シェア探し入門(付録)


シェア探し入門(付録)





付録:実録シェア探しサポート   理論から実践へ、そして栄光へ



 今回はちょっと目先を変えて、僕が一括パックなどで皆さんのシェア探しをどのようにサポートしているかを書きます。これまで長々とシェア探しのノウハウを書いてきたのですが、実のところこれを読んだだけでマスターするのは難しいと思っています。理論を実践に移すためには、まだまだ多くのステップがあります。設計図があるからといって、それで現実に製造できるかどうかは別問題です。

 今回はそのあたりを書きます。一種の企業秘密みたいなものですが(^_^)、「サポートというのはこうやってやる」という一端を知っていただければ、独力でトライするときにも参考になるでしょうし、また後日自分が他人の助力をするときの参考にもなるでしょう。僕のレクチャーを受けた方は、「そうそう、そうだった、懐かしいな」とニヤニヤ読んでてください。

まずは発音矯正と英語の泥縄錬成


 これはビシバシやります。電話で通じなかったら一歩も先に進めませんから、想定問答集をテキストにして、最低1時間、人によっては2時間くらいミッチリやります。

 最初は発声練習で、僕が聞いてOKが出せるところまでやってもらいます。次に「英語を喋るコツ」を伝授します。多くの人は、「英語の朗読」でしかなくコミュニケーションになってないので、「言魂が乗ってくるまで」です。

 これらはド基礎ですが、単なるお題目や練習のための練習ではありません。1秒後には本当にオージーに電話するわけです。そして、通じる/通じないという結果が残酷なほど露骨に出ます。「とにかく現場で通用する」という基準。それ以外に基準はありません。最初の一文にOKが出るまで、早い人は数分ですが、30分以上みっちり時間をかける場合もあります。だって、通じなかったらほんとに意味がないんだもん。それにしょっぱなから余りにも通じない電話の連続だったら、すごいトラウマになって、人によっては一生英語が恐くなりかねない。

 次に、最初の一文がOKレベルで言えるようになったら、実戦のやりとり練習です。まずは、「それでも聞き取って貰えなかった場合にはどうするか」という練習。「何言ってんのかわかんねーよ!」「ちゃんと喋れよ!」と相手から叩きつけるように言われてもメゲないだけの「打たれ強さ」の錬成(←これメチャ大事。そしてコツさえつかめば意外と簡単)、そして同じフレーズを3度続けて通じなかった場合のテクニックなどを伝授します。

 既に決まってしまっているという "It's gone" パターンの習得。これも千変万化しますから、いろいろな「断われパターン」に慣れてもらいます。また、なんで "It has gone"という表現になるのか(どうしてここで現在完了がでてくるのか?)という英語のド基礎文法も併せて。

 それと、「いやあ、決まってるっちゃ決まってるんだけど、決まってないっちゃ決まってないんだよね〜」「明日の11時まで来てくれたらまだ君にもチャンスはあるだけどね」とか、ややこしいことを言われた場合の対処法。

 「まだ空いてるよ」と言われたときの話題の持って行き方。これは「時間の設定」と「住所の聞き取り」という二つのタスクに要約されますが、まずは時間の設定。時間の英語表現が意外と皆さん知らないので、その基礎から。例えば、"ten to five"=4時50分とピンとくるようになるまで練習。その他、「早(遅)すぎる」、「もっと早く(遅く)」など基本的な言い方のオサライから応用。「うーん、夕方5時はちょっと早すぎるので、、もう少し遅い時間になりませんか?」という言い方。さらに「午後の早いあたりで」「午後だったらいつでもいいです」「夜の7時以降でしたら」「1時から3時の間で」などのフレキシブルな表現方法。

 これは理屈で覚えてもダメで、何度も僕と会話練習をやって身体に身につけること。相手がどう言ってくるのかわからないので、言われたことに瞬時に対応できるように、僕も敢えて散らしたり、揺らしたりして応答します。「3時になったら子供を迎えに行かなきゃいけないので、2時30分前か、3時30分以降だったらいいよ」とかね。英語でポンと言われて即座にピンとくるまで、とにかく慣れる、何度もやって慣れるしかない。

 明日(今日)のアポという至近アポが取れない場合の考え方。
 「じゃあ次の日はどうですか?」とかいっていくのだが、決戦の土曜日、練習の木・金曜日という目的別に、時間だけ聞いて敢えてアポを取らないというワザも大事です。妙に先すぎるアポを取ってしまって、それでスケジュールが拘束されるのもイヤだし、でもどうしても見たいという優良物件だったらここで固めてしまいたいし。そのあたりの見極めは、後で述べる物件の優先順位とリンクします。

 次に住所の聞き取りです。
 Unit (room) Number→Building (Street) Number→Street Name→Suburb という住所構造の徹底理解。
 数字を聞き取るときの注意点、聞き返し方、確認の仕方。ストリートの名前のスペルの聞き取り方、確認の仕方。
 あとは僕が読み上げ、書き取るということの反復練習。最初はシンプルなやつから、ルームナンバーがあるもの、無いもの、あるけど(面倒臭いから)言わないもの。13と30など聞き間違えやすいもの。オーストラリア訛りへの慣れ(8がアイトになるなど)。そしてストリートネームの聞き取りで、簡単なものから難しいもの、間違いやすいもの(同じ文字が続く”だぶるえる=LL”など)。A for Australiaの確認方法のマスター。
 さらには、ゴチャゴチャになってきたときに整理の仕方、確認の仕方。
 あとは、「SMSで送ってあげるよ」と言われるときの英語表現のパターン。

 英語想定問答の最後には、留守番電話の録音の仕方。
 そして、自分のことを簡潔に英語で説明する練習。最低限、自分の携帯番号は暗記してスラスラ出てくるように。また、自分の名前を英語圏の人に分かるように発音するコツ、また自分の名前のスペルをすぐに言えるようにすること。
 ワーホリや学生であること、こちらに来てどのくらい経つか、今後どうするつもりか、どのくらい住むつもりか、今何をやってるのか、働いていて収入はあるのか、日本でやっていた職業はなんなのか。いずれも前のページで解説してますが、ポンと聞かれたらスラスラでてくるように。

