| UNIWORLD 訪問記 |
ユニワールドは、今年(97年)の4月に開校したばかりですが、すでに280名もの学生を擁しています。開校数年で学生数100名前後という学校も決して珍しくないシドニーにおいて、この数字はとんでもないものといえるでしょう。
英語学校に比べたときのビジネス学校の特徴を考えてみます。まず市場。英語学校の市場は基本的に海外です。確かにワーホリその他でシドニー現地にいる人が新たに語学学校に入るというケースも多いのですが、全体の比率でいえば海外からの応募が多い。ということは、学校側としては、世界各国にプロモーションに出掛け、広告も打ち、代理店と契約していくという時間のかかるプロセスが必要になります。ところが、ビジネス学校の場合は、入学生は一定レベル以上英語力を要求されますので、既に現地にいる人(=地元のオーストラリア人の他に、英語学校を卒業したあとビジネス学校に進学する人)の率が高くなります。つまりローカル市場の比率が高い。そうなると、(海外プロモーションはやるにしても)半径10キロ以内のローカル市場に対してマーケティングし、プロモーションをかければ、それなりに成果が上がることになり、進展が早いということは言えると思います。
もう一つ。『英語学校を卒業したけど(orワーホリ期間が終わったけど)、もう少しオーストラリアにいたいという人』という一定の層があります。語学学校を卒業して、少しばかり英語が分かるようになってきた、見えなかったオーストラリア社会が段々見えてきた、「さあ、これから」というときに時間切れで日本に帰ってしまうわけですが、それが何となく釈然としないという人もいます。『もう少しこの社会を見てみたい』、あるいは『将来のことを考えて海外で就職出来るようなスキルも身につけたい』、かといって年間学費100万以上×最低3年の大学行くほどのことでもない。しかし何らかのステイタスがビザが貰えない。観光ビザでは働けないし期間も限られている。労働ビザといっても一朝一夕にスポンサー会社が見つかるものでもない。「どうしたもんか?」と悩んでる人々が、常に一定の数でシドニーにはおられます。かくいう我々も一時はそう思いましたし(結果的にいきなり永住権を取れたからラッキーだったのですが)。で、そういう人々の悩みに対して、ビジネス学校というのは恰好の解決策にもなるわけです。
ユニワールドのビジネスカレッジですが、学費は年間4000ドル。で、ローカル市場(現地申込者)に対しては、開校記念で半年1550ドルでやっておりました。平均的な語学学校の費用の4分の1というわけで、確かに安い。他のビジネス学校に比べてみてもまだ安い。もちろん内容的にもキチンと授業をしているのですから(=いわゆる「ビザ取り学校」ではないちゃんとした学校)、十分な市場訴求力があろうかと思います。そんなこんなで学校の思惑を超えてビジネス部門に学生さんが集まってしまったのだと思います。逆に言えば、語学学校を出たあと、「どうしたもんか」で悩んでる人が一定の数でおられるということでもあるのでしょう。興味深いところです。
今回案内してくれたのは日本人スタッフの木村さんという方ですが、お話によると、英語学校にせよビジネス学校にせよ、既に大学やTAFEなどの公立学校があるなか、さらに民間の学校を開校/存在する意義の一つはそこにある、と。つまり、地元学生相手で親方日の丸じゃない親方サザンクロス(豪国旗)の公立機関よりも、学生をカスタマーと捉え、小回りの効く民間の学校の方が、現地に慣れていない&英語に自信がない学生さんに対してキメ細かに配慮できるという点で一日の長があるということです。大学などの受付でヒドイのになると、学生がたとたどしい英語で喋っているのに、同じことを何度も言わすなという態度でイライラしたり、面倒臭いからわざと早口の英語でまくしたてたりすることもあったりします。ほんの一部ではありますが、確かにそういうアホンダラはいます。
コースですが、「COMMUNICATIONクラス」というのが、いわゆる一般英語コースに相当します。朝の8時半から1時15分まで、15分の休憩3回はさんでみっちりやります。12時前後を境に午後はオプション科目等にしている他の学校に比べると、クラスで4時間やるという時間割は、学生にとってみれば結構「みっちりやった」という感じがすると思います。
学生の出身地は、一番多いのが東欧(チェコ・スロバキアが多い)で35〜40%。続いて韓国30%、その他インドネシア、日本、タイ、ベトナム、ブラジル等。日本人は英語学校で2〜3%以下、ビジネスでも10〜11%程度と少ないです。
ホームステイですが、この学校でアレンジしています。前述したとおり、もともと別の語学学校をやっていたわけですので、そのあたりの語学学校基本ノウハウは経験済みなのでしょう。ホストファミリーの写真付きファイルも見せていただきました。なお、この種の調査&ファイリングは、ホームステイをしっかりやってるところはどこでも備えています。
