買物する時に使う「Can I have this one.」は「これ、ください」程度ですが、「Could I」「May I」になると「これ、いただけますか?」みたいな感じになります。
ある映画で、子供が「Can I have water!」と無邪気に言うと、しかめっ面した口うるさそうなオバサンが「May I have a glass of water, please.」と言い直すシーンが出てきたりして、英語圏でも丁寧表現にこだわる人もいるんだなあと思いました。
ちなみに、「have」を「get」に代えて、「Can I get this one.」と言うと、もっとくだけて「これ、ちょうだい」くらいの感じ。どうも「get」より「have」の方が隠喩的で静的なのか、上品なニュアンスがあるみたいですね。
「have」の話題が出たついでに。
日本の英語教材で「英語はhaveだ!」という本がありますが、私にとってはコレ、目からウロコものでした。英会話はほとんどhaveだけマスターすれば成立する、という大胆な説。「ほんまか?」と疑われるでしょうが、いや本当に日常会話の70〜80%は have だけで成立可能だと思います。
コツは have のあとに名詞をくっつけるだけ。日常的に使われる動詞はほとんどが名詞化しますので、文法的なことを考えずにとにかく have のあとに、言いたいことをくっ付けたらいいです。「Have a seat.」「Can I have a walk?」「I will have a sleep.」「Have a go.」などなど、確かに have は頻繁に使います。
この表現のメリットは、喋る私たちの側が楽チンなこと。やりたいこと(動詞)の前に「Is it possible to〜(動詞の原形)」をつけるだけなので、「Is it possible」だけを念仏となえるように練習しておけば、簡単に文章が作れます。それに、動詞をIにすべきか、Youにすべきかを考えなくてもいいから、楽チンなのですね(本来は for you と挿入して主語をあらわすんだけど、イチイチ言わなくても状況で判断できる)。
12) Would you mind
直訳すると「〜を気にしますか?」という意味なのですが、「していただけますか」「してもよろしいですか」の丁寧表現としてよく使います。「Do you mind」でもOKなのですが、「would」にすると更に丁寧なニュアンスが出ます。発音的には「うっじゅうまいん」と聞えます。
ただ、この表現には難点があります。ひとつは「mind」のあとは動詞の ing 形が来ること。もちろん、「giving」の代わりに「to give」を使っても意味は通じます。が、ここまで丁寧表現をしているのなら、小さなミスは避けたい。こういう動詞の変形を考えるのが現場では結構面倒なんですよね。
あるいは、「Would you mind if I have this pen?」という具合に、動詞を直接つけずに「if構文」をもってくるというテもあります。この方が文章自体は長くなりますが、ifのあとは普通のセンテンスを付ければいいので、文法的なことに頭を廻さなくていいという意味では楽です。
もうひとつの難点は、返答です。
「気にしますか?」と聞いているのだから、それがOKという意味なら「No, (I don't mind)」と答えるべきなのですが、これが混乱のモトになったりします。ネイティブは慣れてますから「No, no, of course not, please go on.」といった具合に、自然と口をついて「No」が出てくるのですが、私たちは思わず「Yes」と言ってしまいがち。「OK!」と明るく答えれば、うまく通じるでしょうが、自信なさそうに「Yes」とか言ってしまうと、「え? 気にするの? どうしよう・・」という反応が返ってきたりして、焦ります。
「Thank you」にもいろいろなバリエーションがあります。「Thanks.」「Thank you very much.」「Thank you so much.」はお馴染みですね。このほか、オーストラリアでは「ター」というのを非常によく使います(たぶんスペルは「Ta」だと思う)。一般にオージーは省略語が好きみたいなんですが、サンクスまで省略しちゃうんですかね。
ちょっと脱線しますが、ある日本の英語教材に「Thank you so much はゲイ言葉です」と書いてあるのを見かけましたが、こりゃ勘違いだと思います。著者のエリアではそうなのかもしれませんが、喋り方によりますし、so much を付けたら即「こいつはゲイだ」とみなされるというほど単純な構造ではないでしょう。
日本人が書いた英語教材は、どうしてもこういう怪しい部分がありますね。ネイティブじゃないので、いくら勉強してもニュアンスまで完全に掴むのは難しいから仕方ないんでしょうけど。私が書いてる英語雑記帳だって、怪しいもんですから、各自現場で確認してくださいね。
余談ですけど、よく携帯電話がつながらない時に「Telstra regret the area you call is not available.」とか自動メッセージが流れるのですが、これ、ムカつくのですね。「おまえ、ちっても遺憾になんて思ってないくせに、お気楽に regret とか言ってんじゃねーよ」とか(^^;)。丁寧な言葉さえ使えば、人は許してくれるというものではないのは、世界どこでも一緒ですね。
たとえば、「die(死ぬ)」の代わりに「pass away」を使うと「亡くなる、逝去する」といった感じが出ます。たとえば、ご主人を亡くしたという女性に、「When did your husband die?」と聞くのはちょっとはばかられますが、「pass away」を使えば、まあ聞きやすい。
ついでに言っておくなら、こういう聞きずらい質問をする時には、「May I ask」とか、「If you don't mind」とつけ加えると緊張感が和らぎます。「May I ask when did your husband pass away?」「Could you tell me when did your husband pass away, if you don't mind.」と、ここまで言えば相手も不快がらずに答えてくれるでしょう。
その他、思い付く「間接的な表現」をいくつか。
ディナーの時、遠慮の塊となって残ってしまったサラダを勧める時、「Does anyone want to finish this salad?(だれかこのサラダ食べちゃってくれる?)」で意味は通じますが、上品なホストがお客さんに勧める時は「Would anyone care for this salad?(どなたかこのサラダがお好きな方おられますか?)」と言うでしょう。
下着は「underwear」ですが、直接表現がはばかられるようなケースでは「small things」「white sewing」などと隠喩的に表現したりします。 練習例:ホストマザーにこう聞かれたら、どう答えますか?
「Would you mind if I wash your small things for you?」
(構わないなら「No」、自分で洗濯したいなら「Yes」)
この理由は、「英語では必ず主語がつく」せいなのではないかと睨んでいます。
私たち日本人は、ふだん「あなた」とはあまり言いませんが、その代わりに「○○さん」と相手の名前を挿入して話しています。ところが、この「○○さん」部分が英語だとみんな「you」になってしまって、ちょっとぶっきらぼうに冷たく響くみたいです。それでなんだか分かりませんが、英語では「Give me the pen, Mary?」「Thanks, John.」みたいに、会話の終わりや頭に相手の名前を呼びかけることがとても多いような気がします。