電話をかけるべき物件のピックアップ

 電話問答の練習が一通り済んだら間髪入れず実戦です。この時点で完璧にできるべくもなく、仮免の路上練習のように、あとは実戦で覚えていくしかないです。

 そのためには電話をかけるべきシェア先というのをネットなどでピックアップしておかねばなりません。
 最初の1−2日については、このピックアップ作業は僕がやります。土地勘もシェア広告英語に慣れてもいない段階で探していたら、時間が幾らあっても足りないので。

 小1時間くらいかけて、Domain、 Gum Tree、補助的にRealeastate Comを検索しまくり、めぼしいものを20-30件ピックアップし、だーっとプリントアウトします。なお日本語サイトは補助的にも使いません。別に意地になって使わないわけではなく、単純に当たり率が低いのと、ババ抜き広告(イヤなシェア先から出ようとしても、後釜を見つけてこいと言われて出している場合)など微妙なものが混じってるからです。

 一応「週200ドル以下」「ルームシェアではない個室」「マイ・マルチ1で行ける範囲(利便が良ければマイ・マルチ2でも可)」という厳しい条件で検索しますのでヒットするのは10件に1件あるかどうかであり、検索で絞りをかけつつ1時間に200〜300件を流し読みしていく技術が要ります。特にガムトリーは玉石混淆の最たるものですので、何度も同じ広告が出てきたり、どっかのアホがパースの物件を投稿してたりして消耗します。やっとヒットしたと思ったら、今度は年齢制限(25歳以上に限るとか)、性別(female preferred)とかでまたバサバサ切っていきます。入居予定日が来月とか先過ぎるのもダメ。但し2−3週先くらいだったら入れます。良いシェアほど青田買いをするべきですし、その間にすっぽりハマる「2週間だけシェア」なんてのもあるからです。

 20-30枚印刷した物件を、今度は大雑把に東西南北に分類し、さらに移動しやすさという観点から交通機関のルートに合わせて細かくグルーピングしていきます。こうして出来た10グループ前後の物件の山の睨みつつ、もっともクラスター(集団化)しているところを見つけます。どうせ○○というエリアに行くなら、ついでに2件でも3件でも見て回りたいからです。

 同時にシェアの特徴を考えます。何年もこのサポートをやってると、「あ、ここ知ってる」「あ、○○さんの行ったところだ」という顔なじみ物件が出てきます。数えたことはないけど数十件はそういう物件があります。こういうのは内容を知ってるだけに楽です。あとは、広告の文案などを読みながら、「ああ、これは英語出来ない人にはキツそうだな」とか「ああ、ここは韓国系のシェアだな」とか推測します。推測が正しいという保証はないけど、文面などを見てると、「英語の出来ない学生なんかお呼びじゃないよ」という臭気が漂ってたりして、こういうのをあてるとトラウマになりかねないので保留(×にしないのは本当にそうかは確言できないから)。最初から、"Sorry, no travelers, no students"と書いてくれてあったらいいんだけど、そうは書いてない、でもイヤそうってやつ。こういうのは△マーク。

 日中韓国系のシェア広告は、まず広告文の英語がこなれてないという点、そして、「〜」という漢字やハングルなどPC2バイト民族独特の記号が出てくることで結構わかります。"Call me now〜!"みたいなやつ。あと、オーナーがミュージシャンであったり、ジャーナリストだったり、家の雰囲気にテイストがあったり、「おお、これいいじゃん」というやつもあるし、多分安かろう悪かろうだろうなあってやつもあります。一通り読んで当たりをつけておきます。あと、最初から住所がちゃんと書かれているイージー(難関の住所聞き取りをしないで済む)なものもあるし、電話はダメでメールのみというのもあります。


いよいよ初電話

 さて、その上で、「じゃあ、これから電話してみようかあ!」と差し出すわけですが、その人の英語力や、性格(打たれ強いかどうかとか)などを考えて、一番アポが取れやすそうなものから順次やっていきます。数人一緒にやるときは、人によって「あなたはコレね」と割り振ります。この見極めが一番の企業秘密というか、別に秘密じゃないんだけど、説明もできない。ここはもう年季とカンとしか言いようがないです。でも、とにかく一件でもアポが取れるとものすごく自信がつくし、考え方が全然違ってきますからね。といっても、勇気を奮い起こして電話しても、出ない→留守電 or 留守電にすらならない、とか空振りが続くことも珍しくないです。だから、その都度「じゃ、これ」と次から次へと出していきます。

 このとき大事なのは、一旦やりかけた以上は、もう何が何でもアポを取るまで止めない。仮に手持ちの30枚全部電話してもダメだったら、また最初からもどって、つながらなかったところや、留守電を入れたところにまた電話し、それでもダメなら三巡目に入る。それでもダメなら、またネットで検索し、多少掲載が古い(といっても3−4日前くらいだけど)、あるいは条件を多少広げて再検索をかけて増やしていく。大体「10件見終わるまで決めるな」というポリシーでやってるので、最初の10件なんか練習台、捨て玉でいいから、多少予算がオーバーしようが、遠距離すぎようが、それでもいい。この段階で大事なのは、「アポを取って自信をつける」ことなのだから。

 でも、まあ、大体10件内外やってればどっかで取れます。それにタイムリミットの夜9時を廻ってしまったらタイムオーバーだから、「何がなんでも」といのは気構えとしてそうだということで、結局アポまで至らなくても、善戦したということだけで大きな収穫だし、またとにかく初めて現場で何本もまとめて電話したという経験は計り知れないです。トラウマに至ってなかったら、それでOK。もし万が一、ガチャ切りが続いてトラウマが芽生えていたら、これは9時を廻っても勝つまでやります。トラウマって一晩寝ている間に増幅するから、寝る前にキッチリ勝ち切って、トラウマのネタをブッ潰しておく。

 最初は超緊張しているし、慣れてもいないので、相手が何を言ってるか全く分からないというのも珍しくないので、受話器から断続的に漏れてくる声から推測したり、あるいは携帯電話をスピーカー機能にしたりして、僕が簡単に訳したり、タイムリーな英文の助け船を出します。どうにもこうにもならなくなったら、僕が代わって喋ります。自転車の練習と同じで、最初はうしろでしっかりと押さえておき、徐々に離していきます。

