現地生活についてのFAQ 治安論
2006年06月
治 安 (その2/対策編)
まず最初に、一般的なリスク対策を箇条書きにしておきます。
@英語が上手くなること
やっぱり英語が出来ない方がリスキーだと思います。例えば緊急000番で警察の助けを求めるにしても、状況や場所を的確に英語でいえなかったら警察の対応も遅れるでしょう。逆に英語でひととおりの事が言えるようになれば、ナンパその他でしつこく誘われたような場合、きっぱりと(しかし角を立てずに)断ることも出来ます。英語で説明して断るのが面倒くさいから、もういいやってことも実際にはあるでしょう。道に迷ったときなど困ったときに気楽に周囲のオージーにヘルプを求めることもできます。予約していた筈の宿が実は予約が入ってなかったりした場合(ありがち)、他の宿を紹介してくれるように交渉することも出来ます。ラウンドなどで知らない町を訪れる場合、地元の人に注意点などを聞くことも出来ます。それに、これは自分自身の実感でもありますが、英語が出来るようになればなるほど舐められないというか、一個の人間として尊重してくれるようになります。
A道をしっかり知ること
まかり間違って後述のレッドファーンのイヴリーストリートに迷い込んでしまうことはないにせよ、道の迷うと用もないのに路地裏などをウロウロする羽目になります。道をよく知っておくこと。そのためにはしっかりした優秀な地図を用意しておくことです。地図のオススメは、ワーホリサバイバル講座/ギア装備 地図編を参照。
B交通機関を使いこなせること
これもAと同様、深夜に意味なくウロウロすることを防止できます。パーティに呼ばれて、ほろ酔い気分で帰るときに、「あれ?」と道に迷ったら悲惨です。帰りのバスの時刻やルートくらいは調べておくといいでしょう。最悪、タクシーを呼ぶ必要もあるでしょうから、タクシー会社の番号くらいは携帯に登録しておくといいです。
タクシーや警察を呼ぶときは、ストリートの名前とサバーブの名前が必要ですが、ストリートの名前だけではなく、さらにそのストリートと交差するストリートの名前を求められることもあります(”Crossing Street?”とか聞かれる)。ストリートの名前なんか多くのサバーブで重複してます。名前にジョージがつくストリートなんかシドニー全体で70本くらいあります。でも、二つのストリート名が交差する地点となると確率はぐっと減り、位置が正確に特定できるのでしょう。多分、地図のソフトかなんかあって、入力したら出てくるのだと思います(推測)。ですので、道に迷ってタクシーを呼ぶ場合、ストリートとストリートの交差点にいき、二つのストリートの名前を見ながら(通例交差点には表示がある)電話するといいでしょう。
C足が速いこと(^^*)、少なくとも早く走れる靴を履くこと
実際に走って逃げるようなことはマレでしょうが、フットワークが軽いというのはいろんな意味で有利でしょう。足の速そうな人からわざわざひったくる奴もいないでしょうし。そういった直接的な意味よりも、あれこれ心配するなら、文字通りまず「足もとをかためよ」という配慮が必要だと思います。道に迷うときというのは、足が疲れてきていい加減な推測で近道をしようとする場合だったりします。歩きにくい靴を履いているというだけで、判断を誤るってこともあるわけです。
D一番大事なのは直感