99年08月再訪問記
月日が流れるのは早いもので、情報をUPDATEするべく再訪問インタビューを敢行しました。これまでもちょこちょこ細かな修正は行なってたし、学校も訪れていたのですが、今回は再びスタッフの木村さん
お時間を割いていただき、色々お話を聞いてきました。開講半年で50名の学生をあつめた英語部門ですが現在は200名の学生さんを抱えています。単純計算でいけば成長率400%。ビジネスカレッジの方ですが、こちらは総数380名。ビジネス系とコンピュータ系とでは7対3くらいの割合だそうです。 なんでこんなに成長したと思いますか?と率直に疑問をぶつけてみました。「う〜ん、そうですね」と木村さんが考えて言うには、一つにはどこか特定のエリア(国)に集中せずに世界各国に万遍なくマーケティングを展開したこと。特に情報もエージェントも少ない国に地道に営業をやってると、それだけに効果がある。また特定に地域に偏らないので、どこかがヘコんでも全体としては大きく影響を受けないというマーケ戦略と企業努力があるとのこと。この成果は、英語学校の国籍構成でも、日本人比率が大体20%前後であり、日中韓の御三家を合わせても大体60%くらい(その他ヨーロピアンが30%、南アメリカなど)という数字にも表れていると思います。またバランスを保つために、一定の国から増えすぎた場合は入学制限をしているそうです(ちょっと待ってもらう)。 あとはビジネスカレッジ(IT/コンピューター)部門を持ってる有利さで、パソコンなどの資材投資をバンバンやってること。現在で60〜80台くらいで、さらに110台位まで増やし、さらに全てインターネットフリーであるという施設も特色の一つでしょう。インターネットが出来る学校は沢山ありますが、これだけ大量にパソコンがあって、しかも殆ど全部接続できるというのは珍しいと思います。普通予約が必要なのですが、ここは特に予約制度も取ってないようです。ランチタイムなどは混みますが、ちょっと時間をズラせば大体使えるようですね。さらにもっと珍しいのは、日本語の読み出しが出来ると言う事です。書くことも出来るらしいですここで「らしい」というのは設置業者さんの話では、そこまでは組んでない筈なんですが、実際にやってた生徒さんが「出来たよ」とか言ってるからできるんだろうなということです。いずれにせよ近い将来にはそこまで持っていくつもりだそうですが。日本にいると気付かないでしょうが、現地では「英語版Windowsで日本語を走らせる」という大きな問題があります。語学学校に限らずどの日系企業でも頭が痛いところです。日本語版Windowsだったら英語も表示されますが、そうするとオージースタッフが使えなくなるし。その種のソフトもいろいろあるようですが、うまくいったりいかなかったりのようです。そんななか、これだけの台数のパソコンで日本語を走らせようとしている努力は指摘しておくべきでしょう。なお日本人率20%程度でここまでやるからには、韓国語とかも用意しているのでしょうね。 英語部門が200名で、その内訳はゼネラルが12クラス、その他ビジネス英語など2クラス。4週間タームで、クラスに2人担任がつき、午後はオプションで別の先生にあたる。教師の数は、パートも含めて18名程度、採用にあたっては海外で教えてコミュニケーションの難しさを身体で知ってる人を採用するという方針です。これは校長さん自身のポリシーらしいのですが、この校長さん自身、アメリカの大学が日本に分校を作ったときに6年間ほどそのオーガナイズをしていたらしく、その体験に基づいているとのことです。 概ね前回訪問時とキャラクターにおける大きな違いはないわけですが、よりゼネラルな方向を目指してる学校だと感じました。ここで「ゼネラル」というのは、ある特定のエリアや特定の購買層(日本人ワーホリ)に焦点を合せてるわけではなく、また安さで勝負しているわけでもない。 確かに価格競争力はあります。 ビジネス学校半年1550ドルは十二分に安いです(なお1550ドルは現地申込の割引価格。「現地申込」の正確な定義は「最初の学生ビザ申請のためのいわゆるAAフォーム(入学許可証)発行を発行しない場合」であり、観光ビザできて現地で学生ビザを申請する場合これに該当せず、正規料金は2200ドルになります。もっとも次の半年は1550ドルになる。現地で学生ビザが申請できるように改正されたので、ここらへんがややこしくなってます)。 また、99年4月からやってる英語24週4800ドルや英語20週+ビジネス半年コースなどでの、英語フルタイム週200ドルもかなり安いですし、40週申し込むと最大9週オマケがついてくるとか、さらにはワーホリ(観光ビザ)用の週185ドル(パート150ドル)は、これにインターネット無料使用がつくならばどうかしたら一番安いかもしれないです。 それでもその安さをあんまり前面に出したくないようです。