第2章:準備と出国




       この章では、出国の為の準備と、出発してからシドニー空港に到着するまでのプロセスを概観します。この部分は「海外旅行の基礎知識」としてどのガイドブックにも記載されているところですし、海外渡航者が年間1700万人にも達するという昨今、僕よりも詳しい方も沢山いることでしょう。

       まさに釈迦に説法ですが、「全部自分でやる!」という観点から、また「初めてパックツアー以外で海外にいく親戚のおばさん夫婦のために」という視点で、復習も予ねて一連のダンドリをみることにします。「そんなの知ってるよ」という方はガンガン読み飛ばして下さい。








    2.1.海外渡航三種の神器

    (パスポート+ビザ+航空券)


    パスポート

      すでにお持ちの方も多いと思いますが、パスポート(旅券)とは、海外に行った場合の日本人であることの「身分証明証」であり、日本国政府から各国政府に対して「これを保持している人はウチの国民ですので、よろしく」という通過&保護申請書の役割を果たすものです。これを持ってないと出国できませんし、そもそもビザも取れません。「何はなくともパスポート」ということで、「はじめの一歩」になります。

      パスポートの取得は、別に難しいことではなく単なる事務手続ですので、近くの県庁などに問い合わせて、必要書類を提出し、写真と手数料を払えば簡単に取得できます(詳細は大抵のガイドブックに記されてます)。申請から発行までには2週間程度かかりますので、出国計画に沿って申請スケジュールを組まれることをお勧めします。実践的には、「行ってみようかな」と決めたら、あとの計画が白紙でも先にパスポートだけ取っておくと良いでしょう。行く以上絶対に必要なものですから。

      なお、パスポートの取得は、旅行代理店でも代行でやって貰えますが、有料です。

    ビザ/査証

       ビザ(査証)とは、「入国許可証」です。パスポートが本国(日本)政府が発行するのに対して、ビザは受入先の国(この場合はオーストラリア)が「入ってきてもいいよ」と発行するもので、これがないとその国に入国できません。

       つまり誰もが無制限に入国できるわけではなく、むしろ原則禁止=例外許容と考えた方が早いでしょう。「例外的」に入国を許容された場合にビザが発行されます。その「例外」を細かく場合分けをして定めたのが「ビザの種類」で、留学/ビジネス/国際結婚/移住/観光など様々な種類があります。ビザはその国その時代の政策によって頻繁に変わりますし、リアルタイムの正確なビザ情報はオーストラリア大使館/領事館に問い合わせることになります。特にオーストラリアの場合は年中細かな改訂があり、専門のビサ申請代行業者も常に法律の変更に注意していなければならないと言われています。

       しかし、ここでは、数週間〜数ヶ月の「体験的海外生活」を念頭に置いてますので、殆どの場合一番簡単な「観光ビザ」でOKです。逆に言えばオーストラリアは観光目的で入国する場合でもビザが必要です(3ヶ月未満等の短期間の観光ならばビザ不要という国も多い)。日本人とアメリカ人に関しては観光ビザを不要にしようという案も検討されているそうですが(観光業界はそれを望んでいるようですが)、現時点では必要です。オーストラリアの場合、観光ビザの有効期間は通例1年間、連続して滞在できるのは3ヶ月で、期間内は何度でも出入国出来ます。なお特別に申請すれば3ヵ月以上滞在できるものもあります。

       観光ビザの取得は、旅行代理店に代行依頼をしてもいいですが、これもそんなに難しいことではないので、インターネットでオーストラリア大使館のページにいって申請すれば足ります。通常は、電子ビザ(通称イータス又はETA、Electronic Travel Authority System)で間に合いますが、ETAが使えない人には従来どおりの紙による申請方式もあります。


         パスポートもビザも、面倒臭いといえば面倒臭いのですが、この程度で面倒臭がっていたら先が思いやられます。もっともパスポートやビザは単なる行政手続ですので、時間と金を費やした割にはあまり得した気にもならず煩わしさだけが先に立つのというのも無理からぬところでしょう。しかしここから先の手続は、格安航空券の手配にせよホテルの選定にせよ手間暇かけた分それなりに見返りがありますので、あまり最初からうんざりしないように。

