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  3. シドニーで仕事を探す方法
初稿福島記:1997年4月23日、田村更新:2009,2010年
2012年08月全面改訂、2013年07月補訂


シドニーで仕事を探す方法

シドニーで仕事を探す方法 (3)



3.オーストラリア独自の特性

 まず概論。
 オーストラリアの経済というのは、その昔は金鉱があったり、ラッキーカントリーだったり、「羊の背中に乗った国」と言われたり、色々言われてきました。しかし、世の進展によって、かつては全経済の25%をほこった第一次産業も今は2%程度。その代りにのし上がってきたのが、観光産業と教育産業(留学生の受け入れ)です。

 あとは、鉱山系が強い。資源国ですから。
 世界経済危機(リーマンショック)以降も、オーストラリアの経済は基本的に堅調です。物価も賃金も上がってます。それは何故かといえば、鉱山資源で儲けているからと言われています。特に中国の都市化のために大量の鋼鉄が必要なので、その原料となる鉄鉱石をオーストラリアが売っている。特に鉱山会社は何もしなくても市場価格が倍くらいにはねあがったので坊主丸儲け状態で笑いが止らないという。

 鉱山系から廻ってきたお金で国全体が潤い、儲かる人は儲かるので金融投資や不動産投資をやっていて、でもってリーマンショックでぶっ飛んだりとかやってました。でも、まあ、そこそこ金回りはいい。

 しかし、それもこれもピークを過ぎたと言われ、大規模鉱山開発計画が相次いで順延(事実上中止)になり、鉱山ブームは峠を越えたと言われ、「NEXT!?」というのがオーストラリアの近況でしょう。

 政府も明確に方針を打ち出してますが、21世紀中頃には、世界の経済の中心は西欧から完全にアジアにシフトすると。だから、アジア市場とどうリンクを貼っていくかがオーストラリアの死活問題になると。オーストラリアは、アジアに近いという地の利はあるのですが、しかし近いだけではダメである。アジアというのは、西欧とは異なった原理で社会が動いているし、言語や風習も違う。英語が通じないところもかなり多い。攻めあぐねているという部分もあります。だからこそ、一層ぶっといパイプを築いていかねばという動きになってます。

 次に、将来性ですが、これは僕は楽観してます。
 開拓民の子孫であるこの国の連中は強いですし、天然資源と食糧資源に恵まれているし(カロリーベースの食料自給率187%〜農林水産省の統計)、内戦などのカントリーリスクも極端に低いことから、失業率100%という極限状況になったとしても、なんかかんかやっていきそうな気がします。ホームレスになったとしても、アウトドアはお手の物だし。

 まあ、それは冗談にしてもですね、結構打たれ強いのではないか。それは次項ともからむけど、社会/人生における経済/仕事の比重が、それほど高くないからだと思います。ボランティアがめちゃくちゃ盛んであるとか、コミュニティ意識が強いとか、マイトシップが生きているとか、お金の原理とは違うところで社会が動いている部分が強い。だから経済という第一エンジンが破壊されても、第二第三のエンジンがまだ残っているような気がします。でも、これは日本もそうだと思いますけど。

 あと、グローバリズムに先駆けてマルチカルチャリズムをやり続けている点が強いです。もう40年くらいやってますから、移民の受け入れに慣れている、市民ひとりひとりが異民族との対応に慣れている。だから移民を受け入れてもそれを消化できる国内システムやメンタルが出来つつあることです。完璧ではないにせよ、世界的にみればかなりの高水準だし、細かな行政のレベルを見ていくと、途方もないハイレベルです。これが来るべき少子高齢化に対抗策になるでしょう。若くて優秀な国民を輸入できるということです。

 これは同時にアジアの時代、インドの時代になったとしても、移民つながりでそことのコネクションが強いということでもあります。世界中のどの地域でもシドニー在住のその民族というのは結構いますから、パイプをつなぎやすい。

 
 もう一つの特性は、オーストラリアというのは生活の快適さ、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の水準が高いことであり、世界からやってくる移民達も、そこに着目してやってきているということです。

 僕などもそうですが、仕事で自己実現、一発当てて大金持ちじゃあ!という感じではない。そういうことしたいならアメリカ行くべき。今は中国、インド、さらにアジア諸国、先物狙いでアフリカでしょう。