それは価格競争力という点で「一応対応しておきましょうか」という戦術レベルの話で、戦略レベルで安さを武器に使いたくはないというか、あまりそこにポイントをおいて貰いたくないようですね。あくまで基本はちゃんとした英語学校で、集客は世界各国のエージェントの地道な営業でやっていくという。実際、日本人ワーホリ比率も、20%の日本人学生のうちの半分いくかどうかという程度らしいので、ここに重点をおくこともないのでしょう。 しかし、その割には、ワーホリ用特別サポートプログラムなどもあり、ワーホリさんには最高3ヶ月の休学を認めて週単位のバラ取りを認めたり、選択コースで仕事用の英語を専門にやるコースを設置したり、かなり使い勝手の良さそうな試みはなされています。これだけやってるんだけど、でも、別にそれにメインフォーカスをあてているわけでもないと。 また、この学校はビジネス学校もやってますが、開校以来力を入れているのは英語学校の方で、「ビジネス学校もある英語学校」を目指し、「英語学校もあるビジネス学校」(僕らが取材してない学校の中にはこちら側の学校も結構あります)にはしたくないというコンセプトみたいなものがあるようです。これは取材してても折にふれて感じられました。 それは結局安さだけでここまで大きくなったわけでもないし、民族構成のバランスがとれてるわけでもないという経緯と自信に基づくのでしょう。また、昨今シドニーに林立している留学センターの中には「ウチを通すと学費割引になる」ということをウリにしている業者に対する苦々しい視線においても感じられます。 ちょっと横道にそれます。この語学学校研究でも折に触れ書いてますが、この種のディスカウントエージェントの存在は、どの学校にしても価格体系がメチャクチャになるので嫌がっていて、またよく問題になるそうです。勝手に「ユニワールド○○ドルから」とか広告出されて迷惑することもあるそうです。が、業者が自分のコミッション報酬を削ってリテールを値下げして集客する分には自由競争という部分もあって、拘束する方策もない。一説によるとどこか韓国の業者さんがこれをはじめて、追随する者が出てきたとか。本当の実態はよう知らんですけど(多分正確なところは誰も知らんだろうな)、客にとってみれば安ければ安いに越したことはないでしょう。 ただし、数十万円の買い物をするのに安さ「だけ」で決めるのはリスクが大きい。語学学校1年ともなると、どうかすれば車一台買うくらいの値段になります。車を値段だけで買う馬鹿はいないのと同じく、自分のニーズに合わない学校であれば殆ど無駄になりかねない。幅広く紹介してくれ、丁寧にカウンセリングしてくれるところの方が結局はいいでしょう。 また、お金を預かったけど学校に払ってないので入学出来ないというシャレにならないような事態もマジに起こるようですね。この学校にしてもあまりヒドイときには取引停止をしてると言ってましたから。またビジネス系ではいわゆるビザ取り系の学校など、移民局にマークされてるところは抜打ち検査もありますし、実際に夜中に踏み込まれてそのまま強制送還という実例も聞いたことあります(日本人じゃないけど)。強制送還されたら二度とオーストラリアに入国できませんし。どこにでもある競争社会には付き物のダークサイドですね。 よく学生のプロみたいに何年も学生ビザを更新して居続ける人の中には、異様にこのへんのカラクリに精通して得々と教えている人がいたりするそうですが、長い目で見てホンマにそれで得してるのかどうか、僕は疑問です(居たいんだったら、とっとと永住権なり労働ビザなり次のステップに進めばいいんだし、時間と金使って勉強するならミになることやってた方が先々のためにも得だろうに。。。ってそれが出来れば苦労しないという、それぞれの事情があるのでしょうが)。 学校、エージェント、生徒、それぞれに思惑はありニーズもあるのでしょう。そのあたりをよく考えて賢い消費者になってくださいませ。 シティの中のオフィスビルのフロアにあるという立地とあいまって、海が近いとか豊かな自然とかいう側面はありません。また大学進学コースやケンブリッジ検定などが非常に充実してるというわけでもないし、アクティビテイが目白押しって感じでもないです。良くも悪くもシティのクールさ、フラットさをもっていて、語学学校の持つある種独特の「濃い」カルチャーからは自由だと言えると思います。それはビジネスカレッジの併設、さらには国籍の多様性ともあいまって、実際のシドニーの空気と学校内部の空気の濃度差が少ないように思います。言葉を代えていえば、あまり「浮世離れしてない」学校とも言えるでしょう。あなたがこの先、シドニーのどこかの会社に通勤するようになっても、あまり大きな変化を感じないであろうような。 オーストラリアの自然と遊びたい人や、不安なので沢山ケアをして欲しい人よりも、将来の現地での就職やビジネス学校進学なども漠然と意識しつつ、実際のシティの空気のなかで淡々と勉強をしたいというインディペンデントな人の方が向いているんじゃないかと思います。 99年08月04日 田村記 |