直感というとヤマカンのようにいい加減なものを連想されるかもしれませんが、現場で一番頼りになるのはこの直観力です。「この人は大丈夫」「ちょっと危なそう」という感覚は、動物だったら本能的に持ってるものです。こちらのリスク対策情報などには、「直感を信じろ」というアドバイスはよく出てきます。このページで紹介しているデートレイプの対策のページでも、”Trust your gut feelings/Listen to your instincts and leave situations that you don't feel good about.”という具合に、"gut feeling"というのは直訳すれば「内臓の感覚」ですが、日本語になってる「ガッツ」(guts)であり、「腹の底から」「肚が座ってる」「肝っ玉」「腑に落ちる」みたいな肉体感覚に直結した感性という意味です。同じように、instincts(本能)、intuition(直感)という単語も良く使われます。
もちろんこんな感覚に全てをゆだねるのは危険でしょう。しかし、杓子定規で融通も応用もきかないマニュアル漬けになってるのも、それ以上に危険だと思います。「絶対安全」なんてことはこの世には存在しません。日本の自宅にひきこもっていたとしても、いつ強盗が入ってくるかわかったもんじゃないです。プロの詐欺犯にかかれば、警戒心や猜疑心が強い人を騙すのは、普通の人以上に簡単だといいます。警戒心の強さを逆手に取られてしまうからです。何かにとらわれて心のバランスを崩すとそこにスキが生まれます。内心おかしいなと思いつつ、「○○は大丈夫って書いてあったから大丈夫だよね」と無理やり自分に言い聞かしたりしないほうがいいです。役人がお役所仕事をしてるんじゃないのですから、形式やルールにとらわれず、自分自身の本能や直感にもまた耳を傾けてください。常日頃からその感覚を磨いておくといいです。いわゆる「ピンとくる」というやつです。
直感というのとはちょっと違うかもしれませんが、いわゆる「常識的感覚」なども大事でしょう。「海外だから意外にも」って物事は沢山ありますが、「基本的には日本と全く同じ」という物事もまた沢山あります。オーストラリアは開放的で明るい社会ですが、一面では日本以上にキチンとしている部分もあります。例えば、お酒の強要はまずしません。泥酔=犯罪くらいに酒には厳しいです。沢山飲むんだけど、酒で態度が崩れることを嫌います。「酒の上での過ち」は全く言い訳にならず、非難がより強まるだけです。また、(性)関係の強要も日本以上にしつこく言い寄りません。明るく口説いたりはするけど、強要するようなことはしない。また、シェアや売買などで1セントでもお金の授受があったときは領収書を切ります。普通言われなくても領収書を切ってくれるし、領収書を求めて嫌な顔をされることもまずないでしょう。総じていえば、義理にからめてその人の主体性を侵害するようなことはしないです。だから、もしそういうことをされたら、十分なレスペクトを受けていない、なんかヘンだなと思ったらいいです。
後に述べるRedfernのEveleigh Stは別格として、それ以外のエリアで留学生やワーホリである皆さんが最も被害に遭いやすいのはシティ(都心、CBD)だと思います。実際、統計的にも一番多かったと思います。
ここで、「留学生やワーホリである皆さん」と条件をつけたのは、これが小さなお子さんと一緒に暮らしているので、子供の誘拐(そんなに無いけど)、交通事故が心配であるとか、自家用車を保有しているので路上駐車しておいてイタズラされたりするのが心配だとか、家の中に時価数百万円相当の什器備品を持っているとか、そういうことなら話もまた別です。比較的治安の良いサバーブの治安の良いストリートに住まわれるのがいいでしょう。大事なのは、エリア単位で物事考えるのではなく、ストリート単位で考えろってことです。ストリート一本違うだけで雰囲気が変わるところも多いです。良いストリートは、近隣住民相互に知り合いであり、前庭でいつも誰かが日向ぼっこしてたり、草木に水をやっていたり、行き交う人と挨拶をしてるようなストリートです。こういうストリートでは、相互監視の目が自然に出来上がってきますので、外部者は入っていきにくいです。目撃されやすいし、不審な挙動をしてたらたちまち警察に通報されます。また、出来れば、行き止まり(カル・デ・サコという)ないし車の交通の不便なストリートがいいです。物を盗ってすぐに逃げられないような場所。これらの条件は、客観的に防犯に役立つというよりは、もっぱら犯人の心理という主観的なものに影響するのでしょう。彼らだってリスクを背負って犯罪をおかすわけですから、「なんかここはイヤだな」ってストリートだったら犯行もしにくいでしょう。