 不思議なもので、何件も繰り返し繰り返しやってるとリズムもでてくるし、慣れてもきます。そして、落ち着いてくるから、最初全然聞き取れなかった英語も、断片的に分かるようになる。また、10件電話して全員イヤなヤツってことは確率的にまず無いので(全員いい人というのはある)、アポには至らなくても、陽気なオジサンに当って楽しくお話しできるってこともあるし、それがとても大事です。

 やってるうちにめでたく初アポゲット!これはうれしいですよ。「やった!」って思うはずです。

初アポの後の畳みかけ


 初アポのガッツポーズのあとは、速度を落とさず一気に駆け抜ける。疾走しながら、そのまま第二第三の矢を放つ。攻勢の糸口をつかんだら、一気に畳みかけて大量得点を狙う。初日でも最低3件、うまくすれば6−7件のアポは欲しい。短期の間にどれだけ集中して経験を積めるかが技術習得のキモですから。

 一件目のアポが取れた後の二件目、三件目となるにしたがって、英語には慣れるけど、逆にアポ成約の難易度も上がってきます。なぜなら、既に一つのアポがあるので、時間的場所的制約が出てくるからです。最初のクラスター(集団)のうちの一つにアポが取れたら、同じエリアのものを集中的に電話する。もちろん30分とか1時間くらいズラしてほぼ同じような時間帯にアポを取る。それが尽きたら(すぐ尽きるが)、今度は同じ沿線上、あるいは同じバス系統上のアポを目指す。移動が迅速にできるからです。

 こうやって次から次へと電話していくわけですが、僕としてはここが一番頭を使います。もうパズルのようなもので、「1時にキャムシー、4時にニュータウンだから、このダルィッチヒルの物件だったら2時から3時の間、あるいはニュータウンが終ってからの5時以降」とか細かに時刻指定をしていきます。相手も都合があるし、こちらの都合よく物事が進んだりしないから、思いっきりバッティングしちゃったりもします。また、3日以内に東西南北全てのサバーブに精通するのを目指しているから、同エリアに効率的にアポが集中しないなら、どんどん逆サイドに振っていきます。1時マリックビルだったら4時にマルーブラ、そしてそのままAnzacを上がっていって、キングスフォード、ケンジントンと絨毯爆撃していって、夕方にはシティ周辺を軽く潰して、夜にはニュートラルベイとかチャッツウッドなどの北を攻める、、みたいな感じです。

 ただ、その時間的距離的要素と、先に述べた物件それ自体の軽重もあるので、そのあたりの優先順位の付け方が難しいところです。
 なんだかんだやってるうちにタイムアップになるので、とりあえずはそこで第一セッションは終了。

 手にしたばかりの携帯電話に使い方に慣れるとともに、SMSでメッセージを送ってくれた場合への返信入力方法を学ぶ。特に、T9モードと呼ばれる辞書変換機能や、自分の名前の単語登録などについてはこの際マスターしておく。

事務処理


 次に、アポ取ったら取りっぱなしではダメなので、ちゃんと明日のアポをリストにして清書する。
 と同時に、印刷した広告文をなくさないようにその後ろにファイルで挟んでおく。

 そして、次に場所の確認です。聞き取った住所をもとに、Street Directoryという大きな地図帳で調べ(Google Mapでも可)、番号も確認し、可能な限り正確な位置を把握する。そして、ポストイットに時間と住所を書き込み、大きなペラ一の地図に貼り付けていき、一目瞭然にしておく。これで明日のルートが目に見えるようになる。

 電話をかけたけどアポが取れなかった物件は、既にGoneのやつは紛らわしいから即廃棄、留守電を入れた物件をまとめてクリップで留めておき、相手の電話番号の下三ケタを大書しておく。また、都合のいいアポ時間も書いておく。なぜなら、今後いつなんどき相手から折り返し電話がかかってくるかも知れず、そのときアタフタしないため、相手の電話番号をみて(下3ケタが有効、頭からみてると最初は携帯局番の04〜だから咄嗟に判別しにくい)すぐに探し出せるようにしておくと同時に、「○時はどうですか?」と即座に対応できるため。また、留守電にはいれてないけど、電話をかけた物件も、相手の携帯には着信履歴が残るのでかかってくる可能性があるので、同様に処理。

 これで24時間いつ英語で話しかけられるかわからないという状況になり、Welcome to Real English World です。これが現地における普通の状態。英語というのは、静かに気持ちを整えて、「さて」とオモムロにやるものではない。寝てるところをいきなり英語で叩き起こされたりするのが本物の現場なので、早くそれに慣れる。昔のサムライといっしょで、常在戦場。慣れたらどってことない。

 また、翌日シェア廻りをしている最中に翌々日のアポを同時に取っていくことから、掛け残した広告などを地域別に分かりやすくファイリングする。これら一件記録は、有能な秘書や営業マンがそうするように、3秒でReady状態になるように整理する。

 空いている時間に、シェアの広告英語を読み、辞書で調べたりしてその表現になれておく。あるいは地図を見て、各サバーブの位置関係を出来るだけ頭に入れておく。

初陣 初めてのおつかい


 いよいよシェア先訪問の第一日目。自分の力で公共交通機関を乗り継いで、知らないところに行くという初体験の日であり、はじめてシェアというものを見て、そこの人と話をする日でもあります。

 まず、交通機関のダンドリや、どこそこで○○番系統のバスに乗って〜という類のことは、僕の方で調べて教えます。
 前日の時点で、シドニー周辺のバス系統図や、シティにおける各方面へのバスの乗り場の概略を解説した「補助教材」を渡しておきます。また、特に紛らわしいシティを円環してくるトリッキーな420番台バスのルート、タウンホール駅のホームの下にもう一つホームがある構造、セントラル駅の長い連絡通路、ボンダイジャンクションのターミナルの階層構造など、必用に応じて図解して教えます。ある程度方向感覚のいい人だったら、口頭で済ませますが、自信なさそうな人、あるいは移動が難しいときには、アポからアポへの移動方法を細かく書いて渡します。必要があれば、バスや電車のルートマップや時刻表の該当箇所をダウンロードして印刷。大体どんな方向音痴の人でも、そこそこは見て回れます。

