがあります。仮に二人で100ドルのリーズナブルな部屋であっても20日間滞在すれば20万円近くの出費になります。「宿現物を見に行って決める」のはちょっとした冒険かもしれませんが、「現物も見ずに20万円の買物をする」というのも、それ以上の「冒険」であるように思います。

 それに気楽な宿住まいならば、あれこれ変わったタイプの宿を体験されることをオススメします。僕も以前タスマニアやパース方面に旅行したとき、わずか一週間程度でしたが、レンタカーで行脚する行程だったこともあり、ほぼ毎日宿を変え、それもホテルからB&B、キャラバンパークなど可能な限りバリエーションを増やしました。毎日違った雰囲気が味わえるのでとても面白かったです。

 シドニーには色々な顔があります。海辺のリゾートも山林のコテージも都会の一室もヴィクトリア調の洋館もありますし、これらはいずれも車で30分〜1時間の距離にあるという身近さです。それをどれか一つに固定してしまったら勿体なさ過ぎるように思うのです。Manlyのビーチも美しく、また近隣商業施設もあるから便利で良いのですが、1週間程度は良くてもそれを過ぎると退屈してくるようにも思います。

 したがって、「海辺のコテージでのんびりする+それ以外は考えていない」人、山歩き、釣り、サーフィンを集中的に楽しむなど特定の目的がハッキリしている人、あるいは不動産を賃貸借して生活してみたい人、、、以外のパターンでは、適度に宿を散らしておかれた方が、リスク分散の為にも、より広く現地を知るという意味でも良いと思います。

 もっとも、直ちに出来るものでもないでしょうし、シーズンによっては予約が必要でしょうから、ここでは「そういう方法もある」と覚えておいて下さい。滞在に慣れてきて宿替えをしたくなったとき、有効な方法になるでしょう。



 さて、それ以外の方法、すなわち「現物を見ないで決める」という方法ですが、実際には多くの方がこの方法を取っておられるでしょう。

 限られた情報で「選択」をするのはどうしたら良いかですが、正直言って決め手はありません。旅行代理店や現地の知人にお任せするとか、ネットの情報やクチコミを聞いて決めるしかありません。まあ、どんな宿でも最低限の寝泊まりはできますから数泊の場合はそれでも十分ですし、他に取るべき手段もないでしょう。

 「現地の知人なんかおらん!」という方は、どうぞ僕宛にメールしてください。ホテルそのものは分らなくても、シドニーであればおおよその土地鑑はありますし、そのエリアの実際の雰囲気やアクセスの利便性などを「現地の住人」としてお知らせすることは出来ます。


折衷案
 そこで折衷案として考えられるのは、最初の数日〜一週間などは現地に慣れる為に利便性が良く、リーズナブルな宿を取っておき、その間に土地カンや雰囲気をつかみ、ネットその他でアタリをつけておいた宿を訪問して、その後の方針を検討するというのが良いでしょう。

 もちろん予約をしておかないと取れない宿もありますが、クリスマスシーズン+夏休み(12月と1月)のピークシーズンを外せば、大体取れると思います。またこのピークシーズンは何処の宿代も平常よりも高めになりますから、予算的にも外された方が無難かと思います(休みがその時期しか取れないのであれば仕方ないですけど)。

ピークシーズン
 なお、日本のピークシーズンとオーストラリアのピークは必ずしも一致しません。日本の年末年始はオーストラリアでも夏休み&クリスマスですからピークが重なりますが、日本のGWはオーストラリア的には暇な時期になります。この時期に高くなるのは日本からの航空券だけでオーストラリア国内は別に高くはありません。日本のお盆シーズンは、オーストラリアでは真冬になるので宿関係も一般にはガラガラですし、値段も安くなります。

 オーストラリアでピークになるのは、イースターホリデー・復活祭(3月末から4月)です。イースターは移動祝祭日で、毎年時期が変わります。正確には「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日(週末)」とその前後の金曜(グッドフライデー)・月曜(イースターマンデー)が休みになり4連休になります。