留学生やワーホリの方は、多くの場合子供さんはいませんし、自動車を持ってる人もマレでしょう。持ってるとしてもラウンド直前直後でしょう。また、家には大事な全財産が置かれているとはいえ、その財産的価値はそれほど高くはないでしょう。数十万円もするオーディオセットや高価な宝石を持ってる人も少ないでしょう。多くの場合はシェアであり、窃盗犯人が住居侵入したとしても、まずはオーナーのエリアで金目のものを狙うでしょう。クソ重たいスーツケースなんか盗んでも殆ど換金性ないですからね。ただし、ノートパソコン、携帯、MP3プレーヤーなどは狙われるでしょうから、目立つところに放置しておかないという配慮があってもいいかもしれません。そもそも同じシェアするにしても、マンションの1階とか、入ってきやすいところは避けた方がいいでしょう。
しかし、住居侵入窃盗で被害にあう確率の数倍、数十倍の確率で、路上での盗犯被害にあうでしょう。つまりは、置き引き、スリ、ひったくりなどです。シティのタウンホール近辺などはよく話に聞きますし、実際に僕がお世話した人の中でも被害にあった人が幾らかいます。その殆どがシティですね。
なんでシティに犯罪が多いのかというと、これはあなたが犯罪者の立場になって物を考えれば分かると思います。緑豊かな住宅街サバーブでは、皆さん車で動くから、歩いている人なんか殆どいません。10分歩いて3人すれ違えば多いくらいでしょう。こんなところで待ってたって仕方ありません。それにずっと立ってたら近所から不審者として通報されてしまいます。また、10分のうちの3人とはどういう人かというと、例えばジョギングとか犬の散歩をしているような人です。お金なんか持ってそうにないです。ヘタに襲ったところで自分よりも強いかもしれないし、大声出されて周囲の家々から人々が集まってきたら即御用です。
そこへ行くとシティは天国です。やたらお金を持ってそうな日本人をはじめとしたアジア人観光客がゾロゾロ歩いています。お土産買うから軍資金は豊富です。彼らからモノを盗るのは簡単です。後述のような治安対策が手薄なことをはじめ、仮にひったくりをしても、土地鑑がないから追いかけてきにくい、足が遅い、助けを呼ぼうにも英語がヘタだから呼べない(「ひったくり」って英語でなんて言うのか知ってますか?)、また警察に届けても犯人の特徴=「瞳の色」「東欧系の容貌」がそもそも判別しにくいし、出来たとしてもそれを英語で表現できない。そんな人々がウロウロ歩き回ってるのですから、これは盗らないテはないでしょう。だから、シティは犯罪が多い。これって別にオーストラリアに限ったことではなく、世界どこにいっても同じでしょう。のどかな農村地帯では中々犯罪も犯しにくいです。
じゃあ、シティなどで路上被害に遭わないためにはどうしたらよいか?ここからが本論です。
いたずらにビビってキョロキョロしてても無意味です。大事なのは犯人の視点にたって考えることだと思います。彼らの多くは、ドラッグ代や小遣銭稼ぎのためのイージーマネーを探しています。「いかに盗りやすい人から安全に盗るか」という視点で、行き交う人々を見ていることでしょう。わざわざ盗りにくい人から盗って、盗みの芸術を追い求めるルパン三世みたいな人間は滅多にいないでしょう。盗りやすい人から盗る、と。じゃあ、どういう人が「盗りやすい人」なのか、もっと大事なのは「盗りやすい人に見える」かどうかです。
@背後や周囲にナチュラルに気を配れ
