★大学における通訳・翻訳科とNAATI
こちらの大学の勉強は超ハードで、とても”英語プラスアルファ”とか”カジュアル”といった雰囲気はありませんから、ここに掲載するのは場違いではあるのですが、関連して述べておきます。
NATTIというのは、National Accreditation Authority for Translators & Interpreters の略で、よく”ナーティ”と言われたりします。オーストラリア公認の通訳・翻訳の資格試験であり、またそれを主催する機関です。いわば政府公認の”お墨付き”なわけで、この資格を持っていると、オーストラリアの官公庁に提出する公式文書の翻訳や通訳ができます。NATTIの詳細は、NATTIのホームページを参照のこと。シドニーの事務所は、Suite 1 Level 5, 280 - 282 Pitt Street, Sydney にあります。
ただこの試験は鬼もハダシで逃げ出すというくらい難関で、日本人で合格するのは年間数えるほどしかないとも言われています。僕の知り合いでも何人か合格された方がいますが、かなりハンパではない努力をされておられました。NAATIに合格するのは、別に大学等の専門の教育機関に通う必要はなく、試験さえ通ればいいわけですが、大学の翻訳コースを受講される人が多いです。僕の知人もみな、ウェスタンシドニー大学とか、マッコリー大学に通っておられました。もっとも、上記TLCCのの資料をみると、TLCCの翻訳家養成コースでNAATIに合格された方もおられますし、またビザ業者さんの主催するNATTI対策講座を受講される方(大学と並行したりして)もおられます。
ただし、注意すべき点が2点あります。その1は、NATTIを目指して大学に通う場合の多くは、オーストラリアの永住権獲得とリンクしていることです。逆にいえば、永住権のための必要なポイントをゲットするために、ボーナスポイントのもらえるNATTIや大学卒業資格を得ようという、戦略的な見地で大学に行かれる人が多い、ということです。永住権取得のカテゴリーとして新卒者独立移住や、加点事由としてのNATTI資格などですね。ここで、「そうか、大学いってNATTIを取ったら永住権が取れるのか」と早合点しないでください。別の個所(オーストラリア移住について)にも書きましたが、永住権の是非はあなたが現在何歳であるかによっても変わりますし、またこの規定というのが猫の目のようにコロコロと変わります。2003年4月現在、永住権取得はかなり厳しくなっており、これまで1年学校に行けばよかったのが2年に延長されてしまいました。また優遇職業リストも変わってます。そのため僕の別の知人も、先般、日本に帰ってしまいました。この点は、ビザ代行業者さんに詳しくご相談ください。ここでは、日本人におけるNATTIというのは、単にスキルだけではなく、ビザと深く絡み合っているという点だけ述べておきます。
注意すべき第2点は、NAATI資格があるからといって仕事の保証があるわけではないことです。これは資格試験一般について言えると思うのですが、資格=生計に直接つながるものではありません(というか、つながる方が少ない)。僕の経験で言えば、司法試験を通って弁護士になったとしても直ちに食えるというものではないです。何が必要かというと”営業”です。資格があってもお客さんがいなければ意味ないのですね。翻訳、通訳も同じことで、資格があっても仕事があるとは限らない、というかまず無いと思ったほうがいいくらいです。ただ、医師や弁護士と違ってこれらの職業が良いのは、資格が無くても営業できることです。確かにNATTIに合格していないとオーストラリアの公的業務はできませんが、それも仕事全体の中の一部に過ぎないでしょうし、日本でやる分には関係ないでしょう。村上春樹も何冊も翻訳をこなしてますが、別に彼がオーストラリアのNATTIに合格してるなんてことはないでしょう(調べたわけではないけど)。ですので、あなた自身が有能な通訳、翻訳実務をこなせるだけの実力を持ち、それをお客さんに認められてればそれでいいわけです。
じゃあ、TLCCにせよNAATIにせよ、これらのコースはまったく意味がないかというと、そんなことはないです。一番大事な「実力」を養うという意味で、とても重要なステップになると思います。もちろん教育機関を利用しなくても実力は得られますが、それは英語でもなんでも同じことです。要は独学でやるよりも効率がいいと思うかどうかでしょう。
|