 あと、シドニーの場合、マーディ・グラ/Mardi Grasに世界から観光客が詰めかけてくるので宿も品薄になります。本来はゲイとレズビアンの人権保護のためのシリアスな世界大会なのですが、大体最終日の前日に行われるパレードが観光メッカになってます。この日程も毎年微妙に違うので、マーディグラ事務局のサイトで確認されると良いでしょう。

 ただしこれらも本当にビジーな時期は限られています。マディグラでしたらパレードのある日前後、イースターでしたら4連休になる時期くらいです。
 あと、ピークシーズンというほどではないのですが、オーストラリア全体でホリデー気分になるのは、年に4回ある子供達のスクールホリデー時期です。州や学校によって微妙に異なるとはいえ、大体10週学校+2週ホリデーが4セットあり、最後の余った4週間に夏休みが入るというパターンですね。具体的に言うと、年末の最後の2週から夏休み&クリスマスホリデーに入り、2月から新学期、そして大体イースターに合わせるように3月末か4月上旬の2週間に秋休みが入り、あとは7月に冬休み、9〜10月に春休みが入ります。詳しくはNSW州政府のSchoolカレンダーなどに書いてあります。まあ、でも、そんなに気にするほどのことはないですけど。



 前章で紹介したWotifの空室状況一覧表を見ても、直前でも結構空いている宿はありますし、むしろ直前のほうが安くなる傾向すらあります。また先々の予約になれば尚更取り易いですし、それほど苦労はしないでしょう。「もし取れなかったら」と不安で仕方ない人に「100%に大丈夫」とは保証しませんが、2週間以降の予約がひとつも取れないということまずないでしょうから、心配ならば保険で2〜3週間予約しておいて、あとで他の宿が決まったら残りをキャンセルするという方法もあるでしょう。


2.予約の方法


 さて「予約」の方法ですが、インターネットが標準装備されている現状においては、昔のように必死になって国際電話をしたりFAXしたりという苦労はありません。良い時代になったものです(^_^)。


 ネットで予約する方法としては、前に述べたブッキングサイトで行うか、あるいは宿本家のHPで予約すれば良いです。ブッキングがうまくいかなくて誰よりも困るのはホテル側ですので(商売あがったりだし)、どこもそれなりに分りやすく書かれています。多くの場合、予約フォームがあり、そこに必要事項を記入し、最後にクレジットカードの番号などを記入してクリックすれば良いです。

 一応参考までに予約のためのFax文例を示しておきますが、特に「これだ」という形式もないのですし、よく見ると、ホテルのフロントでいつも書いている宿泊カードの内容と大差ないことも分かると思います。


ホテル予約FAXの文例


Ms Hanako YAMADA
1-2-3 Otemachi, Chuo-ku
Tokyo, JAPAN
Ph&Fax: +81 3 1234 5678
*発信者(自分)の氏名/住所/電話番号を書く




The Dolphin HoteL
105 Nantoka St., Sydney
NSW 2000 Australia
Fax: +61 2 9876 5432
*相手のホテル名、住所、FAX番号を記入
*61はオーストラリアの国識別、これに続けて市外局番の頭の0をとってダイヤルすればよい。
日本からは001(KDD)等の国際電話サービスの番号を最初にダイヤルする。
(発信日付→) Date : 20/APR/2010



Dear Manager,

I would like to make a reservation for your accommodation as follows:
(下記条件での宿泊予約をお願いします)

Date of Arrival : 15/MAY/2010
(*到着予定日。 日/月/年の順に記載するが、日と月が紛らわしいと感じるならば月をMAYなどと表記すると間違いが少ない)


Date of Departure : 18/MAY/2010  (for 3 nights)
(*出発予定日、念のため「何泊になるか」数字を記入しておく)

Estimated time of arriva : 10:00pm
(*到着予定時刻、おおよその到着時刻を知らせておく)

