5.現地に着いてから欲しくなるもの 〜優秀な英語ギア
山ほど荷物を持ってきたとしても、現地に着いてから、「あー、アレを持ってくれば良かった!」というモノは多いです。もっとも「こんなモノ持ってくるんじゃなかった」というモノはその数倍多いと思いますが。
持ってくれば良かった、現地に着いてから後で欲しくなる定番のモノとしては、@日本語で書かれた英文法の本、Aもっと大量に語句が載っている辞書、B日本や世界に関する解説書(上述)などでしょう。
英文法の本
英文法の本が欲しくなる人は多いですね。「たしか昔やったなー」と思いつつも思い出せないでモヤモヤするとか、解説の英文がスデにわからないとか、そういうことはママあります。この場合欲しくなるのは、本当にオーソドックスな、ジミな教科書的なものでしょう。
こちらにも定番の英文法 ”English Grammer in Use”などがあり、良本として世界的にも有名です。語学学校などでも先生に推薦されるでしょう。"English Grammer in Use"には赤本と青本があり、一応参考リンクを貼っておきます。が、「準備」という意味では現地調達可能ですし、日本で買うよりも現地の方がより簡単にゲットできるでしょう。もっともオーストラリアは本が高く、今調べてみたら値段的には微妙ですね。ただ、これもバリエーションが多く、リアルタイムの自分へののオススメは何かは教室で先生に聞いた方が確実かもしれません。焦ることはないです。
しかしいかに有名な良本といえども、やっぱり全部英語で書かれているから、フラストレーションが溜まるということもあります。英語で英語を説明されるのは、日々の学校でやらされているので慣れはしますが、それでもやっぱり、時々、ばーっと一気に読める日本語で書かれた本が欲しくなったりするのですね。こちらにも紀伊国屋さんが来てるので日本語の本もゲットできるのですが、やはり輸入品になるから「うげ」と思うくらい高くなってしまう。
どんな本でも役に立つと思いますが、個人的にイイと思うのは、
オックスフォード実例現代英語用法辞典です。ちょっと高いのがタマに瑕ですが。一般に文法書というと、体系的網羅的に整理されて書かれているのですが、ときとしてあまりに細かすぎてなんだか整理のための整理みたいに、まるで死体解剖みたいになって実戦性に薄くなってしまう恨みもあります。その点、この現代用法辞典は、ネィティブが書いてるということもあり、且つ文法書ではなく「実戦用法辞典」であることもあり、実際に使うときのニュアンスに気を配って書いているので(イギリス英語とアメリカ英語の違いと最近の傾向なども)、「おお、そうだったのね」という記述が多くわかりやすいです。
例えば、現場で「ほとんどこればっかじゃん」みたいに非常に頻繁に使われる用法に、”have got"や”have got to”があります。この部分の解説を読み比べてみると、この用法辞典は、単に「have の特殊な用法」で済ませるのではなく、一項目設けて、ページ数も割いて細かく述べられてます。たとえば「アメリカ英語でもくだけた口語体、特に肯定文ではgotをつける形も用いられる(非常にくだけた口語体ではhaveが省かれる)」とされ、例文として'"I(ve) got to go.' - 'Oh, do you?' 「行かなきゃならないんだ」「え、そうなのかい」"があげられてます。実際の現場では、この「がったごう」は非常に良く使いますし、洋画とか見てても頻繁に見聞きするでしょう。そういう部分まで丁寧に書いてくれているので重宝します。
英語本でもう一点(二点)オススメとしては、
日本人の英語 (岩波新書)
、
続・日本人の英語 (岩波新書)
です。日本研究をしているアメリカ人が、日本語でこの本を書いているというのがスゴイのですが、そこまで日英双方の言語に通じているからこそ書ける一冊。日本語と英語の発想の違いまで掘り下げて、しかし平易でユーモラスに書かれたおり、目から鱗がボコボコ落ちます。特に日本人を悩ませる冠詞 ( a, the)の項は秀逸で、「英語ネィティブは定冠詞(the) と不定冠詞(a)を絶対に間違えない。なぜならば〜」と書かれた分析が鋭い。日本人はまず言うべき名詞を思いつき、そのあとにこの名詞には a がつくのか the が正しいのかを考えるのだが、ネィティブは名詞を思いつくより先に、a か the かを先に決める。つまり定冠詞を使う文脈と不定冠詞の文脈は根本的に違うから、混同することなど絶対にありえない、と。良本です。
辞書
