(その3)
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97年1月3日


古い車の事故死確率は2倍
SMH/1996年12月23日記事より
    CSIROという機関のレポートによると、NSW州の事故死者数は過去15年でずっと減少し続けているのに、古い車両に乗っていた事故死者の占める割合は一貫して上がっているとのこと。特に11年以上の古い車に乗っていて事故に遭った人の事故死確率の上昇は顕著で、1977年には全事故死者の25.8%を占めるに過ぎなかったのが、1993年には55.1%に上がっているそうです。この報告結果については、州政府や関係機関も支持していて、「古い車の方が大きくて頑丈に作ってるから安全だ」というのは単なる神話に過ぎないと(そんなこと考えてみなかったが、そういえば昔の大きなアメ車や無骨な車を見てると、なるほどそっちのほうが安全そうな気もする)。

    しかし、過去25年で、町を走ってる全車の「平均年齢」は、5年から10年に老化してるとのこと。「もし、この平均年齢が5年若返っていたら、NSWだけで61人の人命と1600件の負傷が回避された筈」と関係機関は言うわけです(そりゃ机上の計算だろうと僕は思うのだけど)。新しい車の方がいろいろな安全対策を講じていているからSafeであり、77年から93年の事故統計を見る限り、ドライバーの年齢よりも車齢の方が事故死への相関関係は高いとのこと。

    しかし思うのですけど、平均車齢が倍になれば、古い車の事故死者割合も倍になって当たり前ではないか?と。「だから皆で新しい車に乗ろう」という話にしても(そこまでは言ってないが、理屈の上ではそうつながる)、そもそも好きこのんで古い車に乗ってるのではなく、そんなこと言うなら、車の関税と物品税を引き下げて、クソ高い車の値段を下げればいいのにと思うのでした。日本に比べて、絶対値ではそれほど高くないし、車検その他のコストが安い(車検なんか2000円程度)ので全体からすれば日本よりも安いとは思うが、購買力平価でいえばメチャクチャ高い(年収分くらい高かったりする)。中古市場が充実してるからセコハンでも値が落ちないし(売るにはいいけど)、さらに金利が高いから支払いが大変という問題もあります。毎年2.5%(だっけな)関税を下げ続けているので、徐々に安くはなっていますけど。


バブルの傷痕=シドニー都心部の22個の巨大クレーター
SMH/12月30日
    シドニー都心部(CBD)を歩くとやたら殺風景な場所がありますし、モノレールで上から見てると、嘘みたいに、まるで月面みたいな巨大なクレーターが見えたりします。万年工事中の囲いもあるし。僕も最初、「なんか殺風景だなあ」と思ってたのですが、やはりバブル(オーストラリアにもあった→とっとと立ちなおってますが)時代の計画が挫折してそのままになってるようです。

    このクレーターの数、なんと22個。日本と同じく駐車場になってたりするものもありますが、全体の面積からすると「そんなにあるんか」と改めて驚くくらいあります。一番目立つのは、シドニーの「銀座4丁目」ともいうべきタウンホールとQVBの交差点ですが、この北西角地がスカーッと何にもない。工事の囲いしかない。ここも実は1987年から現在まで(もう10年だ)この状態らしく、本来は「オーストラリアで最も高いビル」(いかにもバブリーな発想だ)を建てる筈だったとか。それに知らなかったのですが、シドニーというのは、オーストラリアの州都のなかで唯一「次に建つビルの建築確認申請が下りてなくても旧建物を壊すことのできる都市」とのことで、これがまた、今日の月面状態を招いているらしいです。
    もう落ち目と言われつつも5年続いているバブル後の好景気と、何より2000年のオリンピックに向けて「カッコ悪い」ということから(自治体の考えることはどこも一緒だ)、ここに至って新規建築計画がビシバシ立てられ認可されてるそうです。業界もオリンピック需要(ホテルなど)をあてこんだり、当局も税制や容積率の優遇措置などを打ち出しているとのこと。全部が全部、高層ビルが建ちあがるものでもないでしょうが、もっと摩天楼が増えることでしょうし、都心を写した絵葉書のビルの建築状況を見ていつごろの写真か当てられるようになるでしょう。


オーストラリア人も塩分の摂り過ぎ
SHM/12月30日
    「塩分は控えめに」というのは日本だけではないようで、オーストラリア人も結構塩分を摂りすぎているという研究レポートが提出されたようです。なんでも、加工食品の中の塩分が多く、男性の6% 、女性の36%しか、理想とされる標準塩分摂取基準を満たしてないとか。

    他の研究チームのレポートによると、対象となった200名のうち、殆ど全員が「塩なんか、料理のときにも食べるときにも使ってないよ」と答えたそうです。それでも、尿検査によると、理想数値の三倍も塩分を摂取していた人もいたそうで、要するにスーパーの棚に並んでいる加工食品の中に既に多くの塩分が含まれていて、知らないうちに摂取過多になるのだろうと言われています(原因の75%と推測されている)。現在の大きな健康上の問題は西洋食の含まれる塩分とリンクしており、とりわけ高血圧に関係しているとのこと。

    他の要因としては、肥満や運動不足、アルコールなどもあろうが、やはり食事の中の塩分のコントロールが大事であろうと。オーストラリアにおける、治療その他にかかる年間コストは、心臓病で12億ドル、心筋梗塞で6億6600万ドル、高血圧で5億4600ドルだそうで、きちんと食事の塩分コントロールをすれば、年間4億5800万ドルの経費節減につながると、レポートは言うそうです。余談ですが、こちらでは、すぐに「○○ドル相当の」という表現が出てきますが、まあディベートなどで論証づけたり、事実をもとに立論するのは良いことだと思うのですが、反面、こんなに奇麗に数字を出されると「どうやって計算したの?」と聞きたくもなります。「ほんまかいな」と。

    レポートの結論は、もっと塩分を控えめにするよう、積極的に啓蒙活動をしようということで、それはそのとおりだと思うのですが、同時に「そういえば、ここでは日本ほど皆“塩分がどーの”とは騒がないな」と今更ながら気付いたのでした。

数字でみるシドニー1996年
SMH/1997年1月1日
    1996年で、
      シドニーで最も暑かった日は、11月13日 34.5度
      最も寒かった日→8月9日 5度
      一番暑かった月→1月、平均最高気温25.4度
      一番寒かった月→7月、平均最低気温8.5度
      最も雨が降った月→5月、177.8mm
      最も雨が降った日→9月29日、69.4mm
      年間雨量→1148.6mm(95年は1229.8mmだったから、「去年は雨が少なかった」と言うことですね)。
      海外からNSW州へやってきた人数→2,625,200人(95年は2,333,600人)
      海外からオーストラリアにやってきた人数→4,167,000人(95年は3,725,800人)

      1年間でシドニーハーバー・トンネルを通過した車の台数→27,922,500台(95年は27,265,766台)
      年間で最も高額で売買された居住不動産(豪邸)→Elizabeth Bayの物件で1500万ドル(約14億円)



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