見るともなく周囲を気にしていてください。よく「野球でセンターを守ってるくらいの感じ」と僕は表現しますが、別にピッチャーとかバッターとかサードほどギンギンに集中してなくていいです。外野席の客と雑談をするくらいリラックスしていながら、カーンと打者が打ったらダッシュ出来るくらいには意識を残しておく。「見るともなく全体を見る」ってやつです。マンガの「バガボンド」にも同じようなセリフが出てきましたな。自動車を運転するとき、さりげにバックミラーで背後の交通状況をチェックしてるでしょう?あんな感じですよね。
思うのですが、おそらく自然にこれが出来るようになってる人は、泥棒さんから見て「盗りにくい人」なのだと思います。
A意識が一点集中してしまう場面をわきまえろ
見るともなく周囲を見るといっても、どうしても前面に100%神経がいってしまう場面があるでしょう。例えば、英語で話かけられたり、話をしたりするときはシドロモドロ状態になり、カーっとなったりするから、もう100%神経がそっちにいってしまいますよね。また、店の中で真剣に商品を見ているとき、例えばシャンプーや薬の裏の注意書きの英文を読んでるときとかです。カウンターで物を頼むときもそうでしょう。はじめてATMを使うときも、「え、なにこれ?」とかパニックになったりもするでしゅう。そういうときは全意識が一点集中してしまいがちですし、逆言えば周囲や持ち物に対する配慮が留守になりがちです。
だったら、100%集中してしまいそうなときは、そうなる前に防衛策を講じておくことです。多くの人はディパックなどのバッグを肩から下げたりしていると思いますが、背後に下げているバッグをちょっとズラして身体の前面にもってくるとか、脇に抱え込むとかするといいでしょう。とられにくくガードしてから買物やATMを使うってことです。最初は意識的に練習したりして、最後には無意識的にそういう動きになるようにするといいでしょう。それをやってるだけで、泥棒さんは「む、こいつはスキがないわ」って諦めてくれるでしょう。
B静止している状態をわきまえろ
歩いている人からモノを盗るのは難しいです。それが出来るのはスリとかひったくりくらいでしょうが、スリは高度が技術が要りますし、ひったくりは周囲の人に取り押さえられるリスクを負いますから、逃走経路が確保されてないと実行には及ばないでしょう(だから周囲に人が少なく、容易に逃げれる環境は注意すべし)。しかし、静止している人から物を盗るのは僕でも出来ます。バスや電車に乗ってるとき、あるいはフードコートでゴハンを食べてるときなどです。フードコートでイスにバックパックを背負わせている人がいますが、話に夢中になって前のめりになって背中がイスから離れたら、カバンと身体が接触していないから、もう持っていかれてもわかりません。実際、タウンホールのマクドナルドでこの被害にあった人がいます。このような場合、カバンは床の両足の間に置くとか、隣の席に置くにせよどっか身体と接触させておくといいです。というわけで、ほんのちょっとの気配りでいいですから、やっておくといいです。常には出来ないでしょうから、もうクセにしておくといいでしょう。なお、日本でやってるように、カウンターで注文する間に座席にカバンをおいて席を確保するなんてことは論外。
このように、ほんのちょっとの動作だけでかなりの程度プロテクトできると思います。
しかし、どんなに注意しても盗られるときは盗られます。それはもう運命みたいなもので、長い人生誰しもそういうことはあります。そこで、万が一盗られたときのことも想定しておく必要があります。
C不必要なものは持ち歩かない