 シェア先での会話は、電話と違ってはるかに楽なはずだし、見れば一目瞭然にどういうシェアか分かる。いろいろなシェアがあり、いろいろな人がいるということも問答無用でよく分かる。そして広告に書かれていた英文内容の意味、例えば建物の構造(セミとかテラスハウスとか)、表現内容が一致するでしょうし、ゴチャゴチャになりそうなユニット番号とストリート番号も自分で一回訪問してみればその違いが一発で分かる。実地に勝る教育なしです。

 これで、英語で電話し→アポを取り→交通機関を使ってそこに行き→実際にシェア先の人と話をする、という一つのサイクルが完結する。ここまで出来たら一丁上がりで、昨日に比べて自信も格段に付くし、あとは単純にこの繰り返しをやっていけばよいだけ。戸惑っていた交通機関も、何度も使っているうちにすぐ慣れるし、道に迷って他の乗客や道行く人に聞くのも段々恐くなくなってきたらしめたものです。また、オーストラリア人やローカルの人達と接触する初めての日であり、集中してやることで一気に慣れてしまう。

 帰ってきたらクタクタになってる筈ですので、さっさと風呂に入って寝る。
 しかし、余力がある人の場合、今日の成果を聞き、明日のアポ状況を聞き、明日以降の予定を立てる。なお、この日一日だけでも又新しいシェア広告が出ているので、十数枚プリントアウトしておき、渡す。

 さらに本人に余力があれば、出先のネットカフェなどで自分でどんどんシェア広告を検索できるように、シェア探しサイトと検索方法やコツを教える。また、返事が返ってくる確率は低いが、広告サイト備え付けのメール送信機能を使って問い合わせるワザも習得。あらかじめ自分のプロフィールなどを英作文し、保存しておき、あとはコピペの連続で一気にめぼしいところを20通くらいメール発信して、夜の間に返事が返ってくることを祈る。
 同じようにネットでバス、電車、フェリーの系統図と時刻表をダウンロードする方法も教えます。

2日目


 2日目は朝からシェア電話の開始。
 「とにかく電話してみよう!」という突撃モード一色だった初日と違って二日目はちょっと難易度が上がります。
 まず、@既に前日にアポが取れている場合は、それらのアポの時間&場所に拘束され、空いている時間帯に上手いことはめ込んでいかねばなりません。Aそれを前提にしつつ、経験値を増やすために、未だ行ったことのない不案内なエリアを狙いたい、B大体初日は夕方から夜という勤務を終えて電話を受けやすい時間帯だが、朝から電話する場合は勤務中その他で電話がつながりにくい、C一括パックのスケジュールの場合、二日目が金曜日になり、金曜日というのは夜にはパーティとかやっててアポ時間が調整しにくいし、本番である土曜日にしてくれと言われがち、D土日を指定される場合、迂闊にしょーもない物件のアポをとって貴重な終末を拘束されたくない、などの諸条件が加味されるからです。

 当日の朝にまた検索をして新規物件を印刷。初電話(水曜夜)、木曜(初シェア訪問)と合わせ、この時点で物件広告は50件を越えたりします。そうなると資料が散逸したり、どこに電話してどこに未だ電話してないかゴチャゴチャになったりするので、今まで以上にクレバーな書類管理が必要になります。

 ここで個人差も出てきて、英語力がそこそこあり仕事が早い人の場合、既に自分でさくさくとネット検索をして、めぼしい物件をピックアップ、どんどん自分から電話をしていきますが、そこまで出来る人は少数派。また昨日のシェア探しお遍路さんで足が筋肉痛になってたりします。

 しかし二日目は結構重要です。なまじ初日にアポが良く取れ、初訪問で6−7件も廻れると、つい油断して二日目の行動が鈍ったりします。そうするとツキが逃げたりして、電話をかけてもかけてもアポが取れないというスランプになったりします。アポというのはパチンコと同じで、取れるときはやたら取れるけど、一回ツキから見放されると、嘘のように取れなくなるので、気を抜かないこと。特に上述のように金曜日の朝というのはアポが取りにくいので、2時間電話してゼロ件ということも珍しくない。しかし、ここが胸突き八丁で、この二日目でどれだけ攻勢をかけられるかで大勢が決まります。

 一方、初電話の頃に比べたら、こちらも数倍パワーアップしています。なんせ、既にアポも何件も取れ、自分の足でシェア見学まで済ませているという経験に基づく自信、また出先で僕のヘルプなく完全独力でアポが取れたりしたら自信倍増ですからね。淡々とマシンのようにかけつづける。もうこの時点になると、トータルで何件電話したかなんて到底覚えておらず、英語で電話するという恐怖心はかなり薄らいでいる筈です。「大事な週末をくだらないアポで拘束されたくない」という要求と、「何もアポが入ってない空白時間をボケッと過ごすくらいなら、しょーもない物件でも見て回った方が遙かにマシ」という要求とを突き合わせ、パンパンと優先順位を決めてアポ取りをする。

 なお、自分が定めた条件を見直すチャンスもあります。「ルームシェアはちょっと、、」という人がいても、ルームシェア自体を見たことがなく想像で言ってるだけ。ルームシェアでも酷い物件もあれば、相手の人が超いい人で、この人とだったらシェアしてもいいかもと思える物件もある。そんなものわからんのだ。また、お金をケチって安い物件ばかりあたってる人は、敢えて予算オーバーの物件を見る。そうすると「わずか週に1000円上積みするだけでこれだけ違うのか」「この物件に入れるなら、必死になってバイトするだけの価値がある」と思えるような物件にブチあたるかも知れない。なんせ、一生に一度のチャンス、しかもその大勢を決める最初の一歩を、わずか千円札数枚にこだわって台無しにする恐さ。視野の狭さが幸福を逃すという恐さを知ることも大事なレッスン。150ドル以下で探しつつ230ドルの物件に行った人もいるし、「出来れば歩けるところ」といいながら結果的に1時間50分もかかるシェア先にした人もいる。いずれも、自室の窓を開けたらバーン!と青い海が広がっていて、毎日優雅にフェリー通学というパターンで、「ここに暮らせるなら、多少のことは目をつむってもよい」と得心できたからです。要は本人の納得であり、最初からストライクゾーンを狭めるのは愚かなことです。