       なお、観光ビザではなく、その他のビザや居住ビザ(永住権)まで知りたい人は、ここをクリックしてください。
      ★→visaについて



    航空券

       オーストラリアまで優雅に船旅を楽しむのも素晴らしいでしょうが、ここでは一般的に飛行機の話をします。要するに「飛行機に乗るためには切符が必要」というだけの話です。


       切符というのは、電車でもバスでも同じ路線同じ距離だったらいつ乗っても値段は同じ筈ですが、国際線の飛行機に関してはちょっと違います(国内線はほぼ一定ですが)。同じシドニー−成田往復チケットでも、50万円以上するのもあれば、わずか6万円前後のものまであります。チケットの買い方一つで旅費が大きく変わってきますので、やや細かく説明します。


       まずこの差はどこから生じるかというと、第一にファーストクラス/ビジネスクラス/エコノミークラスという座席の格差があります。これは一等席二等席ということでわかりやすいでしょう。第二に往復切符か片道切符かという違いがあります。一般的には往復切符の方が安いです。第三に時期の関係があります。国内旅行の繁忙期/閑散期と同じく、皆が休暇をとるシーズンは値段が高くなります。たとえば年末年始のチケットは2月のオフシーズンのチケットの1.5〜2倍近くまで跳ね上がることもあります(但しその時期の区割は非常に細かいので良く確認された方がよいでしょう)。第四に、各航空会社によって、キャンペーンセールをやったり、「常連さん特別割引(マイレージなど)」「高齢者用割引」のような様々な割引切符があり、これによっても料金は上下します。このあたりまでは、JRの種々の割引切符を考えて戴けたらわかりやすいでしょう。




       さてここから先は、国内旅行とはちょっと違う国際線独特の制度が出てきます。

      (1)オープンチケットとフィックスチケット
      =帰国便を渡航前に決定するかどうか


       往復チケットの中には、購入時に予め帰国便を決めてしまうフィックス(固定するという意味)チケットと、逆に帰国便を決めずにおくオープンチケットの2種類があります。オープンのメリットは現地に着いてから航空券の有効期限内ならいつでも好きな日を選んで帰国することが出来る点にあります(もちろん希望便に予約が詰まってたらダメですが)。一般に制約の多いフィックスの方が価格的には安くなります。帰国予定が明確に決まってない場合はオープンの方が便利ですし、ある程度帰国予定が定まっている場合はフィックスの方がお得ということになります。要するに、帰りの便をいつ決めるかというだけの違いなのですが、両者とも帰国便を無制限に決められるわけではなく「3週間フィックス」や「1年オープン」と色々な期間制限が定められています(オープンだったら必ず1年とか一般に決められているのではなく、各航空会社のその時期の「品揃え」によって差があります)。一般的には、有効期間が短いものほど安くなる傾向にあります。

      (2)直行便と経由便

       直行便とは、文字どおり日本とオーストラリアの間を乗り換えなしで直行する路線のことですが、これが出来るのは国際的な取り決めによって本国の航空会社(日豪間の場合は日本航空、全日空、カンタス、アンセット)に限られます。それ以外の国の航空会社の路線(この場合はアジア地域の航空会社が多い)は、その航空会社の本拠地(大韓航空ならソウル)で乗り換える(トランジットと言います)経由便になります。大体直行便で9時間半ほどでシドニーに到着しますが、経由便になると寄り道して乗り換えるわけですのでもっと時間はかかります。一概に何時間ということは乗り換えの場所や待ち時間によって変わりますが、最低でも2〜4時間余計にかかるでしょう。


       ただし、経由便にもメリットがあります。それは、乗り換え都市で「ストップオーバー」という制度を利用して、一時的に入国し観光できることです。つまり大韓航空を使ってソウルに2泊してからシドニー行きの飛行機に乗るとか、コンチネンタル航空を利用してグアム島でひと泳ぎしてから目的地に向かうということが出来ます(もちろん帰路に立ち寄ってもOK)。


      (3)(いわゆる)格安航空券

       上記(1)(2)の条件で、料金にかなりの差が生じますが、さらに料金格差が出る領域があります。これが巷で言われているいわゆる「格安航空券」です。

       何が「正規」で何が「格安」かと厳密にいうと複雑になるのでしょうが、ここでは簡単に流通経路の違いで安くなっているチケットを格安航空券と呼びます。

       「流通経路」というのは、様々な場合があるのでしょうが、例えばパックツアーを企画したが人が集まらず座席が余った場合、その空席分のチケットをバーゲンセールのように売っている場合などです。破格に安いチケットもありますが、それだけこまめに手間暇かけて探さなければならないという意味でもバーゲンと同じです。