日本円とか、日本の運転免許証とか、TSUTAYAの会員証とか、別にこっちに住んでいたら全く何の役にも立たない物を持ち歩いている人がいます。こういった物は、持っていても何の役にも立たないくせに、盗られたらそれなりに被害になります。レンタルCDの会員証なんかどうでもいいですけど、運転免許証とか盗られたら面倒くさいですよ。また、日本に帰ってから再発行手続きで1日潰れますし、お金もかかります。直ちに困らないけど、被害はでかいです。だから、役にも立たないものを持ち歩かないってことです。現金なども、初動は学校の費用やシェア代など出費がかさみますが、安定してしまえば別に一日20ドルとか50ドルで足ります。
Dカバンの中は整理する
何でもかんでもカバンの中にほおりこんで、買物の度にカバンのなかを探し回って財布を取り出してる人がいますが、止めたほうがいいでしょう。だって、仮に盗られたとしても、そんな状態だったら何時盗られたのか全然分からないですもん。家に帰ってからはじめて盗られたのに気づくとかいう間抜けな話になりがちで、そうなると警察に届けるにしても面倒ですよね。財布とか大事なものは、同じカバンの中でもすぐに分かる場所に収納し、出来れば外側から触って存在が確かめられるのがいいでしょう。そうすれば定期的に触るクセをつけておけば安全確保しやすいです。
E被害回復のための段取を整えておく=パニックノートのススメ
おそらく盗られて困るものは、クレジットカードやキャッシュカードなどでしょう。不正使用の心配があります。そのために、盗られたと思ったときには直ちに日本に電話して使用差し止めを申し出る必要があります。その場合、どの電話番号にかければいいのか?すぐにはわからない、家に帰ってスーツケースの奥底に眠ってる資料をみないと分からないのではイライラが嵩じます。「盗られたときはコレ」という、「パニックノート」を作っておくといいです。頭の悪い人はこの電話番号のメモ書きを財布に一緒にいれておいて、財布ごと盗られてそれで終わりという悲惨なパターンになりがちです。そこで、コレが盗られたときはコレ、アレが盗られたときはアレと複数用意しておき、ダブルで被害に遇わないように置いておく必要があります。
以上述べた地味な対策をコツコツとやることが大事でしょう。その対策そのものよりも、そういう対策を実際にやることによって、自分自身の防犯意識というのが自然に高まりますからね。緻密なカンニングペーパーを用意しているうちに内容が全て頭に入ってしまうように、パニックノートを何枚も用意しているうちに、「盗られたらエライこっちゃ」という実感が骨身に染みていくでしょう。その感覚が重要だったりすると思います。それに、「お守り」「ジンクス」って副産物もあります。傘を持っていくと雨が降らず、傘を忘れたときに限って雨が降るというのはよく体験されるでしょう。逆にいえば傘を持って出ることは雨を降らせない「お守り」にもなります。パニックノートを作るのは、被害に遭わないためのお守りだとくらいに思っておいても良いでしょう(だからといって慢心しちゃダメですよ)。
F二次災害に気をつけろ!!
これが一番声を大にして言いたいです。これは弁護士経験から学んだことですが、被害や不幸というのは波状攻撃でやってきます。一発目は、それなりにキツイけど、それでもまだしのげる。しかし二発目の不幸は往々にして致命的です。例えば、町を歩いていて携帯電話を盗られたことに気づいてパニックになり、あわてて車道に飛び出して車にはねられて即死、あるいは一生車椅子生活とか。被害を受けた瞬間というのは、かなり精神的に動揺しますし、思考能力も極端に低下します。その状態が一番「危ない」のです。弁護士のところに相談にやってくるような人は、この種の二次災害、三次災害で致命的な状況に陥った人です。最初の一発で踏みとどまっていれば、「ちくしょー」くらいで済んでいたのに、パニックになるから取り返しのつかない被害を招く。それも殆どの場合が自招危難というか、自ら進んで招いた不幸です。ねえ、両足切断することに比べたら、携帯電話の一つや二つ惜しくないでしょう?
