語学学校研究/総論
2006年2月27日改訂
語学学校の選択の基準(その2)
授業料に関するあれこれは、まずここをご参照ください。ご参照いただいたことを前提に次に進みます。
授業料は、おおむね週300ドルあたりをモードにして、高くて週350ドル、安くて260ドル前後になっています。ただし、もっと安いところもありますし、スペシャルセールを敢行していて通例よりも安くしているとこもあります。
語学学校の授業料は、そのときどきの経済事情に連動して変わります。オーストラリアの場合、2004年までは、バブル景気を反映して一貫して値上がりしていましたが、2005年、2006年とちょっと一息ついているという感じです。ただ、オーストラリア全体においては値上り基調であることに変わりはないですから、去年よりも安くなるということはまず無いですし、「一息ついた」といっても去年並あるいは値上げ幅小刻みになったという程度のことです。また、授業料以外のステイ料金、さらに公共交通機関から食料品などについては、経済基調と足並みを合わせるように値上がりしています。
さて、語学学校の費用ですが、これは今回の留学/ワーホリにおいて、あなたがどの程度予算を重視しておられるかによって変わってくるでしょう。もちろん誰だって安いに越したことはないでしょうが、もう内容はどうでもいいからとにかく安ければいいのか、それなりにしっかりした内容であることは当然の前提とした上で安いに越したことはないとお考えなのか、です。
シドニーの語学学校は50校以上あり、その授業料もまさにピンからキリまであります。しかし、僕の眼から見て「安かろう悪かろう」という疑いのある場合、あるいは安物買いの銭失いに終わりそうな場合はその旨キチンとお伝えするようにします。この国では、中古車でも、シェア料金でも、なんによらず値段とクォリティは日本以上にかなり正しく対応します。それなりの値段だったらそれなりの品質になるということです。基本的には「掘り出し物など無い」と思っていたらいいです。
それを前提に、授業料の高い学校と安い学校とで、品質の対応関係が納得できる場合、つまりこの部分が充実してるから高くなり、この部分が乏しいから安いという、「なぜ高いのか/安いのか」が納得できるかどうか、そこは僕自身が厳しく見るようにしていますし、個々のカウンセリングではその部分をしっかりお伝えするように心がけています。「安いところがあるんですよ」と、「安ければいいんでしょ」的な値段重視の紹介は避けたいです。なぜなら、安いといってもまとまれば結構な値段になりますし、それだけの買物をする以上、きちんとした買物をしていただきたいですから。
具体的に言いますと、フルタイムで週250ドルを切るような場合は、単なる個性の差を越えて、語学学校として必要な基本的な機能面まで削っているように思います。語学学校というのは、@教師、A生徒、B設備の要素で成り立ってると思うのですが、一番大事なのは@先生でしょう。オーストラリアの就職観は、日本におけるプロ野球やサッカーの選手のようなもので、実力があれば遠慮なく高給を要求します。だから高給を払えばいい選手が集まります。ケチればいい人材は集まりません。そのあたりは非常にハッキリしています。学校経営で一番お金を食うのはこの人件費ですから、やはり安いところは教師としての技術や経験に欠けるケースが多いのではないかという懸念はあります。やはり高いところは、IELTSやケンブリッジ試験の上級試験官が教えていたり、あるいは定番といわれる有名テキストの著者自身が教えていたりもします。
教師以外のスタッフについても同様のことが言えます。語学学校のスタッフの苦労は、おそらくビジネス学校や大学のそれよりも大きいと思われます。なぜなら、語学学校の生徒達は(当たり前ですが)英語が出来ないですし、オーストラリアの生活環境にも慣れてないケースが多いでしょう。そうなると事務連絡一つでも、何度もゆっくりわかりやすく発音して辛抱強く言わねばなりません。また、ホームステイのトラブル、やれ財布を落としたとか、病気になったとか、そのあたりの生活全般の面倒もみなければなりません。つまりは手間がかかる。この手間がかかることを正面から受け止めて、いわゆるスチューデントサービスをしっかり充実させている学校もあれば(生活講座をやったり、24時間の携帯ヘルプラインを用意したり)、殆ど何も考えていない学校もあります。皆さん的には、とりあえずカウンターに行ってタドタドしい英語をしゃべった時の相手の対応が親身であるか、冷たいかという形でも出てくるでしょう。信頼できる日本人カウンセラーを雇ってるかどうかということもあるでしょう。このように学生サービスを取り組めば取り組むほど、スタッフの労働負担は重くなり、またそれに耐えうるだけのスタッフの質と量が求められますから、結局お金がかかる、そして授業料に跳ね返るということになるのだと思います。