 午前中10時〜11時くらいまでに切り上げ、出撃。アポ電も大事だけど、実際にストリートに出て交通機関に慣れ、土地勘を養うことはもっと大事なので、電話も適当に切り上げて、あとは路上に出るべし。もしアポが取れず、1時と7時のアポしかなく、真ん中の6時間がガラガラだったとしても、取りあえず出て、その余った時間で出先で電話する。それでもラチが開かなかったら、アポが無くてもいいからこれまで行ったことがないエリアに積極的にバス、電車、フェリーを利用して行ってみる。「一度そこまで行った」というのは計り知れない経験値になるので、明日以降につながる。

 前日の夜にコテンと寝てしまった場合、ネットでの検索方法、ネットメール地引き網方法、シティのバス乗り場の解説など補助的な技術をお教えします。これで教えるべき基礎技術はほぼ伝授しおわり、あとは本人の実戦経験をいかに増やしていくかがポイントになります。最初の頃の手取り足取りから、徐々に僕は手を引いていきます。あれこれやりすぎず、気がついたら全部自分で出来ていたってところまで持って行くのがポイントなのだが、この見極めが難しい。ほっておいてもガンガン電話する人もいれば、ほっておいたらガクンと進度が落ちる人もいる。

 また、アポ取りに夢中になって最初のアポ地まで行く時間的余裕がない!ということも良くあるので最寄り駅までクルマで送っていったり、どうかしたらアポ先までぶっ飛ばしたりします。さらに、夢中になって健康管理がおろそかになる=特に食事をいい加減にしがちなので、オニギリとかお弁当を持たせてあげる場合もよくあります。オヤツのチョコとか(^_^)。脱水回避のために小型のペットボトルの水をもたせたり、お母さん的なケアも必要とされる。

 ともあれ二日目もみっちりシドニー中の街路を駆けめぐり、夜までしっかり見て回れば、この時点で多い人だったら十数件、少ない人でも5−6件は実際にシェア見学を済ませている筈。あとは本チャンの土日で軽く見学数10件を越えます。10件みたら10パターンあることも分かるし、良いシェア、好きなシェアという自分なりの基準も段々分かってくるはず。また、サバーブによっておっそろしくテイストが違うということも分かるし、地図上距離があるように見えて実際に行ってみたら大したことがないということも分かるはず。大分現地に慣れつつあります。

3日目 決戦の土曜日

 既に木金とみっちり見て回っていれば、この時点で8割方強くなっています。
 だがしかし、これでやっと前半戦終了であり、本番はこれからです。木金は練習のためのアポ&見学でしたが、週末はいよいよ本番、ここで「勝ちにいくためのアポ」にします。数をこなして経験を積むのはもう良いので、「むむ?」というアポは大胆に割愛し、ここぞというアポにこだわる。場合によっては、既に取ってあるアポをキャンセルしたり、もう一度電話して時間をズラして貰うという「アポ変更」というワザも覚える。変更ワザを覚えると、大分スケジュール管理が楽になるので、"Can I make it"構文を自分のものとしてマスターすべし。

 土曜日は皆も家にいるケースが多く、また、土曜日はシェアに限らず、売買、賃貸物件のインスペクション本番ですので、アポも取りやすい。これまでの経験をもとに最大限の攻勢を掛けるべき日。歴代最高は、土曜日一日で15件見て回った人もいるし、12-3件台も昔はゴロゴロいた。最近は日本人の経済力がむしろ低下し、逆にシドニーの不動産があがっているというダブルパンチで物件絶対数が少なく(大多数が週200ドル以上で予算オーバー)、中々10件を越えないが、それでも7-8件は余裕で見れる。なお、昔は経済的には楽だったが、ギア的には大変。なんせ携帯電話ナシ(まだ高かった)、インターネットなし(あったけど実用性に乏しい)ので、マーカーで塗った新聞広告を握りしめ、公衆電話で電話をするというハードな条件。

 なお、2LDKを普通に賃貸で借りたら、立地にもよるが週500ドルはザラ、利便性が良くてキレイだったら700ドル、800ドルはすぐにいくのが相場であり、この一室をシェアに出して、単純に二分の一にしてもシェア代は週250〜400ドルになる。400ドルを超えるシェアも普通にある。したがって学生さんのルームシェア率はうなぎ上りなのだが、そこを頑張って200ドル以下+個室というハードな条件で探すと、しかし、意外とあったりします。「無い」という人は探し方が足りない。最低数百件単位で広告を読むべし。逆にこういうご時世で廉価なシェアを出しているというのは、それだけいい人率が高かったりするし、ハズレ物件も当然あるが、当たり物件も多い。人情味があって、家族同様に優しくしてくれ、晩ご飯をいつも無料で食べさせてくれるとか、いよいよ出るときには切なくて涙が止らなくなったりという。シェア探しとはすなわち出会いであり、人探しであるという金鉱に当る。また、幸福は足で稼ぐということも実感できる。つまりは成功のための秘訣を身につけることが出来る。

 さて、3日目以降になると、難易度の質が変ります。2日目まではガンガン電話を掛け、セッセと歩き回るというパワー勝負であり、ヒラの営業社員のレベルで良かった。ところが3日目以降は、部課長級の管理職レベルのスキルが要求されます。すなわち、「決める」という高度な技術が要る。10件以上見て回れば、「いいな」と思えるシェアが必ず一つ以上出てくる。優先順位もつくでしょう。土曜日の結果次第で、そこにすべきか、あるいは第二志望も捨てがたいか、それとも引き続き探すか。複数の選択肢があるなかで一つを「決める」というのは、「他の全てを捨てる」ということでもあり、なかなか切ない判断になる。しかし、グズグズしてると他人に取られてしまう。まさに時間との闘いである。特に1日目に素敵なトコロが出てきてしまい、相手から「決まったか?どうする?」と矢の催促を受けてるときは、心理的にも追い詰められる。「もう、そこにしちゃおうかな、、」「でも、こんな決め方でいいのか?」という激しく逡巡する。力任せにガンガンやってさえすれば良かった平社員時代が懐かしくなります。「いいよな、悩みが無くて」と思えるようになる。