辞書は、いいものを持ってこられたほうがいいです。実際に現地で日常使われている単語はとんでもなく幅広く、リーダースとリーダースプラス合わせて70万語クラスであってもまだ載ってない単語が平気で出てきます。それも日常の場面で。ですので、数万語クラスの学習辞書では太刀打ちできないでしょう。「英語出来ないから、このくらいの辞書でいい」とかいう人がいますが、英語が出来なければ出来ないほど辞書を頼りにする場面が多いのですから、いいものを持っておかれるといいです。ただ、紙の辞書でリーダースとかランダムハウスとか持ってきてたら重くて仕方ないので、電子辞書でいいでしょう。リーダースプラスがいいのは、スラングが多く収録されていることもさることながら、英語圏世界での有名人、有名商品、固有名詞、場所などが出てくるので、文化背景の手がかりが得られることです。
ちなみに、僕は、セイコーのSR-T6500というのを持っています。購入したのは2004年の時点なので、とっくに型も変わってると思いますが、今でも十分愛用に耐えています。
ポイントはいくつかあって、@リーダースと、リーダースプラスが収録されている、Aコウビルドの英英辞書が入ってるという点が最も大きいです。このコウビルドがまた良く出来た英英で、「そうだったのか」と目からウロコ的な解説が多く、英語プロに愛用されているという評判もわかります。英英辞典は別に無くても構いませんが、中上級の人がさらに上にいくにはいいアイテムです。英英辞書を使うコツは、知らない単語を調べるためには利用せず(また知らない単語に出くわして永遠にさまようハメになる)、既に知ってる単語のその本質を理解するために使うことだと思います。知ってるつもりの基本単語でも、意外としっかり理解してないものって多いです。文中に出てきても意味は何となく通るけどビシャッとハマらない、なんかズレがある、という違和感を感じたら、英英辞典でその単語の本質を調べてみるといいですよ。
英語辞典としては上記の2点で十分だと思いますが、海外で暮らすような場合には、広辞苑や百科事典的なコンテンツが役に立つことがあります。例えば、ユダヤ人とシェアするようになったとき、多少はドロナワ式にユダヤのことでも勉強するとか、日本のことを説明するとか。国語辞典や漢字辞典機能は、英語漬けだと日本語忘れがちなので意外なところで役に立ちます。まあ、ネットで調べれば済みますが、ネット環境を整えること自体が面倒臭かったりしますから。
この機種(僕の持ってる古い機種)で一点不満があるのは、バックライトがない点です。こちらは照明が暗いので(これは西欧人とアジア人の遺伝子的な原因による)、バックライトがないと読みにくくて苦労してます。バックライトは付いてた方がいいですよ。
辞書の上に水をこぼしてしまって壊してしまうという悲劇はよくありますが、その程度や対応の早さで直る可能性があります。僕もこの機種とは付き合いが長いので2度ほどリカバーしたことがあります。要は水分を蒸発させればいいのですが、キーボードのキーの下に入り込んでしまって中々蒸発しないのが問題です。そこでキーボードの一つ一つのキーをめくって下を空気に晒しました。ピンセットがあるとベター。バネで小さな部品がピヨーンと飛んでしまう危険もあるので注意して。もちろん機種によって出来る/出来ないはあるでしょうが。
なお、電子辞書の比較検討では、
関山健治氏の辞書関係のページがメチャクチャ良く出きてます。
贅沢を言えば、紙の学習辞書もあるといいと思います。これは単語数はそんなに要りませんが、文法の解説が良く出来ているもの、図表が豊富なものがあると、基本単語や文法のちゃんとした理解が出来て重宝しました。電子辞書の欠点は、図表が乏しいことなんですよね。あと、あまりにも基本単語の場合、狭い画面に膨大に情報がスクロールするから読みにくい。その点、紙のものは一目瞭然という長所があります。僕が最初に持ってきたのは、旺文社のニューサンライズという辞書でしたが、収録語彙が少ないのでイライラはしましたが、その代わり文法解説は丁寧ですし、図表もかなり豊富でいいと思います。辞書の図表ってなんなの?というと、例えば叔父とか姪とかいう単語のところに、曽祖父からひ孫までの大きな家系図を書いて、それぞれの英語名が一覧で書かれていたりすることであったり、類語辞典的にテーマ別に解説があったりすることです。例えば「客」を意味する単語でも、visitor, guest, shopper, customer,client, passenger, spectatorの違いを図解したりなどです。ボキャを増やすにはいいですよ。