したがって、被害に気づいた瞬間が、あなたの勝負どころです。ツライけど、両足踏ん張ってこのハードな現実を受け止めましょう。ここで姿勢を崩すと二発目が襲ってくるぞ、これで終わりじゃないぞ、今度はシャレでは済まないぞ、とクールに戦闘態勢に入って下さい。出来れば、盗られた物は一瞬にして諦め、気持ちのスィッチをカチリと切り替え、善後策をクールに講じるのが望ましいです。逆にいえば、一瞬にして諦められないような物は持ち歩くなってことでもあります。言っちゃ悪いけど、ワーホリさんや留学生さんが持ち歩くようなもので、盗られて人生が終わってしまうような物なんてないでしょう?3億円の小切手とか、数百億の訴訟の重要な証拠とかさ、なくしたら地獄ですよ。裁判官とか裁判所書記官とか、この種の重要な訴訟記録をうっかり地下鉄に置き忘れたら、まず進退伺いですよ。自殺した人もいたんじゃなかったけな。裁判に限らず、それがビジネスの現場の厳しさでしょ。出版社員が貰ったばかり原稿をなくしたら、死にたくなるでしょうよ。それに比べればねえ、「ちょっと面倒臭い」程度の被害でしょ?この程度のことでうろたえるな、と言っておきます。
最後のもう一つ。
今までは治安の話をしておりました。しかし、他人の違法行為によってあなたの生命・身体・財産がダメージを受ける確率よりも、その数倍数十倍の確率で、あなた自身のドジによって同じ被害が生じます。例えば、財布を取られるよりも、自分でどっかに置き忘れるとか。バスの中に電子辞書を置き忘れた人もいました。電車の中に財布を忘れてきてしまった人もいました。パブで盛り上がって携帯電話を置いてきてしまった人もいました。
大体これまでの人生や周囲の人を考えてみてください。他人から物を盗られたことはなくても、物を置き忘れた経験は誰でもあるでしょう?あなただってそうでしょう?あなたがこれまで怪我をした場面のうち、他人の暴行によって怪我をした場合よりも、圧倒的に自分がドジで、階段から落ちたとか、自転車でコケたという場合が多いでしょう?塀から飛び降りて足を骨折して、ホームステイ先で2ヶ月間寝たきり生活をしたワーホリさんもいます。犯罪被害や治安なんかよりも、はるかに高い確率でドジを踏むってことです。治安治安と念仏を唱えているヒマがあったら、道路を渡るときに左右確認した方が実際には役に立ちます。
それに、犯罪だろうがドジだろうが、被害は被害、同じです。しかし、犯罪だったらまだしも保険はおりるだろうし、他人からも同情されますが、自分がドジ踏んだ場合は、保険も「過失条項」でおりないかもしれないし、他人も同情してくれません。被害は同じなのに、皆に笑われて被害回復もナシという、踏んだり蹴ったり状態になります。
なぜこのストリートが危険地帯になったのか、現状はどうなのか、社会学的に興味は尽きないのですが、それはさておき、必要なことは、「レッドファーンのイヴリー・ストリートには足を踏み入れるな」ってことです。英語でいえば、NO-GO-ZONEです。
なにがそんなに恐いのか誰も行ったことがないのでよく分からないのですが、単にスラム街だという以上に、シドニーの麻薬売買の組織のアジトがあるとかないとか書かれているのを読んだ記憶があります。レッドファーンはアボリジニの連中が多くて、彼らが凶暴だという話もありますが、別の文献でも紹介したようにレッドファーン全体でのアボリジニの人口比率は0.1%とかそんなものです。実際、レッドファーンにいってもそんなに多く見かけるものでもないです。ただ、アボリジニの貧困層の若者達が、常に警察に目をつけられ、監視され、軋轢が生じており、それが発火して1年以上前ですが暴動が起きてます。
イヴリーストリートはどこにあるのかというと、レッドファーン駅の北側(シティ方面)、シティに向かって線路の西側で、もっとも線路に近い南北の通りです。レッドファーンの駅の改札から、小さな通りを渡ると殺風景な公園があり、その公園からナチュラルに下り坂になっていきますが、その先にあります。公園から先は行かない方がいいでしょう。時と場合によりますが、雰囲気的に他と違うのでわかると思います(遠目にも窓ガラスが破壊されてたり)。また、間違ってもシェアなんか出ないでしょうから行くこともないでしょう。
ただ、レッドファーンという行政区画は実はかなり広く、駅があるのは区画全体でいえばかなり西の方です。「レッドファーンと名がつくエリアには絶対に行くな」という人は、日本人でもオージーでもいます。が、僕の感覚では、同じレッドファーンでも東の方に行けば、それほど危険ではないように思います。シェアで住んでた人も結構いますし、ライダーさんに有名な「東京ビレッジ」というバッパーもレッドファーンのほぼ中央から東側にあります。もっといえば、イヴリーストリートさえ外せば、いきなり危険ってことはないでしょう。実際、オーストラリアの東大のようなシドニー大学は、レッドファーンの西隣にあり、そこの学生さんの最寄駅はレッドファーン駅であり、毎日大勢の学生さんが通行してるわけですからね。