 僕のサポートの内容も自ずと変質し、いよいよ「決め」に入る段階になるので、注意点やアドバイスもケースバイケースで変わります。この手のシェアはこういう点に気をつけろとかいう一般的な注意点(あまりにも多いので書ききれません)、また話を聞き、シェア広告を読んでみて、「ははあ、ここは多分、、」というシェアのタイプも分かる。シェアといってもそのバリエーションは無数にあり、注意点もそれに応じて変化します。したがって、いよいよ決めるときにはコレとコレを聞いておけというアドバイスや、聞くべき英文が上手く出てこない場合(これはシャレにならないので)、英作文をして紙に書いて、「この通りに聞いてみて」と渡したりします。

 土曜日は、営業決戦というパワー主体の行動と、決めにかかるという頭脳系とがミックスしており、そのバランスが難しい。決めにかかると、どうしても見て回るのがおろそかになり、気魄に欠ける。「もう、あそこでいいか」という気分でやってると、時間設定の交渉も「そこを何とか」という粘りもなくなり、アポも取りにくくなる。しかし、「あそこでいいか」と言っても確定的に決まっているのではなく、一日を終えて「やっぱあそこにしよう」と思って電話をかけたときには既に流れてしまっているという悲しいケースもある。これは「決まってもいないことをアテにした」という愚かさのツケです。じゃあ、流れるのが恐いからといって、そうそうにそこに決めてしまった場合、あとになって「やっぱりもっとちゃんと探しておけば」という後悔が出てくる恐れもある。

 よって、一方で着陸態勢に入りつつ、他方でさらに巡航高度を保つという相矛盾した活動が求められます。これはシェアの進度状況により、物件個別の性格により、はたまた本人の気分と性格により変わってきますので、アドバイスする側も微妙なところです。5:5のガチでバランスを取るのか、7:3くらいの感じでいくのか、そのあたりですね。また、それによって土曜日の夕方以降の行動も変わります。夕方までに新規開拓を終え、そしてこれまでのベストと思える物件に電話をかけ再訪問、決定というダンドリにするのか、それとも夜までシェア探しを続行するのか。

 なお、土曜日に手を抜くと日曜日にしっぺ返しが来ます。
 シェア見学のメインデーは土曜日なので、日曜になると既に多くの物件が決まってしまってたり、アポそのものが取れなくなったりします。ですので、「どうしようかな」と迷っていても、迷っているだけの段階だったら鬼のようにアポ取りをすべし。


4日目 日曜日

 もう日曜日になると、かなり僕の手から離れます。勝手に自分で物件を探して、勝手に電話して、勝手にアポを取って、勝手に出かけるくらいでOK。もちろん、僕も並行して探すし、珍しくて知られていないサバーブだけど意外とオススメというのがあるので、そういうのを拾い上げてプリントアウトして渡します。

 本当は、日曜日まで出歩くといいんですよね。4日目になるとかなり慣れますから、もう仕事のようにタメライなく電話できるようになるし、土地勘も大分出来てきてるから、「キングスフォードの大きなラウンドアバウト?ああ、はいはい、わかります、知ってます。そこをクージーの方に行く道に抜けて一つめの信号を左、、ですね、了解っす!」みたいな感じでアポ取りも出来るし、バスに乗るときも、運ちゃんに「これ、ランドウィック行きます?」とか気楽に聞けるようになってます。かなり強くなってますよね。


最終局面 決断〜入居


 さて、決断ですが、前述のようにココが正念場です。突出して素晴らしいのが一件だけあるなら悩みも少ないが、素敵なシェアが2−3件、どんぐりの背比べ状態である場合には、かなり悩みます。ウンウン悩んでようやく決断!で、一件落着かというと、ここからが最終局面に入ります。

 意を決して第一志望に電話をします。これで決まればOKなのだけど、こういうときに限って相手が出ない。虚しく呼び出し音が続く。13回、14回、、でも出ない。又かけ直すけど出ない。留守番電話になって吹き込もうと思ったけど、はたと思い直して止める。もうこうなったら第二志望に移るべきではないか。ここで妙に第一志望の留守電に「行きます」とか吹き込んでしまったら、第二志望にも同じ事は言えない。しかし第一志望の人が折り返し電話してくれる保証もないし、既に決まってる可能性もある。どうする?とりあえず第二志望に電話をしてみるが、これが又出ない!Oh My God!状態で何度も電話しても出ない。もうこの時点になってたら「英語で電話するのが恐い」もヘチマもないです。携帯を握りしめ、「頼む、出てくれい!」って気分になります。でも出ない。

 そこでしょうがなく第三志望に電話します。今度は通じたと思いきや、やたら向こうが騒々しい。どうもパブかどっかで仲間内でパーティーやってるようだ。面倒臭げの声が聞こえ、何やら早口の英語でペララララ!とまくしたてられ、OK?と言われる。”OK?”だけ聞き取れるけど、何がOKなんだか分からない。もごもごやってると、またドドドと喋られ、今度はマンデーという単語だけ聞き取れる。「月曜日にまた電話しろということか?」、何がなんだか分からないうちに電話を切られる。

 てなことにならないとも限りません。というか実際にこういうことはあります。それどころか全て決まって、浮き浮き気分で僕と一緒にスーツケースをゴロゴロ運んで家の前でピンポーンと押したら、「あれ?誰、君?」と言われちゃったり、「え?なにしにきたの?」と不審そうに言われたりすることもあります。2回ほどありますね。さて、こういう局面でどうするか?という実戦課題がでてきて、最終局面の難しさが浮き彫りになります。