その他現地に着いてから欲しくなるものとしては、滞在も長くなると「今日本はどうなってるの?」と最近の日本の週刊誌などが読みたくなったりしますが、これは絶対に準備不可能ですよね(^_^)。
6.あとで送ってもらうための準備
その他、こちらに着いてからしばらくして、「ああ、アレが必要だ!」と思うことがあります。例えば持ってきたパソコンが壊れて、全部インストールやり直すときにOSのCDが欲しいなど。あらゆる場面を想定して事前に準備することは出来ませんし、またする必要も無いです。
それよりは、後で家の人に送ってもらうために、自分の部屋をキチンと片付けておくこと、どこに何が置いてあるのか、自分で正確に把握しておくことです。そうすると、「私の机の右側の引出しの上から三番目の右奥に、青い10センチくらいの箱があると思うんだけど、、」と細かく指示できます。これをやらないで、自分でも何処にあるのかわからないまま、「とにかく、部屋中引っ掻き回していいから探して!」と言っても、まあ大抵はダメでしょう。
ですので、出発の前に、自分の持物や部屋を綺麗に整理し、出来ればメモ書きとか、部屋や引出しの中身の写真とか撮っておくといいですよ。人間の記憶なんか全然アテになりませんからね。
7.最後に〜準備するほど心が弱くなることについて
「備えあれば憂いなし」とかいいますし、準備をバッチリ整えて安心しようと思うのは人情ですよね。でも、それってプロのように同じことを何度もやってて、もう何が必要で何が必要ではないかがハッキリ分かってる場合だと思います。現地のことがわからず、何が必要なのかすらも分からない段階で、「準備〜」とか言っても、おそらく準備すればするほど色々なことを思いついて不安が募ってくるのではないでしょうか?キリがないですよ。
だいたい留学やワーホリで外国に行く場合、完璧に準備するなんて不可能だし、逆にいえば完璧に準備できるくらいだったら行く必要自体ないです。例えば、「英語力が必要だ」とかいって、英語が完璧に出来ちゃったらそもそも留学なんかする必要ないでしょう?完全に現地のことを把握して、あらゆる事態が手に取るように予想できて、全ては予定調和の範囲内だったら、新しい体験も発見もなーんもないです。行く意味ないでしょ。
想定外のハプニングがあるからこそ、新たな発見があり、出会いがあり、成長があるわけで、そしてそれが想定外である以上、論理的に準備不可能でしょう。それでいいんだと思います。シャレにならないような事態(死ぬとか大怪我するとか)になるのでなければ、何でもアリだと思います。気を楽に持ってください。
準備というのは、「いざというときに困らないため」にやるものですが、海外なんて(特にオーストラリアのワーホリなんて)ある意味では「困ってなんぼ」だと思います。困るからこそあれこれ一生懸命考えるわけだし、新たな体験を積めるわけだし、周囲のヘルプもあるわけだし、自分の現場処理能力も向上するわけです。右も左も分からず「使えない新入社員」が「使える人材」になるまでの成長過程と同じことです。ましてや海外体験というのは仕事じゃないんだから、「万事ソツなくこなす」ことに意味があるわけではない。むしろソツだらけで、アチコチぶつかりながら学んでいくプロセスこそが貴重だと思います。あなたが失敗したって得意先や上司に迷惑がかかるわけでもなし、要は自分が多少困るだけのことで、日本の仕事のことを思ったら天国みたいなものでしょう?24時間自分のことだけ考えていればいいんだから、こんな贅沢なことはないですよ。
それに、いくら準備とかいっても未来予知能力でもない限り、不可能です。
例えば、ホームステイやシェアをするとして、「ホームステイ英会話」を完璧にマスターしたからといって、ハプニングはいつだって生じます。家人の留守中、トイレの水が止らなくなって、あふれ出してしまい、家中がどんどん水浸しになっていく、どうしたらいいんだ〜!ってことだって無いとは限らない。そんな事態までいちいち想定して準備するなんて不可能ですよ。だから必要なのは、準備してないハプニングに沈着冷静に対応できる能力=現場・トラブル処理能力です。これはもう慣れるしかない。慣れてノウハウを学び、肝っ玉が太くなるしかない。慣れてくれば、「わはは〜、えらいこっちゃな〜」くらいの余裕で対応できます。