第二に生徒ですが、現地の学校の良さは、やはり世界中から生徒が集まってくることですが、そのためには世界中に営業や広告をかけていかねばなりません。学校のマーケティングマネージャー氏は、年中世界中を飛び回って営業しなかればなりません。これはかなりの経費になるでしょう。生徒の国籍が30カ国を超えるような学校は、どうしても週300ドル以上します。一方、すでに現地にいるワーホリさんなどを対象に経営をするのであれば、広告費などはかなり削減できます。日本の場合でも、同じ広告を出すにしても、日本の留学・旅行雑誌に広告を出すのと、現地の無料のコミュニティ誌に広告を出すのとではケタ違いに費用が違うでしょう。ですので、海外営業を手控え、現地営業を中心にすれば、営業費は削減できますから、その分安い学費で価格競争力をつけることができます。
ちなみに、現地に滞在しているワーホリさんで英語学校に行く(英語が出来ない)のは結局日本人と韓国人くらいだったりします。2006年現在オーストラリアのワーホリ条約締結国は20カ国、イギリス、アイルランド、カナダ、マルタ、オランダ、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェイ、香港SAR(イギリス特別自治区)、フィンランド、シプラス、フランス、イタリア、ベルギー、エストニア、台湾、そして日本と韓国ですが、2003-04年の統計によれば、ワーホリ入国者総数93760人中、イギリスとアイルランド合わせて47321人います。以下日本(9943)、ドイツ(9700)、韓国(9522)、カナダ(6517)、オランダ(3036)と続き、これらの国だけで9割前後を占めます。つまり現地に自由に滞在できて、且つ英語学校に行かねばならない英語レベルの人というのは、実際問題、ビザ条件的に日本人、韓国人、そしてドイツ人に限られてくるわけです。もちろん観光ビザもありますが、これとてワーホリ以上に日本人が多かったりするでしょう。ここ1−2年の変化としては、ドイツ人ワーホリの急増が特筆されるべきで、ドイツ人の現地入学も増えているとは思われます。しかし、もともと英語と言語構造を同じくするヨーロッパ言語の場合、日韓人ほど英語学校にいく必要性は乏しいでしょうし、実際語学学校におけるドイツ人が急に増えたという感じでもないですし(学校にもよりけりでしょうが)、日韓人の存在感には到底及びません。やはり語学学校からみた現地マーケットとしてターゲットになるのは、日本人・韓国人ワーホリということになってしまうでしょう。
あと、一般的な対応関係でいいますと、英語の勉強に熱心な学生は、それだけ学校にお金をかけます。これはどんな領域でもプロとかセミプロクラスの連中の方が機材にお金をかけるのと一緒で、真剣にやればやるほどその領域のことがよくわかるようになりますし、安いものだと結局損だということも良く知ってますから、目先にとらわれずイイモノを選ぼうとする傾向があります。こういう言い方をするとカドが立ちますが=しかし、なあなあで毒にも薬にもならないことを書いていても皆さんの時間を無駄にするだけですのでハッキリ書きますが=同じように英語学校でも、安い学校に行けばいくほど、英語習得に不熱心な、あるいは意欲の甘い学生、それも多くは日本人系が集まる傾向があると思います。いや、「予算は出来るだけ絞りたいが、俺は英語を勉強する気持ちは真剣だぞ」という人は幾らでもいると思うのですが、その人が英語をどれだけ真剣に思っているかは、結局コトバではなく、予算のうちどれだけそれに注ぎ込むかに否応なく現われると思います。100万円持ってきて学校に20万しか割かない人と、40万しか持ってこないけど学校に30万円払う人とでは、やっぱり気合の入れ方が違います。
英語なんかちょっとやそっとやったくらいでは身につきませんし、中途半端にやるくらいだったらやらない方がマシなくらいです。中途半端にやると、悪い癖がつきますし、「こんなにやったのに出来ないから、もういいや」という嫌気がさしたり、トラウマができたり、一生英語が嫌いになったりという禍根を残す傾向もあるのですね。悲しいことに、そういう人は結構たくさんいます。また、シリアスに勉強する意欲の無い人たち(これまた結構います)と一緒にいると、「そうか、別に英語なんかできなくたっていいんだ」とばかりに妙に開き直った連帯感みたいなものが伝染する傾向もあります。実際、ワーホリなどで来られる日本人の多くの人々は、結局言葉の壁や文化の壁を乗り越えることが出来ないまま、日本人同士ツルんで1年を終えてしまったりします。また、シドニーのシティあたりでは、日本語だけで生活していける環境があります。
