生活マニュアル上級編
福島記:1997年4月23日作成
田村記:2009,2010年補訂


シドニーで仕事を探す方法

シドニーで仕事を探す方法 (5)
●履歴書、命。




 採用会社、あるいは人材紹介会社との最初のコンタクトになるのが、履歴書(「RESUME」または「CURRICULUM VITAE(略してC.V.)」)。この履歴書の書き方如何で、採用への第一歩である面接に呼ばれるか否かが決まります。

 求人広告の内容をよく読んで、できればその会社について調査し、相手が求めている人材像を明確にした上で、自分の売り込みポイントを考慮しながら、作戦を練ってください。こう考えていくと、履歴書の内容は提出する会社によって変わってくるはずです。




 一般的な履歴書の書き方を手順を追って説明します。


 網羅すべき項目は、まずPERSONAL DETAILS, WORK HISTORY(職歴), EDUCATION(学歴)
 オーストラリアは日本ほど学歴社会ではないし、そもそも日本の大学名を言われても現地の人には分かりませんから、それよりも「これまでどんなことを勉強して、どんなことを身につけてきたか」を表現することが重要です。

 まず、PERSONAL DETAILSですが、ここには通常、名前と住所、電話番号くらい書けば十分です。生年月日や年齢、性別、国籍による採用上の差別は法律で禁じられているので、書く必要はありません。しかし、日系企業の場合には、やっぱり聞かなきゃ気が済まないのか、制度上問題があるのか、書いてないと必ず聞いてきますので、だったら最初から書いておいてあげた方が親切というものでしょう。

 また、意外と盲点なのが保持しているビザ。ビザの種類によって雇用者は対応を考えねばなりませんから、書いた方が親切。もっと言うなら、永住ビザを持っている人は書けばアドバンテージになりますし、逆に観光ビザや学生ビザの人は書かないでおくのも、ひとつのテクニックです。(とりあえず面接に持込んで、いい印象を与えてからビザのことを相談する。)

 整理すると、PERSONAL DETAILSで書くべきことは:
NAME/ADDRESS/PHONE&FAX/DATE OF BIRTH/SEX/NATIONALITY/VISA STATUS ぐらいでしょう。




 次に、WORK HISTORY(職歴) ですが、日本とは逆に最近のことから過去に遡って書いていきます。会社名、所属部署の名前だけでなく、会社の事業内容や所属部署の仕事と自分が担当していた仕事内容が、相手によく分かるように手短かに説明すべきです。ここでの表現力が勝敗を決めるといっても過言ではない。簡潔な英文で、あなたの経験した仕事内容を詳しく伝えるよう努力してください。また、その会社のロケーション(シドニーなのか東京なのか)、入社日と退社日(「○年○月〜○年○月」といった形式)も明記しましょう。日本の履歴書のように退職理由(「自己都合により退社」とか)は書く必要ありません。

 履歴書は長けりゃいいってもんではありませんが、仕事経験があまりない方、あるいは応募する仕事内容とこれまでの職歴が直接関係ない場合には、アルバイト経験でアピールするのも一つの方法です。 CASUAL WORK という項目を作って、どんな内容の仕事をしていたかを簡潔に説明しておきましょう。

 ついでに、自分が持っている技術(SKILLS)、資格(QUALIFICATION)を箇条書きしておくのも、いい方法です。専門技術的なことは勿論、他にも「日本語文章力」とか「コミュニケーション能力」とか「オーガニゼーション能力」とか、特に資格はなくとも自信あることってあるでしょう。ここは欧米系の社会ですから、多少大袈裟なくらいで丁度よいのです。そして、スキルの項目には普段使っているコンピューターソフト名やタイピング速度を記入するのをお忘れなく。




 お次は、EDUCATION(学歴)です。日本の履歴書みたいに小学校やら中学やらの情報は要りません。(地縁の関係ない外国では、出身地やら小学校など書いたところで意味がない)これまた現在に近い方から過去へと遡って、大学か、高校くらいまで書けばよいでしょう。単に入学年月、卒業年月と学校名を羅列するのではなく、どんなことを勉強し、どんな論文を書き、どんな資格(Certificate of ****, Diploma of ****, Bachelor of ****等)を取得したのか、詳しく簡潔に記載しましょう。大学卒業後に、ビジネスカレッジや英語学校に通ったり、会社の研修に参加したりした場合には、それがたとえ週イチの夜だけの講座であったとしても、状況によっては書く価値があるかもしれません。あんまり細かいことまでダラダラ書いても読むのが面倒なだけですが、応募する業種や仕事内容に関係することなら書くに値します。

 その他、書かなくてもいいことですが、ボランティア活動や地域活動などに取り組んだ経験がああって、それが自分自身のアピールにつながると思うならば、COMMUNITY ACTIVITIES といった項目を作って、活動期間、活動内容など書くとよいでしょう。


 ただ、希望職種や職歴と全く関係のないこと(事務職に応募しているのにヤマハのピアノ検定○級とか、高校時代バレー部のキャプテンだったとか)を書くと、「勘違いしてる人」と取られてしまうかもしれませんので、ご用心。日本のように体育会系で頑張っていた根性や体力とか、仕事とは関係なく極めている趣味などは評価してくれる土壌はないようです。趣味やら家族構成やら彼氏との関係まで聞かれる日本の採用シーンと比べると、かなりクールな感じはします。オフィスの中で個人的に仲良くなることはあっても、少なくとも会社としては、「あなたのプライベートには関心ないです」といった感じです。