 最終局面の難しさは、詰めの難しさです。よく新入社員が先輩から「お前は、詰めが甘いんだよ!」と怒鳴られてますが(僕もよく怒られた)、勝負は下駄を履くまで分からない。何が起こるか分からない。全てに備えて万全な手を打っておくのが仕事の出来るヤツです。諺でも「キュージン(九仞)の功をイッキ(一簣)にカク(虧く)」という難しい言葉がありますよね。「土を運んで山を9つ積み上げたとしても、最後の1モッコを失敗して全部パーになったりするよ」ということです。哀しいですよね。「百里の道を行くとき九十九里をもって半ばとせよ」(99%完了したときに初めて50%終了と思え、あとの1%に50%分の労力を注げ)とか。昔からそういう言い伝えがあるということは、人類は皆、こういうことで悲しい思いをしてきているということです。You are not alone、皆同じさ。

 シェア探しに即していえば、「鍵をゲットするまで絶対安心するな!」です。幾ら話がついても、いくらデポジット(手付け)を打っていても、実際に鍵を貰うまでは安心してはダメです。何があるか分からない。もしかしたら、オーナーの気が変わるかもしれないし、もしかしたら英語が出来なくてぜーんぜん勘違いしてるかもしれないし、もしかしたら入居する前に火事で家が燃えちゃうかもしれないのだ。実際、オーナー夫妻の奥さんが急病で救急車で運ばれ、旦那に電話してもオロオロしているだけで、とてもじゃないけどシェアの話なんか切り出せる雰囲気ではなかったということも実例であります。これはシュミレーションでもないし、試験でもない。本物の現実世界ですから、何があるかは分からない。このあたりの認識は、年が若い人ほど甘いので、この際徹底的にシビアになること。希望的観測で物事を考えるのを一切止めること。冷徹クールなビジネスマンになること。そうすれば、まさかという事態が起きて部下達が発狂同然に取り乱していても、唇の片端を軽く歪ませ、「ふっ、やはりな」と呟いて、冷静な処理を次々に打てることになる。カッコいいよね。

 対策としては最後のキメ、最後の商談は、もう一回現場に足を運んで、対面して言った方がいい。なぜなら英語電話は難しいし、微妙なニュアンスを間違える可能性がある。「住みたいんですけど」「そうか、わかった」という会話があったとしても、その「わかった(OK)」が何を意味するのか定かではないのですよ。「キミが住みたいという意向は了解した」という程度の意味かも知れないのです。それをシドロモドロの電話英会話で聞き分けろというのは場合によっては難しい。でも英語電話に苦手意識があるうちには、及び腰で電話してるから、無意識的に早く電話を切ろうとする、そこであと一歩の確認を怠る。そしてドボン!です。まさに詰めが甘い。だったら直接会って話してしまった方が確実だし、早いです。

 あと、宙ぶらりんになって最終確定に至ってない間は、1ミリも攻勢の手を緩めずどんどん新規アポを取り続ける。幾らアポを取っても、いざ決まってムダになったら、あとで同報SMSでキャセル入れたら済むだけのことです。そして、第一〜第三志望が曖昧だったようなケースでも、淡々と探し続ければ、それまでの物件なんか問題にならないくらいスーパーミラクルな物件が出てきます。これまでも最高で38件見た人がいましたが、粘り勝ちですよね。20件台はザラ。一日最高15件見た人も、その15件全部ボツにしました。10件を越え、15件を越えるうちに、段々自分はどういうシェアを探しているか、どういうトコロが気持ちいいのかが分かってきます。見方もツボを得て、メリハリのきいたシェア探しが出来るようになる。そして、見学においても突っ込んだところまで話ができるようになる。日ごと一日格段に実力が向上するから、成功率が日増しに高まる。

 これまでの経験で大雑把に言えば、難産した人はだいたいいいシェアに行ってます。そしてその後もいいオーストラリアライフを送ってたりします。ラウンドで過去最高2万7000ドル(カップルで合算して4万ドル)稼いだ人も、2週間まるまる探してましたね〜。シェアは見つければいいってもんじゃないです。その後もあるのだし、逆に入ったは良いけど1日で出て、ウチに戻ってきた人も何人かいます。実際に夜そこに寝てみないと本当の居心地は分からないので。

合格水準

 さて、長々書いてきましたが、僕が「シェア探し教程修了!合格!」って太鼓判を押すのは、

 @、最低で10件は見ること。そこまで出来たらとりあえず合格。但し件数は目安であって実質的にA以降の条件がクリアされていたら合格。
 とりあえず10件色々なエリア(最低でも8つ以上のサバーブ)を行けば、シドニーの交通機関や土地勘は大体のところ制覇でしょう。電話もそれほど恐くなくなっているはずです。

 A、「十分探しきった」と心から思えること。ここで不完全燃焼感が残ると、シェアに入った後「ああ、やっぱりもっと慎重に決めれば良かった」という後顧の憂いを残す。客観的には別に問題なかったとしても、一点でも心に引け目があると、あとでジクジクと膿んでくることがある。ここで「いや、もう十分探しましたよ。ココ以上の物件なんかそうそうないですよ」と思えたら、多少のギクシャクがあっても納得できるし、不満にも思わない。

 B、「ラッキーでは決めなかった」と思えること。10件以内にいい物件が出てきたときは、「ラッキー」と思ったりします。また、人との出会いは運不運ですからまさにラッキーなのはそのとおりなのですが、あまりにもラッキーだとばかり思うと、そのラッキーにしがみつくようになる。つまり「たまたま」良いところが見つかっただけで、本当に実力で見つけたわけではないという心の弱味になる。そうではなく「ココは確かに最高なシェアだけど、でも、このくらいの物件だったら又探せば絶対出てくる」「もう一回同レベルのシェアを探せと言われたら、俺は楽勝で出来る」「別にラッキーで見つけたわけではない」と思えることです。この意識がとても大事です。