僕がその昔お世話した方が、ワーホリ後寿司職人になってシティで働いてましたけど、レッドファーン駅のすぐ裏手のマンションに住んでました。仕事が終わるのが深夜1時とかになるのですが、そこからタクシーで帰ろうとしても、「二台に一台は恐がっていってくれないんですよ」って笑ってました。"It's safe! No Problem!"とか説得してるらしいのですけど(^_^)。タクシーも深夜には恐がるエリアに日本人(別に普通の常識的な人です)が一人で暮らしているということで、恐いんだか恐くないんだかよく分からんのですが、まあ、実際そんなもんだと思います。
実践的には、イブリーストリートには行くな、夜の10時過ぎてレッドファーン駅界隈を一人で歩くようなことはするなっていうのが最低限の防衛ラインだと思います。
うれしい悲鳴かもしれませんが、よくナンパされたり、しつこく迫られたりする女性も多いかと思います。どういう場合が危険で、どういう場合が安全なのか?というと、別にこれといった判別法があるわけではなく、本人の「人を見る目」を養うしかないのが原則でしょう。直感力というのが一番大事でしょう。
しかし、それではヘルプにならないので、もうちょっと書いておきます。
冒頭で「デートレイプ」に触れましたが、性的被害は、物陰に潜んでいていきなり襲われるというよりは、顔見知りの犯行が統計的にも多いです。パブなどで飲み物に薬物を入れて泥酔させる、スパイクト・ドリンク(Spiked Drinks)という手口もあります。
詳しい状況や対策は、もう一度URLを書いておきますが、NSW州のデートレイプ対策HPをどうぞ。http://www.aboutdaterape.nsw.gov.au/index.htmlです。英語だからといって面倒臭がらずに、現地の専門部局がわざわざ広報してくれているのだから、真剣に考えているなら読むべし!です。リスク管理というのは、やみくもに恐がることではないのだ。冷静に目を見開いて現状を直視することから始まります。
ただ一般論として言うならば、このいわゆるDate Rapeというやつは、ほとんどナンパ流れみたいな形態で、日本だったらいちいち強姦罪で訴えたりはしないでそれきりになってしまったりするケースが多いと思います。でも、こちらでは、女性が真実その気がなかったらレイプとして厳然として扱われるわけですな。その意味では日本よりもはるかに厳しい。だから、問題視されているし、また対策や広報も行われているわけです。
それに、相手が西欧人だった場合、西欧人の特徴として、女性から積極的にOKをしないかぎり絶対に手を出さないという傾向もあります。むろん全員がそうするわけではないですが、その抑制的な態度は一般の日本人よりも遥かに徹底していてます。だから、口説いたり、褒めたりってのは明るくやったりするけど、でも、しつこく迫ったりするのは普通しません。しつこい段階で、結構ヘンですので、「ヘンだよ」って拒絶していいですっていうか、すべきでしょう。
電話番号などをしつこく聞かれたりする場合もあるでしょう。でも、別に教える必要なんかないと思います。必然性がない限り、です。あなたが教えたくなるようなスチェーションでなければ、別に教えなくていいですよ。 ”Is that really necessary?Why?”ってな感じでいいと思いますよ。
例えばソーシャルなクラブなどで知り合って(ヨガ教室とかボランティアなど)、相手も適度に紳士的だったりして、むげに断るのも角が立つかなと思われる場合もあるでしょう。でも、その活動で必要な連絡事項等だったら当該事務局から連絡がいくでしょうし、あなたが気に入ってむしろこちらから相手の番号を聞きたいくらいだったら教えてもいいでしょうけど、そうでなければ必要ないです。
角が立たないような言い方ですけど、”I think I should not do this.”でも充分失礼じゃないとは思いますよ。
ただ、それでも角が立ちそうだったら、
”You know, I just arrived Australia. I know almost nothing about here. So, I think I should be cautious about everything.