B三番目は設備ですが、ランゲージラボと言われるLL教室や、ライティングの授業のためのコンピュータールームは、学生ビザが取れる学校(オーストラリア政府によって認定されている学校)だったら標準装備で備えていなければなりません。ただ、そのグレードが高いか、PCの数が多いかなどの差はあるでしょう。あとは教室とか学生ラウンジなどの設備ですが、違いがあるとしたらラウンジの場所、広さなどの休み時間の居場所や居心地の差でしょう。教室それ自体はイスと簡単なテーブルがあればそれでいいですから。学校に付属している図書室なども差異はありますが、それほど重視しなくても良いと思います。一日5時間しっかり授業を受けて、宿題もやって、町に出たらまた英語、さらに家に帰ってまた英語という毎日ですから、それだけで充分お腹一杯になるでしょう。それに、読むべき本など現地ではいくらでも手に入ります。どこの町にも図書館はあります。本屋もあります。学校なんか頼る必要もないです。図書室は、自分のレベルに合わせた読み物(多くのは児童用小説など)を先生に推薦してもらうような感じになるでしょう。
その他学校内にカンティーン(食堂)があるとか、テニスコートやプールなどのスポーツ施設、寮などの設備ですが、ことシドニーの学校に関する限り、まず無いと思っていいです。ランチは皆さんラウンジで弁当箱広げてたり、近くのフードコートに行ってますし、スポーツ施設など別に学校に頼らずともシドニーだったら幾らでもあります。寮も、ときどき気にされる人がいますが、実はほとんどニーズがないです。毎週数千件というシェア物件が出ていますし、学校が寮を持ってるといってもどこかのフラットに学生同士が済むという、要するに実体的にはシェアと変わりません。それに昼も夜も同じ人々と顔を合わせていることがいいことかどうかという問題はあります。トレーニングというのは、練習と実戦のバランスが大事で、学校で留学生同士で練習したら、それ以外の時間で今度は地元のオージー世界に接して実戦を積んだ方が、英語学習という意味では良いと思います。
学校でインターネットが出来るかとか、日本語が読めるかという質問はよくありますが、これも殆ど学校選択の決め手にならないと思います。なぜなら大抵の学校ではインターネットが出来ますし、Windows2000以降でしたらブラウザのエンコードを変えたり、入力ロケールを日本語表示にすればいいです。また、インターネットをやる場所も、日本人用の情報センターや、カフェ、図書館、コミュニティセンターなど幾らでもありますから。
学校の建物ですが、多くの場合はビルのテナントとして入っています。一棟まるまる同じ学校というのはaclくらいでしょう。
ただ、料金と建物の関連で言えば、立地や雰囲気という点で差があるように思います。安い学校は大体シティにあります。これは昨今のビル建築ラッシュで、オフィスが過剰供給になりテナント料が安くなっていることにも対応していると思われます。そして、シティというのは摩天楼状態ですから、学校も大きなビルの1フロアをパーテーションで区切ることになりますが、そうなると各教室に窓がなく、なんとなく息苦しいことになります。なにしろ毎日そこで過ごすわけですから、こういった環境の差というのはかなり大きかったりします(このあたりのことは「語学学校選択の基準その1:エリアで選ぶ」で述べました)。
大きなビルのテナントといっても、隣のビルとくっついていなければ窓は多いですし、階数が高ければ眺望もいいです。また、専有面積の部屋割り/間取りなんかも違います。学生の共有ラウンジなどを広めにとって、ゆったりとした間取りにしている学校もあれば、かなりキツキツにしてあるところもあります。
このあたりは、実際に見ないと良く分からないでしょうし、見たら一発で分かると思います。