 なぜかというと、入った後に「イヤだったらいつでも出ればいいや」と気楽に思える。気楽に思えるからこそ逆に我慢も出来るし、あんまり不快にも思わない。ところがラッキーで見つけたと思ってると、ここを離れたら二度とない、もう一度自分で探せる自信がないから行動も精神も萎縮する。抑圧されているから、どんなことでも不満になってストレスが高まる、でも恐いから我慢するしかないというイケてないライフスタイルになります。これ、就職と一緒ですね。「俺は絶対再就職できる!」と確信できるだけの修羅場を越えてきたら、あとは楽です。でも、ラッキーで入社したらしがみつくだけの人生になりますからね。ラッキーは大事なことだけど、でもラッキーにだけ頼る人間はオートマティックに地獄に堕ちます。なぜそこまで断言するかといえば、原理的に勝てる要素がないからです(永遠にラッキーが続くことは絶対にない)。

 C、逆に、決めるにしてもどっかで「逃げ」「守り」の要素が入ってる場合は問題です。もう疲れた、しんどい、「もう、ここでいいじゃん」「早く楽になりたい」という意識で決めているうちは、僕がチェック入れます。最終的に決めるのは本人だけど、でも、そういう意識がどっかで入ってると、これこれこういう展開になって、こういう不幸になるかも知れないよというのは教えます。でも、そういう弱音を吐きたくなる時期というのは必ず一度はきます。そこを乗り越えたとき、一皮剥けるのですね。もう格段に「大人」になるよね。弱音を吐いてたって、イヤイヤ続きをやってアポをとって見に行ったら、そこがすごく良いところだったりして、もうその時点で弱音を感じたことすら忘れてます。そんなもんです。それにもう一日見て回れば、またグンと自信と実力がつくから、仮に最終結論が同じだとしても、「いや、俺は逃げで決めてるわけではない、断言できます!」と言えるようになる。それが大事。

 D、出来れば「ドラマ」の一つや二つ、欲しいです。5つアポをとったけど、そのうち4件にすっぽかされたとか、ヒドイ目に遭うことです。シクシク涙目になって帰りの電車に乗ってると、親切そうな老夫婦が「どうしたの」と話しかけてきて、家でご飯をご馳走になったとか(実話)。シェアを見に行ったら、やたら意気投合して、ワインを2本あけてしまって、ついに一晩泊ってしまったとか(実話)。

 以上のアレコレの試練を乗り越えたら、たった数日だけど顔つきが変わります。特に男の子はよく変わる。いい男になったりしますね。
 この時点で、獲得したスキルはことシドニー生活に限ってみても、@シドニーだったら住所だけで、何処でも自力で行ける自信がある、A道行くオージーに話しかけるのに1秒も躊躇わない、B日本人以外のローカルと話すのが恐くなくなる、というかむしろ楽しくなる、そして最後にCシェア探しそのものが楽しくなる。「これ、超面白いですよね!」といえるようになったら合格!

 それと同時に、長期的には宝石のようなスキルを身につけてます。どっちかといえば、こちらの方が大事だと僕は思うのだけど、@実際に何事かを成し遂げるためのプロセスを体感する。これは成功するためには何をどのくらいやるべきなのかという成功パターンの原型になる。Aありとあらゆる人生スキルのヒントを得られる。それはもう事務処理能力やら、詰めの甘さやら、咄嗟のときにテンパってしまって肝心なことを聞き忘れたり、言うべき事を言えなかった自分の肝っ玉の小ささやビビリ根性やら。ヒントも課題も山のように得られる。そして、言葉にするとクサくなるけど、人情のありがたみですよね。通りすがりの赤の他人、それも外国の人から受けた無償の善意、厚意の温かさです。たったこれだけのことで、こんなにもハッピーな気分になれるものかって不思議な気分になるでしょう。

 これらのスキルが、今後オーストラリアでひとりぼっちでやっていく大きなステップになります。だから、何度もいうけど、シェア探しがちゃんと出来たら、あとは何でも出来ます。職探しでも、ボランティアでも、なんでもそうです。


 かなり長くなってしまいましたが、読み返すと相当まだ書き落としてますね。というか現実は千変万化するから到底書ききれません。
 これ以上長くしても大変なので、これでよしとします。大体のトコロはわかったと思います。

 この一連の行程というか、教程は、別に僕の独創ではなく、皆さんのお世話を続けていくウチに自然とこういう形に調琢されれていったという感じです。それにあなたに教えるのは僕ではなく、「オーストラリアという現実」です。これ以上の教師はいないでしょう。僕は先生の前まで連れて行くだけです。

 でも、今書いてみて、これってこのまま企業研修にも使えそうです。現場の必要に迫られて作られていったのだから使えるのは当然なのですが。昔の日本企業はこれ以上に丁寧に(荒っぽいけど)人を育ててましたし、僕も上からビシバシ育ててもらいました。最近の日本は、「即戦力を求める」といえば聞こえはいいけど、あんまり手間暇のかかる人造りをしなくなってるとも聞きます。だとしたら不幸な話だし、企業がやらないなら僕らがやりましょうって気分もあります。上から貰ったものを下に伝えるのは義務じゃんって。日本はマンパワーに関していえば世界一の水準なんだけど、一方では世界一ヘタクソといわれる英語力と海外リテラシーの無さ(不慣れさ)とが相まって、その実力を全然発揮できていないと思います。思い切ってやってしまえば数日で形になる程度の簡単なことなんだから、本当に勿体ない話です。それにシェア探しでは日本人はアドバンテージ高いですよ。ほとんどエコヒイキ、逆差別じゃないかってくらいで、"Japanese? Oh good! コンニチワ!”とか少なくとも一回は言われると思います。どれだけ世界の人達に高い評価を受けているか、それだけでも肌身に感じてください。



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1.シェアアコモデーションとは何か
2.ホームステイとシェアの実質的な違い
3.シェア探しの電話英会話・想定問答集 (シェア探し入門その2)
4.シェア広告用語、エリアの簡単な説明 (シェア探し入門その3)
5.シェア探しの実戦的なTIPS (シェア探し入門その4)
6.シェア探しのための実戦サバーブ別解説 (シェア探し入門その5)
7.「道に迷った!」は英語でなんと言うか?実戦現場英会話用例集(シェア探し入門その6)

あわせてご参照下さい。
 100%英語環境でのシェア探しがなぜ成功の第一関門になるのか?

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