今の設例だって、冷静になれば幾らでも対処できるでしょ。まず家の人に連絡して善処を仰ぎつつ(いつも利用しているプラマー=配管工に連絡して貰うとか)、被害を最小に防ぐためにトイレの周囲に要らないモノで防波堤を築いたり、貴重なモノは動かして避難させたり、コンセントが濡れてショートするのを防いだり、時間が稼げたら隣近所を片端から当たってってヘルプを求めるとか。この程度のこと、地元のオージー一人つかまえたら即座に解決ですよ。彼らは大体この手の家にはココに元栓があるとか知ってますから、あっさりその家の水道の元栓を見つけて締めます。あとは配管工を呼んで直して貰うだけです。それだけの話。言われてみたらどってことないでしょう。でも、パニックになってるとそれが思いつかない。地元民にとっては、ハプニングとも言えないささやかな日常場面の一つでも、こっちが不慣れだと大事件に感じてしまうのですね。でも、いっぺんそれを経験しておけば、似たようなことが又起きたら今度は冷静に対処できるでしょう?「使える人材」になるってそういうことです。
ちなみに、「元栓」を英語でなんというかこの際覚えておきましょう。「メイン」です。 the main とか watermainなどと言います。
ついでに水回りの用語ですが、台所の「流し」は (kitchen) sink、「漏れる」は leak、トイレの水を流すのは flush、便器の上にある水を貯めておくところを cistern(シスターン)、配管工は plumber(プラマー、bは黙字)、「水道局」はシドニーの場合Sydney Water、「蛇口」は (water) tap (だからレストランで無料の水を頼むときは tap water pleaseという)、「(元栓を)締める」は turn off、「下水」は sewer (発音が難しく、”すーあー”)、「(水が詰まって)流れない」は (sewer) choke。
でもって、配管工(陽気なおっちゃんが多い)がやってきて、しばらく調べてから、あなたに向ってバリバリのオージー訛りで、例えばこんな感じで言うわけです。「るっく、ざりずあんころじゃいんさいど、ゆのう、らすと、ゆがったりぷれいすでぃすぱーたぶざぱい。ゆわんみどぅでぃすなう?おあ、じゃすたてんぽらりいふぃっくす?」と問いかけます。「ほら見てごらん、中が腐食しちゃってるよ、わかる?錆だよ。この部分のパイプは取り替えなきゃダメだね。今それをやっちゃうかい?それとも応急措置だけにしておこうか?」という意味ですね (Look, there is corrosion inside, you know, rust, you got to replace this part of the pipe. You want me to do this now? or just a temporary fix?)。これに、「うぇる、はうまっちだずぃっとかすと=うーん、幾らくらいかかるかな?=Well, how much does it cost?」と応酬できたらGOOD!
以上が水系で、今度は電気系、、、なんてやってたらキリがないからこのくらいにします。でも、到底事前に準備なんかできっこないなあって、気がしませんか?「そんなこと滅多にないよ」と思ったアナタ、甘いです。これが結構良くあるのですよ。こっちの家は古いのが多いし、新しそうに見えてもトラブルは割と普通にあります。でも、こんなの事前にいちいち覚えるよりも、
万能の魔法=近くのオージーに助けて貰う をマスターしておいた方がイイです。周囲のオージーに話しかけるのに慣れ、助けを求めるのに慣れるべし。溢れる水音を背にして、近所中の家の玄関を片端から叩いて廻ってヘルプを求められるように。
あと、準備しすぎるのも良くないです。あまりにも準備しすぎてしまうと、恐ろしい副作用もでてきてしまうのですね。つまり、
準備してないことは恐くて出来なくなるという副作用です。事前に情報集めて、人の話を聞きまくって、ありとあらゆる事態を想定して準備万端整わないとナニゴトも出来ないとなったら、活動範囲はおっそろしく小さくなってしまいます。近所のコンビニに買物に行くくらいしか一人で出来なくなっちゃう。それか、何をやるにも全部お金を払って他人にアレンジしてもらうという話になってしまう。アマゾン川を探検するとか、アフリカの内戦地帯を行くとかいうならプロの手配は必要ですけど、のほほんオーストラリアに何がいるというのだ。それに、そもそも準備可能なものしか思いつかない=視野狭窄という副作用もあります。
ということで準備するのも良いのだけど、準備の副作用にも気をつけてください。
整理すると、あまりにも準備に頼ってしまうがあまり、@準備していない事態に遭遇したらパニックになって冷静な対処ができなくなる、A準備してないことは恐くてトライできなくなったり、視野が狭くなったりする、ということです。
くれぐれもお気をつけを。