 最後に"REFEREES"(直訳すると「参考人」ですね)として、あなたの働きぶりを証明してくれる人の名前と連絡先を3名ほど挙げておくとよいでしょう。REFEREEは元直属の上司や、大学時代の担当教授などが妥当なところですが、元同僚でも構いません。実際に会社の人事部からこの人たち宛てに電話が入ることもありますので、「上手な話術で適当に誉めておいてくれる人」を選びましょう。もし、"REFERENCE"(照会状の回答のようなもの)を書面で貰っておくことが出来るなら、それも履歴書に添付した方が、より信頼を得られることと思います。




 尚、あったりまえのことですが、スペルミス、文法間違いなど初歩的なミスは、あってもご愛敬だけど、ないに越したことはありません。また、手書きの履歴書はあまりいい印象をもたれないようです。個人的には「パソコン持ってない人だっているんだし、そんなんどーだっていいじゃん」と思いますが、タイピングしていないというだけで「パソコンも使えないヤツ」「常識をわきまえないヤツ」と判断する担当者もいるので、知り合いに借りるなり、大学のパソコンルームを借りるなりして、きちんとタイプした方が無難です。

 また、日系企業の場合、英文の履歴書の他に日本語の履歴書の提出を求められる場合があります。この場合には、「いわゆる日本の履歴書の常識」に沿って作成すればよいと思われます。(記載項目が英文と異なっても構わない。)




 最後に。履歴書を送る際には自己PRも兼ねた手紙を添付するのが常識です。確かに求人広告には「履歴書送れ」とだけ書いてありますが、挨拶状なしの応募レターを受け取った人事担当者は、ほとんど中身も読まずにゴミ箱に投げ捨てると思ってよいでしょう。相手は何百通もの応募レターの中から厳選するわけです。詰まらないミスでチャンスを逃すことのないように、気を配ってください。

 オージーはこの戦々恐々としたジョブ・ハンティングに如何に勝ち抜くかには長けています。応募レターを開けたら、まず大きな文字で「SEE ME, FIRST!!」と主張した色紙が出てきて、思わずのけぞったこともあるくらいです。


《参考》
  →英文履歴書と、挨拶文のサンプル




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《インデックス》

●トップページ

●ビザの問題をクリアする!

●イチにもニにも英語力!!

●基本的に過去のキャリアがモノを言う。

●未経験者でも入り込めるチャンスがある職種

●時期によって変わる雇用情勢

●日系企業か、地元企業か

●仕事の探し方
(人材紹介会社リスト)

●履歴書、命。
(英文履歴書サンプル)

●面接の心得

●やっぱり、仕事するなら「自分の会社」?
参考:シドニーでの就職・仕事に関するページ

エッセイから〜
オーストラリアで実際日本人が就職できる職種とその給料について(97/6/11)
オージーの仕事観を探る(96/12/1)
下手な英語で仕事するコツ(97/5/29)
ESSAY 278/「外国人労働者」とは我々のこと〜「海外で働く」ということに過剰な幻想を抱かないために(06/10/02)

体験レポート
特別寄稿体験談 (by Kさん)/アルバイト先との給与支払トラブルを労働委員会を通じて解決した実例レポート
日本語教師アシスタント・ボランティア(インターン)

実戦ワーホリ講座
8−1.仕事をしよう(その1) 仕事の効用 
8−2.仕事をしよう(その2) 仕事の探し方 日系〜ジャバレス編
8−3.仕事をしよう(その3) 仕事の探し方(2) 日系その他編、ローカル編
8−4.仕事をしよう(その4) 英文履歴書・実戦例
9−1.ラウンドのススメ(その1) ラウンドとは何か?都会定住との比較
9−2.ラウンドのススメ(その2) ラウンド先での仕事

◆コラム/間違いだらけの留学&ワーホリ生活
 7.ジャパレスで働いても英語が伸びない?
 8.タックスリターンで税金が返ってくる?

さらに関連:オーストラリア移住に関するもの
オーストラリア移住について INDEX
第一の関門:VISA
ビザの原理原則/技術独立移住永住権/頻繁に変わるビザ規定/専門業者さん/その他の永住権/永住権以外の労働できるビザ
第二の関門:生計
ビザ用のスキルと生計用のスキル/「日本人」というスキル/世界のオキテ/オーストラリア仕事探しサイト内リンク
戦略と戦術(その1)
フォーマット設定/欲望のディレクトリ〜永住権だけが全てではない、手段と目的を明瞭に意識すべし
戦略と戦術(その2)  よくある基本パターンと組み合わせ
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今週の一枚ESSAYより
 「”海外”という選択シリーズ」 過去回INDEX

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ESSAY 453/(2) 〜日本離脱の理由、海外永住の理由
ESSAY 454/(3) 〜「日本人」をやめて、「あなた」に戻れ
ESSAY 455/(4) 〜参考文献/勇み足の早トチリ
ESSAY 456/(5) 〜「自然が豊か」ということの本当の意味 
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ESSAY 463/(12) 〜経済的理由、精神的理由、そして本能的理由