 そこでオーストラリアという選択をするということは、「そーゆーことじゃないんだよ」系の人達が世界から集まる。
 僕がいつも利用しているパソコンショップのジョンさんは中国系の移民ですが、もう完全にオージー化していて、「裏庭が広くてさ、緑が多くて、週末にはいつもピクニックにいくんだよ。人生はこうでなくっちゃね」とかのたまう。中国人だろうが、ユダヤ人だろうが、フランス人だろうが、そして日本人だろうが、「わざわざオーストラリアを選ぶ」という時点で、「そーゆー人達」であるということです。バイアスがかかってるのですね。

 国や社会のベースにそういう価値観があるのだということは、これは覚えておくといいと思います。

 これを人生戦略的に翻訳すれば、永住権とか取れてしまえば何とかなるかも、必死に仕事だの就職だの考えなくてもいいかもってことです。

 「1000連敗でも珍しくない」というくらい就職それ自体は難しいけど、逆にカジュアルジョブは本当にカジュアルだから得られるし、カジュアルでも時給2000円とかつくから、贅沢言わなければ結構それでもなんとかなる。また、母子家庭だったら就職しなくても子供が18歳になるまでだったらそこそこ暮らしていけるくらいの手当は出ます。失業保険も一生レベルで出るし、年金も税金から出るからかけなくてもいいし。だから仕事が無い→死ぬしかない、ってもんでもないんですよ。

 頑張って皆が就職にトライするのは、それ以上のレベルに行きたいからです。もっと大きな年収を狙うからです。それはそれでやっていけばいいです。一つ掴んだらあとは芋づるだから、日本とは真逆に、転職するほどチャンスが多くなる。こう書くと誤解を招くかもしれないけど、転職が良いわけではなく、職歴カウントが増えていくから良いのですね。日本では職歴の豊富さよりも転職回数の多さが「腰の甘さ」というマイナス評価されるので、やればやるほど道が細くなる部分もある。だからオーストラリアの場合は、大変なようでいて、「やってりゃいいんだ、そのうち何とかなるさ」的なアバウトな方法論が通じやすい。年齢差別もないし。してはいけないし。

 ただし、真剣にもっと仕事に自己実現をかけるなら、オーストラリアは不向きです。オーストラリア人でもバリバリのエリートはアメリカとか、ヨーロッパに行きますしね。しょせん西欧圏ではド田舎なんですよね。それにそんなにエリートレベルではなくても、ある程度やり甲斐のある仕事、大きな仕事をしたかったら、まだ日本の方がやりやすいです。言語ほか、あらゆる意味でハンデを負わないのはやっぱり母国なんですよ。だから仕事で自分を表現したいという欲求が強いならば、オーストラリアに求めてはいけないと思います。というか、そういう仕事だったらいいですよ(僕のAPLaCみたいな)。また、オーストラリアを通過点にするなら全然OKです。ただ、ここを終着点として、バリバリのビジネスマンになるんだあって思ってると肩すかし食らいます。

 だからそのあたりの社会構造の違い、発想の違いを、どうぞ頭によく刷り込ませてください。日本的な感覚では真っ黒に見えても、オーストラリア的には真っ白だったりするのですよ。その見え方の違いが致命的な戦略破綻を生むかもしれず、それは恐いです。





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INDEX

1.就職/採用/労働のシステムが日本とは全然違う

2.一般的傾向〜「日本」と「日本リテラシー」の市場価値値

3.オーストラリア独自の特性

4.考え方のフォーマット

5.労働ビザという迷宮

6.攻略方法/英語力/ニワトリタマゴの三位一体

7.求人広告/人材会社/履歴書&面接 英文履歴書サンプル例
参考:シドニーでの就職・仕事に関するページ

エッセイから〜
オーストラリアで実際日本人が就職できる職種とその給料について(97/6/11)
オージーの仕事観を探る(96/12/1)
下手な英語で仕事するコツ(97/5/29)
ESSAY 278/「外国人労働者」とは我々のこと〜「海外で働く」ということに過剰な幻想を抱かないために(06/10/02)

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特別寄稿体験談 (by Kさん)/アルバイト先との給与支払トラブルを労働委員会を通じて解決した実例レポート
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8−1.仕事をしよう(その1) 仕事の効用 
8−2.仕事をしよう(その2) 仕事の探し方 日系〜ジャバレス編
8−3.仕事をしよう(その3) 仕事の探し方(2) 日系その他編、ローカル編
8−4.仕事をしよう(その4) 英文履歴書・実戦例
9−1.ラウンドのススメ(その1) ラウンドとは何か?都会定住との比較
9−2.ラウンドのススメ(その2) ラウンド先での仕事

◆コラム/間違いだらけの留学&ワーホリ生活
 7.ジャパレスで働いても英語が伸びない?
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