       また、バーゲンセールで「返品お断り」とされているように、格安航空券にはそれなりの制約があります。一番大きな制約は「変更できない」ということです。正規のチケットの場合は、同じ航空券のまま搭乗便を変更したり、場合によっては行き先が同じならば違う航空会社でも乗せてもらえたりとかなり融通がききます。ところが、格安航空券の場合、こういった融通は一切ききません。また事前の変更もできません(一旦キャンセル料払って払い戻しを受け、又別途購入し直すことになる)、また出発(搭乗)時刻に遅刻したらそれまでです。安ければ安いだけのことはあるわけですね。また、一般に自分の日程や条件に合う「品揃え」で言えば正規チケットの方が豊富でしょう。どちらを選ぶかはあなた次第ですが、例えば具体的に十数万円も差があった場合、「遅刻対策に十数万は高すぎる。空港近くのホテルに泊ってもまだお釣りがくる」という方は格安を、お仕事の都合などで直前になるまで当日出発出来るか状況がきわめて流動的という方は正規の方が安全かも知れません。


      (4)航空券の購入方法
       いわゆる正規の航空券は、各航空会社の窓口に行くか、お近くの旅行代理店で買えば済みます。なお購入の際には、搭乗する人の氏名だけでなくパスポート番号も必要ですのでお忘れなきよう。

       問題は格安航空券です。どこに行けば売っているのか?ですが、旅行代理店で売っています。しかし旅行代理店だったらどこでも等しく扱っているかというとそんなことはないようです。「全ての店がバーゲン品を売ってるわけではない」ということで、「格安航空券を扱っている旅行代理店もある」と考えた方が正確でしょう。では、どの旅行代理店が扱っているかというと、有名なところではHISなどがありますが、簡単な探し方としては、お近くの書店に行かれ、旅行関係の雑誌が置いてあるコーナーで「エービー(AB)ロード」などの海外旅行雑誌を見ると、格安航空券を扱っている数々の旅行代理店の広告が載っています。

       次にこの広告などをもとに各代理店に電話を掛け、「バーゲン品」の品揃えを問い合わせます。なにしろ商品の性質が「パックツアーの空席分流れ」など不規則なものですので、全く同じ時期/路線でも代理店によって10万円以上の値段の開きがあることもザラです。同じ代理店でも昨日と今日とで品揃えも違います(今朝大量にキャンセルが出たなど)し、出発日を一日ずらすだけで価格が二倍になったりすることも決して珍しくありません。こういった代理店にも得意分野があるようで、オセアニアの航空会社に強いところ、アジア系の航空会社に強いところなど様々です。まめに旅行代理店に電話して、具体的な条件(目的地や人数、期間)を提示した上でじっくり価格と自分の都合を比較なさることをお勧めします。

       こういった段取が面倒な方は正規チケットを買われれば良いのですし、十数万も違うのなら多少の手間は苦にならない方は頑張って格安券を探されるということで、そこは「消費者の選択」です。

         なお、上記の説明は、正規−格安と乱暴に大別してるもので、正確には、「正規」の中でも普通運賃と特別運賃、さらに特別運賃の中でもIATA運賃、ペックス運賃、ゾーンペックス運賃など細々と分かれているようです。航空券の割引システムは、昨今の国内航空の割引路線をめぐるドタバタを見ていても分かるように、良く言えばきめ細やかで柔軟性に富んでいる(悪く言えば、やたら複雑+朝令暮改)ので、僕も「どれがいい」とはよう言えません。ただ、他国間を周遊したい人は格安以外の割引チケットもチェックしておくと良いように思います。インターネットで「格安航空券」で検索してみれば山ほどいろいろなサイトがありますから頑張って研究してみてください。

       以上、やや細かく航空券について紹介しました。どうしても種々の制度上話が複雑になるのですが、場合によっては二人で30万円前後節約できることもあり、これは現地でのホテル代1ヶ月分ほどの差ですので、出国準備の中では一番の思案のしどころかと思います。


       なお、いずれの場合も、リコンファームの有無・方法について確認しておかれると良いでしょう。リコンファームについては後述します。


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