Room type:
1 twin room with toilet, shower, bathtub, cooking facility,fridge and laundry.
(希望する部屋のタイプ、シングルならsingle、トリプルならtripleと記入。通常ツインルームにはダブルベッドが1台なので、ベッド2台をリクエストしたければ「1 twin room with 2 single beds」と記入。with以下には部屋の中の設備として欲しいものを列挙すればよい。)

Customers' name:Mr & Mrs YAMADA (2 persons)
(宿泊者の名前、姓だけでOKだが、Mr,Mrs, Miss, Msの区別をつけておくとよい。全部で何人になるかも念のため記入しておく)。


Please let me know whether or not my request above is available and how much it will be charged(including breakfast)by email, yamada@gmail.com or fax on +81(Japan)-3-1234-5678.
I look forward to your reply.
(上記の予約が可能かどうか、また宿泊料(朝食代を含む)が幾らになるかメールないしはFaxにてご連絡下さい。お返事をお待ちしております。*朝食抜きでよい場合は()内を削除する。)
Best regards,


(サイン) Hanako YAMADA


 なお、予約をしたけど何の確認メールもなく、梨のツブテという不安な事態もあるでしょう。
 ネットやメールの普及でだいぶ事情も良くなったとは思いますが、かつては3回予約FAXして3回とも話が全然通ってなかったというブチ切れたくなりそうな事態もありました。FAXの場合は、"Confirmed(確認済)"というスタンプやサインの入ったFAXを流してもらいますが、ネットの場合、確認メールをちゃんと貰いましょう(自動的に送付されますけど)。

 時々、宿本家のサイト経由でブッキングした場合、宿のオーナーがネットに不慣れで、自分のHPがあること自体すっかり忘れており、メールチェックすらしていないという素晴らしいパターンもあります。そういうときは確認FAXや確認電話を入れるしかないですね。まあ、最近は滅多にないとは思いますが、「これも旅の醍醐味」くらいにドンと構えていてください。そのくらいでないと海外でやっていけません(^_^)。

 なお、だからこそ、宿訪問&現場のカウンター予約という方式が一番確実だと思うのですね。



 もっとも、こういうときのために旅行代理店というのは存在するわけですし、代理して予約をしてくれるからこそ旅行「代理」店です。オーストラリアにも旅行代理店は数多くありますし(日系のお店もあります)、また日本にいる段階で日本の旅行代理店さんと相談して話を進めていくことは可能だと思います。なにもかもお任せのパックツアーだけが旅行代理店さんの仕事ではありません。旅のプランニングからいろいろ相談されるのも手だと思います。

 あと、レンタカーで気ままに旅するような場合、各地にあるインフォメーションセンターでも予約が出来ます。昼過ぎくらいにブラリと訪れ、「今日の宿を探しているんだけど」と相談すると、予算に合わせて幾つか見繕ってくれ、その場で予約してくれます。これは地元同士だから話が早いです。その場で電話して、「ハーイ、ジョン、今晩、ダブルルーム一室空いてる?幾らの部屋?100ドルで出していい?OK」みたいな感じで、「どうせ部屋を遊ばせておくよりは」で200ドルの部屋を100ドルにしてくれたこともあります。

 もちろん直接宿にいって「今日、泊まれる?」と話をするのもアリです。僕もやったことがあります。全然いけますよ。大体、街道沿いのモーテルなんかそっちの方がメインでしょう。洋画などを見ていても、なにかトラブルに見舞われたカップルが、「しょうがないな、今日はこのあたりで一泊だ」とかいいながら、モーテルの受付に行き、"We need a room"といってキーを貰ってるシーンが一再ならず出てきますが、そんなもんです。

 そんなに四角四面に考えて、何ヶ月も前から水も漏らぬように準備しまくって旅行に臨まなくてもいいです。仕事でやってるんじゃないんですから。大人の遊びなんだから、ハプニングや偶然性を楽しんでください。



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