以上の点から、ヘタにケチって英語は習得できないわ、妙な癖ばかりつくわだったら、いっそのこと学校なんか行かない方がいいと思います。その代わり、どんどん現地の中にはいっていって、「うわー、英語できないと悔しいなあ、出来たらさぞかし楽しいだろうなあ」という体験を沢山積んだ方がいいです。本当のモチベーションが出来てこないと、勉強なんかモノになりません。英語というのは、ある程度のボキャブラリにせよ毎日100回辞書ひいても3年かかるし、発音だって同じ発音を何万回と練習する必要があります。かなり詰まらない日々なわけで、それをやり遂げるにはそれ相応のモチベーションが必要です。毎日のように屈辱に打ちのめされ、毎日のように他の民族の人と心が通じ合ったときの喜びで胸が一杯になるというアメとムチが常に存在していないと、「別にやらなくてもいいんじゃないの?」という気分に流されてしまいます。「意思の力」なんかあんまりアテにしない方がいいですよ。そんなに意思が強いんだったら、中高6年も英語やってきたんだから、もうとっくに出来るようになってるハズです。人間なんかそんなに急には変わらない。昨日できなかったことは、明日も出来ないと考えた方がいい。意志の弱い僕らがそれでも頑張ろうと思ったら、定期的な燃料補給(モチベーション)は絶対必要だと思います。
というわけで「とにかく何でもいいから安くあげたい」という意向を強くお持ちの貴兄の場合、究極の節約方法は、「語学学校に行かない」ということでしょう。これは冗談を言っているのではなく、英語学習というのは、@ひたすら覚えるという地道な努力と、A場数を踏んで恥をかきまくることですから、昼は公園などで手当たり次第に話かけ、夜は新聞や古小説を買い込んでひたすら辞書をひきまくり、どんどん量をこなせしていけば取りあえず英語は伸びます。教会では無料会話教室はやってますし、エクスチェンジ(日本語を勉強したいオージーと無料で教えあいっこをする)もあります。シェア探しでも格好のトレーニングになります。ただ、現実問題、それをやりぬくことが出来るかどうかといえば、かなり難しいとは思います。
以上を踏まえて、「やるんだったらちゃんとやろう!」と思えるのでしたら、ある程度の品質のものを探されたらいいと思います。学校は、キチンといけばやはり効果はありますし、英語が出来るようになって世界がどれだけ広がるか、どれだけ楽しい思いをするかは想像以上だと思います。
堅苦しいことばかり言いましたけど、でもこれまで800名以上の人を空港お出迎えからお世話してますが、3ヶ月なり1年なりの期間を経て、ものすごく個人差が出るのを目の当たりにしてますから、ついつい書いてしまうのですね。海外にまとまった時間滞在できることって、そうそう何度もあることではないですから、やるんだったら実り多い方がいいだろうと思います。
じゃあ、実質的に選ぼうと考えても、この「学校行ってどうすんの?何のために行くの?」という部分は、なかなか日本にいては詰めて考えにくいでしょう。「とりあえずまず英語学校に行って〜」くらいの漠然たる考えしかもてないというのが実情だと思います。
でも、そこを頑張って考えてください。語学学校の機能は英語習得だけではないことは別項でも書きました。とりあえず現地の生活拠点であったり、同じ日本人の友達を得るための場であったりもします。同時に、いろいろな国の人達と毎日何時間も顔を合わせて会話してもみくちゃにされる場でもあります。こういったインターナショナルな雰囲気と修練の場を求めておられるのか、それともとりあえずの生活拠点が欲しいのか。英語についても、将来につながるようにここでキチンと基礎を固めておきたいのか、とりあえず付け焼刃でもいいから生活のための最低限のことでいいのか、です。
そして、こういったことは抽象的に考えていてもなかなか結論は出にくい部分もあります。現地にやってきて、「ああ、もう少ししゃべれたらこのギリシャ人のおばちゃんともっと楽しく会話できるのになあ。知らない国の人としゃべるのがこんなに面白いとは知らなかった」と痛切に思ったり、右も左もわからないまま道に迷ってまるで幼児のように無力な自分を噛み締めて「これはアカン、生きていけんぞ!」と思ったり、そういった経験が出てきてはじめて、「ああ、俺はこうなりたい」という方向性が出てくるのだと思います。
僕の経験でも、メール段階では「いやあ、とりあえず学校に行くってくらいでいいですよ」と言っておられた方が、空港でトラブルに見舞われて(客観的には大したことないのだけど)、周囲の係官からいろいろまくしたてられて何も分からずオロオロして、へロヘロになって出てきたときに、「いやあ、マジメに英語やります。でなきゃ生きていけないっす」と気持ちがガラっと変わった方もおられます。
これらモチベーションについてはもう現地に来てからの話ですが、ここでは、まず、価格にはそれなりの理由があること、高い学校に行く場合には何を求めてそうするのか、安い学校に行く場合は何が失われる可能性があるのか(失われても構わないものなのか)、そのあたりを立体的にお考えになるように、と申し上げておきます。
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