At least for the first 3 months, I try to be a "nice girl", keeping low profile, until I've got confidence to decide the things.
And I made a promise with my mon and my boyfriend in Japan to keep everything OK. They trusted me and I want to keep my promise.
I think you are not a bad guy, and it may sound too defensive or too protective, please do not take any offence, OK? Just let me keep my way. It's important for me at this stage. And I can tell you my e-mail address and you can contact me with e-mail anytime."
とかなんとか言っておくといいでしょう。言葉数が多いかもしれないけど、ちゃんと説明するってのはそういうことだと思いますし、ちゃんと説明するのは、この国では(西欧では)とても大事なことですからね。だから繰り返しになるけど、英語が出来るというのは防犯上(人間関係上)にも有効な武器になるわけです。
なお、男性一人のシェア先に女性が一人で住むというケースはこれまでに山ほどありましたし、それで問題が生じたというケースは少ないっていうか、僕が直接知ってる範囲では無いです。問題は生じたことはありますが、男女問題ではないです(お金の問題とか)。別に恐いのに無理してそんなシェアをする必要は毛頭ありません。僕もシェア探しのお手伝いをする場合、「男一人だから」ということで頭から除外しない方がいいよというアドバイスはします。会ってみて、「ああ、この人だったら絶対大丈夫」と思える人が実在しますし(実際に会うまでなかなか想像しにくいでしょうが)、そう思えたらすればいいし、懸念があるんだったらやめたらいいです。先入観は持つな、無理はするなってことです。
シェア探しにいってレイプされたってケースは噂では聞きますけどかなり眉唾な気がします。なぜなら、シェアで犯罪を犯したら身元なんかバレバレだし、泣き寝入りが少ない現地の状況ではみすみす捕まるだけですからね。むしろあなたがオーナーで、他人を自宅に招きいれるような場合の方がリスキーだといえます。なぜなら、相手の身元なんか分からないんですから。
一方では、こちらで知り合った異性と素敵な生活を育んでおられる方もまた沢山おられます。その後めでたくゴールインされて、オーストラリアに住みつづけている人、日本に一緒に戻った人、その他相手の本国に行って暮らしている人、沢山おられます。その逆に、なんとなく付き合ってるんだけど、結婚とかの話になるといきなりモゴモゴいって話が先に進まないってケースもよく聞きます。まあ、でも、そのあたりは日本でも同じですし、結局は人間関係一般の問題じゃないかって気もしますね。
以上、あれこれ思いつくまま書いてみましたが、治安やリスク対策がそれだけで突出して存在するわけではないです。英語力であるとか、土地鑑であるとか、フットワークであるとか、直感や常識的判断力であるとか、全てのものの総合バランスの上に治安やリスク対策というのは成り立っているということです。必要以上にビビッたって意味ないし、貴重な体験機会を逃すことにもなるし、なにかに一つの物事に頼ろうとしたり(誰かのサポートだけに頼ったり)、なにか一つのことにとらわれているのはむしろ危険だともいえます。何について書いても最後には同じ結論になってしまうのですが、要はバランスであり、要は総合力である、と。
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